2024/09/01(日) - 08:39
10日振りの集団スプリントで決着したブエルタ・ア・エスパーニャ第14ステージ。1級山岳を耐えたカーデン・グローブス(オーストラリア、アルペシン・ドゥクーニンク)がファンアールトを僅差で下し、今大会2勝目を手に入れた。
8月31日(土) 第14ステージ
ビジャフランカ・デル・ビエルソ〜ビジャブリノ 200.5km(山岳)
前日に大会随一の壁を登った選手たちが臨んだのは、今大会最長距離である200.5kmの山岳ステージ。ブエルタ・ア・エスパーニャ14日目の舞台はビジャフランカ・デル・ビエルソから平坦路を進み、コース中央の3級山岳をクリア。その後48kmの長いコブつきの下りから1級山岳を登る。
1級山岳レイタリエゴスは登坂距離22.8km/平均勾配は4.5%の長丁場。最大勾配も7%とアタック合戦が繰り広げられるほどの難易度ではないため、逃げ切りはもちろん集団スプリントも予想された。
新型コロナウイルスの感染が発覚したルーベン・フェルナンデス(スペイン、コフィディス)がレースを去り、大会初日の176名から149名まで人数の減った選手たちは午後12時37分にスタート。逃げ切りを目指す選手たちはこの日も序盤から積極的に仕掛け、最初の1時間の平均速度が50km/hに達する。そして約50km進んだ地点で、ようやくヴィクトル・カンペナールツ(ベルギー、ロット・デスティニー)を含む6名の逃げ集団が形成された。
ジョナタン・ナルバエス(エクアドル、イネオス・グレナディアーズ)やアロルド・テハダ(コロンビア、アスタナ・カザクスタン)など今大会の逃げではお馴染みのメンバーが入る。またジョシュア・ターリング(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)が棄権したため、出場選手の中で最年少となった20歳のイサーク・デルトロ(メキシコ、UAEチームエミレーツ)の姿も。逃げ切りも十分考えられる強力な選手が揃ったが、ヴィスマ・リースアバイクが先導するプロトンから2分半以上のリードを得ることはできなかった。
ブエルタ第14ステージで逃げた6名
イサーク・デルトロ(メキシコ、UAEチームエミレーツ)
ジョナタン・ナルバエス(エクアドル、イネオス・グレナディアーズ)
クサンドロ・ムーリッセ(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク)
マルコ・フリーゴ(イタリア、イスラエル・プレミアテック)
ヴィクトル・カンペナールツ(ベルギー、ロット・デスティニー)
アロルド・テハダ(コロンビア、アスタナ・カザクスタン)
残り97.9km地点の3級山岳頂上は直前でムーリッセが飛び出し先頭通過する。1分42秒後方のプロトンは引き続きヴィスマがコントロール。その後の長い下りでも逃げグループはリード拡大はできなかったため、逃げ切りの可能性が残り距離と比例して低くなっていった。
下り切った先にある残り49.9km地点の中間スプリントもムーリッセがトップを獲る。そして登坂距離22.8km(平均勾配4.5%)と長い1級山岳レイタリエゴスに入り、先頭がナルバエスとフリーゴ、テハダの3名に絞られる。一方、レース前に「僕にとって最後の登りは厳しすぎる」と語っていたカンペナールツは遅れ、キアン・アイデブルックス(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク)の牽引するプロトンに吸収された。
頂上まで10kmを切った頃に先頭3名とプロトンの差は30秒を切り、まずテハダが脱落する。タイム差を40秒まで戻したナルバエスはフリーゴを降り落としながら頂上を目指したものの、頂上手前3km地点で飲み込まれ、雲の中を進むメイン集団をテイオ・ゲイガンハート(イギリス、リドル・トレック)が先導した。
スプリンターを振り落としたいTレックス・クイックステップやジェイコ・アルウラーが集団のペースを上げ、しかし成功せず1級山岳の頂上をワウト・ファンアールト(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク)がトップ通過。マイヨプントス(ポイント賞)に加え、マイヨモンターニャ(山岳賞)のリードも拡げ、カーデン・グローブス(オーストラリア、アルペシン・ドゥクーニンク)やコービン・ストロング(ニュージーランド、イスラエル・プレミアテック)などが残った集団はフィニッシュまで続く下り&平坦区間に入った。
残り14km地点では総合2位プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)がメカトラに見舞われるシーンも。しかし素早くチームメイトであるダニエル・マルティネス(コロンビア)のバイクを借り、問題なく集団復帰を果たした。
ビジャブリノの市街地にやってきた集団は残り5kmからアルペシン・ドゥクーニンクが先導する。一時DSMフィルメニッヒ・ポストNLのペースメイクを挟み、再びアルペシンが先頭で最終ストレートに突入。エドワルト・プランカールト(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク)の後ろにグローブス、そしてファンアールトがつくなか集団スプリントが幕開けた。
緩斜面を進むプランカールトから残り125mでグローブスが先んじて踏み込む。ほぼ同時にファンアールトもスプリントを開始し、両者横並びのまま進んでいく。そして両者がハンドルを投げ、勝利を確信したグローブスが頭を抱えながら勝利を喜んだ。
