ブエルタの閉幕によって今年のグランツールが全て終了。ヴィスマ・リースアバイクへ復帰するカンペナールツやイスラエル・プレミアテックに加入するアレクセイ・ルツェンコ(カザフスタン、アスタナ・カザクスタン)など、ブエルタ期間中に発表された移籍情報を中心に紹介する。



今年のツールで初勝利を飾ったヴィクトル・カンペナールツ(ベルギー、ロット・デスティニー) photo:CorVos

ロット・デスティニー残留の願い叶わず、ヴィスマ・リースアバイクへの移籍が発表されたヴィクトル・カンペナールツ(ベルギー)。かつてはアワーレコード世界記録を打ち立てたカンペナールツは、タイムトライアルスペシャリストから逃げ屋に転身。今年その逃げからツール・ド・フランスの区間優勝を飾り、そして2016〜17年に所属したチームに戻ってきた。

目標は「ツールのメンバー入り」と語るカンペナールツ。ヴィスマは経験豊富なアシストであったロベルト・ヘーシンク(オランダ)が今季限りで引退し、ヤン・トラトニク(スロベニア)はレッドブル・ボーラ・ハンスグローエへの移籍が噂されている。そのため逃げ以外にもマルチな役割ができるカンペナールツは、新加入するサイモン・イェーツ(イギリス、ジェイコ・アルウラー)と共にグランツールにおいて重要な存在となる。

レッドブルはフィッシャーブラックなど若手クライマーを補強

総合エース候補であるフィン・フィッシャーブラック(ニュージーランド、UAEチームエミレーツ) photo:CorVos

新スポンサーの元でブエルタ・ア・エスパーニャ総合優勝を果たしたレッドブル・ボーラ・ハンスグローエは、主力であったマキシミリアン・シャフマン(ドイツ)がスーダル・クイックステップへ、ボブ・ユンゲル(ルクセンブルク)はイネオス・グレナディアーズ、セルヒオ・イギータ(コロンビア)はアスタナ・カザクスタンへ離脱する。その代わり共に22歳のニュージーランド出身で、総合エース候補のフィン・フィッシャーブラック(UAEチームエミレーツ)とローレンス・ピシー(グルパマFDJ)を獲得。また24歳の双子であるミックとティム・ファンダイケ(オランダ、ヴィスマ・リースアバイク)が加入するなど、若手主体の補強となった。

なおレッドブルはレムコ・エヴェネプール(ベルギー、Tレックス・クイックステップ)獲得の噂もあり、成立すれば今季ストーブリーグの主役となる。

ツール・ド・フランスで最多区間優勝記録を達成したマーク・カヴェンディッシュ(イギリス)のアスタナ・カザクスタンは、来年に向けて方向転換の時だ。カヴの引退(正式発表はされていない)や勝ち頭であったアレクセイ・ルツェンコ(カザフスタン)がイスラエル・プレミアテックへ移籍するなか、チームはベテラン中心の補強に着手。先述したイギータに加え、ディエゴ・ウリッシ(イタリア、UAEチームエミレーツ)やワウト・プールス(オランダ、バーレーン・ヴィクトリアス)、ニコラ・コンチ(イタリア、アルペシン・ドゥクーニンク)とクライマーを中心に獲得している。

イスラエルへの移籍は発表されたアレクセイ・ルツェンコ(カザフスタン、アスタナ・カザフスタン) photo:CorVos

コフィディスは補強で成績低迷を脱せるか

今年2勝しているサイモン・カー(イギリス、EFエデュケーション・イージーポスト) photo:CorVos

大幅な戦力の入れ替えを実行しているのはコフィディスも同じ。総合エースだったギヨーム・マルタン(フランス)がグルパマFDJへ移籍するなか、サイモン・カー(イギリス、EFエデュケーション・イージーポスト)やエマヌエル・ブッフマン(ドイツ、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)、ディラン・トゥーンス(ベルギー、イスラエル・プレミアテック)など9名を獲得。今年はここまで僅か5勝と、低迷するチームの復活を狙う。

毎年のようにクライマーを中心とした補強を行うUAEチームエミレーツは、ここまでジョナタン・ナルバエス(エクアドル、イネオス・グレナディアーズ)とフロリアン・フェルミールス(ベルギー、ロット・デスティニー)の獲得に留まっている。毎年ビッグネームを含む6〜8名の補強が続いており、今後の動向が注目される。

text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos