同日に2レースが行われたツール・ド・フランス・ファム2日目。スプリント決着となった第2ステージはシャーロッテ・コール(オランダ、DSMフィルメニッヒ・ポストNL)が2連勝を決め、個人TTで争われた第3ステージはデミ・フォレリング(オランダ、SDワークス・プロタイム)が最速タイムでマイヨジョーヌを手に入れた。



8月13日(火)第2ステージ
ドルトレヒト〜ロッテルダム 69.7km(平坦)


前日ステージを制し、マイヨジョーヌを着て登場したシャーロッテ・コール(オランダ、DSMフィルメニッヒ・ポストNL) photo:CorVos

自転車大国オランダを舞台としたツール・ド・フランス・ファム・アヴェク・ズイフト(UCIワールドツアー)の2日目は、同日に2つのレースが行われた。ダブルヘッダーの一つ目はドルトレヒトからロッテルダムに向かう69.7kmのロードレース。丘一つない平坦路のため前日に続く集団スプリントが予想された。

前日勝者でマイヨジョーヌを着るシャーロッテ・コール(オランダ、DSMフィルメニッヒ・ポストNL)を先頭とする集団が午前10時にスタート。直後に7名が巻き込まれる落車が発生し、その中にはパリ五輪の個人TTで銀メダルに輝いたアンナ・ヘンダーソン(イギリス、ヴィスマ・リースアバイク)の姿も。しかし皆大きな怪我なくメイン集団に復帰し、逃げを目指す選手が現れないプロトンをFDJスエズやSDワークス・プロタイムがコントロールした。

単独逃げを披露したオードリー・デケースマイケル(ベルギー、ロット・デスティニー) photo:CorVos

前日も逃げに選手を送ったラボラル・クチャ・ファンダシオン・エウスカディから、この日はラウラ・トマージ(イタリア)が残り43km地点で飛び出す。しかしこれは決まらず、今度はシクロクロス出身のオードリー・デケースマイケル(ベルギー、ロット・デスティニー)がアタック。一方のプロトンはエーススプリンターのエリーザ・バルサモ(イタリア)を擁するリドル・トレックが牽引した。

敢闘賞を獲得したデケースマイケルを残り10kmで吸収した集団は徐々にスピードを増しながらロッテルダムの市街地を駆けていく。前日7位ミレーヌ・デズート(オランダ)のためにセラティツィット・WNTプロサイクリングが集団先頭に人数を固めるなか、残り3kmでリブ・アルウラー・ジェイコのルビー・ローズマンギャノンとアンバー・ペイト(共にオーストラリア)が落車するシーンも。ハイペースに集団は50名程度に絞られ、ヨーロッパ王者のミーシャ・ブレーデウォルツ(オランダ、SDワークス・プロタイム)を先頭にフラムルージュ(残り1km)を通過した。

ウィーベスを下し、2連勝を飾ったシャーロッテ・コール(オランダ、DSMフィルメニッヒ・ポストNL) photo:CorVos

SDワークスの盤石なトレインからロレーナ・ウィーベス(オランダ)が先んじてスプリントを開始する。そのスピードにマリアンヌ・フォス(オランダ、ヴィスマ・リースアバイク)が引き離される一方、フォスからウィーベスの背後に乗り換えたシャーロッテ・コール(オランダ、DSMフィルメニッヒ・ポストNL)がウィーベスに並ぶ。そしてフィニッシュ直前でコールがウィーベスを追い抜いた。

前日に続き母国オランダで大会2連勝を決めたコール。「集団の少し後ろからのスプリントを強いられたものの、冷静さを失わず勝利を掴んだ。初日に続き、今日はマイヨジョーヌで勝つことができた。2週間前には想像もしなかった結果だ」と喜んだ。

マイヨジョーヌを守ったシャーロッテ・コール(オランダ、DSMフィルメニッヒ・ポストNL) photo:CorVos




8月14日(水)第3ステージ
ロッテルダム〜ロッテルダム 6.3km(個人TT)


黄金のヘルメットとバイクを初披露したグレース・ブラウン(オーストラリア、FDJスエズ)が photo:A.S.O.

第3ステージの個人タイムトライアルは同日の午後3時15分から行われた。コースはTTスペシャリストに有利な6.3kmの平坦路。そのためウィーベスのような高出力で踏み続けるスプリンターにもチャンスのあるレイアウトだ。

総合最下位のマギー・コールズリスター(カナダ、ローランド)から1分間隔でスタートが切られ、序盤に出走した中ではエレナ・ピッローネ(イタリア、ローランド)が7分44秒のトップタイムをマーク。そして64番目に直近のパリ五輪TTの金メダリスト、グレース・ブラウン(オーストラリア、FDJスエズ)がスタート。初披露となった金色のヘルメットとバイクで勢いよく飛び出したブラウンだったが、後輪のパンクで勝利を逃した。

トップタイムを更新したTT世界王者のクロエ・ダイガート(アメリカ、キャニオン・スラム) photo:A.S.O.

