2024/09/02(月) - 18:00
三重県の鈴鹿サーキットで国内最大のロードレースイベント「シマノ鈴鹿ロード」が開催された。8月24日と25日の2日間でのべ7,500名のサイクリストが集結し、5ステージ・スズカや2時間エンデュランスなど多くの種目を駆け抜けた。夏の鈴鹿を満喫した2日間をレポートしよう。
8月24日と25日に三重県の鈴鹿サーキットで開催された国内最大のロードレースイベント「シマノ鈴鹿ロード」。日本を代表するサーキットである鈴鹿サーキットを舞台とした自転車レースとして、全国からサイクリストが集まる人気イベントだ。
シクロワイアードが車移動で取材するイベントの中では最も遠い部類となることもあり、出発前の準備は念入りに。週末の鈴鹿サーキットの天気予報を調べると、晴れ時々雨という予報。広いサーキットのコース上で降られてしまうと逃げ場がないため、万が一に備えて防水のカメラカバーも車に積み込む。
しかし、蓋を開けてみれば両日ともに青空が広がる絶好の自転車日和に。こういう裏切りは大歓迎である。ちなみに私自身、これまで多くのサイクルイベントを取材してきたのだが、一度も雨に降られたことがない。またしても、晴れ男の力を発揮してしまったのであった。(これからはイベント取材全部お願いしますね!! 編集部一同より)
土曜日は最低気温 27℃、最高気温 34℃。日曜日は最低気温 25℃、最高気温 32℃、晴れのち曇り予報。夏らしい強い日差しが降り注ぎ、サーキット特有の路面からの照り返しも強く、体感温度は気温よりもだいぶ高く感じる。
そして、今年で39回目を迎えるシマノ鈴鹿ロードの幕を上げる開会式には主催者であるシマノの取締役社長の島野泰三氏が登壇。世界最大の自転車部品メーカーがイベントに懸ける想いを込めた挨拶が行われた。
そんなシマノ鈴鹿ロードの今年の大きなトピックはDX化。そう、シマノバイカーズで導入された公式アプリがこのシマノ鈴鹿ロードにも導入されたのだ。これまで配布してきた大会プログラム冊子や参加証を廃止し、スマートフォンアプリ内にその機能を集約している。大会プログラムをいつでもどこでも確認でき、自分が出場する種目をリマインドするスケジューリング機能も搭載。また受付に関してもスマホを見せるだけでゼッケンやチップを受け取れるようになり、利便性が大きく向上した。
ロードバイクはもちろんのこと、クロスバイクやTTバイクなどで参加できる種目がそれぞれ用意され、あらゆるサイクリストが自転車の楽しみを味わえるのもシマノ鈴鹿ロードの魅力。初級者から上級者まで、そして未就学児や小学生、中学生、エリート、マスターズなど年代別のカテゴリーが用意され、脚力の有無、老若男女を問わず気軽に参加できるのも人気サイクルイベントであるポイントでもある。
そんな数多の種目が2日間を通して開催されるシマノ鈴鹿ロードの中で、最も参加者が多いのが「2時間エンデュランス」。ソロと2~4人チーム、レディース、JCF登録に加えて、今大会から1人ずつの交代制ではなく仲間と共にゴールを目指すペアとトリオ、カルテットという新カテゴリーが追加された。
2時間エンデュランスのスタート時刻を過ぎるとサイクリストの大集団がホームストレートからシケインに向かって駆け上がってくる景色は何度見ても圧巻。先頭の参加者が通過してから5分ほど経つまで、カメラのファインダーから自転車乗りの姿が消えることがない。改めて、参加者の多さを感じる大人気イベントだと感じる瞬間だ。
参加者の使用する車種も様々でロードバイクやミニベロ、タンデムバイク、シクロクロス、グラベルバイク、クロスバイクなど多種多様な自転車で参加している姿が見受けられる。愛車と共に2時間先に待っているゴールゲートに向かっていく参加者たちの表情は、こんな炎天下だというのにどこか嬉しそうだ。
普段見る機会が少ないという意味では、TTバイクの姿が珍しくないのもシマノ鈴鹿ロードのユニークなポイント。ロードレースやヒルクライムは日本全国で開催されているが、タイムトライアルの大きなイベントは全日本選手権を含めても片手で数えるほどしか開催されていない。
シマノ鈴鹿では個人タイムトライアルに加え、チームタイムトライアルも開催され、TT好きのサイクリストにとってはまたとないイベントになっている。個人タイムトライアル決勝には118名が参加した予選を勝ち抜いた20名がスタートラインに並んだ。夕暮れが迫る鈴鹿サーキットを平均時速48.11kmで駆け抜けた末岡正充(TONY Racing)が今年の個人タイムトライアルチャンピオンに輝いた。
2時間エンデューロとはまた違った意味でシマノ鈴鹿ロードを象徴する種目が「5ステージ・スズカ」だ。ツール・ド・フランスのようなステージレースが体験できるチーム参加型の種目で、個人とチームの総合優勝をかけて、個人/チームタイムトライアルと3つのロードレースという5つのステージを2日間で走る。
4人から6人までのチームの中でエースやアシストの役割を決め、チームスポーツとしてロードレースを楽しめる人気種目だ。第1ステージから第4ステージまではディフェンディングチャンピオンである川崎嘉久(Nerebani)が個人総合リーダージャージを着用していたが、最終ステージで神谷啓人(mkw)が逆転し、今年の「5ステージ・スズカ」を制した。
ベテランロードレーサーをも満足させる趣向の5ステージ・スズカに対し、レース未経験者のために用意されるのが体験レースというカテゴリー。モータースポーツサーキットである鈴鹿サーキットは公道を利用したロードレースやクリテリウムと違って、コース幅も非常に広く、路面も綺麗で走りやすい。レース未経験の方のデビューにぴったりな機会だ。気になるあなたも来年チャレンジしてみてはいかがだろうか。
耐久レースやロードレース以外に自転車教室も行われ、子供から大人までスキルアップできる機会となっている。さらに、ピットビル2Fにあるホスピタリティラウンジではレース初心者講習会やシマノレーシングメンバーに学ぶ「疲労ケア」と「コンディショニング」などをテーマにした講座を実施。
ちなみに今年初開催となった「ロードレース観戦講座」ではこの記事の筆者であるCW編集部員、そしてJプロツアー選手でもある私、高木もトークすることに。白熱の戦いが繰り広げられたシマノ鈴鹿ロードレースクラシックの見どころを、日本ロードレース界のレジェンドである今中大介さんと共に解説させていただきました。
会場のパドックにはシマノテクニカルサポートが設置され、修理対応も実施。会場で誤ってバイクを倒してしまいエンドを曲げてしまった参加者が多かった模様。そんな時も、シマノイベントのサポート体制は心強く、初心者が一人で参加しても安心できる。
多くのメーカーが集まる出展ブースもシマノ鈴鹿ロードのみどころの一つ。シマノのブースにはレイザーのロードヘルメット、シマノのビンディングシューズが展示され、実際に製品を手に取って隅々まで確認したり、シマノスタッフから直接製品の説明を聞いたりできる機会となっていた。
ビンディングシューズの試着会も行われ、多くの来場者がシューズの着用感を確かめていた。更にはDURA-ACEのホイール試乗会も行われるなど充実の内容に。シマノブースのほかにも、多くのメーカーがたくさんの試乗車や新製品を展示し、多くの方が足を運んでいた。各ブースの様子は写真で紹介していこう。
そして最後にスタッフとして大会を作り上げた主催者であるシマノのみなさんたちと記念撮影を。ファインダー越しに、今年も達成感に満ちた大会実行委員の皆さんの笑顔が広がっていた。多くの方々によって作り上げられているシマノ鈴鹿ロード。来年で40回大会を迎えるシマノ鈴鹿ロードはどのように進化して開催されるか今から楽しみだ。また来年も鈴鹿サーキットで会いましょう!
