2024/09/06(金) - 09:12
残り5.6km地点でアタックしたウルコ・ベラーデ(スペイン、エキポ・ケルンファルマ)が、ブエルタ・ア・エスパーニャ第18ステージでプロ初勝利。カラパスのアタックに総合5位ランダは遅れ、総合争いから脱落している。
9月5日(木) 第18ステージ
ビトリア・ガステイス〜マエストゥ・イズキ 179.5km(丘陵)
ブエルタ・ア・エスパーニャ第18ステージは逃げ切りが濃厚と目された丘陵ステージ。カテゴリー山岳は中盤の2級と1級山岳の2つだけで、1級山岳プエルト・エレラは平均勾配8.3%と強烈。しかし登坂距離は5.6kmと比較的短く、フィニッシュまで平坦路が続くため総合争いが繰り広げられる可能性は低いと見られた。
翌日からのラスト3日間は2つの山岳/山頂フィニッシュと個人タイムトライアルが用意されたため、逃げから勝利を目指す選手たちにとっては実質的なラストチャンス。前日5位と勝利には届かなかったコービン・ストロング(ニュージーランド、イスラエル・プレミアテック)がシーズン終盤に向けて不出走を選ぶなか、レースは予想通り平均速度が50km/hに迫るハイスピードで幕開けた。
ライリー・シーアン(アメリカ、イスラエル・プレミアテック)やパブロ・カストリーリョ(スペイン、エキポ・ケルンファルマ)のアタックは逃げには繋がらず、横風をきっかけに集団が分裂。これにより42名の大きな逃げグループが形成された。
逃げに入った選手の中で最も総合タイムが良いアレクサンドル・ウラソフ(ロシア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)でも23分52秒遅れだったため、メイン集団は逃げ切りを容認する姿勢を見せる。しかし逃げに選手を入れることのできなかったエウスカルテル・エウスカディがプロトンの牽引を開始。本拠地であるバスクをスタートしたレースで、逃げに2分以上のリードを許さない意地を見せた。
1分半のリードで2級山岳(距離11.1km/平均3.4%)に入った逃げを、エウスカルテルのミケル・ビスカラとゴツォン・マルティン(共にスペイン)がプロトンを飛び出し追い始める。その動きにカンタン・パシェ(フランス、グルパマFDJ)とカルロス・カナル(スペイン、モビスター)が反応。頂上は2日前の勝者であるマルク・ソレル(スペイン、UAEチームエミレーツ)が先頭通過し、山岳賞ランキングで2位に上がった。
プロトンの先導はエウスカルテルからデカトロンAG2Rラモンディアルに戻り、脚を緩めたため逃げグループとの差が拡がる。下りでは逃げからシュテファン・キュング(スイス、グルパマFDJ)が飛び出し、マティアス・ヴァチェク(チェコ、リドル・トレック)とマウロ・シュミット(スイス、ジェイコ・アルウラー)を含む3名が先頭に立つ。一方、メイン集団から逃げ合流を目指すパシェ・グループは9名に人数を増やしたものの、時速46kmで進む第2グループとの距離は縮まらなかった。
1級山岳プエルト・エレラ(距離5.6km/平均8.3%)に入り、第2グループからマティア・カッタネオ(イタリア、Tレックス・クイックステップ)のアタックをきっかけに7名の追走集団が形成される。カッタネオらはすぐにキュングらに追いつき、先頭はソレルやウラソフ、マックス・プール(イギリス、DSMフィルメニッヒ・ポストNL)など強力なメンバーのいる10名に増える。約10分遅れで登り始めたプロトンでは、総合4位のリチャル・カラパス(エクアドル、EFエデュケーション・イージーポスト)が登りでアタックを仕掛けた。
カラパスの動きにはプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)はもちろんエンリク・マス(スペイン、モビスター)など総合上位勢が追従。しかし総合5位のミケル・ランダ(スペイン、Tレックス・クイックステップ)やセップ・クス(アメリカ、ヴィスマ・リースアバイク)は反応できず、マイヨロホを着るベン・オコーナー(オーストラリア、デカトロンAG2Rラモンディアル)も頂上手前で遅れを喫してしまう。
