2024/09/02(月) - 08:56
最大勾配24%の超級山岳にフィニッシュしたブエルタ・ア・エスパーニャ第15ステージは、逃げに乗ったパブロ・カストリーリョ(スペイン、エキポ・ケルンファルマ)が今大会2勝目。ログリッチはオコーナーからタイムを奪い返したものの、集団復帰時にチームカーを利用したとして+20秒のペナルティを受けている。
9月1日(日) 第15ステージ
イニフィエスト〜バルグランデ・パハレス(クイトゥ・ネグル) 143km(山岳/山頂フィニッシュ)
第79回ブエルタ・ア・エスパーニャの2週目を締めくくるのは、今大会のクイーンステージ(最難関ステージ)と言われる143kmの山岳/山頂フィニッシュだ。イニフィエストを出発後は3級山岳を間に挟む1級山岳コリャディエリャ(距離6.4km/平均8.2%)を2度クリア。中間スプリント(残り32.1km)を経て最後は超級山岳バルグランデ・パハレス(クイトゥ・ネグル)に挑む。
今年限りで引退するダリオ・カタルド(イタリア、リドル・トレック)が逃げ切り勝利を飾った2012年大会以来、12年振りの登場となったバルグランデ・パハレスは登坂距離18.9km/平均勾配7.4%。ラスト3kmに最大勾配24%が登場するタフなレイアウトで、フィニッシュまでは平均12〜13%の過酷な登りが続いていく。
前日の最終山岳で強烈な牽引を見せたキアン・アイデブルックス(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク)が新型コロナウイルスの感染でリタイアしたこの日、連日続く序盤のアタック合戦から7名が抜け出す。イスラエル・プレミアテックはマルコ・フリーゴ(イタリア)とライリー・シーアン(アメリカ)の若手2人を入れ、エキポ・ケルンファルマは12日目勝者のパブロ・カストリーリョとアントニオ・ソト(共にスペイン)を送った。
逃げ形成後もメイン集団は落ち着くことなく、散発的なアタックが続く。そのため最初の1級山岳ではマイケル・ウッズ(カナダ、イスラエル・プレミアテック)とマルク・ソレル(スペイン、UAEチームエミレーツ)がプロトンを飛び出し、共に先頭にいるチームメイトを目指す。しかしアダム・イェーツ(イギリス、UAEチームエミレーツ)とダニエル・マルティネス(コロンビア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)らも合流したため、メイン集団に引き戻された。
1級山岳の頂上はジェイ・ヴァイン(オーストラリア、UAEチームエミレーツ)が先頭通過する。その後ミケル・ランダ(スペイン)を擁するTレックス・クイックステップがプロトンのスピードを上げ、平坦区間の残り92kmで逃げグループをキャッチ。再び逃げようとソレルなどが動き、カストリーリョとシーアンも入った新たな8名がエスケープした。
その後もメイン集団ではアタックが繰り返され、逃げグループは21名まで拡大。マイヨロホを保持するデカトロンAG2Rラモンディアルはヴァランタン・パレパントルとブリュノ・アルミライユ(共にフランス)、ライバルチームであるレッドブル・ボーラ・ハンスグローエはマルティネスとアレクサンドル・ウラソフ(ロシア)を送る。プロトンは逃げに選手を入れることのできなかったTレックスが引き続き牽引した。
続く3級山岳もヴァインがトップを獲り、頂上にボーナスタイムが設定された2度目の1級山岳コリャディエリャに入る。繰り下げでマイヨモンターニャ(山岳賞ジャージ)を着るソレルがチームメイトのために牽引し、メカトラのため遅れていく。シヴァコフの前を牽くヴァインは先頭を7名まで減らし、1級山岳も先頭通過で山岳ポイントを加算。ファンアールトと同ポイントで山岳賞ランキング2位に上がった。
超級山岳バルグランデ・パハレス(登坂距離18.9km/平均勾配7.4%)を前に、モビスターも牽引に力を貸したプロトンではプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)が残り20km地点で止まる。フロントシングルの山岳決戦用バイクに乗り換えたログリッチは、チームメイトの力を借りながら集団に復帰。しかしその際にチームカーを風よけに使ったとして、総合タイム+20秒とUCIポイント(-15pts)のペナルティが課された。
