2024/09/09(月) - 21:47
9月8日(日)、初開催となるJプロツアー「新城ロードレース」が愛知県新城市で開催された。160kmのレースは最終周回に8名まで絞られた集団でのスプリント勝負に持ち込まれ、沢田時(宇都宮ブリッツェン)がロードレース初勝利を挙げた。
7月末以来およそ1ヶ月のインターバルを挟んだJプロツアーは後半戦が再開した。第13戦「新城ロードレース」は、今年初めて開催される大会。新城(しんしろ)市は愛知県東部に位置し、静岡県との県境を構成している。2026年にアジア大会の自転車ロードレースが新城市で行われることが決まり、この大会はプレ大会(=テストイベント)の位置付けとされる。同時に、スポーツ・食・モビリティ(移動手段)で新城を楽しむイベント「新城モビリティフェスタ2024」の一環としての開催でもある。
コースは、新城市の桜淵公園前をスタート・フィニッシュとし、JR新城駅の南東部の丘陵地帯の公道に設定された1周16km。序盤には距離は短めながらも勾配10%の道路標識が立つ登りとカーブが連続する下り、中盤は田園地帯を抜ける平坦区間、終盤は緩やかなアップダウンの繰り返しで構成される。平坦区間の割合が多いものの、急勾配の登り区間は周回が進むごとに脚を削られる。加えてこの日は30℃を超える真夏日となり、帯同が許されたチームカーにはボトルを受け取る選手が並走する光景が頻繁にみられた。
午前10時、10周160kmのレースがスタート。前半はアタックと吸収の繰り返しが続き、逃げ集団が容認されないまま周回が進んでいく。5周目、12名の集団が先行し、後続との差を広げていく。メンバーは以下の通り。
白川幸希、宮崎泰史、(キナンレーシングチーム)
織田聖(マトリックスパワータグ)
石上優大、初川弘浩(愛三工業レーシングチーム)
宇田川塁(群馬グリフィンレーシングチーム)
花田聖誠、武山晃輔、沢田時(宇都宮ブリッツェン)
小出樹(イナーメ信濃山形)
阿曽圭佑(スパークルおおいたレーシングチーム)
中島渉(U23大会選抜チーム オープン参加)
メイン集団との差は6周目には1分30秒以上まで拡大。追走の意思がまとまらず、7周目には2分近い差となる。7周目後半、ベンジャミン・ダイボール(ヴィクトワール広島)、トマ・ルバ、孫崎大樹(キナンレーシングチーム)、山口瑛志(レバンテフジ静岡)、宇賀隆貴(さいたま佐渡サンブレイブ)ら5名が追走集団を形成し、先頭集団に合流。その後ルバのペースアップにより人数が絞られ、新たに12名の先頭集団となって残り2周となる9周目を迎える。メンバーは以下の通り。
宮崎泰史、トマ・ルバ*、孫崎大樹*(キナンレーシングチーム)
織田聖(マトリックスパワータグ)
宇田川塁(群馬グリフィンレーシングチーム)
花田聖誠、武山晃輔、沢田時(宇都宮ブリッツェン)
阿曽圭佑(スパークルおおいたレーシングチーム)
中島渉(U23大会選抜チーム オープン参加)
ベンジャミン・ダイボール*(ヴィクトワール広島)
宇賀隆貴*(さいたま佐渡サンブレイブ)
*印=追走合流した選手
メイン集団はバラけて追走がまとまる気配はなくなり、勝負は先頭集団に絞られた。
最終周回に入ると、ダイボールがしきりにアタックを繰り返し、登り区間ではルバがペースアップして人数を減らしていく。残り2km、丘陵地帯の緩やかな登りでアタック合戦が始まるも決定打は出ず、勝負は残った8名でのスプリント勝負へ。
残り200m、孫崎を先頭にスプリントに入った集団が現れる。残り100m、孫崎の背後から出た沢田が残り50mで先頭へ出ると、そのままフィニッシュラインを駆け抜ける。右腕、そして左腕と交互にガッツポーズをしてロードレース初勝利の喜びを表した。
