5月に自転車での日本縦断ギネス世界記録チャレンジに挑戦、148時間48分の新記録を樹立したインフルエンサーの篠さんの自筆レポートをお届け。まずは九州最南端の佐多岬から石川県白山市まで、初日から3日目の走行の記録だ。



いよいよ走り出す。サポートメンバー:牧瀬、百家、しょっとこ photo:Nobuhiko Toya

どうも、篠です。先日日本縦断ギネス世界記録に挑戦して、無事完走しました。5月21日7:00に佐多岬から出発し、5月27日11:48に宗谷岬に到着。記録は148時間48分(6日4時間48分 ※睡眠休憩込みのグロス計測)、総距離2536km、獲得標高15641m。現在WUCAにギネス世界記録申請中で、無事認定されれば女子記録更新になります。

長かったようで体感一瞬だった濃厚の一週間。今回の記事では走行記録とともにチャレンジ本番を振り返ります。

現地入りまで

たまたま移動日が東京九州フェリーの運休日だった為、今回の現地入りは自宅からサポートカーのハイエースで佐多岬まで1500km大移動。19日の昼過ぎから移動開始して佐多岬の民宿に到着したのは20日の18時過ぎ。九州区間のサポートメンバー牧瀬さん、百家さん、全行程帯同するカメラマンNobさんとは宿集合になっていた。

そこからサポートカーとキャンピングハイエースの荷物の詰め替えたり、スポンサーロゴやレギュレーション規定の低速車マークを車につける作業を行い、シャワーを浴びて夕飯を摂り、なんだかんだで就寝が22時に。

今回一番悔やまれるのは、九州最南端の佐多岬は関東よりずっと気温も湿度も高く、蚊の動きが活発なのを失念していたことです。荷物詰め替えている間に20箇所ほど刺され、寝てる間も部屋に入り込んだ蚊に魘され、大事なチャレンジ前夜に途切れ途切れの4時間程しか眠れていません・苦笑

5時半起床、宿で朝食を取り6時半に車で佐多岬へ移動。「蚊で寝不足」というアクシデントを除けばすべて予定通り。

今回の日本縦断ギネス世界記録チャレンジは、自分にとっては「チャレンジ」でありつつ、「いつも通り」でないとならない。初日の九州区間を除き、全行程毎日5時~6時起床、24時前後就寝のルーティンでスケジュールを組んでいるのはその為です。

九州南端の佐多岬から走り出す篠さんとサポートカー photo:Nobuhiko Toya

関門海峡を渡るまではガンガン行こう

「佐多岬」の看板が取り付けられている大樹前でデジタル時計と一緒に写真を撮って、7:01スタート。(朝早くから見送りに来てくださった方ありがとうございました!)

今回引いたルートは全行程2543km(GPSログでは2536kmで完走)

現女子記録保持者の遠藤杏奈さんの記録180時間18分(338km/日)
元男子記録保持者の高岡亮寛さんの記録157時間28分(387km/日)
現男子記録保持者の落合祐介さんの記録136時間30分(445km/日)
2022年に男子記録に挑んだ桑野雅利さんの記録155時間11分(393km/日)

以上を参考に、現時点で自分が遂行できるであろうペースから割り出した今回の目標タイムは151時間31分(402km/日)。今回は高岡さん承認の元、ハムスタースピンの福田さんから過去の貴重なデータを参考にさせて頂いたおかげで、分単位で進行のシミュレーションができました。

桜島へ向かって走る photo:牧瀬美海

毎日平均402kmの予定とはいえ、均等に振り分ける必要はないので、補給や休憩場所の確保、体力マネージメントやメンタル面を考慮して、ルートを日ごとに区切りました。152時間切り完走を目指していくには、初日に関門海峡を渡るのが必須条件です。

門司から下関に渡る関門トンネル人道の通行可能時間は6:00~22:00。22時までに渡る予定で行くと、何かしらのトラブルで間に合わなかった場合は朝6時まで待機する羽目になるのと、佐多岬の出発が深夜0時頃になってしまう。6時の早朝オープンに合わせて行くなら、早めに着きすぎても待つ時間が勿体ないので、ちょうどいい時間を狙っていくのがミソです。あくまで「いつも通り」の「ロングライド」感覚で行きたいので、関門トンネル人道を朝6時に渡ると決めて、そこからスタート時間を逆算して、今回のチャレンジは佐多岬朝7時発になりました。

