2024/07/16(火) - 12:20
アルプス山脈と終着地点ニースでの個人タイムトライアルで決する第111回ツール・ド・フランスのマイヨジョーヌ争い。シーム・ド・ラ・ボネットやイゾラ2000、クイヨールなど険しい山岳が組み込まれた第3週目をプレビューします。
7月16日(火)第16ステージ
グリュイッサン〜ニーム 188.6km(平坦)
極端にペースが「速い/遅い」と2極化する今年の平坦ステージ。それもこの日は”強風”で知られるこの地域の風次第となる。地中海に面したグリュイッサンから、アルプスの方角(北東)にあるニームに至るコースは188.6kmのトランジション(移動)ステージ。中間スプリント(残り92.5km)の手前から小高い丘を越え、4級山岳をクリアしてからもフラットがフィニッシュまで続いていく。
最終日がニースでの個人タイムトライアルのため、今大会最後となる平坦ステージ。ピュアスプリンターにとってのラストチャンスとなるか、はたまた逃げ切り決着か。アプローチの方向が異なるものの、ニームにフィニッシュした2021年の第12ステージもやはり強風の影響でスタート時刻が10分遅れている。すなわち全ては風次第だ。
フィニッシュ予定時刻:午前0時31分頃(日本時間)
7月17日(水)第17ステージ
サン・ポール・トロワ・シャトー〜シュペルデヴォリュイ 177.8km(山岳)
大会を通して逃げ切りに適したステージが少なく、また第2週目まで逃げ切り勝利はわずかに3つ。そんな逃げ屋たちの数少ないチャンスとなるのが、サン・ポール・トロワ・シャトーからシュペルデヴォリュイに向かう177.8kmの山岳ステージだ。
スタートから134.4kmまでは緩やかに標高を上げていく平坦路。一度下ってから2級山岳とボーナスタイムの設定された1級山岳ノワイエ峠(距離7.5km/平均8.1%)を連続で駆け上がる。フィニッシュ地点は一度下り、ツール初登場の3級山岳シュペルデヴォリュイ(距離3.8km/平均5.9%)の頂上だ。
大所帯の逃げが生まれることが予想されるため、序盤はハイペースで展開するだろう。その後、総合チームが逃げ切りを容認するかは逃げに入ったメンバー次第。容認を願う選手たちは総合上位につける選手が入らないことを祈るばかりだ。
フィニッシュ予定時刻:午後11時58分頃(日本時間)
7月18日(木)第18ステージ
ギャップ〜バルスロネット 179.5km(丘陵)
第19、20ステージは本格山岳、最終日は個人TTのため、これが最後の逃げ切りチャンスとなりそうだ。アルプスの真ん中を走るギャップからバルスロネットまでのコースは179.5km。5つの3級山岳が満遍なく散りばめられた、獲得標高差3,100mの丘陵ステージだ。
逃げ切りの鍵を握るであろう山岳は4つ目のサン・アポリネール(距離7km/平均5.5%)の登り…ではなく急勾配の下り坂。ラストはドモワゼル・コイフェ峠(距離3.6km/平均5.4%)を越え、ジワジワと登りながらフィニッシュ地点であるバルスロネットを目指す。
マイヨヴェールを着るビニヤム・ギルマイ(エリトリア、アンテルマルシェ・ワンティ)は軽量級の選手だが、このレイアウトで最後まで残るのは難しそう。クライマーはもちろんパンチャーが先行し、総合勢は静観することが大方の予想だ。
フィニッシュ予定時刻:午前0時30分頃(日本時間)
7月19日(金)第19ステージ
アンブラン〜イゾラ2000 144.6km(山岳/山頂フィニッシュ)
ここから最終日までの3日間、マイヨジョーヌを賭けた争いが続いていく。その初日はアルプスの南側を舞台とした山岳バトル。前日に通過したセール・ポンソン湖の端、アンブランを出発した選手たちはわずか21.1km(中間スプリント)で早くも平坦路と別れを告げる。超級、超級、1級山岳と3つの山岳(いずれも登坂距離15km超)が144.6kmのショートコースに詰め込まれ、獲得標高差4,400mが苦行を作り出す。
まず選手たちはヴァルス峠(距離18.8km/平均5.7%/標高2,109m)を越え、ダウンヒルから休む間もなく「フランスで最も高い舗装路」のある超級シーム・ド・ラ・ボネット(距離22.9km/平均6.9%/標高2,802m)に臨む。急勾配区間は後半に登場し、ラスト1kmは平均勾配が10%へと跳ね上がる。ちなみにボネット峠の頂上は山岳賞のポイントが最大40ptsと倍増されている。
約40kmの長い下りを経て、最後は1級山岳イゾラ2000(距離16.1km/平均7.1%)に頂上を目指す。ツールが最後にこの峠を訪れたのはミゲル・インドゥラインが総合優勝した1993年大会。この未知なる登坂は序盤に急勾配区間が設定され、フィニッシュに近づくにつれ勾配が緩やかとなっていく。
フィニッシュ予定時刻:午後11時28分頃(日本時間)
7月20日(土)第20ステージ
ニース〜コル・ド・ラ・クイヨール 132.8km(山岳/山頂フィニッシュ)