逃げではソレルがこの頂上もトップ通過し、チームメイトであるジェイ・ヴァイン(オーストラリア、UAEチームエミレーツ)からマイヨモンターニャ(山岳賞ジャージ)を引き継ぐことに成功する。一方、軽快に飛ばすカラパスは頂上でランダとの差を45秒まで拡げ、チームメイトの牽引を受けたオコーナーは下りでカラパスたちに追いついた。
残り30km地点で先頭集団は13名。この中に入っていたマティア・カッタネオ(イタリア、Tレックス・クイックステップ)はチームカーから指示を受け、ランダのアシストをするため下がっていく。そのため12名になった先頭から、残り6kmの登り区間でステフェン・クライスヴァイク(オランダ、ヴィスマ・リースアバイク)が飛び出した。
37歳クライスヴァイクによる渾身のアタックには、唯一ウルコ・ベラーデ(スペイン、エキポ・ケルンファルマ)が反応する。そしてベラーデがクライスヴァイクを引き離し、残り5.6km地点で単独先頭に立った。
最後まで力強いペダリングを維持し、スピードを落とすことのなかったベラーデがフィニッシュに到着。ブエルタという大舞台でプロ初勝利を飾ると共に、チームに今大会3勝目をもたらした。
「チャンスが訪れたので”全力で踏み込むんだ!”と自分を鼓舞した。独走するしか僕が勝つ方法はなかったからね。チームとして今大会3勝目は夢のようだ。共に戦い、苦難を乗り越えた僕たちはこの喜ばしい瞬間を楽しんでいる。これは僕だけではなく皆で成し遂げた勝利だ」とベラーデは語った。
ベラーデは2019年にエウスカルテル・エウスカディでプロデビューした26歳のクライマー。翌年からエキポ・ケルンファルマで走り、今年は前哨戦であるブエルタ・ア・ブルゴスで総合4位入賞。その好調を本戦に繋げ勝利した。
4秒遅れでやってきた追走集団はシュミットがスプリントで先着し、今大会2度目の2位。3着のパウ・ミケル(スペイン、エキポ・ケルンファルマ)は斜行により集団の最後尾(9位)への降格処分を受けている。またレースを動かしたカラパスはログリッチとオコーナーと共に、トップから6分40秒遅れでフィニッシュ。登りで遅れたオコーナーがマイヨロホを死守した一方で、ランダはそこから更に3分20秒遅れでレースを終えたため(10分遅れ)、総合10位(5分38秒遅れ)まで順位を落としている。
9月5日(木) 第18ステージ
ビトリア・ガステイス〜マエストゥ・イズキ 179.5km(丘陵)
ブエルタ・ア・エスパーニャ第18ステージは逃げ切りが濃厚と目された丘陵ステージ。カテゴリー山岳は中盤の2級と1級山岳の2つだけで、1級山岳プエルト・エレラは平均勾配8.3%と強烈。しかし登坂距離は5.6kmと比較的短く、フィニッシュまで平坦路が続くため総合争いが繰り広げられる可能性は低いと見られた。
翌日からのラスト3日間は2つの山岳/山頂フィニッシュと個人タイムトライアルが用意されたため、逃げから勝利を目指す選手たちにとっては実質的なラストチャンス。前日5位と勝利には届かなかったコービン・ストロング(ニュージーランド、イスラエル・プレミアテック)がシーズン終盤に向けて不出走を選ぶなか、レースは予想通り平均速度が50km/hに迫るハイスピードで幕開けた。
ライリー・シーアン(アメリカ、イスラエル・プレミアテック)やパブロ・カストリーリョ(スペイン、エキポ・ケルンファルマ)のアタックは逃げには繋がらず、横風をきっかけに集団が分裂。これにより42名の大きな逃げグループが形成された。
逃げに入った選手の中で最も総合タイムが良いアレクサンドル・ウラソフ(ロシア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)でも23分52秒遅れだったため、メイン集団は逃げ切りを容認する姿勢を見せる。しかし逃げに選手を入れることのできなかったエウスカルテル・エウスカディがプロトンの牽引を開始。本拠地であるバスクをスタートしたレースで、逃げに2分以上のリードを許さない意地を見せた。
1分半のリードで2級山岳(距離11.1km/平均3.4%)に入った逃げを、エウスカルテルのミケル・ビスカラとゴツォン・マルティン(共にスペイン)がプロトンを飛び出し追い始める。その動きにカンタン・パシェ(フランス、グルパマFDJ)とカルロス・カナル(スペイン、モビスター)が反応。頂上は2日前の勝者であるマルク・ソレル(スペイン、UAEチームエミレーツ)が先頭通過し、山岳賞ランキングで2位に上がった。
