販売されることがアナウンスされたプロロゴのタデイ・ポガチャル/マリアローザ・サドル。ポガチャルが総合優勝するたびに登場する特別サドルの裏側を服部産業・キット北村さんのレポートでお届けしよう。

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圧倒的な強さでジロ・デ・イタリアを制したポガチャル選手のマリアローザ記念ナゴR4が販売されます (c)服部産業

2024年のジロ・デ・イタリアを制したタデイ・ポガチャル選手。圧倒的な強さでしたね。ポガチャル選手が実際に使用していたピンクのナゴR4サドルが遂に特別限定販売されます。

販売開始となったマリアローザモデルのナゴR4(製品版) (c)服部産業

プロロゴ社は販売品と異なるデザインのスペシャルモデルをポガチャル選手に贈呈しました (c)服部産業

ポガチャル選手のために、プロロゴ社はマリアローザ記念サドル(実際に使用した物とはデザインが異なる非売品)を製作し贈呈。市販品のピンクのナゴR4サドルとは異なり、ポガチャル選手と共に戦ったチームメイトの名前が印字されています。

チームバスの中で、マリアローザ記念サドルを手渡され御満悦のポガチャル選手。ジロだけでなくツールも制すとは、100年経っても彼を越える選手は出て来ない気がします。

共に戦ったチームメートの名前が印字されています (c)服部産業

2020年にツール・ド・フランスを制した若きカンニバル:タデイ・ポガチャル選手。彼のシグネチャーサドルが初めて登場した2020年秋から現在に至るまで、全てのポガチャル選手シグネチャーサドルを取り扱い出来たのは、世界でも弊社:服部産業株式会社だけらしい(プロロゴ社曰く、真実は分かりません)。最初のポガチャル選手シグネチャーサドルとの偶然の出会いから今日に至るまで、備忘録としてシクロワイアードでその全貌を公開したいと思います。

ポガチャル選手が2020年にツール総合優勝してから記念サドルが作られ続けていますが、全て取り扱えたのは服部産業のみらしいです (c)服部産業

数年前のイタリア出張の際に、ウィリエールオフィスに寄るついでにプロロゴオフィスへと向かいました。当時、プロロゴは新しいオフィスに移転しベテラン社員が定年退職で数人辞め、オフィス内は若手社員の新人ばかりでした。この時、キット北村のクセが分かっているベテラン社員がいれば、危険人物のキット北村をフリーにはしなかった事でしょう。若手社員はまだ自分の仕事で手一杯だったので、キット北村は右も左もまだ分からない倉庫管理の若手社員を引き連れ、プロロゴの倉庫の中で自由に宝探しをしていました。

この翌年から、プロロゴオフィス内でのキット北村の行動は常に監視される事となりましたが時すでに遅し。既にプロロゴ社の倉庫内を隅から隅まで熟知してしまいました。

倉庫管理の若手社員を引き連れ、プロロゴの倉庫の中で自由に宝探しをしました (c)服部産業

プロ選手用の機材置き場を求めて倉庫の奥へと突き進みました。この直感がポガチャルサドル販売のスタートとなりました (c)服部産業

何故倉庫の奥を探索したのか?それは経験上、プロチームに供給する機材サプライヤーはほぼ必ずと言って良いほど、プロ選手用の機材置き場が存在すると思っていたからです。“きっとプロロゴ社にもあるはずだ!”と思いプロロゴの倉庫の奥へと直行しました。結果的にこの時の直感的な行動が、日本市場でのポガチャルサドル販売のスタートに繋がりました。

予想通り、通常の販売ラインではなくプロ選手供給用のサドル置き場を倉庫の奥に発見しました。その中でも目立ったのが黄色い色のサドルでした。それは2020年タデイ・ポガチャル選手のツール初制覇記念サドルの予備でした。通常の販売用ではなく選手供給用なので、化粧箱も台紙も付属していませんでしたが、色鮮やかな大きな黄色い座面が目に飛び込んできました。倉庫にはたった7個しかなかったので即時全て確保し、速やかに日本へと発送。

プロロゴ SCRATCH M5(ポガチャル初制覇記念モデル) (c)Prologo

プロロゴ SCRATCH M5(ポガチャル2連覇記念モデル) (c)服部産業

また当時はポガチャル選手がまだ大ブレイク前でしたし、初制覇モデルは少量しか入手出来なかったので、このツール第1弾サドルを購入された方は超貴重です。ポガチャルサドルコレクターなるご趣味の方がいるとしたら、一番入手し難いサドルでしょう。

ツール初制覇記念サドルが7個しか仕入れられなかったので、後日、購入出来なかった販売店さんから「うちも欲しかったのに!」との苦情を受け、次の機会があるとすれば、日本市場に必要な量を最低限生産する事にしました。また、ツール初制覇記念サドルは黄色の座面が大きく、コーディネートし難いデザインだったので、2021年ツール2連覇記念モデルでは黒い座面を大きくし、色々なカラーリングの自転車に合うような物が出来上がりました。この第2弾までがポガチャルの狼ロゴマーク入りです。