初日の九州区間の行程がもっとも距離が長く、要求Ave.も一番高い。「ロングライドは序盤抑えめで後半に体力残した方がいい」とよく言われますが、一週間も続くウルトラロングライドで、毎日400kmもこなし続けるとなると、話は変わってくると自分は思います。どんなに抑えて走っても、400km分の疲労は翌日に引き継がれていくので、初日に過度に抑えたところで期待した効果が生まれない可能性があります。したがって、一番元気な初日は無理し過ぎない程度に「ガンガン行こう」が正解かな(持論)

長い行程へと走り始めた篠さん photo:Nobuhiko Toya

初日の前半はオルベアORCAを使用。鹿児島県の南側は信号も交通量も少なく、ほぼエアロバーを持って巡航できて、かなり快適に走行できました。海沿いの道を走ってて、桜島がドンっと目の前に現れた時は思わず「うひょおおお」と声が漏れてしまいました。ここから長い旅が始まるんだっ!と。今回走行するルートはすべて初見なので、観たことない景色を観に行く楽しみも大きな原動力です。

100km~200km区間は一旦市街地を通過して小さなアップダウンを繰り返していく。早朝スタートした際17℃前後だった気温もいつの間にか31℃を超え、九州らしい蒸し暑さも相まってこの日一番気温が高い時間帯。頭に熱が籠っている気がしたので、少しだけペースを弛めて調整。2回目の小停止コンビニまでは2回ボトルを補充しました。

本州側、門司や下関はもうすぐそこだ photo:Nobuhiko Toya

200km以降は気分転換も兼ねて、ラピエールXELIUSに乗り換え。17時の通勤時間帯に市街地抜けた際は多少交通量は増えたものの、300kmまではのどかな田舎道が続いた。道中で熊本の木村くんとスライドしたり、道端の畑に立派な角が生えた鹿を目撃したり、沿道の応援の方が増えたりと…情報量の多い区間でした。306km地点のコンビニで日没になり、初めての夜が訪れます。

初めてのサポートカー&ダイレクトフォロー

日本縦断ギネス世界記録チャレンジの新ルールが適応されてから、全行程サポートカーはライダーを目視できる範囲で後方を追従しないといけない決まりがあります。サポートは周りの交通に最大限に配慮した上で行います。道路が混雑している際は先回りしてライダーに合流するリープフロッグ形式を採用。さらに、日没後はライダーが街灯のない道路を走行する際、サポートカーは車輌のライトでライダーの前方を照らし続けるダイレクトフォローが必須になってきます。

ナイトラン。サポートカーの存在が心強くもあり、背後のストレスでもあり photo:Nobuhiko Toya

暗い田舎道ではサポートカーのおかげで前方が見やすくなるのはとても有り難かったですが、サポートカーだと頭で理解していても、丸一日自分の真後ろから車のエンジン音が聴こえ続けることは未体験で、想像以上に大きなストレスに繋がるものでした。

300km~400km区間は風向きが変わり、強い向かい風と市街地区間のダブルパンチでペースが落ちますが、焦らずにマイペースで進み続ける。実は朝から当初の予定より1時間20分~30分の貯金がある状態で進んでいるため、心の余裕はあります。予想外のことと言えば、門司までのラスト20kmが深夜の時間帯にも関わらず東京都内並に信号が多かったぐらいですかね・笑。

ナイトラン。門司までのラスト20kmが深夜の時間帯にも関わらず東京都内並に信号が多かった photo:Nobuhiko Toya

結局初日は25時32分に終了。予定より1時間22分早い到着になりました。早めに終わった分、休憩に回すことにして、この日は時間短縮のためシャワーはなしでタオルで軽く体を拭くだけ。キャンピングハイエースの中で5時40分まで睡眠を取りました。

1日目 鹿児島県佐多岬~北九州市門司港
サポートメンバー:牧瀬、百家、しょっとこ

走行距離 436km 獲得標高 3765m
グロス平均速度 23.5km/h
経過時間 18時間33分
走行時間 16時間34分
活動時間 7:00~25:33
睡眠休憩 4時間27分

天気 晴れ
気温 17~32℃
湿度 77%

着用ウェア【ASSOS】
UMA GT DRYLITE LS JERSEY
UMA GTV BIB SHORTS C2 EVO
SEEME VEST P1
SUMMER NS SKINLAYER P1
RS GLOVES TARGA
RS SUPERLEGER SOCKS S11
JINGO RS HELMET