text & photo : Michinari TAKAGI
8月24日と25日に三重県の鈴鹿サーキットで開催された国内最大のロードレースイベント「シマノ鈴鹿ロード」。日本を代表するサーキットである鈴鹿サーキットを舞台とした自転車レースとして、全国からサイクリストが集まる人気イベントだ。
シクロワイアードが車移動で取材するイベントの中では最も遠い部類となることもあり、出発前の準備は念入りに。週末の鈴鹿サーキットの天気予報を調べると、晴れ時々雨という予報。広いサーキットのコース上で降られてしまうと逃げ場がないため、万が一に備えて防水のカメラカバーも車に積み込む。
しかし、蓋を開けてみれば両日ともに青空が広がる絶好の自転車日和に。こういう裏切りは大歓迎である。ちなみに私自身、これまで多くのサイクルイベントを取材してきたのだが、一度も雨に降られたことがない。またしても、晴れ男の力を発揮してしまったのであった。(これからはイベント取材全部お願いしますね!! 編集部一同より)
土曜日は最低気温 27℃、最高気温 34℃。日曜日は最低気温 25℃、最高気温 32℃、晴れのち曇り予報。夏らしい強い日差しが降り注ぎ、サーキット特有の路面からの照り返しも強く、体感温度は気温よりもだいぶ高く感じる。
そして、今年で39回目を迎えるシマノ鈴鹿ロードの幕を上げる開会式には主催者であるシマノの取締役社長の島野泰三氏が登壇。世界最大の自転車部品メーカーがイベントに懸ける想いを込めた挨拶が行われた。
そんなシマノ鈴鹿ロードの今年の大きなトピックはDX化。そう、シマノバイカーズで導入された公式アプリがこのシマノ鈴鹿ロードにも導入されたのだ。これまで配布してきた大会プログラム冊子や参加証を廃止し、スマートフォンアプリ内にその機能を集約している。大会プログラムをいつでもどこでも確認でき、自分が出場する種目をリマインドするスケジューリング機能も搭載。また受付に関してもスマホを見せるだけでゼッケンやチップを受け取れるようになり、利便性が大きく向上した。
ロードバイクはもちろんのこと、クロスバイクやTTバイクなどで参加できる種目がそれぞれ用意され、あらゆるサイクリストが自転車の楽しみを味わえるのもシマノ鈴鹿ロードの魅力。初級者から上級者まで、そして未就学児や小学生、中学生、エリート、マスターズなど年代別のカテゴリーが用意され、脚力の有無、老若男女を問わず気軽に参加できるのも人気サイクルイベントであるポイントでもある。
そんな数多の種目が2日間を通して開催されるシマノ鈴鹿ロードの中で、最も参加者が多いのが「2時間エンデュランス」。ソロと2~4人チーム、レディース、JCF登録に加えて、今大会から1人ずつの交代制ではなく仲間と共にゴールを目指すペアとトリオ、カルテットという新カテゴリーが追加された。
2時間エンデュランスのスタート時刻を過ぎるとサイクリストの大集団がホームストレートからシケインに向かって駆け上がってくる景色は何度見ても圧巻。先頭の参加者が通過してから5分ほど経つまで、カメラのファインダーから自転車乗りの姿が消えることがない。改めて、参加者の多さを感じる大人気イベントだと感じる瞬間だ。
参加者の使用する車種も様々でロードバイクやミニベロ、タンデムバイク、シクロクロス、グラベルバイク、クロスバイクなど多種多様な自転車で参加している姿が見受けられる。愛車と共に2時間先に待っているゴールゲートに向かっていく参加者たちの表情は、こんな炎天下だというのにどこか嬉しそうだ。
普段見る機会が少ないという意味では、TTバイクの姿が珍しくないのもシマノ鈴鹿ロードのユニークなポイント。ロードレースやヒルクライムは日本全国で開催されているが、タイムトライアルの大きなイベントは全日本選手権を含めても片手で数えるほどしか開催されていない。