ヴァインが仕事を終えて遅れていき、超級山岳に突入した時点で逃げ集団のリードは3分5秒。淡々と先頭で踏み続けるシヴァコフのペースはウラソフとカストリーリョ以外を振り落とし、頂上まで残り14kmで先頭は3名まで絞られる。一方のプロトンではTレックスが力強い牽引で人数を減らしていった。
残り6kmでマティア・カッタネオ(イタリア、Tレックス・クイックステップ)が役割を終えたプロトンでは、先頭に出たランダが加速する。そこにマイヨロホのオコーナーやログリッチなどが追従し、牽制に入った集団をフロリアン・リポヴィッツ(ドイツ、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)がペースメイク。先頭ではラスト3kmから始まる最大勾配24%の激坂区間に入ると、カストリーリョが仕掛けた。
ワールドツアーでの経験が豊富なウラソフとシヴァコフを引き離したカストリーリョは、上半身を上下に揺らす独特なペダリングで一気に18秒のリードを得る。残り1kmを過ぎてカストリーリョにウラソフが追いついたものの、霧のなか母国スペインの大歓声を受けるカストリーリョは再び加速。そしてウラソフを振り切ったカストリーリョが、今大会最難関と言われる超級山岳バルグランデ・パハレスを制した。
一方のマイヨロホ・グループでは、残り3km地点からリポヴィッツが更にペースアップを敢行。オコーナーを振り切ったログリッチは残り2kmから単独で頂上を目指す。その後ログリッチから一度遅れ、マイペースで踏み続けたエンリク・マス(スペイン、モビスター)が追いついた。
マスとログリッチは先頭から1分4秒遅れでフィニッシュ。オコーナーはそこから38秒遅れとタイムロスを最小限に留め、ログリッチの+20秒を含む1分3秒差でマイヨロホのキープに成功した。
プロ初勝利の3日後に、ワールドチームの強豪選手を退け区間2勝目を飾ったカストリーリョ。フィニッシュ後には涙を流して喜び、「言葉がない。超級山岳で強いライバルを相手に2勝目を手に入れることができて、本当に信じられない気持ちだよ。この勝利は(4日前に逝去したチームの創設者かつ前代表の)マノロ(アズコーナ)、チーム、そして家族に捧げたい。今日の勝利を僕は生涯忘れないだろう」と語った。
9月1日(日) 第15ステージ
イニフィエスト〜バルグランデ・パハレス(クイトゥ・ネグル) 143km(山岳/山頂フィニッシュ)
第79回ブエルタ・ア・エスパーニャの2週目を締めくくるのは、今大会のクイーンステージ(最難関ステージ)と言われる143kmの山岳/山頂フィニッシュだ。イニフィエストを出発後は3級山岳を間に挟む1級山岳コリャディエリャ(距離6.4km/平均8.2%)を2度クリア。中間スプリント(残り32.1km)を経て最後は超級山岳バルグランデ・パハレス(クイトゥ・ネグル)に挑む。
今年限りで引退するダリオ・カタルド(イタリア、リドル・トレック)が逃げ切り勝利を飾った2012年大会以来、12年振りの登場となったバルグランデ・パハレスは登坂距離18.9km/平均勾配7.4%。ラスト3kmに最大勾配24%が登場するタフなレイアウトで、フィニッシュまでは平均12〜13%の過酷な登りが続いていく。
前日の最終山岳で強烈な牽引を見せたキアン・アイデブルックス(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク)が新型コロナウイルスの感染でリタイアしたこの日、連日続く序盤のアタック合戦から7名が抜け出す。イスラエル・プレミアテックはマルコ・フリーゴ(イタリア)とライリー・シーアン(アメリカ)の若手2人を入れ、エキポ・ケルンファルマは12日目勝者のパブロ・カストリーリョとアントニオ・ソト(共にスペイン)を送った。
逃げ形成後もメイン集団は落ち着くことなく、散発的なアタックが続く。そのため最初の1級山岳ではマイケル・ウッズ(カナダ、イスラエル・プレミアテック)とマルク・ソレル(スペイン、UAEチームエミレーツ)がプロトンを飛び出し、共に先頭にいるチームメイトを目指す。しかしアダム・イェーツ(イギリス、UAEチームエミレーツ)とダニエル・マルティネス(コロンビア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)らも合流したため、メイン集団に引き戻された。
