ユーザー想いのハイコストパフォーマンス、注目度はじわじわ上昇中

「良いものを、より安く」を信条に、フラッグシップでも3万円台という驚きの低価格で日本のサイクリストの足元に広がってきたシューズブランドがスロベニア拠点のFLRだ。
ロード用のハイエンドからエントリー、MTBやグラベルレースを想定したオフロード用、そしてフラットペダル用まで幅広いラインナップを持ち、低コストながらそれらの機能性はメジャーブランドの製品と肩を並べるほど。コストを抑えるためにトップ選手のサポートや派手なプロモーションは打たず、ひたすらに「良いモノ」を世界中に届けるべく実直な製品開発を繰り返している。
そのラインナップは実にシンプル。モデル名が「F」で始まるアッパー素材にマイクロファイバーを使用したシューズと、モデル名が「FNT」で始まるアッパー素材にニットを使用したシューズの2種類が用意され、ソール素材やダイヤルの種類によってハイエンドの「9」から「5」「3」「1」までグレードが分かれ、さらにクロージャーはそれぞれダイヤルとレース(紐)が選べるという実に合理的なラインナップ。ハイエンドからエントリーまでアッパーもダイヤルも共通という特徴もある。ロード用の一番高価な「FNT-9」ですら税込価格は37,950円で、エントリーモデルの「F-1」や「FNT-1 LACE」は税込1万2千円台で購入できるというコストパフォーマンスを誇る。




輸入元のライトウェイプロダクツジャパンによると、価格が跳ね上がる円安の状況の中でも値段を維持していることで、売り上げは全く落ちていないどころか、むしろ注目度が高まっているという。ラインアップ全体で人気なのは、安価な3シリーズとハイエンドの9シリーズ。クロージャーはダイヤル式の方が人気で、アッパー素材はニットとマイクロファイバーがおおよそ半々、ニットの方が若干注目度は高いそうだ。
この頂点に立つニット素材の「FNT-9」とマイクロファイバー素材の「F9」は、どちらもフルカーボンソールで剛性指数は最高レベルの15。紐で締めるタイプはFNT-9にしか存在しないが、値段はダイヤル式よりも割安であることも嬉しいポイント。価格はFNT-9のダイヤル式が37,950円、シューレース式とF9が33,000円(いずれも税込)だ。
"あえて紐"を選ぶ注目選手、馬場慶三郎

そんなFLRのシューズを、本番の勝負靴として使っている若手注目選手が、弱虫ペダルサイクリングチームの馬場慶三郎選手だ。しかも選んだのは、人気の主流であるダイヤル式ではなく、あえてのシューレース式FNT-9である。
馬場選手が自転車に乗り始めたのは、高校3年生のときだった。それまでは中学・高校と陸上部で、中距離の1500mを走っていた。趣味で自転車に乗っていた父の影響もあり、コロナ禍で家から出られない時期に「ひたすら乗りまくった」ことが転機となった。気がつけばフランス遠征を経験し、今は弱虫ペダルチームの一員として国内を走りつつ欧州遠征も重ねている。

その歩みは順風満帆ではなかった。浅田監督率いるエカーズで欧州遠征を重ねたものの思うように結果が出ず、帰国後に加入した弱虫ペダルサイクリングチームでも、最初の1年は落車による骨盤骨折など大怪我に見舞われた。それでも持ち前のポジティブさでトレーニングを積み、今年8月末の欧州遠征ではフランスのアマチュアレースで勝利を挙げるまでになった。
そんな馬場選手が、数あるシューズの中から、なぜ紐のFNT-9を選んだのか。その理由は、陸上時代にまでさかのぼるという。
"紐"にこだわる理由は、陸上のスパイクにあった

「僕はもうこの紐が好きで。もともと中学校で陸上をやっていたから、当然スパイクは全部紐だったんですよね。だから足先っていうか、母指球のこの辺りから均等に締められる感じが好きなんです」と馬場選手。ニットのアッパーが硬すぎず、足にフィットするところも気に入っているという。
シューズに求める要素は、ソールの硬さ、アッパーのフィット感、そしてかかとのホールド。マビック、シマノ、ノースウェーブ、スペシャライズドのS-Worksと、さまざまなブランドを履いてきた馬場選手だが、FLRは「踵をしなやかにホールドしてくれるのが一番いい」と評価する。「アッパーが結硬くて踵まわりの生地も薄いようなシューズも多いですが、FLRは普通のスニーカーのようなホールド感。長く履いても痛みが出ないんです。カッチリというより、優しく包み込んでくれる感じですかね」。