プロトンの先導はエウスカルテルからデカトロンAG2Rラモンディアルに戻り、脚を緩めたため逃げグループとの差が拡がる。下りでは逃げからシュテファン・キュング(スイス、グルパマFDJ)が飛び出し、マティアス・ヴァチェク(チェコ、リドル・トレック)とマウロ・シュミット(スイス、ジェイコ・アルウラー)を含む3名が先頭に立つ。一方、メイン集団から逃げ合流を目指すパシェ・グループは9名に人数を増やしたものの、時速46kmで進む第2グループとの距離は縮まらなかった。
1級山岳プエルト・エレラ(距離5.6km/平均8.3%)に入り、第2グループからマティア・カッタネオ(イタリア、Tレックス・クイックステップ)のアタックをきっかけに7名の追走集団が形成される。カッタネオらはすぐにキュングらに追いつき、先頭はソレルやウラソフ、マックス・プール(イギリス、DSMフィルメニッヒ・ポストNL)など強力なメンバーのいる10名に増える。約10分遅れで登り始めたプロトンでは、総合4位のリチャル・カラパス(エクアドル、EFエデュケーション・イージーポスト)が登りでアタックを仕掛けた。
カラパスの動きにはプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)はもちろんエンリク・マス(スペイン、モビスター)など総合上位勢が追従。しかし総合5位のミケル・ランダ(スペイン、Tレックス・クイックステップ)やセップ・クス(アメリカ、ヴィスマ・リースアバイク)は反応できず、マイヨロホを着るベン・オコーナー(オーストラリア、デカトロンAG2Rラモンディアル)も頂上手前で遅れを喫してしまう。
逃げではソレルがこの頂上もトップ通過し、チームメイトであるジェイ・ヴァイン(オーストラリア、UAEチームエミレーツ)からマイヨモンターニャ(山岳賞ジャージ)を引き継ぐことに成功する。一方、軽快に飛ばすカラパスは頂上でランダとの差を45秒まで拡げ、チームメイトの牽引を受けたオコーナーは下りでカラパスたちに追いついた。
残り30km地点で先頭集団は13名。この中に入っていたマティア・カッタネオ(イタリア、Tレックス・クイックステップ)はチームカーから指示を受け、ランダのアシストをするため下がっていく。そのため12名になった先頭から、残り6kmの登り区間でステフェン・クライスヴァイク(オランダ、ヴィスマ・リースアバイク)が飛び出した。
37歳クライスヴァイクによる渾身のアタックには、唯一ウルコ・ベラーデ(スペイン、エキポ・ケルンファルマ)が反応する。そしてベラーデがクライスヴァイクを引き離し、残り5.6km地点で単独先頭に立った。
最後まで力強いペダリングを維持し、スピードを落とすことのなかったベラーデがフィニッシュに到着。ブエルタという大舞台でプロ初勝利を飾ると共に、チームに今大会3勝目をもたらした。
「チャンスが訪れたので”全力で踏み込むんだ!”と自分を鼓舞した。独走するしか僕が勝つ方法はなかったからね。チームとして今大会3勝目は夢のようだ。共に戦い、苦難を乗り越えた僕たちはこの喜ばしい瞬間を楽しんでいる。これは僕だけではなく皆で成し遂げた勝利だ」とベラーデは語った。
ベラーデは2019年にエウスカルテル・エウスカディでプロデビューした26歳のクライマー。翌年からエキポ・ケルンファルマで走り、今年は前哨戦であるブエルタ・ア・ブルゴスで総合4位入賞。その好調を本戦に繋げ勝利した。
4秒遅れでやってきた追走集団はシュミットがスプリントで先着し、今大会2度目の2位。3着のパウ・ミケル(スペイン、エキポ・ケルンファルマ)は斜行により集団の最後尾(9位)への降格処分を受けている。またレースを動かしたカラパスはログリッチとオコーナーと共に、トップから6分40秒遅れでフィニッシュ。登りで遅れたオコーナーがマイヨロホを死守した一方で、ランダはそこから更に3分20秒遅れでレースを終えたため(10分遅れ)、総合10位(5分38秒遅れ)まで順位を落としている。
ブエルタ・ア・エスパーニャ2024第18ステージ