シクロクロスやMTBでは全日本チャンピオンにもなった沢田だが、ロードレースではこれが初優勝。「2021年からロードレースを始めて、2位は3回あったけれど優勝は初めて」と言う。宇都宮ブリッツェンにとっては2020年9月に現監督の西村大輝が優勝して以来、4年ぶりのJプロツアー優勝となった(宇都宮ブリッツェンは2021年から23年はジャパンサイクルリーグに参戦)。
沢田時 コメント
「160kmの距離で公道の大きな周回での、これぞロードレースというレースでしっかり勝てたことは自信になった。何よりチームがしっかり動けていたので、それを形に出来て本当に良かった。チームとしては逃げに複数名、出来れば3名入れての小集団をつくってスプリント勝負に持ち込むことで勝機が生まれると考えていた。今日逃げに乗った3名は登れるメンバーで、最後にベンジャミン・ダイボール選手が行った時も2人がしっかりチェックしてくれた。
最後まで残ったメンバーで一番スプリント力があるのは孫崎(大樹)選手だったが、今まで勝ったことがなかった。でも自分もスプリントを練習してきたし、今日は勝てると信じて勝負した。スプリントに入る前に武山(晃輔)選手がアタックしてくれたことも効いているのかなと思う。
コースは1周が長く、短い周回でクルクルしなくて良いので楽しかった。パンチのあるキツい登りだったけれど、それよりも下りがテクニカルで毎周回集団が割れるほどだった。だから登りと下りは集団の前で入るように徹底していたし、逃げを逃すことなく展開することが出来た。
このあと9月10月と重要なレースが続くが、この勝利でチームのモチベーションを上げられたと思うので、さらに結果を出していきたい。個人的には今年ロードレースで勝つことが目標で今回達成したので、これをきっかけにシクロクロスシーズンに向けて調子を上げていきたい」
7月末以来およそ1ヶ月のインターバルを挟んだJプロツアーは後半戦が再開した。第13戦「新城ロードレース」は、今年初めて開催される大会。新城(しんしろ)市は愛知県東部に位置し、静岡県との県境を構成している。2026年にアジア大会の自転車ロードレースが新城市で行われることが決まり、この大会はプレ大会(=テストイベント)の位置付けとされる。同時に、スポーツ・食・モビリティ(移動手段)で新城を楽しむイベント「新城モビリティフェスタ2024」の一環としての開催でもある。
コースは、新城市の桜淵公園前をスタート・フィニッシュとし、JR新城駅の南東部の丘陵地帯の公道に設定された1周16km。序盤には距離は短めながらも勾配10%の道路標識が立つ登りとカーブが連続する下り、中盤は田園地帯を抜ける平坦区間、終盤は緩やかなアップダウンの繰り返しで構成される。平坦区間の割合が多いものの、急勾配の登り区間は周回が進むごとに脚を削られる。加えてこの日は30℃を超える真夏日となり、帯同が許されたチームカーにはボトルを受け取る選手が並走する光景が頻繁にみられた。
午前10時、10周160kmのレースがスタート。前半はアタックと吸収の繰り返しが続き、逃げ集団が容認されないまま周回が進んでいく。5周目、12名の集団が先行し、後続との差を広げていく。メンバーは以下の通り。
白川幸希、宮崎泰史、(キナンレーシングチーム)
織田聖(マトリックスパワータグ)
石上優大、初川弘浩(愛三工業レーシングチーム)
宇田川塁(群馬グリフィンレーシングチーム)
花田聖誠、武山晃輔、沢田時(宇都宮ブリッツェン)
小出樹(イナーメ信濃山形)
阿曽圭佑(スパークルおおいたレーシングチーム)
中島渉(U23大会選抜チーム オープン参加)
メイン集団との差は6周目には1分30秒以上まで拡大。追走の意思がまとまらず、7周目には2分近い差となる。7周目後半、ベンジャミン・ダイボール(ヴィクトワール広島)、トマ・ルバ、孫崎大樹(キナンレーシングチーム)、山口瑛志(レバンテフジ静岡)、宇賀隆貴(さいたま佐渡サンブレイブ)ら5名が追走集団を形成し、先頭集団に合流。その後ルバのペースアップにより人数が絞られ、新たに12名の先頭集団となって残り2周となる9周目を迎える。メンバーは以下の通り。