1級山岳の頂上はジェイ・ヴァイン(オーストラリア、UAEチームエミレーツ)が先頭通過する。その後ミケル・ランダ(スペイン)を擁するTレックス・クイックステップがプロトンのスピードを上げ、平坦区間の残り92kmで逃げグループをキャッチ。再び逃げようとソレルなどが動き、カストリーリョとシーアンも入った新たな8名がエスケープした。
その後もメイン集団ではアタックが繰り返され、逃げグループは21名まで拡大。マイヨロホを保持するデカトロンAG2Rラモンディアルはヴァランタン・パレパントルとブリュノ・アルミライユ(共にフランス)、ライバルチームであるレッドブル・ボーラ・ハンスグローエはマルティネスとアレクサンドル・ウラソフ(ロシア)を送る。プロトンは逃げに選手を入れることのできなかったTレックスが引き続き牽引した。
続く3級山岳もヴァインがトップを獲り、頂上にボーナスタイムが設定された2度目の1級山岳コリャディエリャに入る。繰り下げでマイヨモンターニャ(山岳賞ジャージ)を着るソレルがチームメイトのために牽引し、メカトラのため遅れていく。シヴァコフの前を牽くヴァインは先頭を7名まで減らし、1級山岳も先頭通過で山岳ポイントを加算。ファンアールトと同ポイントで山岳賞ランキング2位に上がった。
超級山岳バルグランデ・パハレス(登坂距離18.9km/平均勾配7.4%)を前に、モビスターも牽引に力を貸したプロトンではプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)が残り20km地点で止まる。フロントシングルの山岳決戦用バイクに乗り換えたログリッチは、チームメイトの力を借りながら集団に復帰。しかしその際にチームカーを風よけに使ったとして、総合タイム+20秒とUCIポイント(-15pts)のペナルティが課された。
ヴァインが仕事を終えて遅れていき、超級山岳に突入した時点で逃げ集団のリードは3分5秒。淡々と先頭で踏み続けるシヴァコフのペースはウラソフとカストリーリョ以外を振り落とし、頂上まで残り14kmで先頭は3名まで絞られる。一方のプロトンではTレックスが力強い牽引で人数を減らしていった。
残り6kmでマティア・カッタネオ(イタリア、Tレックス・クイックステップ)が役割を終えたプロトンでは、先頭に出たランダが加速する。そこにマイヨロホのオコーナーやログリッチなどが追従し、牽制に入った集団をフロリアン・リポヴィッツ(ドイツ、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)がペースメイク。先頭ではラスト3kmから始まる最大勾配24%の激坂区間に入ると、カストリーリョが仕掛けた。
ワールドツアーでの経験が豊富なウラソフとシヴァコフを引き離したカストリーリョは、上半身を上下に揺らす独特なペダリングで一気に18秒のリードを得る。残り1kmを過ぎてカストリーリョにウラソフが追いついたものの、霧のなか母国スペインの大歓声を受けるカストリーリョは再び加速。そしてウラソフを振り切ったカストリーリョが、今大会最難関と言われる超級山岳バルグランデ・パハレスを制した。
一方のマイヨロホ・グループでは、残り3km地点からリポヴィッツが更にペースアップを敢行。オコーナーを振り切ったログリッチは残り2kmから単独で頂上を目指す。その後ログリッチから一度遅れ、マイペースで踏み続けたエンリク・マス(スペイン、モビスター)が追いついた。
マスとログリッチは先頭から1分4秒遅れでフィニッシュ。オコーナーはそこから38秒遅れとタイムロスを最小限に留め、ログリッチの+20秒を含む1分3秒差でマイヨロホのキープに成功した。
プロ初勝利の3日後に、ワールドチームの強豪選手を退け区間2勝目を飾ったカストリーリョ。フィニッシュ後には涙を流して喜び、「言葉がない。超級山岳で強いライバルを相手に2勝目を手に入れることができて、本当に信じられない気持ちだよ。この勝利は(4日前に逝去したチームの創設者かつ前代表の)マノロ(アズコーナ)、チーム、そして家族に捧げたい。今日の勝利を僕は生涯忘れないだろう」と語った。
ブエルタ・ア・エスパーニャ2024第15ステージ
1位 | パブロ・カストリーリョ(スペイン、エキポ・ケルンファルマ) | 3:45:51 |
