2024/08/30(金) - 08:30
1級山岳の山頂を目指したブエルタ・ア・エスパーニャ第12ステージは、残り10kmでアタックしたパブロ・カストリーリョ(スペイン、エキポ・ケルンファルマ)が逃げ切り。大舞台で掴んだプロ初勝利を、前日に他界したチームの創設者に捧げた。
オウレンセ〜エスタシオン・デ・モンターニャ・デ・マンサネダ 137.5km(丘陵/山頂フィニッシュ)
スペイン有数の温泉地であるオウレンセを出発するブエルタ・ア・エスパーニャ第12ステージは、1級山岳の頂上にフィニッシュする137.5kmのショートステージ。細かなアップダウンを蛇行しながら西へ進み、ラストの1級山岳モンターニャ・デ・マンサネダ(距離15.4km/平均4.7%)は終盤に最大勾配12%が訪れる。
シンプルなレイアウトかつ最終山岳の難易度は高くないため、レース主催者も「逃げ向き」と語るステージ。中間スプリントも残り36.3km地点に設定されていることもあり、マイヨプントス(ポイント賞)を争うスプリンターを含む大所帯の逃げグループ形成が予想された。
ここから山岳ステージが4日間続く初日は、肺に異変を感じたレナルト・ファンイートヴェルト(ベルギー、ロット・デスティニー)が未出走。第4ステージで区間2位と勝利に迫り、総合トップ10を狙っていた23歳が無念のリタイアするなか、マイヨロホを着るベン・オコーナー(オーストラリア、デカトロンAG2Rラモンディアル)を先頭に154名がスタートを切った。
序盤から予想通り激しいアタック合戦が繰り広げられ、リーダーチームであるデカトロンAG2Rラモンディアルは総合上位につける選手の動きをチェックする。25kmほど進んだ辺りで前日3位のマックス・プール(イギリス、DSMフィルメニッヒ・ポストNL)ら9名が飛び出し、逃げ集団の形成を試みる。しかしメイン集団から遅れてワウト・ファンアールト(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク)やダニエル・マルティネス(コロンビア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)を含む6名集団が追いかけた。
このまま9名の逃げが形成されると思われるなか、残り96km地点の丘でプロトンは逃げと追走集団を視界に捉える。逃げ集団で走るマルク・ソレル(スペイン、UAEチームエミレーツ)は後続を目視すると加速。ジョナタン・ナルバエス(エクアドル、イネオス・グレナディアーズ)を新たに加えた10名は、追走集団を飲み込んだメイン集団との差を拡げようやくレースが落ち着いた。
そこに遅れてマイケル・ウッズ(カナダ、イスラエル・プレミアテック)とローレンス・ハイス(ベルギー、アルケアB&Bホテルズ)が合流を目指したものの、スピードを上げる逃げグループには追いつけない。先頭10名に総合で脅威となる選手がいないためプロトンは速度を緩め、その差は一気に10分まで拡がった。
ソレルやナルバエス、プールの他にマウロ・シュミット(スイス、ジェイコ・アルウラー)など強力なメンバーが入った逃げグループは順調に距離を消化していく。そしてこの日唯一にして最終1級山岳モンターニャ・デ・マンサネダ(距離15.4km/平均4.7%)に8分のリードで突入。残り13.8kmからソレルが加速し、ステージ優勝を懸けた戦いが幕を開けた。
ソレルのアタックにはナルバエスが追従し、続けてカルロス・ベローナ(スペイン、リドル・トレック)が仕掛ける。それを今度はマウリ・ファンセヴェナント(ベルギー、Tレックス・クイックステップ)が引き戻し、集団が一つになったタイミングで再びベローナがアタック。しかしこの動きも決まらず、一度牽制に入った集団からパブロ・カストリーリョ(スペイン、エキポ・ケルンファルマ)が飛び出した。
残り10kmで単独先頭になった23歳のカストリーリョに対し、追走体制の整わない後続からシュミットが飛び出して単独追走する。身体を上下に揺らし、観客から受け取った水を被るカストリーリョは残り5kmで30秒、残り3kmでも27秒のリードを保ちながら踏み続けた。
先頭合流に至らなかったシュミットにはソレルとプール、ナルバエスの3名が追いつくものの、お互いの動きを警戒したためスムーズにローテーションを回すことができない。有利な状況を得たカストリーリョは残り1kmバナーを通過し、身体を揺らすダイナミックなペダリングのまま最終ストレートに到着。追走集団を飛び出したプールを振り切り、カストリーリョがエキポ・ケルンファルマに勝利をもたらした。
チームの創設者かつ前代表であったマノロ・アズコーナ氏の死去が発表された日に、大金星となるプロ初勝利を掴んだカストリーリョ。「信じられないほど素晴らしい勝利。この勝利はチームとスタッフのものだ。正直、いまだに信じられない。ブエルタでプロ初勝利を挙げたんだ。この勝利はチームや家族、そして昨晩亡くなったアズコーナに捧げたい。今日は彼のことを考えながら走っていた」と、大粒の涙を流しながらカストリーリョは喜んだ。
カストリーリョは2023年にプロデビューした23歳のスパニッシュクライマー。昨年のツール・ド・ランカウイでは総合3位に入る実力者で、今大会は4度目の逃げから母国最大のステージレースで勝利を飾った。
