2024/08/26(月) - 08:36
後半に3つの1級山岳が登場したブエルタ・ア・エスパーニャ第9ステージで、逃げに乗ったアダム・イェーツ(イギリス、UAEチームエミレーツ)が58kmの独走勝利。クスがタイムを失う一方で、総合首位オコーナーは区間3位でリードを4秒拡大させた。
8月25日(日) 第9ステージ
モトリル〜グラナダ 178.5km(山岳)
第79回ブエルタ・ア・エスパーニャの第1週目を締めくくるのは、コース後半に3つの1級山岳を越える山岳ステージ。アルボラン海を望むモトリルをスタートし、北に向かう選手たちは一度グラナダの市街地の近くを通過。その後西の山岳地帯に足を踏み入れる。
等間隔に配置された1つ目の1級山岳プエルト・デ・エル・パーチェ(距離8.9km/平均7.6%)を越え、最大勾配20%の1級山岳アルト・デ・ハザラナス(距離7.1km/平均9.5%)を2度越えるコースを2周。フィニッシュ地点は山頂ではなく、約20kmに及ぶ急勾配の下った先にある。逃げ切りに適したレイアウトであることに加え、翌日が第1休息日のため総合争いが動くことが予想された。
この日はジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ)が新型コロナウイルス感染により未出走。アルメイダは前日の最終山岳で遅れ、体調不良を訴えて検査した結果コロナ陽性が判明した。母国ポルトガル開幕かつ総合3位につけていたアルメイダにとって、コロナ感染でグランツールを棄権するのは2022年のジロ・デ・イタリアに続く2度目だ。
多くの選手が高地トレーニングの合宿に使う地域でのレースは、マイヨプントス(ポイント賞ジャージ)を着るワウト・ファンアールト(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク)のアタックから幕開けた。そこにマルク・ソレル(スペイン、UAEチームエミレーツ)などが追従し、アタックと吸収を繰り返した末、26名という大きな逃げ集団が形成された。
逃げには総合で遅れているダヴィド・ゴデュ(フランス、グルパマFDJ)が入り、総合エースを失ったUAEはソレルに加えアダム・イェーツ(イギリス)とジェイ・ヴァイン(オーストラリア)を乗せる。またコフィディスもヘスス・エラダ(スペイン)ら3名を送るなか、メイン集団はマイヨモンターニャ(山岳賞ジャージ)を纏ったプリモシュ・ログリッチ(スロベニア)を擁するレッドブル・ボーラ・ハンスグローエが牽引した。
この日1つ目の1級山岳プエルト・デ・エル・パーチェ(距離8.9km/平均7.6%)では、ソレルとヴァインがイェーツのために逃げ集団のペースを作る。その速度にファンアールトらが遅れるなか、4分遅れで登りに入ったプロトンではリチャル・カラパス(エクアドル、EFエデュケーション・イージーポスト)がアタック。逃げ合流を目指し、軽快なダンシングで平均勾配10%の山岳序盤を駆け上がった。
1級山岳の頂上はゴデュが先頭通過し、約10kmの急勾配な下り坂に入る。単独で追走していたカラパスには逃げから遅れた21歳のダレン・ラファーティー(アイルランド、EFエデュケーション・イージーポスト)が合流し、チームプレーで先頭とのギャップを縮めていく。そしていよいよ1級山岳アルト・デ・ハザラナス(距離7.1km/平均9.5%)に入り、ソレルが役割を終えて遅れていった逃げ集団はイェーツとヴァイン、ゴデュの3名に絞られた。
一方、プロトンでは引き続きレッドブルがハイペースで人数を減らしていき、ベン・オコーナー(オーストラリア、デカトロンAG2Rラモンディアル)のアシストはフェリックス・ガル(オーストリア)のみとなった。
先頭では頂上まで残り4.4kmでイェーツが飛び出し、フィニッシュまで残り58.4km地点で単独先頭に立つ。イェーツは1度目のアルト・デ・ハザラナスをトップで通過し、後続ではヴァインとゴデュを抜いたカラパスと、逃げから食らいついたパブロ・カストリーリョ(スペイン、エキポ・ケルンファルマ)の2名が追走。しかし下りでヴァインとゴデュはカラパスに追いつき、抑え役のヴァインを含む4名がイェーツを追いかけた。
順調にペダルを回すイェーツは2度目の1級山岳アルト・デ・ハザラナスに追走集団と2分半、プロトンと6分半差で入る。ファンや自ら水を掛け、体温上昇を抑えるイェーツは軽快に登り、ボーナスタイムが与えられる頂上を目指す。フロリアン・リポヴィッツ(ドイツ、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)からガルにペースメイクが代わったメイン集団では更に人数が絞られ、セップ・クス(アメリカ、ヴィスマ・リースアバイク)が脱落した。
ガルを先頭にオコーナーとログリッチ、ミケル・ランダ(スペイン、Tレックス・クイックステップ)、カルロス・ロドリゲス(スペイン、イネオス・グレナディアーズ)という精鋭集団から、エンリク・マス(スペイン、モビスター)がアタック。それを引き戻す選手は現れず、レース先頭ではイェーツが頂上に到達。そのままテクニカルな下りも難なくこなし、大歓声を受けながらフィニッシュラインに飛び込んだ。
5度目の出場にしてブエルタ初勝利を飾ったイェーツ。「とても暑く、こんなに苦しんだのは初めて。最後の登りでは脚を攣り、勝てないかと思った。グランツールではここ数年不運続きだったが、ようやく勝つことができた」と、イェーツは涙を流して喜んだ。