2位 | アレクサンドル・ウラソフ(ロシア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) | +0:12 |
3位 | パヴェル・シヴァコフ(ロシア、UAEチームエミレーツ) | +0:31 |
4位 | エンリク・マス(スペイン、モビスター) | +1:04 |
5位 | プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) | |
6位 | マティアス・スケルモース(デンマーク、リドル・トレック) | +1:09 |
7位 | リチャル・カラパス(エクアドル、EFエデュケーション・イージーポスト) | +1:13 |
8位 | セップ・クス(アメリカ、ヴィスマ・リースアバイク) | +1:22 |
9位 | ミケル・ランダ(スペイン、Tレックス・クイックステップ) | +1:27 |
10位 | ダヴィド・ゴデュ(フランス、グルパマFDJ) | +1:37 |
11位 | ベン・オコーナー(オーストラリア、デカトロンAG2Rラモンディアル) | +1:42 |
マイヨロホ(個人総合成績)
1位 | ベン・オコーナー(オーストラリア、デカトロンAG2Rラモンディアル) | 60:19:22 |
2位 | プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) | +1:03 |
3位 | エンリク・マス(スペイン、モビスター) | +2:23 |
4位 | リチャル・カラパス(エクアドル、EFエデュケーション・イージーポスト) | +2:44 |
5位 | ミケル・ランダ(スペイン、Tレックス・クイックステップ) | +3:05 |
6位 | フロリアン・リポヴィッツ(ドイツ、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) | +4:33 |
7位 | ダヴィド・ゴデュ(フランス、グルパマFDJ) | +4:39 |
8位 | カルロス・ロドリゲス(スペイン、イネオス・グレナディアーズ) | +4:40 |
9位 | マティアス・スケルモース(デンマーク、リドル・トレック) | +4:51 |
10位 | パヴェル・シヴァコフ(ロシア、UAEチームエミレーツ) | +5:12 |
マイヨプントス(ポイント賞)
1位 | ワウト・ファンアールト(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク) | 291pts |
2位 | カーデン・グローブス(オーストラリア、アルペシン・ドゥクーニンク) | 182pts |
3位 | アロルド・テハダ(コロンビア、アスタナ・カザクスタン) | 95pts |
マイヨモンターニャ(山岳賞)
1位 | ワウト・ファンアールト(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク) | 46pts |
2位 | ジェイ・ヴァイン(オーストラリア、UAEチームエミレーツ) | 46pts |
3位 | パブロ・カストリーリョ(スペイン、エキポ・ケルンファルマ) | 37pts |
マイヨブランコ(ヤングライダー賞)
1位 | フロリアン・リポヴィッツ(ドイツ、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) | 60:23:55 |
2位 | カルロス・ロドリゲス(スペイン、イネオス・グレナディアーズ) | +0:07 |
3位 | マティアス・スケルモース(デンマーク、リドル・トレック) | +0:18 |
チーム総合成績
1位 | UAEチームエミレーツ | 180:41:51 |
2位 | レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ | +31:08 |
3位 | デカトロンAG2Rラモンディアル | +57:52 |
text:Sotaro.Arakawa
photo:Unipublic, CorVos
photo:Unipublic, CorVos
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