走行ログ
https://www.strava.com/activities/11464465561



自分の気分は自分で上げる

2日目へ出発。アソスのウェアは心強いパートナーだ photo:Nobuhiko Toya

5月22日朝5:30のアラームで目覚め、よし、今日も走るぞ!と自分に言い聞かせた。昨晩体をタオルで拭いたあと、ジャージを着たまま寝たのがよかった。朝の用意で一番だるい「着替え」をしなくて済んだのは大きい。日焼け止めを塗り、髪の毛を結び直して、軽くだけどメイクしました。眉毛とアイシャドウとリップ。チャレンジの最中は顔なんてどうでもいいが本音ですが、何となくちゃんと鏡を見て笑うとシャキッとする気がして、それを毎朝のルーティンに取り入れ、最終日まで続けました。

福岡と山口の境、人道トンネルにて

6:01に2日目スタート。サポートチームは朝のコンビニで交代。牧瀬さん、百家さんと入れ替えで黒木さん、水口さんが入ります。

6時10分に関門トンネル人道入り口に着いたら、出迎えてくださるばんばんさん一味がいらっしゃいました。朝早くに来てくださって本当にありがとうございます。

サポートカーが通れない道は認定員が歩行もしくは自転車でライダーについてくる必要がある為、関門トンネル人道は認定員資格保持者の黒木さんの立ち会いで渡りました。関門トンネル人道下関側の入り口でサポートカーと合流した後、6時24分に走行開始。

遂に、本州に足を踏み入れた!昨日のこの時間は九州最南端にいたのに、今本州に入っているんだ…自転車すげぇ!と、サイコンの地図を眺めながらテンションが上がりました。

国道2号線の洗礼。交通量と排気ガスとストップアンドゴー

交通量の多い幹線道路を走る photo:Nobuhiko Toya

全行程振り返っても2日目が一番大変でした。国道2号線を「ただひたすら走り続ける」一見単純なルートですが、とにかく交通量が多い上に、大型トラックがひっきりなしに通る。路肩広い区間もあれば、片側一車線区間も長いですが、車の通過スピードは高速道路に近いので、周りの交通の妨げにならないよう後続車に気を遣っての走行は丸一日続きました。

あらかじめルート案内をサイコンに入れても、国道2号線はバイパスが入り組んでいる為、ミスコースしやすい。実際ミスコースが原因のタイムロスはこの日が一番多かったです。

海の近くを走っているとホッとする photo:Nobuhiko Toya

自転車通行可のバイパスは多いですが、有料道路にそのまま繋がる道もあるので、各分岐ではしっかり標識を目視確認した上で進むように徹底しました。特に広島市内はかなり大変でした苦笑。

また、地元の方の情報より、竹原市の田万里バイパスは、トンネル抜けた後の下り基調の途中から自転車通行不可のバイパスに切り替わる為、初見では見落としがちな初見殺し仕様。そこはカメラマンカーに先回りして側道に入る分岐を示してもらうようにして、無事切り抜けました。初日一気に距離消化した分、2日目は抑えめの375kmに設定しましたが、2日目かかった時間が初日とほぼ同じなのはやはり信号の多さが一番影響していると思います。

今回のチャレンジはオルベアORCAとラピエールXELIUSを乗り換えながら走った photo:Nobuhiko Toya

日本縦断ギネス世界記録は交通ルール遵守が大前提の挑戦で、今回のチャレンジも当たり前ですが、昼夜問わず、すべての信号と二段右折を守った上で、全行程遂行しました。2日目の福岡県北九州市~岡山県備前市までの区間は3回のコンビニ停止を合わせても1時間かかりませんでしたが、合計の信号停止は2時間11分もありました。信号のタイミングに合わせて手前から減速してクリート付け外す回数を減らし、再スタートはインターバルがかからないように抑える工夫しましたが、チリツモで疲労は溜まっていきました。

カメラに愛嬌を振りまけるのは元気な証 photo:Nobuhiko Toya

蓄積疲労と補給の変化

身体的疲労も2日目が一番だったと思います。実は朝起きた際、Maxレベルに浮腫んでいて、これ走れるコンディションではないと笑っちゃいましたが、考えないようにしました。どうせ今日も明日も走り続けるんだから、考えるだけ無駄です。