一方のメイン集団は、山岳に入りレッドブル・ボーラ・ハンスグローエが牽引してデカトロンにプレッシャーを与える。しかし総合上位勢のアタックが起きることはなく、残り1km地点からEFエデュケーション・イージーポストがペースを作る。そして6分29秒遅れでプロトンがフィニッシュにたどり着いたため、総合順位に動きはなかった。
オウレンセ〜エスタシオン・デ・モンターニャ・デ・マンサネダ 137.5km(丘陵/山頂フィニッシュ)
スペイン有数の温泉地であるオウレンセを出発するブエルタ・ア・エスパーニャ第12ステージは、1級山岳の頂上にフィニッシュする137.5kmのショートステージ。細かなアップダウンを蛇行しながら西へ進み、ラストの1級山岳モンターニャ・デ・マンサネダ(距離15.4km/平均4.7%)は終盤に最大勾配12%が訪れる。
シンプルなレイアウトかつ最終山岳の難易度は高くないため、レース主催者も「逃げ向き」と語るステージ。中間スプリントも残り36.3km地点に設定されていることもあり、マイヨプントス(ポイント賞)を争うスプリンターを含む大所帯の逃げグループ形成が予想された。
ここから山岳ステージが4日間続く初日は、肺に異変を感じたレナルト・ファンイートヴェルト(ベルギー、ロット・デスティニー)が未出走。第4ステージで区間2位と勝利に迫り、総合トップ10を狙っていた23歳が無念のリタイアするなか、マイヨロホを着るベン・オコーナー(オーストラリア、デカトロンAG2Rラモンディアル)を先頭に154名がスタートを切った。
序盤から予想通り激しいアタック合戦が繰り広げられ、リーダーチームであるデカトロンAG2Rラモンディアルは総合上位につける選手の動きをチェックする。25kmほど進んだ辺りで前日3位のマックス・プール(イギリス、DSMフィルメニッヒ・ポストNL)ら9名が飛び出し、逃げ集団の形成を試みる。しかしメイン集団から遅れてワウト・ファンアールト(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク)やダニエル・マルティネス(コロンビア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)を含む6名集団が追いかけた。
このまま9名の逃げが形成されると思われるなか、残り96km地点の丘でプロトンは逃げと追走集団を視界に捉える。逃げ集団で走るマルク・ソレル(スペイン、UAEチームエミレーツ)は後続を目視すると加速。ジョナタン・ナルバエス(エクアドル、イネオス・グレナディアーズ)を新たに加えた10名は、追走集団を飲み込んだメイン集団との差を拡げようやくレースが落ち着いた。
そこに遅れてマイケル・ウッズ(カナダ、イスラエル・プレミアテック)とローレンス・ハイス(ベルギー、アルケアB&Bホテルズ)が合流を目指したものの、スピードを上げる逃げグループには追いつけない。先頭10名に総合で脅威となる選手がいないためプロトンは速度を緩め、その差は一気に10分まで拡がった。
ソレルやナルバエス、プールの他にマウロ・シュミット(スイス、ジェイコ・アルウラー)など強力なメンバーが入った逃げグループは順調に距離を消化していく。そしてこの日唯一にして最終1級山岳モンターニャ・デ・マンサネダ(距離15.4km/平均4.7%)に8分のリードで突入。残り13.8kmからソレルが加速し、ステージ優勝を懸けた戦いが幕を開けた。
ソレルのアタックにはナルバエスが追従し、続けてカルロス・ベローナ(スペイン、リドル・トレック)が仕掛ける。それを今度はマウリ・ファンセヴェナント(ベルギー、Tレックス・クイックステップ)が引き戻し、集団が一つになったタイミングで再びベローナがアタック。しかしこの動きも決まらず、一度牽制に入った集団からパブロ・カストリーリョ(スペイン、エキポ・ケルンファルマ)が飛び出した。
残り10kmで単独先頭になった23歳のカストリーリョに対し、追走体制の整わない後続からシュミットが飛び出して単独追走する。身体を上下に揺らし、観客から受け取った水を被るカストリーリョは残り5kmで30秒、残り3kmでも27秒のリードを保ちながら踏み続けた。
先頭合流に至らなかったシュミットにはソレルとプール、ナルバエスの3名が追いつくものの、お互いの動きを警戒したためスムーズにローテーションを回すことができない。有利な状況を得たカストリーリョは残り1kmバナーを通過し、身体を揺らすダイナミックなペダリングのまま最終ストレートに到着。追走集団を飛び出したプールを振り切り、カストリーリョがエキポ・ケルンファルマに勝利をもたらした。
チームの創設者かつ前代表であったマノロ・アズコーナ氏の死去が発表された日に、大金星となるプロ初勝利を掴んだカストリーリョ。「信じられないほど素晴らしい勝利。この勝利はチームとスタッフのものだ。正直、いまだに信じられない。ブエルタでプロ初勝利を挙げたんだ。この勝利はチームや家族、そして昨晩亡くなったアズコーナに捧げたい。今日は彼のことを考えながら走っていた」と、大粒の涙を流しながらカストリーリョは喜んだ。