1位 | ウルコ・ベラーデ(スペイン、エキポ・ケルンファルマ) | 4:00:52 |
2位 | マウロ・シュミット(スイス、ジェイコ・アルウラー) | +0:04 |
3位 | マキシミリアン・ヴァルシャイド(ドイツ、ジェイコ・アルウラー) | |
4位 | アレクサンドル・ウラソフ(ロシア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) | |
5位 | オイエル・ラスカノ(スペイン、モビスター) | |
6位 | ヨン・イサギレ(スペイン、コフィディス) | |
7位 | マティアス・ヴァチェク(チェコ、リドル・トレック) | |
8位 | パブロ・カストリーリョ(スペイン、エキポ・ケルンファルマ) | |
9位 | パウ・ミケル(スペイン、エキポ・ケルンファルマ) | |
10位 | ステフェン・クライスヴァイク(オランダ、ヴィスマ・リースアバイク) | +0:11 |
27位 | ベン・オコーナー(オーストラリア、デカトロンAG2Rラモンディアル) | +6:40 |
53位 | ミケル・ランダ(スペイン、Tレックス・クイックステップ) | +10:00 |
マイヨロホ(個人総合成績)
1位 | ベン・オコーナー(オーストラリア、デカトロンAG2Rラモンディアル) | 72:48:46 |
2位 | プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) | +0:05 |
3位 | エンリク・マス(スペイン、モビスター) | +1:25 |
4位 | リチャル・カラパス(エクアドル、EFエデュケーション・イージーポスト) | +1:46 |
5位 | ダヴィド・ゴデュ(フランス、グルパマFDJ) | +3:48 |
6位 | カルロス・ロドリゲス(スペイン、イネオス・グレナディアーズ) | +3:53 |
7位 | マティアス・スケルモース(デンマーク、リドル・トレック) | +4:00 |
8位 | フロリアン・リポヴィッツ(ドイツ、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) | +4:27 |
9位 | パヴェル・シヴァコフ(ロシア、UAEチームエミレーツ) | +5:19 |
10位 | ミケル・ランダ(スペイン、Tレックス・クイックステップ) | +5:38 |
マイヨプントス(ポイント賞)
1位 | カーデン・グローブス(オーストラリア、アルペシン・ドゥクーニンク) | 226pts |
2位 | パブロ・カストリーリョ(スペイン、エキポ・ケルンファルマ) | 117pts |
3位 | マックス・プール(イギリス、DSMフィルメニッヒ・ポストNL) | 108pts |
マイヨモンターニャ(山岳賞)
1位 | マルク・ソレル(スペイン、UAEチームエミレーツ) | 57pts |
2位 | ジェイ・ヴァイン(オーストラリア、UAEチームエミレーツ) | 56pts |
3位 | パブロ・カストリーリョ(スペイン、エキポ・ケルンファルマ) | 37pts |
マイヨブランコ(ヤングライダー賞)
1位 | カルロス・ロドリゲス(スペイン、イネオス・グレナディアーズ) | 72:52:39 |
2位 | マティアス・スケルモース(デンマーク、リドル・トレック) | +0:07 |
3位 | フロリアン・リポヴィッツ(ドイツ、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) | +0:34 |
チーム総合成績
1位 | UAEチームエミレーツ | 217:49:31 |
2位 | レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ | +44:46 |
3位 | デカトロンAG2Rラモンディアル | +1:28:40 |
text:Sotaro.Arakawa
photo:Unipublic, CorVos
photo:Unipublic, CorVos
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