味のある市街地を走り抜ける。見知らぬ土地に旅情を感じる photo:Nobuhiko Toya

前日の熱中症気味を引き摺っていて、気温30℃超える12時~15時の時間帯になるとパフォーマンスが下がります。初日から小休憩ポイントごとにおにぎり3つ(赤飯、塩、焼き)を持ち歩いて食べていましたが、この日は100km近く進行しても1.5個しか食べられませんでした。暑さで食欲下がっているのでは…?と思いました。

体を冷やしたくて、初めてサポートカーにアイスボックス(贅沢な方)を買ってくださいと連絡を入れました。2023年7月末の真夏に大阪東京キャノンボール走った際もそれを首後ろの窪みに入れて走っていました。ゆっくり溶ける上に、溶けた後は果汁が飲めるので有能です。

ただ少し体冷やしても、何故かおにぎりを食べる気になれず…。国道2号線をダラダラ走っていたら、大きな看板が目に飛び込んでくる。「マクドナルド 4km先 ドライブスルー」

「あ…ハンバーガー食べたい」と、唐突にそう思った。今までの自分なら、絶対補給に選ばないであろうジャンクフードのハンバーガー。暑さで頭やられたのかな…。でも直感と欲求には素直に従った方がいいから、ひとまずサポートカーに連絡を入れて、看板を指差しながら大袈裟にジェスチャーしました。「ハン・バー・ガー!」

日が暮れた。しかし今日の予定はまだまだ走る photo:Nobuhiko Toya

正直、コンビニ休憩でハンバーガーを受け取って食べるまでは本当に食べられるのか半信半疑でしたが、秒で完食したし、過去一ハンバーガーが美味しく感じた…。暑さで食欲がないと思っていましたが、どうも体が求めていたのはおにぎりではなかったらしい。驚くことに、ハンバーガーを食べたあと、体がよく動くようになりました。

夜のコンビニでの休憩と補給は規則違反に気を遣って photo:Nobuhiko Toya

自分の変化に戸惑いつつも、走りながら思考整理しました。日本縦断に向けての準備期間で、脂質をエネルギーに転換する能力を高めたので、初日は主に脂質を消費して走行したはず。にもかかわらず、糖質メインで補給をしていたせいで、体が脂質を補充しようとしていたのではないか? ハンバーガーは糖質、脂質、たんぱく質の三大栄養素をまとめて摂取できるので、実はかなりバランスのいい補給食なのでは?という仮説が自分の中で立ちました。

予定した終了地点まで夜間も走り続ける photo:Nobuhiko Toya

2日目は24:30に終了。前半の205kmはORCAを使用、後半の170kmはXELIUSに乗り換えました。信号が多い区間を考慮して予定ではAve.20km/hを想定しましたが、26km/h前後で走り続けてもまったくAve.が上がらず、ずっと追われている感覚でした。何とか予定より42分の貯金がある状態で走り切れてほっとしています。翌日のことは考えないようにして、オートミールを入れた暖かいスープを飲んで胃腸を温め、さっさと眠りに着きました。

夜間走行の合間に夜空を仰いで一息 photo:Nobuhiko Toya

天気 晴れ
気温 18~32℃
湿度 81%

着用ウェア【ASSOS】
DYORA RS JERSEY S9 TARGA
DYORA RS SUMMER BIB SHORTS S9
SEEME VEST P1
SUMMER NS SKINLAYER P1
ARM PROTECTOR
RS GLOVES TARGA
R SOCKS S9
JINGO RS HELMET

2日目 北九州市門司港~岡山県備前市
サポートメンバー:黒木、水口、しょっとこ

走行距離 375km 獲得標高 2239m
グロス平均速度 20.3km/h
経過時間 18時間27分
走行時間 15時間29分
活動時間 6:00~24:27
睡眠休憩 5時間3分

走行ログ
https://strava.app.link/rAT9bjEvcKb



気分は少年誌主人公、進むに連れて仲間をかき集めていく大冒険

5月23日、朝5時起床。3日目です。言うまでもなく、めちゃくちゃだるいです。ここで予定表を見てみよう。
昨日:375km、要求Ave.19.9km/h、制限時間19時間10分
本日:ノルマ395km、要求Ave.20.3km/h、制限時間19時間22分