シマノ鈴鹿では個人タイムトライアルに加え、チームタイムトライアルも開催され、TT好きのサイクリストにとってはまたとないイベントになっている。個人タイムトライアル決勝には118名が参加した予選を勝ち抜いた20名がスタートラインに並んだ。夕暮れが迫る鈴鹿サーキットを平均時速48.11kmで駆け抜けた末岡正充(TONY Racing)が今年の個人タイムトライアルチャンピオンに輝いた。
2時間エンデューロとはまた違った意味でシマノ鈴鹿ロードを象徴する種目が「5ステージ・スズカ」だ。ツール・ド・フランスのようなステージレースが体験できるチーム参加型の種目で、個人とチームの総合優勝をかけて、個人/チームタイムトライアルと3つのロードレースという5つのステージを2日間で走る。
4人から6人までのチームの中でエースやアシストの役割を決め、チームスポーツとしてロードレースを楽しめる人気種目だ。第1ステージから第4ステージまではディフェンディングチャンピオンである川崎嘉久(Nerebani)が個人総合リーダージャージを着用していたが、最終ステージで神谷啓人(mkw)が逆転し、今年の「5ステージ・スズカ」を制した。
ベテランロードレーサーをも満足させる趣向の5ステージ・スズカに対し、レース未経験者のために用意されるのが体験レースというカテゴリー。モータースポーツサーキットである鈴鹿サーキットは公道を利用したロードレースやクリテリウムと違って、コース幅も非常に広く、路面も綺麗で走りやすい。レース未経験の方のデビューにぴったりな機会だ。気になるあなたも来年チャレンジしてみてはいかがだろうか。
耐久レースやロードレース以外に自転車教室も行われ、子供から大人までスキルアップできる機会となっている。さらに、ピットビル2Fにあるホスピタリティラウンジではレース初心者講習会やシマノレーシングメンバーに学ぶ「疲労ケア」と「コンディショニング」などをテーマにした講座を実施。
ちなみに今年初開催となった「ロードレース観戦講座」ではこの記事の筆者であるCW編集部員、そしてJプロツアー選手でもある私、高木もトークすることに。白熱の戦いが繰り広げられたシマノ鈴鹿ロードレースクラシックの見どころを、日本ロードレース界のレジェンドである今中大介さんと共に解説させていただきました。
会場のパドックにはシマノテクニカルサポートが設置され、修理対応も実施。会場で誤ってバイクを倒してしまいエンドを曲げてしまった参加者が多かった模様。そんな時も、シマノイベントのサポート体制は心強く、初心者が一人で参加しても安心できる。
多くのメーカーが集まる出展ブースもシマノ鈴鹿ロードのみどころの一つ。シマノのブースにはレイザーのロードヘルメット、シマノのビンディングシューズが展示され、実際に製品を手に取って隅々まで確認したり、シマノスタッフから直接製品の説明を聞いたりできる機会となっていた。
ビンディングシューズの試着会も行われ、多くの来場者がシューズの着用感を確かめていた。更にはDURA-ACEのホイール試乗会も行われるなど充実の内容に。シマノブースのほかにも、多くのメーカーがたくさんの試乗車や新製品を展示し、多くの方が足を運んでいた。各ブースの様子は写真で紹介していこう。
そして最後にスタッフとして大会を作り上げた主催者であるシマノのみなさんたちと記念撮影を。ファインダー越しに、今年も達成感に満ちた大会実行委員の皆さんの笑顔が広がっていた。多くの方々によって作り上げられているシマノ鈴鹿ロード。来年で40回大会を迎えるシマノ鈴鹿ロードはどのように進化して開催されるか今から楽しみだ。また来年も鈴鹿サーキットで会いましょう!
text & photo : Michinari TAKAGI
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