宮崎泰史、トマ・ルバ*、孫崎大樹*(キナンレーシングチーム)
織田聖(マトリックスパワータグ)
宇田川塁(群馬グリフィンレーシングチーム)
花田聖誠、武山晃輔、沢田時(宇都宮ブリッツェン)
阿曽圭佑(スパークルおおいたレーシングチーム)
中島渉(U23大会選抜チーム オープン参加)
ベンジャミン・ダイボール*(ヴィクトワール広島)
宇賀隆貴*(さいたま佐渡サンブレイブ)
*印=追走合流した選手
メイン集団はバラけて追走がまとまる気配はなくなり、勝負は先頭集団に絞られた。
最終周回に入ると、ダイボールがしきりにアタックを繰り返し、登り区間ではルバがペースアップして人数を減らしていく。残り2km、丘陵地帯の緩やかな登りでアタック合戦が始まるも決定打は出ず、勝負は残った8名でのスプリント勝負へ。
残り200m、孫崎を先頭にスプリントに入った集団が現れる。残り100m、孫崎の背後から出た沢田が残り50mで先頭へ出ると、そのままフィニッシュラインを駆け抜ける。右腕、そして左腕と交互にガッツポーズをしてロードレース初勝利の喜びを表した。
シクロクロスやMTBでは全日本チャンピオンにもなった沢田だが、ロードレースではこれが初優勝。「2021年からロードレースを始めて、2位は3回あったけれど優勝は初めて」と言う。宇都宮ブリッツェンにとっては2020年9月に現監督の西村大輝が優勝して以来、4年ぶりのJプロツアー優勝となった(宇都宮ブリッツェンは2021年から23年はジャパンサイクルリーグに参戦)。
沢田時 コメント
「160kmの距離で公道の大きな周回での、これぞロードレースというレースでしっかり勝てたことは自信になった。何よりチームがしっかり動けていたので、それを形に出来て本当に良かった。チームとしては逃げに複数名、出来れば3名入れての小集団をつくってスプリント勝負に持ち込むことで勝機が生まれると考えていた。今日逃げに乗った3名は登れるメンバーで、最後にベンジャミン・ダイボール選手が行った時も2人がしっかりチェックしてくれた。
最後まで残ったメンバーで一番スプリント力があるのは孫崎(大樹)選手だったが、今まで勝ったことがなかった。でも自分もスプリントを練習してきたし、今日は勝てると信じて勝負した。スプリントに入る前に武山(晃輔)選手がアタックしてくれたことも効いているのかなと思う。
コースは1周が長く、短い周回でクルクルしなくて良いので楽しかった。パンチのあるキツい登りだったけれど、それよりも下りがテクニカルで毎周回集団が割れるほどだった。だから登りと下りは集団の前で入るように徹底していたし、逃げを逃すことなく展開することが出来た。
このあと9月10月と重要なレースが続くが、この勝利でチームのモチベーションを上げられたと思うので、さらに結果を出していきたい。個人的には今年ロードレースで勝つことが目標で今回達成したので、これをきっかけにシクロクロスシーズンに向けて調子を上げていきたい」
Jプロツアー第13戦 新城ロードレース 結果(160km)
1位 | 沢田時(宇都宮ブリッツェン) | 3時間53分12秒 |
2位 | 孫崎大樹(キナンレーシングチーム) | +0秒 |
3位 | 阿曽圭佑(スパークルおおいたレーシングチーム) | |
4位 | 花田聖誠(宇都宮ブリッツェン) | |
5位 | ベンジャミン・ダイボール(ヴィクトワール広島) | |
6位 | 織田聖(マトリックスパワータグ) | +1秒 |
中間スプリント賞 | ||
1回目 | 草場啓吾(愛三工業レーシングチーム) | |
2回目 | 石上優大(愛三工業レーシングチーム) | |
U23特別賞 | 中島渉(U23大会選抜チーム、オープン参加) |
text&photo:Satoru Kato
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