先頭には1分39秒届かなかったものの、タイムを稼いで総合3位にジャンプアップしたカラパスがステージ2位。区間3位を争うスプリントではランダを退けたオコーナーが先着し-4秒を加算。ログリッチたちとのタイム差を拡げることに成功した。
またジョシュア・ターリング(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)が落車のためリタイアし、マイヨブランコ(ヤングライダー賞ジャージ)を着ていたアントニオ・ティベーリ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス)は熱中症による頭痛のためレースを去っている。
厳しい暑さのなか行われたブエルタ1週目を終えた選手たちは約800kmを移動を経て、スペイン北西の街ビーゴで1度目の休息日を迎える。
8月25日(日) 第9ステージ
モトリル〜グラナダ 178.5km(山岳)
第79回ブエルタ・ア・エスパーニャの第1週目を締めくくるのは、コース後半に3つの1級山岳を越える山岳ステージ。アルボラン海を望むモトリルをスタートし、北に向かう選手たちは一度グラナダの市街地の近くを通過。その後西の山岳地帯に足を踏み入れる。
等間隔に配置された1つ目の1級山岳プエルト・デ・エル・パーチェ(距離8.9km/平均7.6%)を越え、最大勾配20%の1級山岳アルト・デ・ハザラナス(距離7.1km/平均9.5%)を2度越えるコースを2周。フィニッシュ地点は山頂ではなく、約20kmに及ぶ急勾配の下った先にある。逃げ切りに適したレイアウトであることに加え、翌日が第1休息日のため総合争いが動くことが予想された。
この日はジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ)が新型コロナウイルス感染により未出走。アルメイダは前日の最終山岳で遅れ、体調不良を訴えて検査した結果コロナ陽性が判明した。母国ポルトガル開幕かつ総合3位につけていたアルメイダにとって、コロナ感染でグランツールを棄権するのは2022年のジロ・デ・イタリアに続く2度目だ。
多くの選手が高地トレーニングの合宿に使う地域でのレースは、マイヨプントス(ポイント賞ジャージ)を着るワウト・ファンアールト(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク)のアタックから幕開けた。そこにマルク・ソレル(スペイン、UAEチームエミレーツ)などが追従し、アタックと吸収を繰り返した末、26名という大きな逃げ集団が形成された。
逃げには総合で遅れているダヴィド・ゴデュ(フランス、グルパマFDJ)が入り、総合エースを失ったUAEはソレルに加えアダム・イェーツ(イギリス)とジェイ・ヴァイン(オーストラリア)を乗せる。またコフィディスもヘスス・エラダ(スペイン)ら3名を送るなか、メイン集団はマイヨモンターニャ(山岳賞ジャージ)を纏ったプリモシュ・ログリッチ(スロベニア)を擁するレッドブル・ボーラ・ハンスグローエが牽引した。
この日1つ目の1級山岳プエルト・デ・エル・パーチェ(距離8.9km/平均7.6%)では、ソレルとヴァインがイェーツのために逃げ集団のペースを作る。その速度にファンアールトらが遅れるなか、4分遅れで登りに入ったプロトンではリチャル・カラパス(エクアドル、EFエデュケーション・イージーポスト)がアタック。逃げ合流を目指し、軽快なダンシングで平均勾配10%の山岳序盤を駆け上がった。
1級山岳の頂上はゴデュが先頭通過し、約10kmの急勾配な下り坂に入る。単独で追走していたカラパスには逃げから遅れた21歳のダレン・ラファーティー(アイルランド、EFエデュケーション・イージーポスト)が合流し、チームプレーで先頭とのギャップを縮めていく。そしていよいよ1級山岳アルト・デ・ハザラナス(距離7.1km/平均9.5%)に入り、ソレルが役割を終えて遅れていった逃げ集団はイェーツとヴァイン、ゴデュの3名に絞られた。
一方、プロトンでは引き続きレッドブルがハイペースで人数を減らしていき、ベン・オコーナー(オーストラリア、デカトロンAG2Rラモンディアル)のアシストはフェリックス・ガル(オーストリア)のみとなった。
先頭では頂上まで残り4.4kmでイェーツが飛び出し、フィニッシュまで残り58.4km地点で単独先頭に立つ。イェーツは1度目のアルト・デ・ハザラナスをトップで通過し、後続ではヴァインとゴデュを抜いたカラパスと、逃げから食らいついたパブロ・カストリーリョ(スペイン、エキポ・ケルンファルマ)の2名が追走。しかし下りでヴァインとゴデュはカラパスに追いつき、抑え役のヴァインを含む4名がイェーツを追いかけた。
順調にペダルを回すイェーツは2度目の1級山岳アルト・デ・ハザラナスに追走集団と2分半、プロトンと6分半差で入る。ファンや自ら水を掛け、体温上昇を抑えるイェーツは軽快に登り、ボーナスタイムが与えられる頂上を目指す。フロリアン・リポヴィッツ(ドイツ、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)からガルにペースメイクが代わったメイン集団では更に人数が絞られ、セップ・クス(アメリカ、ヴィスマ・リースアバイク)が脱落した。
ガルを先頭にオコーナーとログリッチ、ミケル・ランダ(スペイン、Tレックス・クイックステップ)、カルロス・ロドリゲス(スペイン、イネオス・グレナディアーズ)という精鋭集団から、エンリク・マス(スペイン、モビスター)がアタック。それを引き戻す選手は現れず、レース先頭ではイェーツが頂上に到達。そのままテクニカルな下りも難なくこなし、大歓声を受けながらフィニッシュラインに飛び込んだ。
