2024/08/31(土) - 08:54
急勾配の1級山岳にフィニッシュするブエルタ・ア・エスパーニャ第13ステージで、マイケル・ウッズ(カナダ、イスラエル・プレミアテック)が逃げ切り勝利。ログリッチは総合首位オコーナーとのタイム差を1分21秒まで縮めている。
8月30日(金) 第13ステージ
ルーゴ〜プエルト・デ・アンカレス 176km(山岳/山頂フィニッシュ)
第79回ブエルタ・ア・エスパーニャの13日目は、コースプロフィールから見て分かる鋭角な”壁”にフィニッシュする山岳ステージ。コース前半にまず3級&2級山岳を越え、しばし平坦路を進む。その後カテゴリーなき丘と2級山岳ルメラス(距離6.6km/平均6%)をクリアし、大会初登場のコースを通る1級山岳プエルト・デ・アンカレス(距離7.5km/平均9.3%)に臨む。
登り口から2kmは緩斜面で、平均7.9%の1kmを進みそこから二桁の勾配がフィニッシュ地点まで続いていく。最大勾配15%は残り約3kmから4箇所登場し、逃げ切り勝利と総合順位のシャッフルが予想された。
ここまで大きな動きのなかったマイヨモンターニャ(山岳賞ジャージ)も狙い目であるこの日は、アクチュアルスタートの直後からアタック合戦が始まる。序盤の3級山岳では18名が飛び出し、遅れて追走集団が合流。その結果UAEチームエミレーツが3名(ブランドン・マクナルティ、マルク・ソレル、ジェイ・ヴァイン)を入れる、23名の逃げグループが形成された。
逃げの中にはマイヨプントス(ポイント賞ジャージ)を着るワウト・ファンアールト(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク)も入り、最初の3級山岳をトップ通過。ここまで区間3勝を挙げるオールラウンダーがマイヨモンターニャ(山岳賞)も積極的に狙いに行く姿勢を見せる。逃げで最も総合タイムの良いホセ・パッラ(スペイン、エキポ・ケルンファルマ)でも30分24秒遅れだったため、デカトロンAG2Rラモンディアルが先導するプロトンは逃げに10分以上のリードを与えた。
残り100.4kmにある2級山岳では、ヴァインとソレルの2名と共に飛び出したファンアールトがここも先頭通過。そのためファンアールトはアダム・イェーツ(イギリス、UAEチームエミレーツ)を抜いて山岳賞でも首位に立ち、そのまま3名は後続集団に戻っていく。レース距離が50kmを切る頃に逃げとプロトンとの差は15分まで拡大した。
逃げ集団からは残り48km地点でヴィクトル・カンペナールツ(ベルギー、ロット・デスティニー)の加速し、ファンアールトが付き合う。そこに前日4位のマウロ・シュミット(スイス、ジェイコ・アルウラー)とシモン・グリエルミ(フランス、アルケアB&Bホテルズ)も追従して4名がレース先頭に立つ。中間スプリント手前のカテゴリーのつかない丘でグリエルミが遅れ、後続からUAEの3名とマイケル・ウッズ(カナダ、イスラエル・プレミアテック)などが追いついた。
中間スプリントを前にファンアールトは共に逃げに入ったマイヨプントス(ポイント賞)のライバル、カーデン・グローブス(オーストラリア、アルペシン・ドゥクーニンク)を振り切ることに成功する。カンペナールツが遅れ、9名となった先頭集団はファンアールトが狙い通り中間スプリント(28.6km地点)を先頭で通過。一方、17分後方のメイン集団ではモビスターがデカトロンに代わり牽引を始めた。
2級山岳ルメラス(距離6.6km/平均6%)に突入すると数的優位なUAEからソレルがアタックする。しかしリードを拡げることはできず、この日絶好調のファンアールトがソレルをキャッチ。ファンアールトは山頂をトップ通過して、ここでも山岳ポイントを加算した。
その下りコーナーではヴァインとマクナルティが落車する。ヴァインがすぐに走り出した一方で、ガードレールの下をくぐるように崖に落ちたマクナルティだったが、最終的には大きな怪我もなくトップから8分17秒遅れで無事フィニッシュにたどり着いている。
下りで先頭集団はファンアールトとウッズ、シュミット、ソレル、サム・オーメン(オランダ、リドル・トレック)の5名に絞られる。1級山岳プエルト・デ・アンカレス(距離7.5km/平均9.3%)に入りスイス王者であるシュミットの加速に、ファンアールトとソレル、オーメンが脱落。残り4.7kmでウッズはシュミットを引き離し、ダンシングを織り交ぜながら得意とする急勾配を進んでいった。
何度も後ろを振り向きながら、淡々と残り距離をこなしていくウッズは残り2km地点を通過する。単独2位のシュミットとの差を35秒まで拡げ、白地にカナダ王者を表す赤いメイプルリーフをアピールしたウッズがフィニッシュ地点に到着。2018、20年に続く、自身3度目のステージ優勝を手に入れた。
今年出場したジロ・デ・イタリアでは第5ステージで落車し、棄権したウッズ。「天にも昇る心地がするよ。僕の大きな目標はこの国内王者ジャージで勝つこと。今シーズンは体調不良もあり、また決定的な場面でメカトラや落車に見舞われるなど不運なレースが続いた。カタルシスを感じる瞬間であり、肩の荷が下りた気持ちだよ」と遅咲きの37歳は喜んだ。
16分遅れで1級山岳に入ったプロトンでは引き続きナイロ・キンタナ(コロンビア)などがペースを作り、その後レッドブル・ボーラ・ハンスグローエが先頭交代して速度を上げる。ダニエル・マルティネス(コロンビア)の強烈なペースメイクが人数を減らし、マイヨロホのベン・オコーナー(オーストラリア、デカトロンAG2Rラモンディアル)も脱落。その後プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)が自ら集団先頭で踏み続け、セップ・クス(アメリカ、ヴィスマ・リースアバイク)も遅れていった。
ログリッチの登坂にはエンリク・マス(スペイン、モビスター)やミケル・ランダ(スペイン、Tレックス・クイックステップ)もついていけず、ログリッチがトップから10分54秒遅れでフィニッシュ。オコーナーはそこから1分55秒遅れでレースを終えたため、両者の差は3分16秒から1分21秒まで縮まった。
8月30日(金) 第13ステージ
ルーゴ〜プエルト・デ・アンカレス 176km(山岳/山頂フィニッシュ)
第79回ブエルタ・ア・エスパーニャの13日目は、コースプロフィールから見て分かる鋭角な”壁”にフィニッシュする山岳ステージ。コース前半にまず3級&2級山岳を越え、しばし平坦路を進む。その後カテゴリーなき丘と2級山岳ルメラス(距離6.6km/平均6%)をクリアし、大会初登場のコースを通る1級山岳プエルト・デ・アンカレス(距離7.5km/平均9.3%)に臨む。
登り口から2kmは緩斜面で、平均7.9%の1kmを進みそこから二桁の勾配がフィニッシュ地点まで続いていく。最大勾配15%は残り約3kmから4箇所登場し、逃げ切り勝利と総合順位のシャッフルが予想された。
ここまで大きな動きのなかったマイヨモンターニャ(山岳賞ジャージ)も狙い目であるこの日は、アクチュアルスタートの直後からアタック合戦が始まる。序盤の3級山岳では18名が飛び出し、遅れて追走集団が合流。その結果UAEチームエミレーツが3名(ブランドン・マクナルティ、マルク・ソレル、ジェイ・ヴァイン)を入れる、23名の逃げグループが形成された。
逃げの中にはマイヨプントス(ポイント賞ジャージ)を着るワウト・ファンアールト(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク)も入り、最初の3級山岳をトップ通過。ここまで区間3勝を挙げるオールラウンダーがマイヨモンターニャ(山岳賞)も積極的に狙いに行く姿勢を見せる。逃げで最も総合タイムの良いホセ・パッラ(スペイン、エキポ・ケルンファルマ)でも30分24秒遅れだったため、デカトロンAG2Rラモンディアルが先導するプロトンは逃げに10分以上のリードを与えた。
残り100.4kmにある2級山岳では、ヴァインとソレルの2名と共に飛び出したファンアールトがここも先頭通過。そのためファンアールトはアダム・イェーツ(イギリス、UAEチームエミレーツ)を抜いて山岳賞でも首位に立ち、そのまま3名は後続集団に戻っていく。レース距離が50kmを切る頃に逃げとプロトンとの差は15分まで拡大した。
逃げ集団からは残り48km地点でヴィクトル・カンペナールツ(ベルギー、ロット・デスティニー)の加速し、ファンアールトが付き合う。そこに前日4位のマウロ・シュミット(スイス、ジェイコ・アルウラー)とシモン・グリエルミ(フランス、アルケアB&Bホテルズ)も追従して4名がレース先頭に立つ。中間スプリント手前のカテゴリーのつかない丘でグリエルミが遅れ、後続からUAEの3名とマイケル・ウッズ(カナダ、イスラエル・プレミアテック)などが追いついた。
中間スプリントを前にファンアールトは共に逃げに入ったマイヨプントス(ポイント賞)のライバル、カーデン・グローブス(オーストラリア、アルペシン・ドゥクーニンク)を振り切ることに成功する。カンペナールツが遅れ、9名となった先頭集団はファンアールトが狙い通り中間スプリント(28.6km地点)を先頭で通過。一方、17分後方のメイン集団ではモビスターがデカトロンに代わり牽引を始めた。
2級山岳ルメラス(距離6.6km/平均6%)に突入すると数的優位なUAEからソレルがアタックする。しかしリードを拡げることはできず、この日絶好調のファンアールトがソレルをキャッチ。ファンアールトは山頂をトップ通過して、ここでも山岳ポイントを加算した。
その下りコーナーではヴァインとマクナルティが落車する。ヴァインがすぐに走り出した一方で、ガードレールの下をくぐるように崖に落ちたマクナルティだったが、最終的には大きな怪我もなくトップから8分17秒遅れで無事フィニッシュにたどり着いている。
下りで先頭集団はファンアールトとウッズ、シュミット、ソレル、サム・オーメン(オランダ、リドル・トレック)の5名に絞られる。1級山岳プエルト・デ・アンカレス(距離7.5km/平均9.3%)に入りスイス王者であるシュミットの加速に、ファンアールトとソレル、オーメンが脱落。残り4.7kmでウッズはシュミットを引き離し、ダンシングを織り交ぜながら得意とする急勾配を進んでいった。
何度も後ろを振り向きながら、淡々と残り距離をこなしていくウッズは残り2km地点を通過する。単独2位のシュミットとの差を35秒まで拡げ、白地にカナダ王者を表す赤いメイプルリーフをアピールしたウッズがフィニッシュ地点に到着。2018、20年に続く、自身3度目のステージ優勝を手に入れた。
今年出場したジロ・デ・イタリアでは第5ステージで落車し、棄権したウッズ。「天にも昇る心地がするよ。僕の大きな目標はこの国内王者ジャージで勝つこと。今シーズンは体調不良もあり、また決定的な場面でメカトラや落車に見舞われるなど不運なレースが続いた。カタルシスを感じる瞬間であり、肩の荷が下りた気持ちだよ」と遅咲きの37歳は喜んだ。
16分遅れで1級山岳に入ったプロトンでは引き続きナイロ・キンタナ(コロンビア)などがペースを作り、その後レッドブル・ボーラ・ハンスグローエが先頭交代して速度を上げる。ダニエル・マルティネス(コロンビア)の強烈なペースメイクが人数を減らし、マイヨロホのベン・オコーナー(オーストラリア、デカトロンAG2Rラモンディアル)も脱落。その後プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)が自ら集団先頭で踏み続け、セップ・クス(アメリカ、ヴィスマ・リースアバイク)も遅れていった。
ログリッチの登坂にはエンリク・マス(スペイン、モビスター)やミケル・ランダ(スペイン、Tレックス・クイックステップ)もついていけず、ログリッチがトップから10分54秒遅れでフィニッシュ。オコーナーはそこから1分55秒遅れでレースを終えたため、両者の差は3分16秒から1分21秒まで縮まった。
ブエルタ・ア・エスパーニャ2024第13ステージ
1位 | マイケル・ウッズ(カナダ、イスラエル・プレミアテック) | 4:19:51 |
2位 | マウロ・シュミット(スイス、ジェイコ・アルウラー) | +0:45 |
3位 | マルク・ソレル(スペイン、UAEチームエミレーツ) | +1:11 |
4位 | サム・オーメン(オランダ、リドル・トレック) | +1:25 |
