男子エリートの個人TTで連覇を達成したエヴェネプールと、現役ラストイヤーで女子エリートTT世界王者に輝いたブラウン。男女エリートで表彰台に上がった6名のコメントを紹介します。



男子エリート優勝 レムコ・エヴェネプール(ベルギー)

連覇を達成したレムコ・エヴェネプール(ベルギー) photo:CorVos

僕らは今日のレースを「完璧だった」と言うことはできない。なぜなら第3中間計測(36.7km地点)からフィニッシュの区間で更に踏み込み、より大きな差で勝つことができなかったから。それに(スタート直前に)チェーンが外れ、中間計測地点のタイムは聞いていたがパワーメーターが機能しておらず、出力値が分からなかった。

だからスタート直後から冷静さを失わないように努めなければならず、精神力が試されるTTとなった。(パワーメーターがあれば)登りと平坦区間をもっと攻められただろうが、重要なのは勝つこと。それが達成できたので、将来自分の子どもに話すことができる良いストーリーになったよ。

フィニッシュラインでガッツポーズを見せたレムコ・エヴェネプール(ベルギー) photo:CorVos

今シーズンは順調な滑り出しから、春に落車する不運に見舞われた。だがツール・ド・フランスとオリンピックで良い走りができた。ここ3年はとても高いパフォーマンスが継続できているので、その事実を誇りに思っている。また周りの人たちは僕が(競技に)集中した時はもちろん、リラックスした時も支えてくれている。

この勝利は日曜(ロード)に向け、ある程度のプレッシャーを取り除いてくれた。この後は数日間の回復とトレーニングに励み、強いチームと共に高みを目指す。その後はイタリアンクラシックが待っているので勝負が続く3週間となる。

2位 フィリッポ・ガンナ(イタリア)

2位:フィリッポ・ガンナ(イタリア) photo:CorVos

この結果には満足している。なぜなら1ヶ月前に出場したレネウィ・ツアーを途中棄権するほどの体調不良に陥っていたからね。その後はバイクに乗らず、身体のバッテリーを充電しなければならなかった。今日、レムコに僅か6秒と迫ったこの結果は、僕にとって勝利に等しい。

今日のコースは僕に完璧に適していたわけではなく、登りで脚の力を使い過ぎてしまった。また下りも(コース誘導の)標識などがなく、記憶を頼りに下らなければならなかった。その後は自分の限界まで追い込んだ。金メダルには6秒及ばなかったものの、個人的に銀メダルの獲得できた素晴らしいレースができたよ。

3位 エドアルド・アッフィニ(イタリア)

3位:エドアルド・アッフィニ(イタリア) photo:CorVos

表彰台に立てるとは思っていなかったので、素晴らしいだと結果と言える。トップ10を目指し、トップ5を夢見ていた。フィニッシュ後はホットシートに座り、そこから他の選手たちが走る姿を見ていた。皆僕より遅いタイムでフィニッシュしていき、トップ5が現実的になっていった。

そして表彰台を信じはじめ、本当に嬉しい結果となった。レムコに対し6秒差で優勝を逃した彼(ガンナ)には残念な気持ちがあり、彼が1位で僕が3位という結果であればもっと嬉しかっただろう。でもイタリアから2人も表彰台に上がることができ、良い瞬間となった。



女子エリート優勝 グレース・ブラウン(オーストラリア)

フォレリングを16秒上回ってフィニッシュに飛び込むグレース・ブラウン(オーストラリア) photo:UCI

まるで雲の上にいるような、また夢を見てるよう気持ちがする。この結果を誇りに思うと共に、あまりにも完璧に近い今シーズンに少しショックも受けている。本当に現実とは思えないし、今年はたくさんの喜びを得ることができた。

(今年躍進の理由については)何度も聞かれているが、正直自分でもわかっていない。ただこれまで悩まされてきた身体の細かいトラブルがなく、色んなものが1つに組み合わさったからだろう。それが精神的にフレッシュさと自信を与えてくれた。また良い人たちに囲まれるなど、様々なことが関係しているのだろう。

良い環境が心に余裕を作り出し、それが身体と精神を良い状態へと導いてくれた。

ホットシートで笑顔を見せるグレース・ブラウン(オーストラリア) photo:UCI

今年は本当に素晴らしいシーズンとなっている。レースをすることが楽しく、その環境も素晴らしいものだ。(引退を決断したのは)母国であるオーストラリアを離れて6年が経ったから。だから戻りたいと強く感じ、シーズン開始と共にこっち(ヨーロッパ)に来ることが辛いと感じ始めた。夫と長く離れて暮らさなければならないからね。

(オーストラリアでずっと過ごしたいという)気持ちが、自転車競技で得られる喜びを上回った。また自分の能力が分かり、自分が得られるものとそうでないものがわかったからということもある。

2位 デミ・フォレリング(オランダ)

後半逆転を喫したデミ・フォレリング(オランダ)は2位銀メダル photo:CorVos

これがタイムトライアルで獲得した初めてのメダル。だから嬉しさはあるものの、アルカンシエルに届かず残念だ。まだTTで改善するべき所があるので、来るシーズンに向けて取り組んでいきたい。

ネガティブなことを考えてしまうので、走っている間にタイム差を聞きたくない。コーナーからコーナーへなど、区間を区切って集中して走った。また結果はフィニッシュしてから知りたいんだ。土曜のロードレースに向けてモチベーションは高く、良いレースになることを願っている。

3位 クロエ・ダイガード(アメリカ)

3位で表彰台に上がったクロエ・ダイガード(アメリカ) photo:UCI

優勝するためにトレーニングしているので、勝てなかったのは残念。だけどできることは全てやったので、がっかりはしているが来シーズンに向けたモチベーションになる。

勝てなかった理由を挙げればキリがない。だけどこれは世界トップの選手たちが争う場所。自分が負けてしまった選手たちが、自分より良い状態だったということだ。

text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos

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