2024/06/12(水) - 09:44
パンチャー勢による登坂スプリントでツール・ド・スイス第3ステージは決着。頭角を表すティボー・ネイス(ベルギー、リドル・トレック)がビッグネームを退け勝利し、ステージ3位のアルベルト・ベッティオル(イタリア、EFエデュケーション・イージーポスト)がリーダージャージに袖を通した。
ツール・ド・フランスに向けた重要な前哨戦、第87回ツール・ド・スイス(UCIワールドツアー)第3ステージの舞台はチューリッヒ湖の西岸に位置する街リュシュリコンを目指す161.7km。基本的には平坦基調であるものの、終盤は合計3箇所の3級山岳を含むアルビス山脈を通過し、しかも最後は距離800mで平均7%オーバーの登りフィニッシュ。パンチャーによるアタック合戦で誰が生き残れるかが焦点だ。
この日はエマヌエル・ブッフマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)とナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)が未出走に。第2ステージ中に落車し、手に痛みを感じていたキンタナは病院で検査を受けた結果、右手の第4中手骨骨折が判明。「症状は重くないので静養して復帰したい」とチームSNSにメッセージを残している。
この日逃げグループを形成したのはファビアン・リーンハルト(スイス、グルパマFDJ)ら5名だった。スイス人4名に2日連続逃げとなるパナマ出身のロベルト・ゴンサレス(コラテック・ヴィーニファンティーニ)が加わった逃げグループだったが、総合首位イヴ・ランパールト(ベルギー)擁するスーダル・クイックステップがガッチリとメイン集団のコントロールを担う。終盤にかけてタイム差は削り取られ、5名の逃げ切りの可能性は摘み取られた。
最初の3級山岳「オーバーヴィール=リーリ」に1分30秒リードで先頭グループが突入し、山岳路を走る中でテンションを上げるメイン集団に引き戻される。アルベルト・ベッティオル(イタリア)を擁するEFエデュケーション・イージーポストや、ツアー・ダウンアンダー覇者スティーブン・ウィリアムズ(イギリス)を擁するイスラエル・プレミアテックによるペースアップの影でスプリンター勢は沈黙せざるを得なかった。
未発表の新型バイクに乗るブランドン・リベラ(コロンビア、イネオス・グレナディアーズ)のアタックは引き戻され、ヴァランタン・パレパントル(フランス、デカトロンAG2Rラモンディアル)のアタックも決まらない。すると最後の峠を越えた先のダウンヒルでマルク・ヒルシ(スイス、UAEチームエミレーツ)が一人先行した。
母国レースでの勝利を狙うヒルシが力強くアタック。十分なリードで残り1kmアーチをくぐったものの、フィニッシュへと続く最終勾配に入ると脚を貯めていたパンチャーたちが一気に活性化してヒルシを引き戻す。7%勾配にも関わらず一列棒状に伸びた状態でウィルコ・ケルデルマン(オランダ、ヴィスマ・リースアバイク)が真っ先にロングスパートを仕掛けた。
「フルガスで仕掛けたけどステージ優勝には足りなかった」と言うケルデルマンの背後で冷静にタイミングを待ち、残り150mで一気にスプリントを開始したのはティボー・ネイス(ベルギー、リドル・トレック)。必死で追走するベッティオルとウィリアムズを突き放す、圧倒的なスプリント力でネイスが勝利した。
シクロクロスシーズンから短い休養を挟んで臨んだ今季、デビュー戦のツール・ド・ロマンディでステージ優勝を挙げ、続くツール・ド・ハンガリーでは区間2勝と総合優勝と波に乗るシクロクロスレジェンドの若き2世選手が再びトップレースで勝利した。「バイクの調子が悪くて、一日中イライラしたけれどチームメイトが支えてくれたんだ。とにかく戦い続け、脚はどんどん良くなっていき最後には調子がすごく良くなっていた。残り50kmくらいまでは勝てるだなんて思ってもみなかったよ。こうして一日を終えることができて夢以上だ。おそらくこれまでで一番素晴らしい勝利だと思う」と、今季5勝目を掴んだネイスは言う。「僕たちはマティアス(スケルモース)の総合優勝を狙ってきているけれど、こうしてチャンスを掴むことができてとても名誉なこと。これからは彼の総合優勝に気持ちを向けて全力を尽くしたい」と、チームへの恩返しを話している。
また、この日ステージ3位に入ったベッティオルは、ボーナスタイムを加算して総合7位から首位へとジャンプアップに成功。しかし「明日から厳しい山岳ステージになるので首位キープは難しい」と現実主義を崩していない。「でも僕はこのリーダージャージでチーム全員の意志が高まると思う。ティボー・ネイスは本当に強かったし、彼は勝利に値する力を見せた。でもリーダージャージは偉大な功績でもある。ライダー全員とスタッフが私のためにしてくれた仕事への報いになるものだ」と加えている。
ツール・ド・フランスに向けた重要な前哨戦、第87回ツール・ド・スイス(UCIワールドツアー)第3ステージの舞台はチューリッヒ湖の西岸に位置する街リュシュリコンを目指す161.7km。基本的には平坦基調であるものの、終盤は合計3箇所の3級山岳を含むアルビス山脈を通過し、しかも最後は距離800mで平均7%オーバーの登りフィニッシュ。パンチャーによるアタック合戦で誰が生き残れるかが焦点だ。
この日はエマヌエル・ブッフマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)とナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)が未出走に。第2ステージ中に落車し、手に痛みを感じていたキンタナは病院で検査を受けた結果、右手の第4中手骨骨折が判明。「症状は重くないので静養して復帰したい」とチームSNSにメッセージを残している。
この日逃げグループを形成したのはファビアン・リーンハルト(スイス、グルパマFDJ)ら5名だった。スイス人4名に2日連続逃げとなるパナマ出身のロベルト・ゴンサレス(コラテック・ヴィーニファンティーニ)が加わった逃げグループだったが、総合首位イヴ・ランパールト(ベルギー)擁するスーダル・クイックステップがガッチリとメイン集団のコントロールを担う。終盤にかけてタイム差は削り取られ、5名の逃げ切りの可能性は摘み取られた。
最初の3級山岳「オーバーヴィール=リーリ」に1分30秒リードで先頭グループが突入し、山岳路を走る中でテンションを上げるメイン集団に引き戻される。アルベルト・ベッティオル(イタリア)を擁するEFエデュケーション・イージーポストや、ツアー・ダウンアンダー覇者スティーブン・ウィリアムズ(イギリス)を擁するイスラエル・プレミアテックによるペースアップの影でスプリンター勢は沈黙せざるを得なかった。
未発表の新型バイクに乗るブランドン・リベラ(コロンビア、イネオス・グレナディアーズ)のアタックは引き戻され、ヴァランタン・パレパントル(フランス、デカトロンAG2Rラモンディアル)のアタックも決まらない。すると最後の峠を越えた先のダウンヒルでマルク・ヒルシ(スイス、UAEチームエミレーツ)が一人先行した。
母国レースでの勝利を狙うヒルシが力強くアタック。十分なリードで残り1kmアーチをくぐったものの、フィニッシュへと続く最終勾配に入ると脚を貯めていたパンチャーたちが一気に活性化してヒルシを引き戻す。7%勾配にも関わらず一列棒状に伸びた状態でウィルコ・ケルデルマン(オランダ、ヴィスマ・リースアバイク)が真っ先にロングスパートを仕掛けた。
「フルガスで仕掛けたけどステージ優勝には足りなかった」と言うケルデルマンの背後で冷静にタイミングを待ち、残り150mで一気にスプリントを開始したのはティボー・ネイス(ベルギー、リドル・トレック)。必死で追走するベッティオルとウィリアムズを突き放す、圧倒的なスプリント力でネイスが勝利した。