「最高の気分だよ。今日集団スプリントになるとは思わなかったが、ユンボが終始コントロールした。ワウト(ファンアールト)を一騎打ちで下す最高の戦いだった。登りではアタックが起きれば厳しいと思っていたが、ユンボによるハイペースの牽引がそれを防いでくれた。チームは素晴らしい走りを見せてくれ、僕も良いスプリントができたよ」と、今大会区間2勝目を飾ったグローブスは喜んだ。
一方、チーム一丸となり集団スプリントに持ち込みながらも敗れたファンアールトは「カーデンの方が強かっただけで、僕は何のミスも犯していない。スプリントのタイミングも適切だった、ラスト数mで脚が攣ってしまったんだ」と敗者の弁。しかし最終的なマイヨプントス獲得に向け、区間2位でスプリントポイントを着実に加算している。
8月31日(土) 第14ステージ
ビジャフランカ・デル・ビエルソ〜ビジャブリノ 200.5km(山岳)
前日に大会随一の壁を登った選手たちが臨んだのは、今大会最長距離である200.5kmの山岳ステージ。ブエルタ・ア・エスパーニャ14日目の舞台はビジャフランカ・デル・ビエルソから平坦路を進み、コース中央の3級山岳をクリア。その後48kmの長いコブつきの下りから1級山岳を登る。
1級山岳レイタリエゴスは登坂距離22.8km/平均勾配は4.5%の長丁場。最大勾配も7%とアタック合戦が繰り広げられるほどの難易度ではないため、逃げ切りはもちろん集団スプリントも予想された。
新型コロナウイルスの感染が発覚したルーベン・フェルナンデス(スペイン、コフィディス)がレースを去り、大会初日の176名から149名まで人数の減った選手たちは午後12時37分にスタート。逃げ切りを目指す選手たちはこの日も序盤から積極的に仕掛け、最初の1時間の平均速度が50km/hに達する。そして約50km進んだ地点で、ようやくヴィクトル・カンペナールツ(ベルギー、ロット・デスティニー)を含む6名の逃げ集団が形成された。
ジョナタン・ナルバエス(エクアドル、イネオス・グレナディアーズ)やアロルド・テハダ(コロンビア、アスタナ・カザクスタン)など今大会の逃げではお馴染みのメンバーが入る。またジョシュア・ターリング(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)が棄権したため、出場選手の中で最年少となった20歳のイサーク・デルトロ(メキシコ、UAEチームエミレーツ)の姿も。逃げ切りも十分考えられる強力な選手が揃ったが、ヴィスマ・リースアバイクが先導するプロトンから2分半以上のリードを得ることはできなかった。
ブエルタ第14ステージで逃げた6名
イサーク・デルトロ(メキシコ、UAEチームエミレーツ)
ジョナタン・ナルバエス(エクアドル、イネオス・グレナディアーズ)
クサンドロ・ムーリッセ(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク)
マルコ・フリーゴ(イタリア、イスラエル・プレミアテック)
ヴィクトル・カンペナールツ(ベルギー、ロット・デスティニー)
アロルド・テハダ(コロンビア、アスタナ・カザクスタン)
残り97.9km地点の3級山岳頂上は直前でムーリッセが飛び出し先頭通過する。1分42秒後方のプロトンは引き続きヴィスマがコントロール。その後の長い下りでも逃げグループはリード拡大はできなかったため、逃げ切りの可能性が残り距離と比例して低くなっていった。
下り切った先にある残り49.9km地点の中間スプリントもムーリッセがトップを獲る。そして登坂距離22.8km(平均勾配4.5%)と長い1級山岳レイタリエゴスに入り、先頭がナルバエスとフリーゴ、テハダの3名に絞られる。一方、レース前に「僕にとって最後の登りは厳しすぎる」と語っていたカンペナールツは遅れ、キアン・アイデブルックス(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク)の牽引するプロトンに吸収された。
頂上まで10kmを切った頃に先頭3名とプロトンの差は30秒を切り、まずテハダが脱落する。タイム差を40秒まで戻したナルバエスはフリーゴを降り落としながら頂上を目指したものの、頂上手前3km地点で飲み込まれ、雲の中を進むメイン集団をテイオ・ゲイガンハート(イギリス、リドル・トレック)が先導した。
スプリンターを振り落としたいTレックス・クイックステップやジェイコ・アルウラーが集団のペースを上げ、しかし成功せず1級山岳の頂上をワウト・ファンアールト(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク)がトップ通過。マイヨプントス(ポイント賞)に加え、マイヨモンターニャ(山岳賞)のリードも拡げ、カーデン・グローブス(オーストラリア、アルペシン・ドゥクーニンク)やコービン・ストロング(ニュージーランド、イスラエル・プレミアテック)などが残った集団はフィニッシュまで続く下り&平坦区間に入った。
残り14km地点では総合2位プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)がメカトラに見舞われるシーンも。しかし素早くチームメイトであるダニエル・マルティネス(コロンビア)のバイクを借り、問題なく集団復帰を果たした。
