2024/08/23(金) - 08:41
4つのカテゴリー山岳を越えるブエルタ・ア・エスパーニャ第6ステージで、ベン・オコーナー(オーストラリア、デカトロンAG2Rラモンディアル)が逃げ切り。区間2位のフリーゴに4分33秒をつける大差でブエルタ初勝利を飾り、3大ツールの区間優勝者になる共に総合首位に立った。
8月22日(木) 第6ステージ
カルフール・シュル・ヘレス・デ・ラ・フロンテラ〜ユンケラ 185.5km(山岳/山頂フィニッシュ)
第79回ブエルタ・ア・エスパーニャは大会6日目にしてようやく”逃げ屋”に出番が回ってきた。カルフールをスタートして真東のユンケラに向かうコースに、カテゴリー山岳は4つ。最初は平坦路を進んで1級山岳をクリア後、獲得標高差3,700mに及ぶアップダウンを越える山岳ステージだ。
頂上にフィニッシュが設定された3級山岳ラス・アベハスは、登坂距離8.8kmに平均3.9%と難易度は低い。そのため総合上位勢は動きづらく、これ以上ない逃げ切りに適したレイアウトとなった。
この日のスタート地点は大会のメインスポンサー「カルフール」のショッピングセンターの中。そんなユニークな場所から始まったレースはアクチュアルスタートの旗が振られた直後から、逃げを目指したアタック合戦が勃発。最初の1時間の平均速度が48km/hを越えるハイスピードで展開し、アタックと吸収が繰り返された。
スピードの上下に一時はメイン集団が2つに分裂し、総合2位のジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ)が後続集団に取り残される場面も。しかし最初の1級山岳でプロトンはひと塊となり、頂上手前で13名の逃げグループが形成。山頂は今年のジロ・デ・イタリアで逃げ切り勝利を飾ったペラヨ・サンチェス(スペイン、モビスター)がトップで通過した。
逃げには第4ステージの山頂フィニッシュでタイムを失ったベン・オコーナー(オーストラリア、デカトロンAG2Rラモンディアル)など強力なメンバーが揃い、UAEチームエミレーツはジェイ・ヴァイン(オーストラリア)を送る。またレッドブル・ボーラ・ハンスグローエは1分50秒遅れ(総合20位)のフロリアン・リポヴィッツ(ドイツ)を入れたため、マイヨロホを着るプリモシュ・ログリッチ(スロベニア)とのダブルエース体制の形成を嫌ったバーレーン・ヴィクトリアスがプロトンの牽引を始めた。
しかし残り70kmを過ぎる頃にメイン集団と逃げの差は5分を超える。直後のボーナスタイムが付与される中間スプリントを前に、総合ジャンプアップを目論むオコーナーがアタック。チームカラーの赤色ではなく今大会限定の蛍光イエローのジャージを纏うクリスティアン・ロドリゲス(スペイン、アルケアB&Bホテルズ)を、オコーナーが振り切り先頭通過で-6秒を得た。
3級山岳に入った残り62km地点でオコーナーは再び逃げ集団を飛び出す。今度はハイス・レイムライゼ(オランダ、DSMフィルメニッヒ・ポストNL)が追従し、先頭に立った2名をサンチェスとマルコ・フリーゴ(イタリア、イスラエル・プレミアテック)、ウルコ・ベラーデ(スペイン、エキポ・ケルンファルマ)の3名が追走、レース先頭が一気に動き出す。一方のメイン集団は前を追い詰める意思はなく、逃げとのタイム差を最低限に留めるようにUAEが先導を始めた。
「今日はスタートした時点から勝てる気がした」とレース後に語ったオコーナーは、最後から2つ目の3級山岳に入るとレイムライゼを引き離す。残り27km地点で単独先頭に立ったオコーナーは頂上を越え、遅れたレイムライゼはフリーゴたち追走集団に合流。しかしオコーナーとの差は縮まるどころか徐々に拡がっていった。
モビスターが牽引を始めたプロトンではケニー・エリッソンド(フランス、コフィディス)が体調不良のためリタイア。また終盤に発生した落車に現役最後のグランツールを走っていたリゴベルト・ウラン(コロンビア、EFエデュケーション・イージーポスト)が巻き込まれ、棄権後の検査の結果、左股関節の大転子に骨折が見つかった。
そして順調に脚を回したオコーナーは最後の3級山岳ラス・アベハスもハイペースで駆け上がり、単独2位のフリーゴに4分33秒をつける大差でフィニッシュに到着。何度もガッツポーズを繰り返したオコーナーは、総合でも4分51秒差で首位に立ちマイヨロホに袖を通した。
これでジロとツール・ド・フランスに続き、3大ツール全てで区間優勝を飾ったオコーナー。「今日は自分だけの世界にいるような感覚があった。序盤に30名の集団ができた時は残念に思ったが、再びレースが動き出して自らチャンスを掴みにいった。グランツールの全てで勝利した選手のリストに自分の名前が刻まれるのは光栄なこと。それにマイヨロホを着ることができ、一生に一度の体験だよ」と、オコーナーは喜びを語った。