その後ルース・アドヘースツ(オランダ、FDJスエズ)がマークした最速タイムにエレン・ファンダイク(オランダ、リドル・トレック)は1秒届かず、TT世界王者クロエ・ダイガート(アメリカ、キャニオン・スラム)がスタートを切る。アルカンシエルを纏ったダイガートは3.9kmの中間計測をトップタイムで通過し、フィニッシュラインでアドヘースツのタイムを0.17秒更新。ホットシートに座り後続の結果を待った。

そして125番手にスタートを切ったのは大会2連覇を目指すデミ・フォレリング(オランダ、SDワークス・プロタイム)。中間計測ではダイガートと同タイムをマークしたフォレリングは、ダイガートのタイムを5秒更新する圧巻の走りでステージ優勝に輝いた。

ダイガートを5秒上回り、ステージ優勝したデミ・フォレリング(オランダ、SDワークス・プロタイム) photo:A.S.O.

ステージ優勝したフォレリングは総合でも首位に浮上。「予想外の勝利。私が勝つには距離が短すぎると思っており、リラックスして臨むことができた。力が抜けすぎていると思ったぐらい。でもそれが良い結果に繋がり、母国でマイヨジョーヌを着用することができた」と語ったフォレリングが、母国オランダでマイヨジョーヌ姿を披露した。

マイヨジョーヌに袖を通したデミ・フォレリング(オランダ、SDワークス・プロタイム) photo:A.S.O.

ツール・ド・フランス・ファム2024第2ステージ
1位 シャーロッテ・コール(オランダ、DSMフィルメニッヒ・ポストNL) 1:32:49
2位 ロレーナ・ウィーベス(オランダ、SDワークス・プロタイム)
3位 マリアンヌ・フォス(オランダ、ヴィスマ・リースアバイク)
4位 ロッタ・レピスト(フィンランド、EFオートリー・キャノンデール)
5位 エリーザ・バルサモ(イタリア、リドル・トレック)
6位 ラケーレ・バルビエーリ(イタリア、DSMフィルメニッヒ・ポストNL)
7位 ミレーヌ・デズート(オランダ、セラティツィット・WNTプロサイクリング)
8位 マギー・コールズリスター(カナダ、ローランド)
9位 マルティナ・アルツィニ(イタリア、コフィディス・ウィメン)
10位 プック・ピーテルセ(オランダ、フェニックス・ドゥクーニンク)
ツール・ド・フランス・ファム2024第3ステージ
1位 デミ・フォレリング(オランダ、SDワークス・プロタイム) 7:25
2位 クロエ・ダイガート(アメリカ、キャニオン・スラム) +0:05.21
3位 ルース・アドヘースツ(オランダ、FDJスエズ) +0:05.38
4位 セドリーヌ・ケルバオル(フランス、セラティツィット・WNTプロサイクリング) +0:05.50
5位 クリステン・フォークナー(アメリカ、EFエデュケーション・キャノンデール) +0:06.15
6位 エレン・ファンダイク(オランダ、リドル・トレック) +0:06.74
7位 ロレーナ・ウィーベス(オランダ、SDワークス・プロタイム) +0:09.32
8位 ミーシャ・ブレーデウォルツ(オランダ、SDワークス・プロタイム) +0:09.58
9位 エマセシル・ノルスゴー(デンマーク、モビスター) +0:10.47
10位 アンナ・ヘンダーソン(イギリス、ヴィスマ・リースアバイク) +0:11.51
マイヨジョーヌ(個人総合成績)
1位 デミ・フォレリング(オランダ、SDワークス・プロタイム) 4:27:54
2位 ロレーナ・ウィーベス(オランダ、SDワークス・プロタイム) +0:03
3位 クロエ・ダイガート(アメリカ、キャニオン・スラム) +0:05
4位 ルース・アドヘースツ(オランダ、FDJスエズ)
5位 シャーロッテ・コール(オランダ、DSMフィルメニッヒ・ポストNL)
6位 セドリーヌ・ケルバオル(フランス、セラティツィット・WNTプロサイクリング)
7位 クリステン・フォークナー(アメリカ、EFエデュケーション・キャノンデール) +0:06
8位 エレン・ファンダイク(オランダ、リドル・トレック)
9位 ミーシャ・ブレーデウォルツ(オランダ、SDワークス・プロタイム) +0:09
10位 エマセシル・ノルスゴー(デンマーク、モビスター) +0:10
マイヨヴェール(ポイント賞)
1位 シャーロッテ・コール(オランダ、DSMフィルメニッヒ・ポストNL) 100pts
2位 マリアンヌ・フォス(オランダ、ヴィスマ・リースアバイク) 61pts
3位 ロレーナ・ウィーベス(オランダ、SDワークス・プロタイム) 39pts
マイヨアポワ(山岳賞)
1位 クリスティーナ・トネッティ(イタリア、ラボラル・クチャ・ファンダシオン・エウスカディ) 2pts
2位 ルビー・ローズマンギャノン(オーストラリア、リブ・アルウラー・ジェイコ) 1pts
マイヨブラン(ヤングライダー賞)
1位 アンニーナ・アフトサロ(フィンランド、ウノエックス・モビリティ) 4:28:15
2位 プック・ピーテルセ(オランダ、フェニックス・ドゥクーニンク) +0:01
3位 シリン・ファンアンローイ(オランダ、リドル・トレック) +0:05
チーム総合成績
1位 SDワークス・プロタイム 13:24:00
2位 ヴィスマ・リースアバイク +0:23
3位 リドル・トレック +0:26
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos

最新ニュース(全ジャンル)