昨日より距離もペースも上がるんかーいっ!と思わず頭抱えたくなります・笑。恐らく精神的に一番しんどいであろう3日目、そんなこともあろうかと、あらかじめ用意したものがありました。

支援者たちのロゴを連ねたMAS×SAURUS TEAM JERSEY photo:Nobuhiko Toya

所属チーム「MAS×SAURUS」のチームジャージです。今回のスポンサーになってくださった企業様のロゴや個人名を入れた日本縦断ギネス世界記録チャレンジVer.。株式会社ウエイブワン様、ジャージ作成の御協力ありがとうございます。応援してくださる皆さんの名前を背負っていると思うと、不思議と力がどんどん湧き上がって来るものです。

3日目も淡々と走り始めた photo:Nobuhiko Toya

予定より17分遅れで、5時28分に走行開始。サポートチームが交代で、黒木さん、水口さんと入れ替えで三島さんと網野が入ります。姫路に前泊の網野とは、本日の65km地点のコンビニで合流することになっていました。このようにきっちり一日交代ではなく、交通の便も考慮して臨機応変にサポートチームの調整をしていきます。今回サポートメンバー初対面の方も多い中、長い付き合いで気の知れた網野の加入は心強い。今日無事走り切れれば、ロングライド大先輩のふぃりりんとの合流も控えている。本州区間の後半は仲間をかき集めていくワクワク感がありました。

網野:2019年からの知り合いで、Cycle Media輪の立ち上げメンバー、基本なんでもそつなくこなす有能さでいるだけで安心感。今回の企業スポンサー「ツール・ド・ニッポン」の中の人でもある。

ふぃりりん : 2018年岩木山ヒルクライム後の新青森駅までの自走ライド以来、彼からブルベに勧誘されている。日頃からブリを持ち歩いており、「イキリっぷ」という同人誌のモデルになっている。本州一周TT(約3300km)8日17時間45分、日本縦断(2619km)7日4時間42分、大阪東京キャノンボール21時間42分、RAAM8人チーム完走。

河原沿いの道を走る photo:Nobuhiko Toya

400kmは100kmライドを4回やるだけ

コンビニでしょっとこさんのサポートを受ける篠さん photo:Nobuhiko Toya

17分遅れでスタートしましたが、1回目の小停止地点ローソン山南町草部店に着く頃には5分遅れまで巻き返していました。市街地から離れているコンビニなので、流石に応援は誰もいないだろうと思ったら、モニグラ~さんがGR86で颯爽と現れてびっくりです・笑。(個人スポンサーありがとうございます)

ペースは初日と比べて下がったものの、これより上がることはないけど、下がることもない下限値を維持し続けている感覚です。疲れはありますが、一箇所にダメージが集中することなく、あくまで「正常の疲労感」に留まっているおかげだと思います。

旧市街を走り抜ける photo:Nobuhiko Toya

2回目の小停止地点ローソン高浜町和田店では、まさかの関東民のとっしーさんが出迎えてくれて、「なんでここにいるの!?」と声出して笑いました。友人のこういうサプライズは本当に嬉しいものです。おかげ様で蒸し暑さにやられかけた頭がスッキリしました・笑。

今回のチャレンジは毎日おおよそ100kmに1ストップ。最初から400kmカウントダウンするのは気が遠くなるから、細かく分割して1個1個クリアしていくイメージでスケジュールを組んでいます。「100km」は普段よくこなす距離故に、その時の体感での走行時間が予測できて、ペース管理がしやすい。自分の場合だと、余程長い休憩をしなければ、どんなにゆっくり走っても5時間はかからない距離です。

3日目となると疲労が溜まっているのを感じる photo:Nobuhiko Toya

「次の休憩まであと4.5~5時間足を回し続ければいい。」と、どんどん思考をシンプルにしていって、「無」の状態で走り続けました。マップ上の自分の現在地を見るのは楽しかったです。九州の最南端から本州に突入して、日本海まで出た。足を止めなければ、ちゃんと前に進み続けるから、ロングライドはシンプルで最高だ。