シクロクロスシーズンから短い休養を挟んで臨んだ今季、デビュー戦のツール・ド・ロマンディでステージ優勝を挙げ、続くツール・ド・ハンガリーでは区間2勝と総合優勝と波に乗るシクロクロスレジェンドの若き2世選手が再びトップレースで勝利した。「バイクの調子が悪くて、一日中イライラしたけれどチームメイトが支えてくれたんだ。とにかく戦い続け、脚はどんどん良くなっていき最後には調子がすごく良くなっていた。残り50kmくらいまでは勝てるだなんて思ってもみなかったよ。こうして一日を終えることができて夢以上だ。おそらくこれまでで一番素晴らしい勝利だと思う」と、今季5勝目を掴んだネイスは言う。「僕たちはマティアス(スケルモース)の総合優勝を狙ってきているけれど、こうしてチャンスを掴むことができてとても名誉なこと。これからは彼の総合優勝に気持ちを向けて全力を尽くしたい」と、チームへの恩返しを話している。
また、この日ステージ3位に入ったベッティオルは、ボーナスタイムを加算して総合7位から首位へとジャンプアップに成功。しかし「明日から厳しい山岳ステージになるので首位キープは難しい」と現実主義を崩していない。「でも僕はこのリーダージャージでチーム全員の意志が高まると思う。ティボー・ネイスは本当に強かったし、彼は勝利に値する力を見せた。でもリーダージャージは偉大な功績でもある。ライダー全員とスタッフが私のためにしてくれた仕事への報いになるものだ」と加えている。
ツール・ド・スイス2024第3ステージ結果
1位 | ティボー・ネイス(ベルギー、リドル・トレック) | 3:27:31 |
2位 | スティーブン・ウィリアムズ(イギリス、イスラエル・プレミアテック) | |
3位 | アルベルト・ベッティオル(イタリア、EFエデュケーション・イージーポスト) | |
4位 | ロジャー・アドリア(スペイン、ボーラ・ハンスグローエ) | |
5位 | ポール・ラペラ(フランス、デカトロンAG2Rラモンディアル) | |
6位 | ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、ヴィスマ・リースアバイク) | |
7位 | アダム・イェーツ(イギリス、UAEチームエミレーツ) | |
8位 | マティアス・スケルモース(デンマーク、リドル・トレック) | +0:03 |
9位 | ベン・トゥレット(イギリス、ヴィスマ・リースアバイク) | |
10位 | リチャル・カラパス(エクアドル、EFエデュケーション・イージーポスト) |
個人総合成績
1位 | アルベルト・ベッティオル(イタリア、EFエデュケーション・イージーポスト) | 7:39:20 |
2位 | イーサン・ヘイター(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) | +0:06 |
3位 | ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、ヴィスマ・リースアバイク) | |
4位 | スティーブン・ウィリアムズ(イギリス、イスラエル・プレミアテック) | |
5位 | ジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ) | +0:09 |
6位 | フィン・フィッシャーブラック(ニュージーランド、UAEチームエミレーツ) | |
7位 | マティアス・スケルモース(デンマーク、リドル・トレック) | |
8位 | アダム・イェーツ(イギリス、UAEチームエミレーツ) | +0:10 |
9位 | ヤン・クリステン(スイス、UAEチームエミレーツ) | +0:11 |
10位 | ロジャー・アドリア(スペイン、ボーラ・ハンスグローエ) | +0:13 |
その他の特別賞
ポイント賞 | イヴ・ランパールト(ベルギー、スーダル・クイックステップ) |
山岳賞 | ルカ・イェンニ(スイス、スイスサイクリングチーム) |
ヤングライダー賞 | フィン・フィッシャーブラック(ニュージーランド、UAEチームエミレーツ) |
チーム総合成績 | UAEチームエミレーツ |
text:So Isobe
photo:CorVos
photo:CorVos
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