本日7月27日(土)の個人タイムトライアルから、パリ2024オリンピックの自転車競技がスタート。パリ市街地の32.4kmコース(男女共通)で女子はダイガートやフォレリングが争い、男子はエヴェネプールとファンアールトのベルギーにガンナやマクナルティが挑む。



試走するロッテ・コペッキー(ベルギー) photo:CorVos

ニースで閉幕したツール・ド・フランスから6日後の7月27日(土)、同じフランスでパリ2024オリンピックが開幕した。1896年の第1回大会(アテネ)から途切れることなく行われている自転車競技はロードレースとマウンテンバイク、BMX、トラックの4種目が実施され、本日の個人タイムトライアル(男女)からスタートする。

自転車競技スケジュール
7月27日(土):ロードタイムトライアル(男女)
7月28日(日):MTB(女子)
7月29日(月):MTB(男子)
7月30日(月)〜8月3日(土):BMX(男女)
8月3日(土):ロードレース(男子)
8月4日(日):ロードレース(女子)
8月6日(火)〜11日(日):トラック(男女)

パリ2024オリンピックタイムトライアル コースマップ image:IOC/Paris2024
パリ2024オリンピックタイムトライアル コースプロフィール image:IOC/Paris2024

コースは五輪史上初となる男女共通のコース&距離となる。フランスの英雄ナポレオンが眠るアンヴァリッドを出発した選手たちは、バスティーユ広場やヴェロドローム・ド・ヴァンセンヌ(自転車競技場)、ヴァンセンヌの森を通過してアンヴァリッドに戻ってくる32.4kmコースで争う。鋭角なコーナーは多いものの、起伏のない平坦路のためTTスペシャリストがその実力をいかんなく発揮できるレイアウトだ。

出場するのは女子35名、男子34名の選手たち。日本時間の午後9時30分に女子の1人目が走り出し、その後は1分半の間隔でスタートを切っていく。男子レースは日本時間午後11時32分からだ。



ブラウンやフォレリング、コペッキーに注目の女子

2023年のロード世界選手権個人TTで優勝したクロエ・ダイガート(アメリカ) photo:CorVos

昨年8月に行われたTT世界選手権を制し、現世界王者として臨むのはクロエ・ダイガート(アメリカ)。しかし今シーズンはアキレス腱の怪我や新型コロナウイルス感染の影響で3月のクラシックレース(3戦)しか出場できておらず、状態が不安視されている。

東京五輪の金メダリスト(ファンフルーテン)と銅メダリスト(ファンデルブレッヘン)が引退し、銀メダリストである欧州王者マーレン・ローセル(スイス)も体調不良が長引き不出場。そのため同大会で4位だったグレース・ブラウン(オーストラリア)が優勝候補の1人に挙げられる。また、それぞれが国内TT王者であるアンナ・ヘンダーソン(イギリス)やエリーザ・ロンゴボルギーニ(イタリア)の走りにも注目だ。

デミ・フォレリング(オランダ)とロッテ・コペッキー(ベルギー) photo:CorVos

共に女子ワールドツアーを席巻するSDワークス・プロタイム所属のデミ・フォレリング(オランダ)と現ロード世界王者ロッテ・コペッキー(ベルギー)は、その強さをTTでも発揮できるか。特にオランダの新エースであるフォレリングは母国の大会連覇が懸かっている。



エヴェネプールとファンアールトが揃うベルギー

ワウト・ファンアールトとレムコ・エヴェネプールを揃えるベルギー代表 photo:CorVos

優勝候補の筆頭は現TT世界王者のレムコ・エヴェネプール(ベルギー)。総合3位でツールを終えた直後ではあるものの、起伏のないコースはエヴェネプール向き。また同じベルギーからワウト・ファンアールトが出場するため、2人が金&銀メダルを獲得しても驚きはない。

パリ五輪に向け万全の準備で臨むのは、過去2度のTT世界王者に輝いているフィリッポ・ガンナ(イタリア)。今年はジロ・デ・イタリアに出場後、6月にイタリア選手権3連覇を成し遂げてからツアー・オブ・オーストリアで区間1勝と丁寧にコンディションを作ってきた。またアメリカ代表としては、今季ワールドツアーの個人TTで2勝とTT国内選手権を制したブランドン・マクナルティも時間をかけて調整を進めてきており、22歳のマグナス・シェフィールドと共にメダルを目指す。

フィリッポ・ガンナ(イタリア) photo:CorVos

TTヨーロッパ王者ジョシュア・ターリング(イギリス) photo:CorVos

若手ならば昨年19歳にしてTTヨーロッパ選手権を制したジョシュア・ターリング(イギリス)に注目。他には純粋なTTスペシャリストであるシュテファン・キュング(スイス)やU23のTT世界選手権で3連覇した経歴を持つミッケル・ビョーグ(デンマーク)、2022年のTT世界王者トビアス・フォス(ノルウェー)、ルーク・プラップ(オーストラリア)らの走りも見逃せない。

また東京五輪の金メダリストであるプリモシュ・ログリッチ(スロベニア)はツールで骨折したため不出場。タデイ・ポガチャルもロード世界選手権に注力するため出場を回避し、スロベニア代表に選ばれたヤン・トラトニクは全体で2番手出走という不利な状況を跳ね返せるか。

text:Sotaro.Arakawa