2024/07/06(土) - 21:22
長野県・富士見パノラマリゾートで開幕した第37回MTB全日本選手権day1。短距離スピードレースとなるXCCで沢田時(宇都宮ブリッツェン)が3度目の優勝。女子はパリ五輪MTB代表選手の川口うらら(TEAM TATSUNO)が連覇した。マスターズでは岡本紘幸が2年ぶりの勝利を飾った。
昨年に引き続き富士見パノラマで2日間に渡り開催されるMTB全日本選手権。初日の種目は短距離の周回で競われるクリテリウム的なXCC=クロスカントリー・ショートトラックだ。
芝のゲレンデに設定されたのは1周770m・標高差25mのテクニカルかつアップダウンに富んだコース。ファーストラップのタイムにより周回数が設定されるが、レース時間では16分弱で決する短時間・高強度の激しいレースだ。
このXCCで上位を取ると、翌日のXCO(クロスカントリー・オリンピック)のスタート位置が最前列になるほか、優勝すればUCIポイントが50ポイント獲得できる。
エリート男子は多くが翌日にXCO種目出場を控える選手たち31人がスタートグリッドに並んだ。スタートから猛烈なスピードでダッシュがかけられ、ホールショットの松本一成(TEAM RIDE MASHUN/高崎健康福祉大学)を先頭にゲレンデの登りへと一斉に飛び出していく。
登りきった最高地点付近で2つの落車が発生。昨年覇者の北林力(Sunn factory racing)と平林安里(TEAM SCOTT CHAOYANG TERRA SYSTEM)が同時にそれぞれ単独で落車し、2人はほぼ最後尾まで順位を下げてから再乗車、追走することに。
先頭では沢田時(宇都宮ブリッツェン)、宮津旭(OLIVE)、竹内遼(MERIDA BIKING TEAM)、副島達海(大阪産業大学)、鈴木来人(アヴニールサイクリング山梨)らを含む7人のパックができる。
大きく出遅れた北林と平林の2人はやがて合流して、協力しあいながら追い上げ、次々と選手を抜きながら先頭集団を追い込んでいく展開に。しかし前のグループもアタックの応酬となり、スピードを緩めることがない。
残り4周では松本、沢田、宮津、竹内、副島の5人に絞られる。5人が後続を寄せ付けないペースに持ち込み、北林と平林はあと一歩のところまで迫ったものの、結局はその差を詰めることができなかった。
残り2周で沢田がアタックすると、着くことができたのは宮津と松本のみ。さらに最終周の登りで沢田がアタックして抜け出して宮津が追従するも、一旦下った後のスラローム区間の登りで再加速した沢田のスピードが勝っていた。
沢田は宮津を引き離したまま力強いガッツポーズを繰り出してフィニッシュ。XCCでは自身3度目、宇都宮ブリッツェン移籍後初の優勝を飾った。
チームブリヂストン時代に過去2回この種目を制している沢田にとって得意とも言えるレースだが、昨年はレース中にオールアウトになるミスをして痛恨の5位に終わった。この地での「忘れ物」を取りに来るために、その後のXCC種目のすべて勝って臨んだ全日本選手権だった。
沢田は言う。「周回数も多くて決まりにくいコース。最後まで誰が脚があるかを探りながら走っていました。最後は宮津君との戦いになって、最終周回の登りでアタックして前に出ないと勝てないと分かっていたので思い切って行きました」。
そして翌日の本戦とも言えるXCO(クロスカントリー・オリンピック)については「2位の宮津君は強かったし、明日は気温が上がって暑くなるので決して楽なレースにはならないはず」と話した。
昨年覇者の北林力(Sunn factory racing)は、結局は落車からの差を詰めることができず追い上げることを諦めた。「昨年もペダルキャッチミスで最後尾まで下がってからの優勝でしたが、今年は追い上げきれませんでした。落車の原因は、スタートの出遅れを取り返すために強引に割って入ろうとしてのクラッシュで、リスクをとりすぎました」と話す。
そして昨年圧勝ともいえる勝利を飾ったXCOについては次のように話す。「じつは体調が良くはないんです。冬に3回コロナに掛かってしまい、やっと走れるようにはなってきましたが、去年勝ったときのような好調はないです。でも今はようやく調子が戻ってきているので、賢く走って復調のきっかけにしたいと思っています」。
女子は川口うららが連覇
エントリー5人、年代別の選手と混走による7人のレースとなった女子XCC。ホールショットで小林あか里(弱虫ペダルサイクリングチーム)が先行し、川口うらら(TEAM TATSUNO)と石田唯(TRKWorks)の3人のパックができる。
後続を引き離してからはお互いアタックを掛け合う走りで順位を入れ替えるが、ラスト周回で川口がアタックして独走に持ち込み、余裕と大差をもって昨年に続くXCC連覇を達成した。