ビジャブリノの市街地にやってきた集団は残り5kmからアルペシン・ドゥクーニンクが先導する。一時DSMフィルメニッヒ・ポストNLのペースメイクを挟み、再びアルペシンが先頭で最終ストレートに突入。エドワルト・プランカールト(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク)の後ろにグローブス、そしてファンアールトがつくなか集団スプリントが幕開けた。
緩斜面を進むプランカールトから残り125mでグローブスが先んじて踏み込む。ほぼ同時にファンアールトもスプリントを開始し、両者横並びのまま進んでいく。そして両者がハンドルを投げ、勝利を確信したグローブスが頭を抱えながら勝利を喜んだ。
「最高の気分だよ。今日集団スプリントになるとは思わなかったが、ユンボが終始コントロールした。ワウト(ファンアールト)を一騎打ちで下す最高の戦いだった。登りではアタックが起きれば厳しいと思っていたが、ユンボによるハイペースの牽引がそれを防いでくれた。チームは素晴らしい走りを見せてくれ、僕も良いスプリントができたよ」と、今大会区間2勝目を飾ったグローブスは喜んだ。
一方、チーム一丸となり集団スプリントに持ち込みながらも敗れたファンアールトは「カーデンの方が強かっただけで、僕は何のミスも犯していない。スプリントのタイミングも適切だった、ラスト数mで脚が攣ってしまったんだ」と敗者の弁。しかし最終的なマイヨプントス獲得に向け、区間2位でスプリントポイントを着実に加算している。
ブエルタ・ア・エスパーニャ2024第14ステージ
1位 | カーデン・グローブス(オーストラリア、アルペシン・ドゥクーニンク) | 4:21:34 |
2位 | ワウト・ファンアールト(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク) | |
3位 | コービン・ストロング(ニュージーランド、イスラエル・プレミアテック) | |
4位 | マティアス・ヴァチェク(チェコ、リドル・トレック) | |
5位 | パウ・ミケル(スペイン、エキポ・ケルンファルマ) | |
6位 | フィリッポ・バロンチーニ(イタリア、UAEチームエミレーツ) | |
7位 | シモン・グリエルミ(フランス、アルケアB&Bホテルズ) | |
8位 | アリエン・リヴィンズ(ベルギー、ロット・デスティニー) | |
9位 | シャビエル・ベラサテギ(スペイン、エウスカルテル・エウスカディ) | |
10位 | カルロス・カナル(スペイン、モビスター) |
マイヨロホ(個人総合成績)
1位 | ベン・オコーナー(オーストラリア、デカトロンAG2Rラモンディアル) | 56:31:49 |
2位 | プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) | +1:21 |
3位 | エンリク・マス(スペイン、モビスター) | +3:01 |
4位 | リチャル・カラパス(エクアドル、EFエデュケーション・イージーポスト) | +3:13 |
5位 | ミケル・ランダ(スペイン、Tレックス・クイックステップ) | +3:20 |
6位 | カルロス・ロドリゲス(スペイン、イネオス・グレナディアーズ) | +4:12 |
7位 | フロリアン・リポヴィッツ(ドイツ、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) | +4:29 |
8位 | フェリックス・ガル(オーストリア、デカトロンAG2Rラモンディアル) | +4:42 |
9位 | ダヴィド・ゴデュ(フランス、グルパマFDJ) | +4:44 |
10位 | アダム・イェーツ(イギリス、UAEチームエミレーツ) | +5:17 |
マイヨプントス(ポイント賞)
1位 | ワウト・ファンアールト(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク) | 291pts |
2位 | カーデン・グローブス(オーストラリア、アルペシン・ドゥクーニンク) | 182pts |
3位 | アロルド・テハダ(コロンビア、アスタナ・カザクスタン) | 95pts |
マイヨモンターニャ(山岳賞)
1位 | ワウト・ファンアールト(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク) | 46pts |
2位 | マルク・ソレル(スペイン、UAEチームエミレーツ) | 23pts |
3位 | ジェイ・ヴァイン(オーストラリア、UAEチームエミレーツ) | 23pts |
マイヨブランコ(ヤングライダー賞)
1位 | カルロス・ロドリゲス(スペイン、イネオス・グレナディアーズ) | 56:36:01 |
2位 | フロリアン・リポヴィッツ(ドイツ、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) | +0:17 |
3位 | マティアス・スケルモース(デンマーク、リドル・トレック) | +1:12 |
チーム総合成績
1位 | UAEチームエミレーツ | 169:13:55 |
2位 | レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ | +38:29 |
3位 | デカトロンAG2Rラモンディアル | +48:39 |
text:Sotaro.Arakawa
photo:Unipublic, CorVos
photo:Unipublic, CorVos
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