5位 | ワウト・ファンアールト(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク) | +2:56 |
6位 | ハイス・レイムライゼ(オランダ、DSMフィルメニッヒ・ポストNL) | +3:33 |
7位 | ホセ・パッラ(スペイン、エキポ・ケルンファルマ) | +5:19 |
8位 | ミケル・ビスカラ(スペイン、エウスカルテル・エウスカディ) | +5:38 |
9位 | ルーカ・ヴェルガリート(イタリア、アルペシン・ドゥクーニンク) | +5:59 |
10位 | マティス・ルベール(フランス、アルケアB&Bホテルズ) | +6:15 |
16位 | プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) | +10:54 |
33位 | ベン・オコーナー(オーストラリア、デカトロンAG2Rラモンディアル) | +12:49 |
マイヨロホ(個人総合成績)
1位 | ベン・オコーナー(オーストラリア、デカトロンAG2Rラモンディアル) | 52:10:15 |
2位 | プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) | +1:21 |
3位 | エンリク・マス(スペイン、モビスター) | +3:01 |
4位 | リチャル・カラパス(エクアドル、EFエデュケーション・イージーポスト) | +3:13 |
5位 | ミケル・ランダ(スペイン、Tレックス・クイックステップ) | +3:20 |
6位 | カルロス・ロドリゲス(スペイン、イネオス・グレナディアーズ) | +4:12 |
7位 | フロリアン・リポヴィッツ(ドイツ、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) | +4:29 |
8位 | フェリックス・ガル(オーストリア、デカトロンAG2Rラモンディアル) | +4:42 |
9位 | ダヴィド・ゴデュ(フランス、グルパマFDJ) | +4:44 |
10位 | アダム・イェーツ(イギリス、UAEチームエミレーツ) | +5:17 |
マイヨプントス(ポイント賞)
1位 | ワウト・ファンアールト(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク) | 274pts |
2位 | カーデン・グローブス(オーストラリア、アルペシン・ドゥクーニンク) | 162pts |
3位 | パヴェル・ビットネル(チェコ、DSMフィルメニッヒ・ポストNL) | 81pts |
マイヨモンターニャ(山岳賞)
1位 | ワウト・ファンアールト(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク) | 36pts |
2位 | マルク・ソレル(スペイン、UAEチームエミレーツ) | 23pts |
3位 | ジェイ・ヴァイン(オーストラリア、UAEチームエミレーツ) | 23pts |
マイヨブランコ(ヤングライダー賞)
1位 | カルロス・ロドリゲス(スペイン、イネオス・グレナディアーズ) | 52:14:27 |
2位 | フロリアン・リポヴィッツ(ドイツ、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) | +0:17 |
3位 | マティアス・スケルモース(デンマーク、リドル・トレック) | +1:12 |
チーム総合成績
1位 | UAEチームエミレーツ | 156:09:13 |
2位 | レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ | +38:29 |
3位 | デカトロンAG2Rラモンディアル | +48:39 |
text:Sotaro.Arakawa
photo:Unipublic, CorVos
photo:Unipublic, CorVos
Amazon.co.jp