2024/06/25(火) - 11:14
過激なダウンヒルが設定されたMTBワールドカップ第5戦で世界王者トーマス・ピドコック(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)が完勝。ライバルを置き去りにしてパリ五輪に向けて弾みをつけた。
ヨーロッパを転戦中のMTBレースの最高峰シリーズ、UCIマウンテンバイクワールドカップ(XCO)第5戦の舞台はシリーズ初登場の新開催地クラン・モンタナ。2025年の世界選手権を予定しているスイスはフランス語圏の山岳リゾートであり、開催前から話題となっていたのが超テクニカルかつダイナミックなダウンヒル区間だ。
落差の大きな岩や、丸太で埋め尽くされたドロップオフ、長く急勾配で木の根が露出したオフキャンバー。難易度を増す欧州XCサーキットの中でも突出して激しいコースであり、しかもレースウィークは雨で超スリッピーな泥コンディションに。試走で落車が多発したため、ドロップオフ区間には急遽迂回コースが増設されたものの、レース中も落車やスリップダウンなど終始アクシデントが途切れることは無かった。
この第5戦にはここまで女子エリートで圧倒的な強さを見せている世界女王、ポリーヌ・フェランプレヴォ(フランス、イネオス・グレナディアーズ)が欠場した一方、男子の世界王者トーマス・ピドコック(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)が参戦。前日開催のXCC(ショートトラック)では最後尾からポジションを上げ、落車もいとわず優勝する圧倒的な走りを披露している。
女子エリート:ルコントが今季W杯初勝利
世界女王不在の女子エリートには、パリ五輪出場を射止めた川口うらら(TEAM TATSUNO)が初参戦。高難易度のコースに手を焼き、結果的には完走ならず57位で終了。「日本と海外のレースは全く別物であることを痛感しました。標高が高く、雨が降ってテクニカルなコースでうまく自分の実力を発揮することができませんでした。毎日の試走は天候で少しずつコンディションが変わり、セクションの変更もありました。その中で自分の技術はどのくらい対応できるのか、どのラインを走るのがベストなのか悩んでしまい、考えるだけで時間が過ぎていき、コースを自分のものにすることができませんでした」と、レース後に苦しい胸の内をSNSに投稿している。
レースは2人の若手、仏女王ロアナ・ルコント(フランス、キャニオン・CLLCTV)と欧州女王プック・ピーテルセ(オランダ、フェニックス・ドゥクーニンク)にアレッサンドラ・ケラー(スイス、トムス・マクソン)が割って入る三つ巴の戦いに。多くの選手が雨上がりの堅く滑りやすい泥に足元をすくわれる中、終始安定した走りでルコントが勝利した。
「また勝つことができて嬉しい」と、昨年10月の最終戦以来となるW杯優勝を掴んだルコントは言う。「フィジカルもテクニックも求められるリアルなMTBコース。晴れだったとしても楽しいし、私にとっては大好きなコース。攻略の秘訣はハッピーになってコースを楽しむこと」と話している。
男子エリート:世界王者ピドコックが圧勝、4位シューターがランキング首位浮上
男子エリートレースでダッシュを決めたのは、XCCで驚きの2位に入ったジュリアン・シェルプ(ドイツ、STOP&GO Marderabwehr)だった。しかしすぐさまアルカンシエルを着るピドコックがポジションを上げて先頭争いに加わり、シェルプや前戦勝者ニノ・シューター(スイス、スコット・スラム)を従えて先頭に立つ。「最初の数周回は自分のリズムを合わせるのが難しかった」と言う世界王者だが、時間を経るごとにペースを上げていった。
2番手に立ち追走するマティアス・フルッキガー(スイス、トムス・マクソン)を追いつかせることなくピドコックが独走。途中2度落車してジャージを汚したものの、終始その勢いが弱まることは無く独走勝利。出場したW杯で負けなしの3勝目を飾ると共にパリ五輪に向けてさらなる弾みを付けている。
2位は復調したフルッキガーで、シェルプは値千金の3位獲得。「1周で3回はクラッシュしたほどコンディションに苦戦した」と言うシューターは4位に入り、ヴィクトール・コレツキー(フランス、スペシャライズドファクトリーレーシング)に代わってランキング首位に立つこととなった。
ヨーロッパを転戦中のMTBレースの最高峰シリーズ、UCIマウンテンバイクワールドカップ(XCO)第5戦の舞台はシリーズ初登場の新開催地クラン・モンタナ。2025年の世界選手権を予定しているスイスはフランス語圏の山岳リゾートであり、開催前から話題となっていたのが超テクニカルかつダイナミックなダウンヒル区間だ。
落差の大きな岩や、丸太で埋め尽くされたドロップオフ、長く急勾配で木の根が露出したオフキャンバー。難易度を増す欧州XCサーキットの中でも突出して激しいコースであり、しかもレースウィークは雨で超スリッピーな泥コンディションに。試走で落車が多発したため、ドロップオフ区間には急遽迂回コースが増設されたものの、レース中も落車やスリップダウンなど終始アクシデントが途切れることは無かった。