マイヨロホを意図的に手放したログリッチたちは6分31秒遅れでフィニッシュ。オコーナーの他にタイムを稼いだリポヴィッツが総合4位に上がると共にマイヨブランコ(ヤングライダー賞ジャージ)を着用し、またロドリゲスも総合6位にジャンプアップしている。
8月22日(木) 第6ステージ
カルフール・シュル・ヘレス・デ・ラ・フロンテラ〜ユンケラ 185.5km(山岳/山頂フィニッシュ)
第79回ブエルタ・ア・エスパーニャは大会6日目にしてようやく”逃げ屋”に出番が回ってきた。カルフールをスタートして真東のユンケラに向かうコースに、カテゴリー山岳は4つ。最初は平坦路を進んで1級山岳をクリア後、獲得標高差3,700mに及ぶアップダウンを越える山岳ステージだ。
頂上にフィニッシュが設定された3級山岳ラス・アベハスは、登坂距離8.8kmに平均3.9%と難易度は低い。そのため総合上位勢は動きづらく、これ以上ない逃げ切りに適したレイアウトとなった。
この日のスタート地点は大会のメインスポンサー「カルフール」のショッピングセンターの中。そんなユニークな場所から始まったレースはアクチュアルスタートの旗が振られた直後から、逃げを目指したアタック合戦が勃発。最初の1時間の平均速度が48km/hを越えるハイスピードで展開し、アタックと吸収が繰り返された。
スピードの上下に一時はメイン集団が2つに分裂し、総合2位のジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ)が後続集団に取り残される場面も。しかし最初の1級山岳でプロトンはひと塊となり、頂上手前で13名の逃げグループが形成。山頂は今年のジロ・デ・イタリアで逃げ切り勝利を飾ったペラヨ・サンチェス(スペイン、モビスター)がトップで通過した。
逃げには第4ステージの山頂フィニッシュでタイムを失ったベン・オコーナー(オーストラリア、デカトロンAG2Rラモンディアル)など強力なメンバーが揃い、UAEチームエミレーツはジェイ・ヴァイン(オーストラリア)を送る。またレッドブル・ボーラ・ハンスグローエは1分50秒遅れ(総合20位)のフロリアン・リポヴィッツ(ドイツ)を入れたため、マイヨロホを着るプリモシュ・ログリッチ(スロベニア)とのダブルエース体制の形成を嫌ったバーレーン・ヴィクトリアスがプロトンの牽引を始めた。
しかし残り70kmを過ぎる頃にメイン集団と逃げの差は5分を超える。直後のボーナスタイムが付与される中間スプリントを前に、総合ジャンプアップを目論むオコーナーがアタック。チームカラーの赤色ではなく今大会限定の蛍光イエローのジャージを纏うクリスティアン・ロドリゲス(スペイン、アルケアB&Bホテルズ)を、オコーナーが振り切り先頭通過で-6秒を得た。
3級山岳に入った残り62km地点でオコーナーは再び逃げ集団を飛び出す。今度はハイス・レイムライゼ(オランダ、DSMフィルメニッヒ・ポストNL)が追従し、先頭に立った2名をサンチェスとマルコ・フリーゴ(イタリア、イスラエル・プレミアテック)、ウルコ・ベラーデ(スペイン、エキポ・ケルンファルマ)の3名が追走、レース先頭が一気に動き出す。一方のメイン集団は前を追い詰める意思はなく、逃げとのタイム差を最低限に留めるようにUAEが先導を始めた。
「今日はスタートした時点から勝てる気がした」とレース後に語ったオコーナーは、最後から2つ目の3級山岳に入るとレイムライゼを引き離す。残り27km地点で単独先頭に立ったオコーナーは頂上を越え、遅れたレイムライゼはフリーゴたち追走集団に合流。しかしオコーナーとの差は縮まるどころか徐々に拡がっていった。
モビスターが牽引を始めたプロトンではケニー・エリッソンド(フランス、コフィディス)が体調不良のためリタイア。また終盤に発生した落車に現役最後のグランツールを走っていたリゴベルト・ウラン(コロンビア、EFエデュケーション・イージーポスト)が巻き込まれ、棄権後の検査の結果、左股関節の大転子に骨折が見つかった。
そして順調に脚を回したオコーナーは最後の3級山岳ラス・アベハスもハイペースで駆け上がり、単独2位のフリーゴに4分33秒をつける大差でフィニッシュに到着。何度もガッツポーズを繰り返したオコーナーは、総合でも4分51秒差で首位に立ちマイヨロホに袖を通した。
これでジロとツール・ド・フランスに続き、3大ツール全てで区間優勝を飾ったオコーナー。「今日は自分だけの世界にいるような感覚があった。序盤に30名の集団ができた時は残念に思ったが、再びレースが動き出して自らチャンスを掴みにいった。グランツールの全てで勝利した選手のリストに自分の名前が刻まれるのは光栄なこと。それにマイヨロホを着ることができ、一生に一度の体験だよ」と、オコーナーは喜びを語った。
マイヨロホを意図的に手放したログリッチたちは6分31秒遅れでフィニッシュ。オコーナーの他にタイムを稼いだリポヴィッツが総合4位に上がると共にマイヨブランコ(ヤングライダー賞ジャージ)を着用し、またロドリゲスも総合6位にジャンプアップしている。