カストリーリョは2023年にプロデビューした23歳のスパニッシュクライマー。昨年のツール・ド・ランカウイでは総合3位に入る実力者で、今大会は4度目の逃げから母国最大のステージレースで勝利を飾った。
一方のメイン集団は、山岳に入りレッドブル・ボーラ・ハンスグローエが牽引してデカトロンにプレッシャーを与える。しかし総合上位勢のアタックが起きることはなく、残り1km地点からEFエデュケーション・イージーポストがペースを作る。そして6分29秒遅れでプロトンがフィニッシュにたどり着いたため、総合順位に動きはなかった。
ブエルタ・ア・エスパーニャ2024第12ステージ
1位 | パブロ・カストリーリョ(スペイン、エキポ・ケルンファルマ) | 3:36:12 |
2位 | マックス・プール(イギリス、DSMフィルメニッヒ・ポストNL) | +0:08 |
3位 | マルク・ソレル(スペイン、UAEチームエミレーツ) | +0:16 |
4位 | マウロ・シュミット(スイス、ジェイコ・アルウラー) | +0:23 |
5位 | ジョナタン・ナルバエス(エクアドル、イネオス・グレナディアーズ) | +0:34 |
6位 | マウリ・ファンセヴェナント(ベルギー、Tレックス・クイックステップ) | +0:40 |
7位 | アロルド・テハダ(コロンビア、アスタナ・カザクスタン) | +0:49 |
8位 | カルロス・ベローナ(スペイン、リドル・トレック) | +1:03 |
9位 | ルイス・メインチェス(南アフリカ、アンテルマルシェ・ワンティ) | +1:14 |
10位 | オスカル・ロドリゲス(スペイン、イネオス・グレナディアーズ) | +1:52 |
14位 | ベン・オコーナー(オーストラリア、デカトロンAG2Rラモンディアル) | +6:29 |
マイヨロホ(個人総合成績)
1位 | ベン・オコーナー(オーストラリア、デカトロンAG2Rラモンディアル) | 47:37:35 |
2位 | プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) | +3:16 |
3位 | エンリク・マス(スペイン、モビスター) | +3:58 |
4位 | リチャル・カラパス(エクアドル、EFエデュケーション・イージーポスト) | +4:10 |
5位 | ミケル・ランダ(スペイン、Tレックス・クイックステップ) | +4:40 |
6位 | カルロス・ロドリゲス(スペイン、イネオス・グレナディアーズ) | +5:23 |
7位 | フロリアン・リポヴィッツ(ドイツ、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) | +5:29 |
8位 | アダム・イェーツ(イギリス、UAEチームエミレーツ) | +5:30 |
9位 | フェリックス・ガル(オーストリア、デカトロンAG2Rラモンディアル) | |
10位 | ジョージ・ベネット(ニュージーランド、イスラエル・プレミアテック) | +5:46 |
マイヨプントス(ポイント賞)
1位 | ワウト・ファンアールト(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク) | 243pts |
2位 | カーデン・グローブス(オーストラリア、アルペシン・ドゥクーニンク) | 162pts |
3位 | パヴェル・ビットネル(チェコ、DSMフィルメニッヒ・ポストNL) | 81pts |
マイヨモンターニャ(山岳賞)
1位 | アダム・イェーツ(イギリス、UAEチームエミレーツ) | 22pts |
2位 | ワウト・ファンアールト(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク) | 22pts |
3位 | プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) | 18pts |
マイヨブランコ(ヤングライダー賞)
1位 | カルロス・ロドリゲス(スペイン、イネオス・グレナディアーズ) | 47:42:58 |
2位 | フロリアン・リポヴィッツ(ドイツ、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) | +0:06 |
3位 | マティアス・スケルモース(デンマーク、リドル・トレック) | +1:18 |
チーム総合成績
1位 | UAEチームエミレーツ | 142:53:04 |
2位 | レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ | +19:24 |
3位 | デカトロンAG2Rラモンディアル | +20:24 |
text:Sotaro.Arakawa
photo:Unipublic, CorVos
photo:Unipublic, CorVos
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