第111回ツール・ド・フランスも残すところあと2日。フィレンツェでの開幕から3週間が経過した戦いは、アルプスの最終山岳決戦に挑む。132.8kmと短距離コースに獲得標高差4,600mに達する4つのカテゴリー山岳が詰め込まれた、何とも過酷なレイアウトだ。
大会の終着地点であるニースをスタート後、まずは2級山岳ブロス(距離10km/平均6.6%)と1級山岳テュリニ(距離20.7km/平均5.7%)の登坂に取り掛かる。そして中間スプリントを経て始まるのがパリ〜ニースにも登場する1級山岳コルミアーヌ(距離7.5km/平均7.1%)。そしてフィニッシュ地点の待つ最終山岳は1級クイヨール(距離15.7km/平均7.1%)を駆け上がる。
平均勾配が二桁に達することはない峠だが、2023年のパリ〜ニースではタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)やヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ヴィスマ・リースアバイク)、ダヴィド・ゴデュ(フランス、グルパマFDJ)が熾烈なアタック合戦を繰り広げた場所。その時はポガチャルが秒差で勝利し、総合優勝を引き寄せた。
フィニッシュ予定時刻:午前0時18分頃(日本時間)
7月21日(日)第21ステージ
モナコ〜ニース 33.7km(個人タイムトライアル)
大会史上初の「パリ以外でのフィナーレ」に、世界的なリゾート地であるニースが選ばれたのは2022年12月のこと。そしてレース主催者は、その歴史的なステージに33.7kmの個人タイムトライアルを用意した。それも2箇所の登りつきだ。
スタート地点は多くのスター選手が居を構えるモナコ。序盤の平坦路はわずか3kmで終わり、早速選手たちは2級山岳(距離8km/平均5.8%)を登坂する。頂上の第1中間計測(11.2km)を経て短い下りを挟み、パリ〜ニースでお馴染みのエズ峠(距離1.6km/平均8.1%)を駆け上がる(第2中間計測:17.1km)。その後はニースのフィニッシュ地点まで下りと平坦路が続いていく。
1989年にグレッグ・レモンが起こした総合大逆転劇が再現されるようなレイアウトではないものの、最後まで見逃せないマイヨジョーヌ争いが繰り広げられる。そして最後は凱旋門ではなく、地中海を臨む風光明媚な表彰式だ。
フィニッシュ予定時刻:午前2時30分頃(日本時間)
text:Sotaro.Arakawa
image:A.S.O.
7月16日(火)第16ステージ
グリュイッサン〜ニーム 188.6km(平坦)
極端にペースが「速い/遅い」と2極化する今年の平坦ステージ。それもこの日は”強風”で知られるこの地域の風次第となる。地中海に面したグリュイッサンから、アルプスの方角(北東)にあるニームに至るコースは188.6kmのトランジション(移動)ステージ。中間スプリント(残り92.5km)の手前から小高い丘を越え、4級山岳をクリアしてからもフラットがフィニッシュまで続いていく。
最終日がニースでの個人タイムトライアルのため、今大会最後となる平坦ステージ。ピュアスプリンターにとってのラストチャンスとなるか、はたまた逃げ切り決着か。アプローチの方向が異なるものの、ニームにフィニッシュした2021年の第12ステージもやはり強風の影響でスタート時刻が10分遅れている。すなわち全ては風次第だ。
フィニッシュ予定時刻:午前0時31分頃(日本時間)
7月17日(水)第17ステージ
サン・ポール・トロワ・シャトー〜シュペルデヴォリュイ 177.8km(山岳)
大会を通して逃げ切りに適したステージが少なく、また第2週目まで逃げ切り勝利はわずかに3つ。そんな逃げ屋たちの数少ないチャンスとなるのが、サン・ポール・トロワ・シャトーからシュペルデヴォリュイに向かう177.8kmの山岳ステージだ。
スタートから134.4kmまでは緩やかに標高を上げていく平坦路。一度下ってから2級山岳とボーナスタイムの設定された1級山岳ノワイエ峠(距離7.5km/平均8.1%)を連続で駆け上がる。フィニッシュ地点は一度下り、ツール初登場の3級山岳シュペルデヴォリュイ(距離3.8km/平均5.9%)の頂上だ。
大所帯の逃げが生まれることが予想されるため、序盤はハイペースで展開するだろう。その後、総合チームが逃げ切りを容認するかは逃げに入ったメンバー次第。容認を願う選手たちは総合上位につける選手が入らないことを祈るばかりだ。
フィニッシュ予定時刻:午後11時58分頃(日本時間)
7月18日(木)第18ステージ
ギャップ〜バルスロネット 179.5km(丘陵)
第19、20ステージは本格山岳、最終日は個人TTのため、これが最後の逃げ切りチャンスとなりそうだ。アルプスの真ん中を走るギャップからバルスロネットまでのコースは179.5km。5つの3級山岳が満遍なく散りばめられた、獲得標高差3,100mの丘陵ステージだ。
逃げ切りの鍵を握るであろう山岳は4つ目のサン・アポリネール(距離7km/平均5.5%)の登り…ではなく急勾配の下り坂。ラストはドモワゼル・コイフェ峠(距離3.6km/平均5.4%)を越え、ジワジワと登りながらフィニッシュ地点であるバルスロネットを目指す。
マイヨヴェールを着るビニヤム・ギルマイ(エリトリア、アンテルマルシェ・ワンティ)は軽量級の選手だが、このレイアウトで最後まで残るのは難しそう。クライマーはもちろんパンチャーが先行し、総合勢は静観することが大方の予想だ。
フィニッシュ予定時刻:午前0時30分頃(日本時間)
7月19日(金)第19ステージ
アンブラン〜イゾラ2000 144.6km(山岳/山頂フィニッシュ)
ここから最終日までの3日間、マイヨジョーヌを賭けた争いが続いていく。その初日はアルプスの南側を舞台とした山岳バトル。前日に通過したセール・ポンソン湖の端、アンブランを出発した選手たちはわずか21.1km(中間スプリント)で早くも平坦路と別れを告げる。超級、超級、1級山岳と3つの山岳(いずれも登坂距離15km超)が144.6kmのショートコースに詰め込まれ、獲得標高差4,400mが苦行を作り出す。
まず選手たちはヴァルス峠(距離18.8km/平均5.7%/標高2,109m)を越え、ダウンヒルから休む間もなく「フランスで最も高い舗装路」のある超級シーム・ド・ラ・ボネット(距離22.9km/平均6.9%/標高2,802m)に臨む。急勾配区間は後半に登場し、ラスト1kmは平均勾配が10%へと跳ね上がる。ちなみにボネット峠の頂上は山岳賞のポイントが最大40ptsと倍増されている。
約40kmの長い下りを経て、最後は1級山岳イゾラ2000(距離16.1km/平均7.1%)に頂上を目指す。ツールが最後にこの峠を訪れたのはミゲル・インドゥラインが総合優勝した1993年大会。この未知なる登坂は序盤に急勾配区間が設定され、フィニッシュに近づくにつれ勾配が緩やかとなっていく。
フィニッシュ予定時刻:午後11時28分頃(日本時間)
7月20日(土)第20ステージ
ニース〜コル・ド・ラ・クイヨール 132.8km(山岳/山頂フィニッシュ)
第111回ツール・ド・フランスも残すところあと2日。フィレンツェでの開幕から3週間が経過した戦いは、アルプスの最終山岳決戦に挑む。132.8kmと短距離コースに獲得標高差4,600mに達する4つのカテゴリー山岳が詰め込まれた、何とも過酷なレイアウトだ。
大会の終着地点であるニースをスタート後、まずは2級山岳ブロス(距離10km/平均6.6%)と1級山岳テュリニ(距離20.7km/平均5.7%)の登坂に取り掛かる。そして中間スプリントを経て始まるのがパリ〜ニースにも登場する1級山岳コルミアーヌ(距離7.5km/平均7.1%)。そしてフィニッシュ地点の待つ最終山岳は1級クイヨール(距離15.7km/平均7.1%)を駆け上がる。
平均勾配が二桁に達することはない峠だが、2023年のパリ〜ニースではタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)やヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ヴィスマ・リースアバイク)、ダヴィド・ゴデュ(フランス、グルパマFDJ)が熾烈なアタック合戦を繰り広げた場所。その時はポガチャルが秒差で勝利し、総合優勝を引き寄せた。
フィニッシュ予定時刻:午前0時18分頃(日本時間)
7月21日(日)第21ステージ
モナコ〜ニース 33.7km(個人タイムトライアル)
大会史上初の「パリ以外でのフィナーレ」に、世界的なリゾート地であるニースが選ばれたのは2022年12月のこと。そしてレース主催者は、その歴史的なステージに33.7kmの個人タイムトライアルを用意した。それも2箇所の登りつきだ。
スタート地点は多くのスター選手が居を構えるモナコ。序盤の平坦路はわずか3kmで終わり、早速選手たちは2級山岳(距離8km/平均5.8%)を登坂する。頂上の第1中間計測(11.2km)を経て短い下りを挟み、パリ〜ニースでお馴染みのエズ峠(距離1.6km/平均8.1%)を駆け上がる(第2中間計測:17.1km)。その後はニースのフィニッシュ地点まで下りと平坦路が続いていく。
1989年にグレッグ・レモンが起こした総合大逆転劇が再現されるようなレイアウトではないものの、最後まで見逃せないマイヨジョーヌ争いが繰り広げられる。そして最後は凱旋門ではなく、地中海を臨む風光明媚な表彰式だ。
フィニッシュ予定時刻:午前2時30分頃(日本時間)
text:Sotaro.Arakawa
image:A.S.O.
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