ブエルタ・ア・エスパーニャ2024第6ステージ
1位 | ベン・オコーナー(オーストラリア、デカトロンAG2Rラモンディアル) | 4:28:12 |
2位 | マルコ・フリーゴ(イタリア、イスラエル・プレミアテック) | +4:33 |
3位 | フロリアン・リポヴィッツ(ドイツ、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) | +5:12 |
4位 | クレマン・ベルテ(フランス、デカトロンAG2Rラモンディアル) | |
5位 | クリスティアン・ロドリゲス(スペイン、アルケアB&Bホテルズ) | |
6位 | ハイス・レイムライゼ(オランダ、DSMフィルメニッヒ・ポストNL) | |
7位 | マウリ・ファンセヴェナント(ベルギー、Tレックス・クイックステップ) | +5:35 |
8位 | ウルコ・ベラーデ(スペイン、エキポ・ケルンファルマ) | +6:02 |
9位 | イサーク・デルトロ(メキシコ、UAEチームエミレーツ) | +6:31 |
10位 | ダヴィド・ゴデュ(フランス、グルパマFDJ) | |
14位 | セップ・クス(アメリカ、ヴィスマ・リースアバイク) | |
24位 | プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) |
マイヨロホ(個人総合成績)
1位 | ベン・オコーナー(オーストラリア、デカトロンAG2Rラモンディアル) | 23:28:28 |
2位 | プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) | +4:51 |
3位 | ジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ) | +4:59 |
4位 | フロリアン・リポヴィッツ(ドイツ、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) | +5:18 |
5位 | エンリク・マス(スペイン、モビスター) | +5:23 |
6位 | クリスティアン・ロドリゲス(スペイン、アルケアB&Bホテルズ) | +5:26 |
7位 | アントニオ・ティベーリ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス) | +5:29 |
8位 | レナルト・ファンイートヴェルト(ベルギー、ロット・デスティニー) | +5:32 |
9位 | フェリックス・ガル(オーストリア、デカトロンAG2Rラモンディアル) | +5:38 |
10位 | マティアス・スケルモース(デンマーク、リドル・トレック) | +5:49 |
マイヨプントス(ポイント賞)
1位 | ワウト・ファンアールト(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク) | 158pts |
2位 | カーデン・グローブス(オーストラリア、アルペシン・ドゥクーニンク) | 145pts |
3位 | パヴェル・ビットネル(チェコ、DSMフィルメニッヒ・ポストNL) | 81pts |
マイヨモンターニャ(山岳賞)
1位 | シルヴァン・モニケ(ベルギー、ロット・デスティニー) | 16pts |
2位 | フィリッポ・ザナ(イタリア、ジェイコ・アルウラー) | 11pts |
3位 | プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) | 10pts |
マイヨブランコ(ヤングライダー賞)
1位 | フロリアン・リポヴィッツ(ドイツ、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) | 23:33:46 |
2位 | アントニオ・ティベーリ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス) | +0:11 |
3位 | レナルト・ファンイートヴェルト(ベルギー、ロット・デスティニー) | +0:14 |
チーム総合成績
1位 | デカトロンAG2Rラモンディアル | 70:36:30 |
2位 | UAEチームエミレーツ | +5:08 |
3位 | レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ |
text:Sotaro.Arakawa
photo:Unipublic, CorVos
photo:Unipublic, CorVos
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