5度目の出場にしてブエルタ初勝利を飾ったイェーツ。「とても暑く、こんなに苦しんだのは初めて。最後の登りでは脚を攣り、勝てないかと思った。グランツールではここ数年不運続きだったが、ようやく勝つことができた」と、イェーツは涙を流して喜んだ。
先頭には1分39秒届かなかったものの、タイムを稼いで総合3位にジャンプアップしたカラパスがステージ2位。区間3位を争うスプリントではランダを退けたオコーナーが先着し-4秒を加算。ログリッチたちとのタイム差を拡げることに成功した。
またジョシュア・ターリング(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)が落車のためリタイアし、マイヨブランコ(ヤングライダー賞ジャージ)を着ていたアントニオ・ティベーリ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス)は熱中症による頭痛のためレースを去っている。
厳しい暑さのなか行われたブエルタ1週目を終えた選手たちは約800kmを移動を経て、スペイン北西の街ビーゴで1度目の休息日を迎える。
ブエルタ・ア・エスパーニャ2024第9ステージ
1位 | アダム・イェーツ(イギリス、UAEチームエミレーツ) | 4:42:28 |
2位 | リチャル・カラパス(エクアドル、EFエデュケーション・イージーポスト) | +1:39 |
3位 | ベン・オコーナー(オーストラリア、デカトロンAG2Rラモンディアル) | +3:45 |
4位 | ミケル・ランダ(スペイン、Tレックス・クイックステップ) | |
5位 | フロリアン・リポヴィッツ(ドイツ、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) | |
6位 | パヴェル・シヴァコフ(ロシア、UAEチームエミレーツ) | |
7位 | カルロス・ロドリゲス(スペイン、イネオス・グレナディアーズ) | |
8位 | プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) | |
9位 | ダヴィド・ゴデュ(フランス、グルパマFDJ) | |
10位 | エンリク・マス(スペイン、モビスター) | |
15位 | セップ・クス(アメリカ、ヴィスマ・リースアバイク) | +5:35 |
マイヨロホ(個人総合成績)
1位 | ベン・オコーナー(オーストラリア、デカトロンAG2Rラモンディアル) | 36:09:36 |
2位 | プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) | +3:53 |
3位 | リチャル・カラパス(エクアドル、EFエデュケーション・イージーポスト) | +4:32 |
4位 | エンリク・マス(スペイン、モビスター) | +4:35 |
5位 | ミケル・ランダ(スペイン、Tレックス・クイックステップ) | +5:17 |
6位 | フロリアン・リポヴィッツ(ドイツ、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) | +5:29 |
7位 | アダム・イェーツ(イギリス、UAEチームエミレーツ) | +5:30 |
8位 | フェリックス・ガル(オーストリア、デカトロンAG2Rラモンディアル) | |
9位 | カルロス・ロドリゲス(スペイン、イネオス・グレナディアーズ) | +6:00 |
10位 | ダヴィド・ゴデュ(フランス、グルパマFDJ) | +6:32 |
マイヨプントス(ポイント賞)
1位 | ワウト・ファンアールト(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク) | 203pts |
2位 | カーデン・グローブス(オーストラリア、アルペシン・ドゥクーニンク) | 162pts |
3位 | パヴェル・ビットネル(チェコ、DSMフィルメニッヒ・ポストNL) | 81pts |
マイヨモンターニャ(山岳賞)
1位 | アダム・イェーツ(イギリス、UAEチームエミレーツ) | 22pts |
2位 | プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) | 18pts |
3位 | ダヴィド・ゴデュ(フランス、グルパマFDJ) | 18pts |
マイヨブランコ(ヤングライダー賞)
1位 | フロリアン・リポヴィッツ(ドイツ、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) | 36:15:05 |
2位 | カルロス・ロドリゲス(スペイン、イネオス・グレナディアーズ) | +0:31 |
3位 | マティアス・スケルモース(デンマーク、リドル・トレック) | +1:49 |
チーム総合成績
1位 | UAEチームエミレーツ | 108:43:16 |
2位 | デカトロンAG2Rラモンディアル | +5:03 |
3位 | レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ | +6:10 |
text:Sotaro.Arakawa
photo:Unipublic, CorVos
photo:Unipublic, CorVos
Amazon.co.jp