「硬いシューズは短距離のスピードレースなら全然いいんですが、距離が長くなると、土踏まずとか足の裏の張りを感じますよね。FLRはその気配がかなり薄いんです。とにかく履き心地が良いので、レーサーじゃない、一般サイクリストの方々にとってはすごくいいんじゃないかな」。ソールはカスタム品を使わず、純正のまま使っている。「なんだかんだ純正が一番なんじゃないかと思っていて」と笑う。足型(ラスト)も「僕は足が細めですが、アッパーがしなやかなので、どんな足にも合うような気がします」とのことだ。
履き始めたのは7月の頭だというから、取材時点で2か月半ほど。「2か月使って少し生地が伸びたんですが、今はとても足に馴染んでいい感じですよ」というから、すっかり勝負靴に定着したようだ。
自腹で買うつもりだった ― FLRを選んだ経緯

馬場選手がFLRに興味を持ったのは、今年の6月前のことだ。「やっぱりレースタイプのシューズが良かったので、あれこれ調べるうちにFLRが気になったんです。見た目も良くて、値段もとてもリーズナブルで、手が届きそうだなって思ったんですよ」。調べる中で、シクロワイアードの記事も読んだと笑って教えてくれたのは、書き手としては素直に嬉しい話でもある。
その気持ちをチームの佐藤GMに打ち明けたことが始まりだった。「馬場が『FLRってどうなんですか、買おうと思っているんですけど』って話してきたんです。僕も気になっていたブランドだったので。そこからですね、FLRを使い始めたのは」と佐藤GM。性能面で馬場選手が求めていたのは、シューレースタイプであること、アッパーの柔らかさ、そしてソールの硬さ。FLRはそのすべてに合致していた。
もっとも、佐藤GMには迷いもあった。「シーズンの真っ只中にレースシューズを変えるのってどうなんだろう、って本当は思っていたんですよ。でもアッパーが柔らかいので、馴染むのは早いだろうなと」。決め手になったのは、馬場選手のキャラクターとペダリングだ。「馬場はメンタルがとにかくポジティブだから、機材に関しても『これじゃなきゃダメです』ってことがない。FLRは他と比べてアッパーが厚くて柔らかい。引き脚の時にカチッとしたシューズが欲しいなら別の選択肢があるかもしれないけれど、馬場はペダリングがとても綺麗なので、ピッタリなんですよ」。



ちなみにレースで使うのはシューレース式のFNT-9だが、リカバリーや脱ぎ履きの多い場面では、ダイヤル式も使っている。ダイヤル式を使うようになったのは、ヨーロッパ遠征でスペアが必要になり提供してもらったことがきっかけだ。レースやトレーニングでは紐、リカバリーで走る時はダイヤルと、それぞれの良さを使い分けている。
「最上級モデルが2足買える」というコスパ
馬場選手が最後に強調したのがコストパフォーマンス。「トップ選手が使っているブランドもカッコよくて魅力的だけど、1足ぶんの値段で、FLRなら最上級モデルが2足買えちゃうじゃないですか。もともとサポート希望ではなく購入するつもりだったので、そういう目線なんです。今はありがたいことにサポートして頂いていますが、このコスパは誰にもおすすめできる大きな魅力ですよね」。円安で価格が上がりがちな今も、高いコストパフォーマンスを維持しするFLR。自分の財布で選ぼうとしていた選手が、そのまま勝負靴に使っているという事実こそ、FLRの価値を物語っているように思える。
来年もフランスへ 目指すはUCIプロチーム

馬場選手の脚質はルーラーだ。「逃げて逃げ切るのが一番理想だし、結果も出ています。インターバルがあんまり得意でも好きでもないので、自分の速い一定ペースで走り続けて、後ろをちぎっていくような走り方です」。今年はレース展開が読めるようになり、ヨーロッパでは選手の考えも読めるようになってきたことで、立ち回り方がつかめてきたという。
「確実に走りが成長していて、積極的に動く印象ですね。ハマると逃げ切り集団に乗っている印象。勝てるまであと一歩のところに来ていると感じます」と期待を寄せるのは、ほぼ全ての国内レース取材を担当している記者の談。今年の走りを踏まえて国内UCIチームからのオファーもあったというが、馬場選手は「まだ欧州のアマチュアレースで得られるものがたくさんある。アマチュアレースをたくさん走って、力と読み力をもっとつけたい」と、あえてステップアップしない道を選んだ。

