ブエルタ・ア・エスパーニャの前哨戦であるブエルタ・ア・ブルゴスが閉幕。超級山岳にフィニッシュするクイーンステージをセップ・クス(アメリカ、ヴィスマ・リースアバイク)が制し、2連覇の懸かるブエルタに向け弾みをつけた。



ブエルタ・ア・ブルゴスに出場する選手たちをひまわり畑が出迎えた photo:CorVos

ブエルタ・ア・エスパーニャの開幕を約2週間後に控えたスペインにて、第46回目ブエルタ・ア・ブルゴス(UCI2.Pro)が行われた。1946年の初開催から1981年に復活し、近年はブエルタの前哨戦に位置づけられる本大会。スプリントステージから超級山岳にフィニッシュする山岳ステージ、そして個人タイムトライアルとバランスのよい5日間のステージレースだ。

出場したのはセップ・クス(アメリカ、ヴィスマ・リースアバイク)やナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)、テイオ・ゲイガンハート(イギリス、リドル・トレック)と行ったブエルタの総合優勝を争う選手たち。クスにとってはコロナ感染の回復が間に合わず、急遽不出場となったツール・ド・フランスからの復帰戦となった。

スペイン北部のカスティーリャ・イ・レオン州ブルゴスにフィニッシュする初日は、集団スプリントで決着。モビスターのトレインからイバン・ガルシア(スペイン)がスプリントし、フィニッシュ手前で追い抜いた21歳のパヴェル・ビットネル(チェコ、DSMフィルメニッヒ・ポストNL)がプロ勝利を掴んだ。

初日スプリントを制したパヴェル・ビットネル(チェコ、DSMフィルメニッヒ・ポストNL) photo:CorVos

3級山岳にフィニッシュした2日目はカレブ・ユアン(オーストラリア、ジェイコ・アルウラー)が勝利 photo:CorVos

3級山岳の頂上にフィニッシュする丘陵ステージの2日目は、残り33kmでキンタナをきっかけとした集団落車が発生。総合優勝候補であるゲイガンハートやダミアーノ・カルーゾ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス)がリタイアするなか、集団の高速な登坂スピードに食らいついたカレブ・ユアン(オーストラリア、ジェイコ・アルウラー)が勝利した。

大会3日目は終盤に3級、1級を越え、超級山岳ラグナス・デ・ネイラ(距離11km/平均5.5%)にフィニッシュするクイーンステージ。逃げを捉え、集団の人数が絞られた残り1.6kmでクスがアタック。唯一追従したジェフェルソン・セペダ(エクアドル、カハルラル・セグロスRGA)を引き離し、クスが勝利と共に総合首位に立った。

クイーンステージを制し、総合首位に立ったセップ・クス(アメリカ、ヴィスマ・リースアバイク) photo:CorVos

4日目の個人タイムトライアルで優勝したジェイ・ヴァイン(オーストラリア、UAEチームエミレーツ) photo:CorVos

18.5kmの平坦路で行われた個人タイムトライアルは、今年4月に脊椎骨を骨折したジェイ・ヴァイン(オーストラリア、UAEチームエミレーツ)が19分51秒のトップタイムで復活勝利。クスは43秒遅れの区間15位だったものの、マックス・プール(イギリス、DSMフィルメニッヒ・ポストNL)と5秒差で首位を守った。

最終日に今大会2勝目を飾ったパヴェル・ビットネル(チェコ、DSMフィルメニッヒ・ポストNL) photo:CorVos

大会最終日は細かなアップダウンが設定されたスプリントステージ。パトリック・ガンパー(オーストリア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)らワールドチームの3名が逃げ、粘りを見せたものの残り500mでプロトンが吸収。先行したガルシアをフィニッシュ手前でビットネルが抜き、大会2勝目を掴んだ。

「第1ステージよりも少し難しいレイアウトだったが、残り2kmで僕らは先頭に立った。脚に力を感じていたが、向かい風だったのでスプリントのタイミングを待った。大会2勝目を挙げ、チームメイトのマックス・プールが総合2位なんて信じられない結果。次のレースに向けモチベーションが高まった」と、21歳でプロ初勝利から早くも2勝目を飾ったビットネルは喜んだ。

区間2勝と躍進したパヴェル・ビットネル(チェコ、DSMフィルメニッヒ・ポストNL) photo:CorVos

ブエルタ・ア・ブルゴス2024総合表彰台:2位プール、1位クス、3位フィッシャーブラック photo:CorVos

一方で、総合優勝を決めたクスは「この勝利の価値は大きく、総合優勝できるとは思っていなかった。次なるレースに向けて自信になったよ」とコメントした。

この後クスは8月10日のドノスティア・サンセバスチャン・クラシコアに、ヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク)と共に出場予定。そして8月17日にポルトガル・リスボンで開幕するブエルタに臨む。
第1ステージ結果
1位 パヴェル・ビットネル(チェコ、DSMフィルメニッヒ・ポストNL) 4:02:26
2位 ジャコモ・ニッツォーロ(イタリア、Q36.5プロサイクリング)
3位 イバン・ガルシア(スペイン、モビスター)
第2ステージ結果
1位 カレブ・ユアン(オーストラリア、ジェイコ・アルウラー) 3:59:43
2位 ロジャー・アドリア(スペイン、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)
3位 イバン・ガルシア(スペイン、モビスター)
第3ステージ結果
1位 セップ・クス(アメリカ、ヴィスマ・リースアバイク) 3:22:05
2位 ロレンツォ・フォルトゥナート(イタリア、アスタナ・カザクスタン) +0:07
3位 ジェフェルソン・セペダ(エクアドル、カハルラル・セグロスRGA)
第4ステージ結果
1位 ジェイ・ヴァイン(オーストラリア、UAEチームエミレーツ) 19:51
2位 エドアルド・アッフィニ(イタリア、ヴィスマ・リースアバイク) +0:11
3位 アントニオ・ティベーリ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス) +0:12
第5ステージ結果
1位 パヴェル・ビットネル(チェコ、DSMフィルメニッヒ・ポストNL) 3:24:28
2位 ニコロ・パリジーニ(イタリア、Q36.5プロサイクリング)
3位 イバン・ガルシア(スペイン、モビスター)
個人総合成績
1位 セップ・クス(アメリカ、ヴィスマ・リースアバイク) 15:09:06
2位 マックス・プール(イギリス、DSMフィルメニッヒ・ポストNL) +0:05
3位 フィン・フィッシャーブラック(ニュージーランド、UAEチームエミレーツ) +0:34
その他の特別賞
ポイント賞 パヴェル・ビットネル(チェコ、DSMフィルメニッヒ・ポストNL)
山岳賞 ディエゴ・セビーリャ(スペイン、ポルティ・コメタ)
ヤングライダー賞 マックス・プール(イギリス、DSMフィルメニッヒ・ポストNL)
チーム総合成績 ヴィスマ・リースアバイク
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos

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