積雪のため42.5kmの短縮コースで行われたツール・ド・スイス第6ステージ。1級山岳で加速したジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ)が勝利し、区間2位のアダム・イェーツが総合首位を守った。



晴天に恵まれたツール・ド・スイス第6ステージ photo:Tour de Suisse

ツール・ド・スイス2024第6ステージ コースプロフィール image:Tour de Suisse
ツール・ド・スイス(UCIワールドツアー)第6ステージは42.5kmという短いコースで行われた。本来は151.5kmコースの予定だったがフルカ峠とヌフェネン峠が積雪のためコースから除外に。そのためレースは麓のウルリヘンを出発地点に、最後は1級山岳ブラッテン(距離5.8km/平均8.8%)を登り、そこから更に距離1.5km/平均8.6%の山岳を登るレイアウトで争われた。

前日勝者で黄色の総合リーダージャージを着るアダム・イェーツ(イギリス、UAEチームエミレーツ)を先頭にレースはスタートし、序盤から3名が逃げを打つ。その中にはスイス出身で元ヨーロッパTT王者のシュテファン・ビッセガー(EFエデュケーション・イージーポスト)に加えDSMフィルメニッヒ・ポストNLとジェイコ・アルウラーの若手2名が入り、UAEが先導するメイン集団に対して1分のリードを稼ぎ出した。

プロトンはUAEチームエミレーツがコントロールした photo:Tour de Suisse

最終山岳に先頭で突入したフランク・ファンデンブルーク(オランダ、DSMフィルメニッヒ・ポストNL)たち photo:Tour de Suisse

距離が短いため逃げ切りを警戒したプロトンは1分以上の差を許さず、レースは早くも後半戦に突入。そして1級山岳ブラッテン(距離5.8km/平均8.8%)に入ると先頭ではビッセガーの加速にアナス・フォレーヤ(デンマーク、ジェイコ・アルウラー)が遅れ、それに追従したフランク・ファンデンブルーク(オランダ、DSMフィルメニッヒ・ポストNL)が残り5km地点で仕掛け、単独先頭に立った。

再びUAEに主導権が移ったメイン集団はイサーク・デルトロ(メキシコ)が強烈な牽引で総合4位のエンリク・マス(スペイン、モビスター)などを振り落とす。そしてファンデンブルークまで7秒まで迫った残り3.5km地点で、イェーツが仕掛けた。

前日に勝利した時と同じく軽快なダンシングでファンデンブルークを捉えたイェーツに対し、マティアス・スケルモース(デンマーク、リドル・トレック)とエガン・ベルナル(コロンビア、イネオス・グレナディアーズ)が追いかける。その動きをジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ)がマークし、ベルナルのアタックを抑え込む。そしてイェーツのペースが落ち、その差が縮まったことを確認したアルメイダが、スケルモースとベルナルを引き離してイェーツに合流した。

残り3.5km地点でアタックしたアダム・イェーツ(イギリス、UAEチームエミレーツ) photo:CorVos

フラムルージュ(残り1km)を通過した時点でレースはアルメイダとイェーツを、スケルモースとベルナルが協力して追う展開。しかしその差は最後までゼロになることはなく、最後はイェーツを牽引するアルメイダがイェーツを引き離してフィニッシュ地点に到達した。

イェーツを引き離し、勝利したジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ) photo:CorVos

4日連続の山頂フィニッシュの3日目で勝利を飾ったアルメイダ。「おそらくこれがキャリア最短のロードレースだろう。今日は調子が良く、チームとして立てた作戦を遂行することができた。大会最終日は僕の得意なタイムトライアルなのでベストを尽くすよ」と語った。

4秒遅れでフィニッシュしたイェーツは総合首位をキープ。総合2位アルメイダとの差は35秒から27秒まで縮まり、翌日の山頂フィニッシュと大会最終日にやってくる登り基調の個人タイムトライアル(15.7km)におけるチームメイト同士の総合争いが注目される。

今季2勝目を掴んだジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ) photo:CorVos

ツール・ド・スイス2024第6ステージ結果
1位 ジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ) 55:13
2位 アダム・イェーツ(イギリス、UAEチームエミレーツ) +0:04
3位 マティアス・スケルモース(デンマーク、リドル・トレック) +0:09
4位 エガン・ベルナル(コロンビア、イネオス・グレナディアーズ) +0:15
5位 レニー・マルティネス(フランス、グルパマFDJ) +0:35
6位 エガン・ベルナル(コロンビア、イネオス・グレナディアーズ) +0:40
7位 エンリク・マス(スペイン、モビスター) +0:47
8位 マシュー・リッチテッロ(アメリカ、イスラエル・プレミアテック)
9位 ペラヨ・サンチェス(スペイン、モビスター) +0:54
10位 フェリックス・ガル(オーストリア、デカトロンAG2Rラモンディアル)
個人総合成績
1位 アダム・イェーツ(イギリス、UAEチームエミレーツ) 16:39:46
2位 ジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ) +0:27
3位 エガン・ベルナル(コロンビア、イネオス・グレナディアーズ) +1:28
4位 マティアス・スケルモース(デンマーク、リドル・トレック) +2:24
5位 エンリク・マス(スペイン、モビスター) +2:38
6位 マシュー・リッチテッロ(アメリカ、イスラエル・プレミアテック) +2:42
7位 トーマス・ピドコック(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) +3:28
8位 オスカー・オンリー(イギリス、DSMフィルメニッヒ・ポストNL) +3:37
9位 フェリックス・ガル(オーストリア、デカトロンAG2Rラモンディアル) +4:01
10位 ペラヨ・サンチェス(スペイン、モビスター) +4:28
その他の特別賞
ポイント賞 アダム・イェーツ(イギリス、UAEチームエミレーツ)
山岳賞 アダム・イェーツ(イギリス、UAEチームエミレーツ)
ヤングライダー賞 マティアス・スケルモース(デンマーク、リドル・トレック)
チーム総合成績 UAEチームエミレーツ
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos

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