2023年はツール総合優勝はできませんでしたが、マイヨブランを連続獲得したことで白いサドルを作るアイディアが生まれました (c)服部産業

2022年、2023年とツールで大活躍をするものの、マイヨジョーヌには手が届きませんでした。総合優勝3回目にはならなかったので当時(2023年冬)シグネチャーサドルは作れないと思っていましたが、この時、連続マイヨブランを獲得し続けているので、突然白いサドルを作るアイディアが生まれました。今まで黒いポガチャルサドルしか作って来なかったので、結果的に白いサドルは目新しくて良かったですね。この第3弾から狼ロゴマークではなく、ポガチャル選手のヘルメットから飛び出る髪の毛をイメージしたロゴマークに変更となりました。

2024年2月、プロロゴ本社でミーティングをしていると、たまたまUAEチーム側のアナウンスを耳にしてしまいました。“どうもジロ・デ・イタリアにタデイ・ポガチャル選手が出場するらしい!?”今年はパリ五輪があり、オリンピックイヤーというのはいつもレーススケジュールが複雑になります。

ジロ・デ・イタリアの表彰で使うプロセッコを味見させて頂きました (c)服部産業

“ポガチャル選手がダブルツールを狙うならそんな年の方が良いだろうと思っていたのだろうか?それともジロ、ツール共にポガチャル選手に向いたコース設定だと思っていたのだろうか?”そんな事を想像していましたが、まさかポガチャル選手が今年のジロ・デ・イタリアを完全優勝するなんて思いもよりませんでした。ポガチャル選手のジロ・デ・イタリアを祝していたわけではありませんが、プロロゴオフィスに置いてあったジロ・デ・イタリアの表彰で使うプロセッコを味見させて頂きました。

プロロゴのマリアローザ柄のサドルと言えば、アルベルト・コンタドール選手のピンクのロード用サドルを思い出します (c)服部産業

TTサドルもマリアローザカラーでした (c)服部産業

プロロゴのマリアローザ柄のサドルと言えば、真っ先にアルベルト・コンタドール選手のピンクのロード用サドルとTTサドルを思い出しますね。アルベルト・コンタドール選手が2011年にジロ・デ・イタリア総合優勝したもののドーピング違反で降格となり、ウィリエールに乗ったミケーレ・スカルポーニ選手が繰り上げ総合優勝になったので、鮮明に憶えています。プロロゴ社としては久しぶりのマリアローザ柄の登場ですね。

ポガチャル選手はジロ・デ・イタリアに続きツール・ド・フランスも完全優勝してしまいました (c)服部産業

2024年8月現在、ジロ・デ・イタリアに続きツール・ド・フランスも完全優勝してしまいました。この若者の強さは桁外れですね。ステージレースもワンデイレースも勝ちまくるポガチャル選手の強さは、昨今のプロロードレースの常識からは考えられません。そして、2024年度ツール・ド・フランスではマイヨジョーヌ柄のナゴR4サドルに乗っていました。

2024年夏季休暇で奥様と日本に遊びに来られたプロロゴのサルヴァトーレGM。以前から京都観光のためキット北村にツアーガイドを依頼されていたのですが、『お土産は何が良い?』と聞かれて、迷うことなく「ポガチャル選手のサイン入りの何かが欲しい!」と言っていました。

トム・ピッドコックのアルカンシェルサドルを手にしたプロロゴのサルヴァトーレ・トゥルーリオGM photo:Makoto AYANO

2024年夏季休暇で奥様と日本に遊びに来られたプロロゴのサルヴァトーレGM (c)服部産業

ポガチャル選手のサイン入りのマイヨジョーヌサドルです。プロトタイプの非売品とのこと (c)服部産業

本当にポガチャル選手のサインを頂けるなんて思ってもいませんでしたが、サルヴァトーレGMが来日の際に素敵なお土産を持って来てくれました。ポガチャル選手のサイン入りのマイヨジョーヌサドルです。サルヴァトーレGM曰く『お前が欲しがっていたから、ツール・ド・フランス最終日前日にポガチャル選手にお願いしてサインをもらったよ。このサドル自体がプロトタイプの非売品だからね。』との事でした。

ウィリエールがサポートしたチャンピオン達のサイン入りジャージはいくつか持っていて、既に会社のショールームや展示会で飾っているのですが、プロロゴがサポートする選手のサイン入りの物は何も持っていなかったので、プロロゴのスペシャルな物が飾れることになりとても嬉しかったです。

キット北村さんのポガチャルのシグネチャーサドルコレクション (c)服部産業

Report:Kitto Kitamura
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