XCO種目ではパリ五輪代表選手に選ばれている川口は言う。「去年はギリギリ攻めすぎてしまって翌日のXCOに影響の残る走りをしてしまいましたが、今回は五輪代表を決めてからの全日本選手権ということで、今までとは違う、いろいろな気持ちが沸き出てきてしまって、今までに五輪に出た選手たちの凄さを実感しています。
結果だけじゃなく、過程においてもメンタルの強さを問われますね。今回の全日本は今まで以上のプレッシャーの中でのレースになります。自分の人間力を鍛えるいい機会だと感じていますから、明日のXCOはどんな結果になったとしても自分が納得できるレースをしたいと思います」。
マスターズは岡本紘幸が返り咲きの今季5勝目
74選手が出走したマスターズXCC。昨年覇者の白石真悟(シマノドリンキング)の出走は無し。ホールショットで先行したのは古郡今日史 (minzuu Bike)だったが、マスターズ常勝選手の岡本紘幸(NESTO FACTORY RACING)が慌てずに差を詰めていく。
2周目に古郡が一気にペースダウンしたあとは岡本の独走状態に。そのまま残り周回を後続に大差をつけたまま危なげなくこなし、顔の前で「今季5勝目」を意味するユニークな指五本ポーズでのウィニングフィニッシュを決めた。
岡本「スタートから古郡さんが勢いで行きましたが、先日のマスターズ世界選でご一緒した仲なので脚を知っており、そこは自分のペースを守っていこうと思いました。最後までミス無く押し切れば勝てることは分かっていたので、最後まで冷静に、そして楽しんで走りました」。
その他のクラスの上位入賞者たち
昨年に引き続き富士見パノラマで2日間に渡り開催されるMTB全日本選手権。初日の種目は短距離の周回で競われるクリテリウム的なXCC=クロスカントリー・ショートトラックだ。
芝のゲレンデに設定されたのは1周770m・標高差25mのテクニカルかつアップダウンに富んだコース。ファーストラップのタイムにより周回数が設定されるが、レース時間では16分弱で決する短時間・高強度の激しいレースだ。
このXCCで上位を取ると、翌日のXCO(クロスカントリー・オリンピック)のスタート位置が最前列になるほか、優勝すればUCIポイントが50ポイント獲得できる。
エリート男子は多くが翌日にXCO種目出場を控える選手たち31人がスタートグリッドに並んだ。スタートから猛烈なスピードでダッシュがかけられ、ホールショットの松本一成(TEAM RIDE MASHUN/高崎健康福祉大学)を先頭にゲレンデの登りへと一斉に飛び出していく。
登りきった最高地点付近で2つの落車が発生。昨年覇者の北林力(Sunn factory racing)と平林安里(TEAM SCOTT CHAOYANG TERRA SYSTEM)が同時にそれぞれ単独で落車し、2人はほぼ最後尾まで順位を下げてから再乗車、追走することに。
先頭では沢田時(宇都宮ブリッツェン)、宮津旭(OLIVE)、竹内遼(MERIDA BIKING TEAM)、副島達海(大阪産業大学)、鈴木来人(アヴニールサイクリング山梨)らを含む7人のパックができる。
大きく出遅れた北林と平林の2人はやがて合流して、協力しあいながら追い上げ、次々と選手を抜きながら先頭集団を追い込んでいく展開に。しかし前のグループもアタックの応酬となり、スピードを緩めることがない。
残り4周では松本、沢田、宮津、竹内、副島の5人に絞られる。5人が後続を寄せ付けないペースに持ち込み、北林と平林はあと一歩のところまで迫ったものの、結局はその差を詰めることができなかった。
残り2周で沢田がアタックすると、着くことができたのは宮津と松本のみ。さらに最終周の登りで沢田がアタックして抜け出して宮津が追従するも、一旦下った後のスラローム区間の登りで再加速した沢田のスピードが勝っていた。
沢田は宮津を引き離したまま力強いガッツポーズを繰り出してフィニッシュ。XCCでは自身3度目、宇都宮ブリッツェン移籍後初の優勝を飾った。
チームブリヂストン時代に過去2回この種目を制している沢田にとって得意とも言えるレースだが、昨年はレース中にオールアウトになるミスをして痛恨の5位に終わった。この地での「忘れ物」を取りに来るために、その後のXCC種目のすべて勝って臨んだ全日本選手権だった。
沢田は言う。「周回数も多くて決まりにくいコース。最後まで誰が脚があるかを探りながら走っていました。最後は宮津君との戦いになって、最終周回の登りでアタックして前に出ないと勝てないと分かっていたので思い切って行きました」。
そして翌日の本戦とも言えるXCO(クロスカントリー・オリンピック)については「2位の宮津君は強かったし、明日は気温が上がって暑くなるので決して楽なレースにはならないはず」と話した。
昨年覇者の北林力(Sunn factory racing)は、結局は落車からの差を詰めることができず追い上げることを諦めた。「昨年もペダルキャッチミスで最後尾まで下がってからの優勝でしたが、今年は追い上げきれませんでした。落車の原因は、スタートの出遅れを取り返すために強引に割って入ろうとしてのクラッシュで、リスクをとりすぎました」と話す。
そして昨年圧勝ともいえる勝利を飾ったXCOについては次のように話す。「じつは体調が良くはないんです。冬に3回コロナに掛かってしまい、やっと走れるようにはなってきましたが、去年勝ったときのような好調はないです。でも今はようやく調子が戻ってきているので、賢く走って復調のきっかけにしたいと思っています」。
女子は川口うららが連覇
エントリー5人、年代別の選手と混走による7人のレースとなった女子XCC。ホールショットで小林あか里(弱虫ペダルサイクリングチーム)が先行し、川口うらら(TEAM TATSUNO)と石田唯(TRKWorks)の3人のパックができる。
後続を引き離してからはお互いアタックを掛け合う走りで順位を入れ替えるが、ラスト周回で川口がアタックして独走に持ち込み、余裕と大差をもって昨年に続くXCC連覇を達成した。
XCO種目ではパリ五輪代表選手に選ばれている川口は言う。「去年はギリギリ攻めすぎてしまって翌日のXCOに影響の残る走りをしてしまいましたが、今回は五輪代表を決めてからの全日本選手権ということで、今までとは違う、いろいろな気持ちが沸き出てきてしまって、今までに五輪に出た選手たちの凄さを実感しています。
結果だけじゃなく、過程においてもメンタルの強さを問われますね。今回の全日本は今まで以上のプレッシャーの中でのレースになります。自分の人間力を鍛えるいい機会だと感じていますから、明日のXCOはどんな結果になったとしても自分が納得できるレースをしたいと思います」。
マスターズは岡本紘幸が返り咲きの今季5勝目
74選手が出走したマスターズXCC。昨年覇者の白石真悟(シマノドリンキング)の出走は無し。ホールショットで先行したのは古郡今日史 (minzuu Bike)だったが、マスターズ常勝選手の岡本紘幸(NESTO FACTORY RACING)が慌てずに差を詰めていく。
2周目に古郡が一気にペースダウンしたあとは岡本の独走状態に。そのまま残り周回を後続に大差をつけたまま危なげなくこなし、顔の前で「今季5勝目」を意味するユニークな指五本ポーズでのウィニングフィニッシュを決めた。
岡本「スタートから古郡さんが勢いで行きましたが、先日のマスターズ世界選でご一緒した仲なので脚を知っており、そこは自分のペースを守っていこうと思いました。最後までミス無く押し切れば勝てることは分かっていたので、最後まで冷静に、そして楽しんで走りました」。
その他のクラスの上位入賞者たち
MTB全日本選手権2024XCC(クロスカントリー・ショートトラック)リザルト
1位 | 沢田時(宇都宮ブリッツェン) | 0:17:01.15 |
2位 | 宮津旭(OLIVE) | +2.10 |
3位 | 松本一成(TEAM RIDE MASHUN/高崎健康福祉大学) | +17.62 |
4位 | 竹内遼(MERIDA BIKING TEAM) | +24.21 |
5位 | 副島達海(大阪産業大学) | +29.29 |
6位 | 平林安里(TEAM SCOTT CHAOYANG TERRA SYSTEM) | +45.25 |
女子エリート | ||
1位 | 川口うらら(TEAM TATSUNO) | 0:15:55.50 |
2位 | 小林あか里(弱虫ペダルサイクリングチーム) | +9.61 |
3位 | 石田唯(TRKWorks) | +16.73 |
男子ジュニア | ||
1位 | 野嵜然新(RACING TORQUE) | 0:16:16.09 |
2位 | 内野友太(Q-SHU UNION CJ UNIT) | +38.05 |
3位 | 坂本穣司(野跳の会) | -3Laps |
男子マスターズ | ||
1位 | 岡本紘幸(NESTO FACTORY RACING) | 0:16:57.96 |
2位 | 太田好政(AX MTB TEAM) | +56.19 |
3位 | 伊藤尚紀(TEAM GROVE) | +1:01.96 |
女子マスターズ | ||
1位 | 北島優子(パワースポーツ SICK) | 0:06:30.00 |
男子ユース | ||
1位 | 横山拓生(高知CTC) | 0:17:45.14 |
2位 | 川﨑利温 | -3Laps |
3位 | 今泉蒼人(Q-SHU UNION CJ UNIT) | -4Laps |
女子ユース | ||
1位 | 小林碧(Team ProRide) | 0:10:33.00 |
2位 | 神武奏帆(チーム輪工房) | -1Lap |
text&photo:Makoto AYANO
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