ポガチャルの勝利を支えるDMT POGI'Sをインプレッション

ジロ・デ・イタリアでお披露目されたタデイ・ポガチャルが使用するDMTの新型シューズ「POGI'S」。ポガチャルの勝利を支えるDMT POGI'SをCW編集部員の高木がインプレッションしていく。

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今年のジロ・デ・イタリアでお披露目されたタデイ・ポガチャル（スロベニア、UAEチームエミレーツ）が使用する新型シューズ、その名も「POGI'S」。ポガチャルのために開発されたシグネチャーモデルだ。

数々のレースを制し、タイトルを勝ち取った“KRSL”をベースとしたPOGI’Sには、近年のDMTレーシングシューズのアイコンでもあるフルエンジニアード3Dニットアッパーを採用。素材のしなやかさを最大限に活かした設計のアッパーに、プーリーを採用した新しいシューレースシステムが組み合わせられることで、これまで以上のフィット感を生み出した。

高強度のスーパーライトカーボンファイバーアウトソールが採用され、パワー伝達性能に優れる仕様になっている。また、アウトソールの広範囲に渡って通気口が配置されているため通気性にも優れている。

カラーはホワイトとブラック/グレーの2色展開。アッパーのみならずソールまでそれぞれホワイトとブラックとされている。外側に大きくブランドロゴ、踵の内側にはモデル名「POGI'S」のロゴが入る。アッパーの甲と踵の部分にオレンジのDMTロゴが挿し色で入るシンプルなデザインでウェアコーディネートしやすい。

シューレースは左側はオレンジ、右側はブラックのシューレースがセットされるアシンメトリー仕様。更に、オレンジとブラックがもう1つずつ付属してくるため、カラーカスタムを楽しむオシャレサイクリストにもぴったりな一足だ。

重量は42サイズで220g、42.5サイズでは227gだった。サイズは37〜45までが展開され、ハーフサイズも39.5〜43.5まで用意されているため、ご自身の足に合ったサイズも見つけやすいだろう。価格は¥59,800円（税込）で、取り扱いはミズタニ自転車。

それでは編集部インプレッションに移っていこう。

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―編集部インプレッション

今回、POGI'SをインプレッションするのはCW編集部の高木。足のサイズは27.0cm、普段のレースやトレーニングで着用しているジャイアントのシューズは42サイズ。シマノやスペシャライズドでは42サイズ、ジロやシディを履く場合は43サイズを選択している。また筆者の足は土踏まずのアーチは高め、親指の厚みがあり、母指球から小指球まで幅があるため、横幅が広めのブランドのシューズとの相性が良い。

これまでにDMTのロードシューズではKR1やSH1、KR10などをインプレッションしてきたが、どのモデルも42.5サイズがぴったりだった。今回は42.5と43サイズを借り受け、履き比べてみたが、前モデル"SH1"と同様のサイズ感で今回も42.5サイズがジャストサイズだった。

フルエンジニアード3Dニットアッパーの実力はこのPOGI’Sでも変わらず。歴代のDMTのシューズに通ずるしなやかさがあり、まるでソックスの上にソックスを履いているような錯覚を感じるほどの快適な履き心地だ。

BOAダイヤルやベルクロを使用しないシューレースタイプであるのはKRSLから継続しているが、新開発のプーリークロージャ―システムを搭載したのもポイント。シューレースを引っ張り上げて、締め付け具合が丁度よいところでシューレースを固定するパーツでロック。余った部分を安全に収納できるエアロセーフポケットに入れれば見た目もすっきり。ほぼダイヤルクロージャーシステムと変わらない手間で、しっかりとフィット感を調整可能なのは、シューレース式シューズへのハードルを下げてくれるだろう。

重量は42.5サイズでは227gと前作のPOGI'S KRSLよりも重量は増えているものの、プーリーを採用した新しいシューレースシステムのおかげで、足の甲の広範囲に渡って均一に締め付けていくことができる。締め付けに関しては甲のみでロックされている感覚で、足の甲のアーチに合わせて足に吸い付くようなフィット感となっている。ケーブル式クロージャーのシューズ、とくにアッパーの薄いタイプのモデルでは、足の形と合わないとダイヤルやケーブル受けのプラパーツに圧力がかかって痛みを発生させることもあるが、シューレースはそういった心配も少なく、柔らかなニットアッパーとベストマッチするシステムだと感じた。

今回は東京と神奈川を抜け、東京五輪のロードレースのコースでもある山梨県の道志みちを含む150kmのトレーニングライドや通勤ライドなどで、テストライドを行った。平坦もあるが、アップダウンを繰り返すコースとなっており、様々なペダリングを試すことができた。

早速スプリントをしてみると、一踏み一踏みが確実に推進力になっている感覚があった。パワー伝達性能に優れるカーボンアウトソールのおかげで、1000Wを超えるスプリントや登りのダンシングでパワフルに踏んだとしてもよじれることなく、剛性感とパワー伝達に優れているように感じる。

また、引き足を使うヒルクライムシーンでは、ニット素材が足首の動きに追従してくれるため、足全体を使ったダイナミックなペダリングが可能だ。シッティングでもダンシングでもペダリングのリズムを取りやすいのがPOGI'Sの特徴である。

アウトソールの形状やインソールの仕様が変わったせいか、これまでインプレッションしてきたDMTのシューズの中でも、土踏まずのアーチサポートが高くなっているように感じる。長時間のライドだと足裏も疲労し、土踏まずが下がってくるが、そういったシーンでもしっかりとサポートしアーチを支えてくれる。

指先に関してはニット素材のアッパーに覆われているが、締め付け感がなく、指で踏ん張りながらのペダリングもしやすい。さらに、シューズ内側にグリッパーが備えられ、踵のホールド力にも優れている。力強いペダリングでもシューズ内で足がずれにくく、安定かつ効率の良いペダリングを実現している。

湿度が高い梅雨時期のテストライドだったが、通気性に関してはアッパーのニット素材から全体的に風が抜けていく印象。さらに、パンチング加工の施されたインソールの前方部、アウトソールのつま先部分や土踏まず部分に設けられた通気口によって、足裏側からもしっかりと空気を取り込むことでシューズ内は常にフレッシュな状態に保たれていた。

さらに、左の踵にはNFCが備わっている。NFCマークにスマートフォンをかざすだけでICE KEYに繋がり、ライダーの氏名や住所、緊急連絡先などが表示されるため、シューズ自体がエマージェンシーカードの代わりにもなる。

軽量で高剛性でハイスペックなレ―サーシューズでもありながら、安全性にも配慮しているPOGI'Sはすべてのサイクリストにおすすめしたいシューズだった。

7月30日までPOGI‘Sの先行導入店舗もあるため、店頭に行って実物をチェックすることもできる。ポガチャルファンやDMTのニットシューズが気になる方は全国の最寄りの先行導入店舗に訪れてみては。