この第5戦にはここまで女子エリートで圧倒的な強さを見せている世界女王、ポリーヌ・フェランプレヴォ(フランス、イネオス・グレナディアーズ)が欠場した一方、男子の世界王者トーマス・ピドコック(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)が参戦。前日開催のXCC(ショートトラック)では最後尾からポジションを上げ、落車もいとわず優勝する圧倒的な走りを披露している。
女子エリート:ルコントが今季W杯初勝利
世界女王不在の女子エリートには、パリ五輪出場を射止めた川口うらら(TEAM TATSUNO)が初参戦。高難易度のコースに手を焼き、結果的には完走ならず57位で終了。「日本と海外のレースは全く別物であることを痛感しました。標高が高く、雨が降ってテクニカルなコースでうまく自分の実力を発揮することができませんでした。毎日の試走は天候で少しずつコンディションが変わり、セクションの変更もありました。その中で自分の技術はどのくらい対応できるのか、どのラインを走るのがベストなのか悩んでしまい、考えるだけで時間が過ぎていき、コースを自分のものにすることができませんでした」と、レース後に苦しい胸の内をSNSに投稿している。
レースは2人の若手、仏女王ロアナ・ルコント(フランス、キャニオン・CLLCTV)と欧州女王プック・ピーテルセ(オランダ、フェニックス・ドゥクーニンク)にアレッサンドラ・ケラー(スイス、トムス・マクソン)が割って入る三つ巴の戦いに。多くの選手が雨上がりの堅く滑りやすい泥に足元をすくわれる中、終始安定した走りでルコントが勝利した。
「また勝つことができて嬉しい」と、昨年10月の最終戦以来となるW杯優勝を掴んだルコントは言う。「フィジカルもテクニックも求められるリアルなMTBコース。晴れだったとしても楽しいし、私にとっては大好きなコース。攻略の秘訣はハッピーになってコースを楽しむこと」と話している。
男子エリート:世界王者ピドコックが圧勝、4位シューターがランキング首位浮上
男子エリートレースでダッシュを決めたのは、XCCで驚きの2位に入ったジュリアン・シェルプ(ドイツ、STOP&GO Marderabwehr)だった。しかしすぐさまアルカンシエルを着るピドコックがポジションを上げて先頭争いに加わり、シェルプや前戦勝者ニノ・シューター(スイス、スコット・スラム)を従えて先頭に立つ。「最初の数周回は自分のリズムを合わせるのが難しかった」と言う世界王者だが、時間を経るごとにペースを上げていった。
2番手に立ち追走するマティアス・フルッキガー(スイス、トムス・マクソン)を追いつかせることなくピドコックが独走。途中2度落車してジャージを汚したものの、終始その勢いが弱まることは無く独走勝利。出場したW杯で負けなしの3勝目を飾ると共にパリ五輪に向けてさらなる弾みを付けている。
2位は復調したフルッキガーで、シェルプは値千金の3位獲得。「1周で3回はクラッシュしたほどコンディションに苦戦した」と言うシューターは4位に入り、ヴィクトール・コレツキー(フランス、スペシャライズドファクトリーレーシング)に代わってランキング首位に立つこととなった。
UCI MTBワールドカップ2024 第5戦 XCO女子エリート結果
1位 | ロアナ・ルコント(フランス、キャニオン・CLLCTV) | 1:17:22 |
2位 | アレッサンドラ・ケラー(スイス、トムス・マクソン) | 1:18:08 |
3位 | プック・ピーテルセ(オランダ、フェニックス・ドゥクーニンク) | 1:18:55 |
4位 | ラウラ・スティガー(オーストリア、スペシャライズドファクトリーレーシング) | 1:19:40 |
5位 | イヴィ・リチャーズ(イギリス、トレックファクトリーレーシング・ピレリ) | 1:21:19 |
UCI MTBワールドカップ2024 第5戦 XCO男子エリート結果
1位 | トーマス・ピドコック(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) | 1:26:28 |
2位 | マティアス・フルッキガー(スイス、トムス・マクソン) | 1:27:38 |
3位 | ルカ・ブライド(イタリア、サンタクルズ・ロックショックスプロチーム) | 1:28:33 |
4位 | ニノ・シューター(スイス、スコット・スラム) | 1:28:36 |
5位 | ジュリアン・シェルプ(ドイツ、STOP&GO Marderabwehr) | 1:28:51 |
text:So Isobe
photo:UCI
photo:UCI
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