フェランプレヴォのロード復帰や垣田のEF加入などトピックの多い今年の女子移籍市場。フィッシャーブラックやマルクスが加入するリドル・トレックや、フォレリング移籍が確実視される中ラブースを獲得したFDJスエズの動向などを紹介する。



ジロ1勝など今年キャリアハイの活躍を見せているニアム・フィッシャーブラック(ニュージーランド、SDワークス・プロタイム) photo:CorVos

ポリーヌ・フェランプレヴォ(フランス、イネオス・グレナディアーズ)のヴィスマ・リースアバイク移籍によるロードレース復帰や垣田真穂のEF・オートリー・キャノンデール加入など、注目度の高まる女子ロードレースのストーブリーグ。8月1日の移籍解禁からここまでに発表された選手の移籍情報を紹介する。

2025年シーズンに向け順調な補強をしているのが、メインスポンサーの変更によりチーム資金が増額したリドル・トレックだ。まずチームはオランダTT選手権で2連覇中のリーアンヌ・マルクス(ヴィスマ・リースアバイク)を獲得。今年のラ・ブエルタ・フェメニーナでは総合2位に入り、30歳にして登坂力に磨きをかけるマルクスはステージレースでの総合エースが期待される。

オランダTT選手権女子エリートを制したリーアンヌ・マルクス(ヴィスマ・リースアバイク) photo:CorVos

パリ五輪の個人タイムトライアルで銀メダルに輝いたアンナ・ヘンダーソン(イギリス) photo:CorVos

同じヴィスマからはイギリスTT王者かつ、パリ五輪のTTで銀メダルに輝いたアンナ・ヘンダーソンもリドルに移籍。また今年のジロ・デ・イタリア・ウィメンで区間優勝し、次期エース候補と目されていた24歳ニアム・フィッシャーブラック(ニュージーランド、SDワークス・プロタイム)も加入するなど、リドルは総合系の選手を補強。更にエリーザ・バルサモ(イタリア)のリードアウトなどマルチな活躍が期待できるエマセシル・ノルスゴー(デンマーク、モビスター)もロースターに加えている。

ただリドルは絶対的なエースであるエリーザ・ロンゴボルギーニ(イタリア)やエリザベス・ダイグナン(イギリス)、エレン・ファンダイク(オランダ)、アマンダ・スプラット(オーストラリア)といったベテラン選手たちの契約更新を発表していないため、思い切った若手シフトが敢行されるのかが注目される。

今年6月にフランス選手権を制したジュリエット・ラブース(DSMフィルメニッヒ・ポストNL) photo:CorVos

続いてはデミ・フォレリング(オランダ、SDワークス・プロタイム)の加入が確実視されているFDJスエズだ。ツール・ド・フランス・ファムこそ落車の不運で2連覇を逃したものの、山岳レースでは敵なしの強さを見せるフォレリング。その加入発表の前にFDJは、DSMフィルメニッヒ・ポストNLの総合エースかつフランス王者のジュリエット・ラブースを獲得した。

更に同じDSMから若手クライマーのエグランティーヌ・レイエ(フランス)や、いま勢いのあるニュージーランドからアリー・ウォラストン(AGインシュランス・スーダル)が加入。SDワークスに対抗する総合チームとしての戦力を固め、更にフランス選手権でジュニアカテゴリーのロードとTTを制した18歳のセリア・ジェリーを獲得するなど、有望な若手を揃えてきた。

また来季は新設されるプロチームとして活動すると予想され、水谷壮宏氏が監督を務めるコフィディス・ウィメン。2016年にロード世界選手権を20歳で制したアマリー・ディデリクセン(デンマーク、ウノエックス・モビリティ)を獲得し、他にもエウジェニア・ブヤーク(スロベニア、UAEチームADQ)などベテラン選手を中心に、現在まで6名の移籍が発表されている。

text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos