2024/09/02(月) - 17:30
レネウィ・ツアー最終日はフランドルの丘陵地帯が舞台。熾烈なアタック合戦の末、アルノー・ドゥリー(ベルギー、ロット・デスティニー)がステージ優勝、ティム・ウェレンス(ベルギー、UAEチームエミレーツ)が逆転で4度目の総合優勝を掴み取った。
オランダとベルギーを跨ぐ5日間のステージレース、レネウィ・ツアー(UCIワールドツアー)最終日は、春の石畳クラシックでお馴染みのフランドル地方を駆け巡るクイーンステージ。ステージ優勝争いと、僅差の総合逆転を狙う選手たちが次々とアタックを仕掛けては吸収される、目まぐるしい展開で進行した。
202.7kmコースは序盤の60kmこそ平坦だが、それ以降140kmは休む間もないほど登坂区間の連続だ。「ミュール・カペルミュール(正式名称ミュール・ファン・ヘラールツベルヘン)」や「ボスベルグ」といったお馴染みの登坂区間を含む周回コースを回り、最後は「ミュール」を抜け、教会を目指す「カペルミュール」手前のヘラールツベルヘン市街地にフィニッシュラインが引かれている。
序盤から激しくアタック合戦が繰り広げられ、キャリア通算100勝まであと3勝に迫ったアルノー・デマール(フランス、アルケアB&Bホテルズ)らが飛び出しを図り、マッテオ・トレンティン(イタリア、チューダープロサイクリング)やマルコ・ハラー(オーストリア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)を含む強力な逃げグループができあがる。次々とメイン集団からジャンプが掛かったことで、先頭グループは屈強なメンバーばかりの19名にまで膨れ上がった。
ベルギー人選手が5人も含まれた逃げグループ内には総合成績で32秒遅れの12位に付けるペールストランド・ハーゲネス(ノルウェー、ヴィスマ・リースアバイク)がジョイン。逃げを送り込めなかったイネオスやアンテルマルシェが1分半〜2分差でメイン集団を牽く状況で登坂区間がスタートした。
まだ勝負が始まっていないにも関わらず、メイン集団内では前日落車の影響が響くミック・ファンダイク(オランダ、ヴィスマ・リースアバイク)がリタイアし、ビニヤム・ギルマイ(エリトリア、アンテルマルシェ・ワンティ)が落車。後半戦に入ってアレック・セガールト(ベルギー)の総合首位維持、そしてアルノー・ドゥリー(ベルギー)のステージ優勝を狙うロット・デスティニーがペースメイクを開始した。
残り50kmを切ると逃げグループ、そしてメイン集団共にアタック合戦の火蓋が切って落とされた。メイン集団からドゥリーとアルベルト・ベッティオル(イタリア、アスタナ・カザクスタン)が先行したものの、脚が売り切れた選手を振り落としながら追う集団に引き戻される。最初から逃げていたメンバーも全て捕まり、残り26km地点で最終周回突入の鐘が鳴った直後の「カペルミュール」で総合4位ティム・ウェレンス(ベルギー、UAEチームエミレーツ)がアタックした。
総合逆転を狙うウェレンスに対応できたのはベルギー王者ドゥリーだけ。総合優勝に黄色信号が灯ったセガールトは自ら追走して5番手で教会横の頂上を越えたものの、単独でウェレンスに追いつくことはできなかった。エース級選手だけが残ったことでローテーションが回らず、結果的にセガールトの総合優勝は泡と消えることに。
セガールトのチームメイトであるドゥリーは先頭交代を拒んで間接アシストを務めたが、20〜30秒差で追う後続グループからマテイ・モホリッチ(スロベニア、バーレーン・ヴィクトリアス)やパリ五輪2位のヴァランタン・マドゥアス(フランス、グルパマFDJ)たちがジャンプする状況で目標をステージ優勝に切り替える。残り6km地点の石畳登坂「デンデロールトベルグ」でアタックしたウェレンスに食らいつき、レースを作り続ける2名が再び先行した。
クラシックレースの名手2人が逃げ、バラバラになった後続グループを引き離してフィニッシュを目指す。「ドゥリーとの2人逃げは理想的な展開だった。(総合で遅れている)彼はステージを、僕は総合優勝を狙うことで利害関係が一致したんだ」と振り返るウェレンスとドゥリーが逃げ切り。フィニッシュが引かれた「ミュール」で先行したドゥリーがステージ優勝を挙げ、ウェレンスは5秒遅れのステージ2位。セガールトが47秒遅れたことで狙い通り逆転総合優勝を叶えた。
2014、2015、そして2023年に続く、合計4度目のレネウィ・ツアー総合優勝。「素晴らしい勝利になったよ。開幕初日のタイムトライアルと今日が総合成績に影響することは明らかだったし、チームとしてキッチリ作戦を立てて実行できた。4度目の総合優勝を叶えることができて心から誇りに思う」と、久々に巡ってきた自身のチャンスを掴んだウェレンスは言う。
22歳の注目株ドゥリーにとって、今回がベルギーチャンピオンジャージでの初優勝となった。ツアー・オブ・デンマークでは総合優勝を叶えたもののステージ優勝は無く、「へラールツベルゲンでこのジャージを着て勝つことができてとても特別な気持ち」と喜ぶ。「アレックは最終的に総合2位だったけれど、それでもチームにとっては非常に成功した1週間だった」と、チームとしての結果に満足している。
留目夕陽(EFエデュケーション・イージーポスト)は途中リタイアだった。
オランダとベルギーを跨ぐ5日間のステージレース、レネウィ・ツアー(UCIワールドツアー)最終日は、春の石畳クラシックでお馴染みのフランドル地方を駆け巡るクイーンステージ。ステージ優勝争いと、僅差の総合逆転を狙う選手たちが次々とアタックを仕掛けては吸収される、目まぐるしい展開で進行した。
202.7kmコースは序盤の60kmこそ平坦だが、それ以降140kmは休む間もないほど登坂区間の連続だ。「ミュール・カペルミュール(正式名称ミュール・ファン・ヘラールツベルヘン)」や「ボスベルグ」といったお馴染みの登坂区間を含む周回コースを回り、最後は「ミュール」を抜け、教会を目指す「カペルミュール」手前のヘラールツベルヘン市街地にフィニッシュラインが引かれている。
序盤から激しくアタック合戦が繰り広げられ、キャリア通算100勝まであと3勝に迫ったアルノー・デマール(フランス、アルケアB&Bホテルズ)らが飛び出しを図り、マッテオ・トレンティン(イタリア、チューダープロサイクリング)やマルコ・ハラー(オーストリア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)を含む強力な逃げグループができあがる。次々とメイン集団からジャンプが掛かったことで、先頭グループは屈強なメンバーばかりの19名にまで膨れ上がった。
ベルギー人選手が5人も含まれた逃げグループ内には総合成績で32秒遅れの12位に付けるペールストランド・ハーゲネス(ノルウェー、ヴィスマ・リースアバイク)がジョイン。逃げを送り込めなかったイネオスやアンテルマルシェが1分半〜2分差でメイン集団を牽く状況で登坂区間がスタートした。
まだ勝負が始まっていないにも関わらず、メイン集団内では前日落車の影響が響くミック・ファンダイク(オランダ、ヴィスマ・リースアバイク)がリタイアし、ビニヤム・ギルマイ(エリトリア、アンテルマルシェ・ワンティ)が落車。後半戦に入ってアレック・セガールト(ベルギー)の総合首位維持、そしてアルノー・ドゥリー(ベルギー)のステージ優勝を狙うロット・デスティニーがペースメイクを開始した。
残り50kmを切ると逃げグループ、そしてメイン集団共にアタック合戦の火蓋が切って落とされた。メイン集団からドゥリーとアルベルト・ベッティオル(イタリア、アスタナ・カザクスタン)が先行したものの、脚が売り切れた選手を振り落としながら追う集団に引き戻される。最初から逃げていたメンバーも全て捕まり、残り26km地点で最終周回突入の鐘が鳴った直後の「カペルミュール」で総合4位ティム・ウェレンス(ベルギー、UAEチームエミレーツ)がアタックした。
総合逆転を狙うウェレンスに対応できたのはベルギー王者ドゥリーだけ。総合優勝に黄色信号が灯ったセガールトは自ら追走して5番手で教会横の頂上を越えたものの、単独でウェレンスに追いつくことはできなかった。エース級選手だけが残ったことでローテーションが回らず、結果的にセガールトの総合優勝は泡と消えることに。
セガールトのチームメイトであるドゥリーは先頭交代を拒んで間接アシストを務めたが、20〜30秒差で追う後続グループからマテイ・モホリッチ(スロベニア、バーレーン・ヴィクトリアス)やパリ五輪2位のヴァランタン・マドゥアス(フランス、グルパマFDJ)たちがジャンプする状況で目標をステージ優勝に切り替える。残り6km地点の石畳登坂「デンデロールトベルグ」でアタックしたウェレンスに食らいつき、レースを作り続ける2名が再び先行した。
クラシックレースの名手2人が逃げ、バラバラになった後続グループを引き離してフィニッシュを目指す。「ドゥリーとの2人逃げは理想的な展開だった。(総合で遅れている)彼はステージを、僕は総合優勝を狙うことで利害関係が一致したんだ」と振り返るウェレンスとドゥリーが逃げ切り。フィニッシュが引かれた「ミュール」で先行したドゥリーがステージ優勝を挙げ、ウェレンスは5秒遅れのステージ2位。セガールトが47秒遅れたことで狙い通り逆転総合優勝を叶えた。
2014、2015、そして2023年に続く、合計4度目のレネウィ・ツアー総合優勝。「素晴らしい勝利になったよ。開幕初日のタイムトライアルと今日が総合成績に影響することは明らかだったし、チームとしてキッチリ作戦を立てて実行できた。4度目の総合優勝を叶えることができて心から誇りに思う」と、久々に巡ってきた自身のチャンスを掴んだウェレンスは言う。
22歳の注目株ドゥリーにとって、今回がベルギーチャンピオンジャージでの初優勝となった。ツアー・オブ・デンマークでは総合優勝を叶えたもののステージ優勝は無く、「へラールツベルゲンでこのジャージを着て勝つことができてとても特別な気持ち」と喜ぶ。「アレックは最終的に総合2位だったけれど、それでもチームにとっては非常に成功した1週間だった」と、チームとしての結果に満足している。
留目夕陽(EFエデュケーション・イージーポスト)は途中リタイアだった。
レネウィ・ツアー2024第5ステージ結果
1位 | アルノー・ドゥリー(ベルギー、ロット・デスティニー) | 4:30:56 |
2位 | ティム・ウェレンス(ベルギー、UAEチームエミレーツ) | +0:05 |
3位 | ヴァランタン・マドゥアス(フランス、グルパマFDJ) | +0:07 |
4位 | リック・プルイマース(オランダ、チューダープロサイクリング) | +0:20 |
5位 | スタン・デウルフ(ベルギー、デカトロンAG2Rラモンディアル) | |
6位 | マテイ・モホリッチ(スロベニア、バーレーン・ヴィクトリアス) | |
7位 | ペールストランド・ハーゲネス(ノルウェー、ヴィスマ・リースアバイク) | |
8位 | アクセル・ジングレ(フランス、コフィディス) | +0:39 |
9位 | クリストフ・ラポルト(フランス、ヴィスマ・リースアバイク) | +0:41 |
10位 | ポール・ペンウェット(フランス、グルパマFDJ) | +0:43 |
DNF | 留目夕陽(EFエデュケーション・イージーポスト) |
個人総合成績
1位 | ティム・ウェレンス(ベルギー、UAEチームエミレーツ) | 16:03:28 |
2位 | アレック・セガールト(ベルギー、ロット・デスティニー) | +0:40 |
3位 | ペールストランド・ハーゲネス(ノルウェー、ヴィスマ・リースアバイク) | +0:42 |
4位 | クリストフ・ラポルト(フランス、ヴィスマ・リースアバイク) | +0:51 |
5位 | スタン・デウルフ(ベルギー、デカトロンAG2Rラモンディアル) | +0:55 |
6位 | ヤスペル・フィリプセン(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク) | +0:57 |
7位 | ベン・ターナー(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) | +0:58 |
8位 | マテイ・モホリッチ(スロベニア、バーレーン・ヴィクトリアス) | +1:01 |
9位 | マキシミリアン・シャフマン(ドイツ、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) | +1:03 |
10位 | アルベルト・ベッティオル(イタリア、アスタナ・カザクスタン) | +1:04 |
その他の特別賞
ポイント賞 | ヤスペル・フィリプセン(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク) |
ヤングライダー賞 | アレック・セガールト(ベルギー、ロット・デスティニー) |
チーム総合成績 | ヴィスマ・リースアバイク |
text:So Isobe
photo:CorVos
photo:CorVos
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