沿道の人の暮らしを感じながらペダルを漕ぐ photo:Nobuhiko Toya

唐突のサムライマックと一生忘れられない夕陽

昨日急に湧き上がったハンバーガー欲が今日も続く。敦賀市内の信号停止でサポートカーを呼び止めて、「サムライマック食べたい」と伝えた時は2回ほど聞き返された・笑。

日が傾くなか走り続ける photo:Nobuhiko Toya

ちょうど日が暮れるタイミングで越前海岸に突入。海岸線のアップダウンを淡々と走りながら、沈み行く夕陽をずっと眺めていました。最高にいい天気で雲ひとつなく、水平線に日が消えていって、空の色が変わりゆき、次第に交通量も減っていって、広い海岸線沿いの道と海と夜空を独り占めした気分に浸りました。今まで生きてきた中で観た一番美しい夕陽でした。

日が傾くなか走り続ける photo:Nobuhiko Toya

3回目の小停止地点ローソン越前海岸店に着いたのは19時50分。応援に来てくださった方とお話しながら、暖かいコーンスープとともに、買っておいたサムライマックを堪能しました。(ポテトはしょっとこが食べました。)

スペース配信「日本縦断なう」(車と無線接続中)

ローソンを出たのは20時7分、この日のゴール地点まで残り90km。今思うと20時の時点で残り90kmは普通におかしいけど、その時は「もう305km走ってきたから残り90kmしかないんだ」ぐらいの感覚でした。コンビニで今回サポートカーと連絡用にインカムを導入したのに、3日目にして未だに活用できていないことを思い出す。眠気防止にもなるから、海岸線区間はインカムを繋げて会話することにしました。

「待って…話せるってことはさ、スペースできるんじゃない?」世紀の大発見である。幸いサポートカーに網野がいるから、私の無茶ぶりに答えてくれるだろうと踏みました。「なう」は死語だよ…という突っ込みは置いといて、日本縦断の走行中にスペース配信はなかなか面白いものでした。

海沿いを走る篠さんとサポートカー photo:Nobuhiko Toya

網野がホスト役で状況説明とコメントの読み上げをしてくれて、私は走りながらそれに答えていました。ほぼL1で走っていて、心拍はずっと100未満で、喋っても息切れることがないから、インカムのバッテリーが持つならずっと喋っていたいぐらいでした。今回縦断中はSNS断ちしていたから、SNSを見てくださっている方と交流できたのは初めてで癒されました。

コンビニで補給をとりながら休憩。応援にきてくださった方々と photo:Nobuhiko Toya

3日目は0時08分に終了。予定より26分早い到着でした。序盤以降は信号の少ない道が多かった為、ORCAで350km、XELIUSで44kmでした。

翌朝からサポートに入るふぃりりん、わらばんしさん、オゴウさんがゴール地点で出迎えてくれた。
ふぃりりん「まさかオンタイムで来るとは思わなかった。めちゃくちゃ速い。びっくりした。」
久しぶりに会ったけど、こんな早口オタクだったっけ…とちょっと面白かったです。

このペースで走れるイメージははっきりとあったけど、ここまで順調に進行できたことは自分でも意外でした。

インスタントのトマトスープパスタで補給 photo:Nobuhiko Toya

少し余裕ができたのでこの日は車中泊をやめて、ルートインに宿泊。なんとチャレンジ開始してから初めてのお風呂である…。頭をシャンプーで洗い、大浴場で3分ほどサッと湯船に浸かることで一気にリフレッシュできました。お風呂は世界を救う。

部屋に入ってアラームセットした後の記憶が無い・笑。髪の毛乾かす前に寝落ちて、せっかくの3日ぶりのベッドだったのに、布団を被らずに眠ってしまった…。めちゃくちゃ勿体ないことをしました。

天気 曇り→晴れ
気温 15~29℃
湿度 87%

着用ウェア
MAS×SAURUS TEAM JERSEY(ウエイブワン製)
【ASSOS】
DYORA RS SUMMER BIB SHORTS S9
SEEME VEST P1
SUMMER NS SKINLAYER P1
SPRING FALL KNEE WARMERS EVO
RS GLOVES TARGA
R SOCKS S9
JINGO RS HELMET

3日目 岡山県備前市~石川県白山市
サポートメンバー:三島さん、網野、しょっとこ

走行距離 395km 獲得標高 2226m
グロス平均速度 21.2km/h
経過時間 18時間39分
走行時間 16時間33分
活動時間 5:30~24:09
睡眠休憩 5時間12分

走行ログ
https://www.strava.com/activities/11479614320/


text:篠
photo:Nobuhiko Toya