「カラパスとイェーツを捉えた時、既に限界に達していた」とは、圧巻の走りで区間4勝目を飾ったタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)の言葉。総合2位の保持に目標を切り替えたヴィンゲゴーなど、ツール第19ステージを終えた選手たちのコメントを紹介します。



ステージ優勝&マイヨジョーヌ タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)

ヴィンゲゴーとエヴェネプールを引き離すタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) photo:CorVos

ツール・ド・フランスのクイーンステージに登場したボネットは恐ろしい登りだったよ。トレーニングでは最後の数kmを走らなくていいから好きなんだけどね。今日は脚の調子が良く、ジロ・デ・イタリアとツールの間にここで1ヶ月のトレーニング合宿をしていたんだ。だから登りは熟知しており、その時既にレースプランを練っていた。今日はアタックしたポイントなど計画通りに実行できた。パーフェクトなレースとなった。

ボネットで僕らは良いペースを作り、ヨナス(ヴィンゲゴー)があそこで仕掛けてくると思っていた。だが同時に先頭集団もハイペースで進んでいたことを知り、彼らの目標がステージ優勝であると分かったんだ。でも、ステージも僕が獲ることになった。

4本指を立て、ステージ4勝をアピールしたタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) photo:CorVos

ラスト2kmは脚が空っぽになった。カラパスとサイモン・イェーツを捉えた時は既に限界に達していた。だがマッテオ(ヨルゲンソン)のペースが落ちたので踏み込み、彼を抜く時に脚を痛めつけながらスピードを上げた。彼が追いついてきてスプリントで負けるイメージがあったからね。彼は本当に強く、逃げ集団からステージ優勝を狙った選手たちを祝福したい。

十分なタイム差を稼ぐことができ、明日はレースを楽しんで走ることができそうだ。逃げ集団をいかせ、選手キャリアの大半を過ごしたコースを楽しみたい。深刻な事態に陥らないことを祈っている。

―ツール通算15勝目で、最多区間優勝記録まであと20勝だ。

このツールはステージ優勝を重ねられた素晴らしい大会となった。昨年は2勝だったのでこの2年間の平均を3勝とすることができた。だから(35勝までは)クレイジーなほど遠い記録だよ。

ステージ2位 マッテオ・ヨルゲンソン(アメリカ、ヴィスマ・リースアバイク)

逃げ集団を飛び出し、単独先頭に立ったマッテオ・ヨルゲンソン(アメリカ、ヴィスマ・リースアバイク) photo:CorVos

勝利にあと一歩だったのでもちろん悔しい。昨年も勝利に迫り(区間3位)、今日はできる限りを尽くしたのだが届かなかった。集中して走り、身体中の力を振り絞った。ポガチャルが迫っていると聞いた時、既に後方からプレッシャーを感じていた。筋肉の一本一本まで力を振り絞ったのだが、残念ながら報われなかった。

ステージ4位&マイヨアポワ リチャル・カラパス(エクアドル、EFエデュケーション・イージーポスト)

マイヨアポワ(山岳賞ジャージ)を得たリチャル・カラパス(エクアドル、EFエデュケーション・イージーポスト) photo:CorVos

今日一番の目的は山岳賞ジャージを手に入れること。チームメイトが僕を逃げ集団へと導いてくれ、可能な限りのポイントを掴みにいった。イゾラ2000ではステージ優勝を狙いにいったのだが、勾配が厳しくヨルゲンソンに食らいついた。でも遅れてしまい、またタデイにも抜かれてしまった。

でも今日の結果にはとても満足している。山岳の多いエクアドル出身の選手たちは皆、このジャージを夢見ている。マイヨアポワを着用する意味は大きく、最後まで守り抜きたい。

ステージ5位&総合3位&マイヨブラン レムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ)

1分41秒遅れで共にフィニッシュしたヴィンゲゴーとエヴェネプール photo:CorVos

開幕前にイメージしていたことは、山岳ステージを一つ一つこなしていくこと。タデイ(ポガチャル)は違う次元で走っており、逃げを捉えてステージ優勝するなんてクレイジーな走りだったよ。彼はいま最高潮にいる。だから今日は3つ(逃げ集団、ポガチャル、自分とヴィンゲゴー)のレースが行われていた。

―山岳で安定した走りができている理由はどこにあるのか。

ベースのトレーニングをしてきたからだろう。それで登りでのキャパシティを拡げ、回復の方法論も見直した。まだ伸びしろがあるものの、昨年以降と比べれば安定感は格段に向上している。また今日のような標高の高い登りでも力が発揮できることを証明した。いまの状態には満足しているよ。

ステージ6位&総合2位 ヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ヴィスマ・リースアバイク)

チームメイトに感謝を伝えるヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ヴィスマ・リースアバイク) photo:CorVos

調子が良くない日だった。ステージ優勝を狙い、前待ち作戦を行うためマッテオとウィルコ(ケルデルマン)が逃げに乗った。だがレースの後半に入ってから頭をステージ優勝から「タイムを失わないこと」に切り替えた。だからマッテオにステージ優勝を狙うチャンスを与えた。最後はタデイに捉えられたものの、素晴らしい走りをみせてくれた。

1ヶ月半しか準備期間がなかったのでこの結果はしょうがない。それに開幕した時から「総合優勝を争えるだけでクレイジー(上出来)だ」と言っていた。2週間半に渡り戦い続け、これで僕のマイヨジョーヌ争いは終わり。だが総合2位と3位争いは終わっていない。

彼はいまもの凄い高いレベルにいて、僕も同じような所に最初の2週間いた。だがいまは力が落ちてしまった。残り2日間はベストを尽くし、総合2位という順位を守りたい。

今晩は疲れたのでよく眠れるだろう。明日も今日と同じく、レムコの動きをマークすることになるだろう。総合優勝のためにリスクを取ることも構わないと思っていたが、いまの状態ではそれが最善策となる。

text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos

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