第20回ツアー・オブ・ブリテンが開幕。レムコ・エヴェネプール(ベルギー)とジュリアン・アラフィリップ(フランス)のアシストを受けたポール・マニエ(フランス)がステージ優勝。ウルフパックの若手スプリンターがいま一度名前をアピールした。



スコットランド国境のケルソーで第20回ツアー・オブ・ブリテンが開幕 photo:Tour of Britain

記念すべき20回開催を迎えたツアー・オブ・ブリテン(UCI2.Pro)が開幕。昨年ユンボ・ヴィスマのワウト・ファンアールト(ベルギー)とオラフ・コーイ(オランダ)が制圧した6日間の大会は、9月3日火曜日にスコットランド国境のケルソーで開幕し、9月8日日曜日にサフォークのフェリクストウで終幕する。

ヴィスマは出場せず、UCIワールドチームも合計4チーム(イネオス、スーダル、バーレーン、dsm)と少ないが、スーダル・クイックステップからはロードと個人TTで五輪ダブルタイトルを獲得したレムコ・エヴェネプール(ベルギー)とジュリアン・アラフィリップ(フランス)の二枚看板が揃って出場していることが注目だ。

MTB世界選手権を終えたばかりのトーマス・ピドコック(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)、バーレーン・ヴィクトリアスのペリョ・ビルバオ(スペイン)とワウト・プールス(オランダ)といったクライマーコンビ勢が揃い、イスラエル・プレミアテックも今年のダウンアンダーとフレーシュ・ワロンヌ覇者スティーブン・ウィリアムズ(イギリス)をラインナップ。イギリスのナショナルチームからはブラドレー・ウィギンスの息子、ベンも出場中。

集団を一人でコントロールしたジャンニ・モスコン(イタリア、スーダル・クイックステップ) photo:Tour of Britain

ゴールデンバイクを駆るレムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ) photo:CorVos

石畳が敷かれたフィニッシュラインを通過する photo:Tour of Britain

6日間の合計走行距離は936.5km。個人タイムトライアルや難関山岳は無く、細かいアップダウンが続く丘陵コースがその中心となる。初日はオスカー・オンリー(dsmフェルミニッヒ・ポストNL)の故郷ケルソーを発着する標高差1,855mの丘陵ステージで、最大3分半差で逃げた3名のエスケープを、ジャンニ・モスコン(イタリア、スーダル・クイックステップ)が一人で集団先頭に立ち続けてタイムコントロール。残り40kmを切った登坂区間ではイネオス勢が中心となったアタック合戦が始まった。

アラフィリップやプールスといったビッグネームが加速を続け、ピドコックのカウンターで「五輪後にトレーニング強度を落としていたので気楽に臨みたい。ステージ優勝できれば良いと思っている」と事前に話していたエヴェネプールもアタック。上下左右に曲がりくねるコースで波状攻撃が繰り返されたものの、決まりきらずに丘陵区間を終え、イネオスが隊列をまとめ上げてフィニッシュへ。エヴェネプールとアラフィリップも加わった熾烈なポジション争いを経て、緩く曲がった最終コーナーを絶妙なタイミングで抜けたポール・マニエ(フランス、スーダル・クイックステップ)が急加速した。

20歳ポール・マニエ(フランス、スーダル・クイックステップ)が混沌の集団スプリントを制す photo:CorVos

石畳のスプリント勝負。ネオプロの20歳マニエがイーサン・ヴァーノン(イギリス、イスラエル・プレミアテック)らを下し、今年2回目のエリートレース勝利をマークした。「ジュリアンとレムコがアタックしてレースを絞って、スプリントになれば僕が勝負する作戦だった。最後は難しいレイアウトだったし、ポジション取りが結果を分けると分かっていたんだ。2人のチャンピオンが僕を支えてくれたことも大きな力になった。コンディションが良いのは分かっていたのでこのままの調子で走り切りたい」と、過去18年の中で最年少の同レース総合首位となったマニエは話している。

ツアー・オブ・ブリテン2024第1ステージ結果
1位 ポール・マニエ(フランス、スーダル・クイックステップ) 4:11:45
2位 イーサン・ヴァーノン(イギリス、イスラエル・プレミアテック)
3位 ロバート・ドナルドソン(イギリス、トリニティレーシング)
4位 トーマス・ピドコック(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)
5位 カスペル・ファンウーデン(オランダ、dsmフェルミニッヒ・ポストNL)
個人総合成績
1位 ポール・マニエ(フランス、スーダル・クイックステップ) 4:11:35
2位 ユリウス・ヨハンセン(デンマーク、サブガル・アニコロール) +0:01
3位 イーサン・ヴァーノン(イギリス、イスラエル・プレミアテック) +0:04
4位 ロバート・ドナルドソン(イギリス、トリニティレーシング) +0:06
5位 トーマス・ピドコック(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) +0:08
その他の特別賞
ポイント賞 ユリウス・ヨハンセン(デンマーク、サブガル・アニコロール)
山岳賞 カラム・ソーンリー(イギリス、トリニティレーシング)
ヤングライダー賞 ポール・マニエ(フランス、スーダル・クイックステップ)
チーム総合成績 イスラエル・プレミアテック
text:So Isobe
photo:Tour of Britain, CorVos

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