来年もフランス遠征を予定し、長期的な目標はUCIプロチーム以上の欧州チームに所属すること。来年は25歳になる。「選手としてはのんびりしてられません。あと3年、4年で決めていきたい」。
その本気の挑戦を足元で支えるのが、自分で選んだ一足だ。FNT-9の紐を締め直し、馬場選手はまた来シーズンに向かう。
FLR F-9



| アッパー | マイクロファイバーレザーアッパー |
| アウトソール | フルカーボンアウトソール「R600」 |
| クリート対応 | 3ホール(SHIMANO SPD-SL / LOOK KEO 等) |
| 剛性指数 | 15 |
| クロージャー | A-Top 2個 |
| カラー | ブラック、ホワイト、シルバー |
| サイズ | 36(ホワイトのみ)、37(ホワイトのみ)、38、39、40、41、42、43、44、45 |
| 価格 | 33,000円(税込) |
| 製品情報 | https://www.riteway-jp.com/pa/shop/19902/ |
FLR FNT-9(R600・A-Top)

| アッパー | ニットアッパー |
| アウトソール | フルカーボンアウトソール「R600」 |
| クリート対応 | 3ホール(SHIMANO SPD-SL / LOOK KEO 等) |
| 剛性指数 | 15 |
| クロージャー | A-Top 2個 |
| カラー | ミッドナイトゴールド、ピュアホワイト |
| サイズ | 36、37、38、39、40、41、42、43、44、45 |
| 価格 | 37,950円(税込) |
| 製品情報 | https://www.riteway-jp.com/pa/shop/22291/ |
FLR FNT-9 シューレース

| アッパー | ニットアッパー |
| アウトソール | フルカーボンアウトソール「R600」 |
| クリート対応 | 3ホール(SHIMANO SPD-SL / LOOK KEO 等) |
| 剛性指数 | 15 |
| クロージャー | シューレース |
| カラー | ピュアホワイト |
| サイズ | 36、37、38、39、40、41、42、43、44、45 |
| 価格 | 33,000円(税込) |
| 製品情報 | https://www.riteway-jp.com/pa/shop/22292/ |
FLR FNT-5
| カラー | ミッドナイトゴールド、ピュアホワイト、ブラック、ホワイト |
| 価格 | 28,050円(税込、ミッドナイトゴールド、ピュアホワイト)、26,400円(税込、ブラック、ホワイト) |
| 製品情報(ミッドナイトゴールド、ピュアホワイト) | https://www.riteway-jp.com/pa/shop/22293/ |
| 製品情報(ブラック、ホワイト) | https://www.riteway-jp.com/pa/shop/19904/ |
FLR F-4
| カラー | ブラック、ホワイト |
| 価格 | 20,900円(税込) |
| 製品情報 | https://www.riteway-jp.com/pa/shop/22294/ |
FLR FNT-3
| カラー | ホワイト、ブラック、ピュアホワイト |
| 価格 | 19,800円(税込) |
| 製品情報 | https://www.riteway-jp.com/pa/shop/19998/ |
FLR F-3
| カラー | ブラック、ネイビー、ホワイト |
| 価格 | 18,700円(税込) |
| 製品情報 | https://www.riteway-jp.com/pa/shop/20103/ |
FLR FNT-3 City
| カラー | ホワイト |
| 価格 | 17,600円(税込) |
| 製品情報 | https://www.riteway-jp.com/pa/shop/22295/ |
FLR F-3 City
| カラー | ブラック、ホワイト |
| 価格 | 16,940円(税込) |
| 製品情報 | https://www.riteway-jp.com/pa/shop/20250/ |
FLR FNT-1 LACE
| カラー | ブラック、ホワイト |
| 価格 | 12,650円(税込) |
| 製品情報 | https://www.riteway-jp.com/pa/shop/20001/ |
FLR F-1
| カラー | ブラック |
| 価格 | 12,100円(税込) |
| 製品情報 | https://www.riteway-jp.com/pa/shop/20002/ |
制作:シクロワイアード編集部 提供:ライトウェイプロダクツジャパン株式会社