深い霧の登りフィニッシュで決着したクリテリウム・デュ・ドーフィネ第2ステージ。マグナス・コルト(デンマーク)が得意の登りスプリントでログリッチらを退け、ウノエックス・モビリティ移籍後初勝利を飾った。



ドーフィネ2日目に臨むプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ボーラ・ハンスグローエ) photo:CorVos

クリテリウム・デュ・ドーフィネ2024第2ステージ コースプロフィール image:A.S.O.
集団スプリントで決着した大会初日から一夜明け、クリテリウム・デュ・ドーフィネ第2ステージは丘の上にフィニッシュする。フランス中部アリエ県のガナを出発するコースは142kmで、前半に2つ(3&2級)、終盤に2つ(2&3級)を経てコル・ド・ラ・ロッジュの頂上を目指す。

前日勝者でマイヨジョーヌを着るマッズ・ピーダスン(デンマーク、リドル・トレック)を先頭にスタートが切られ、今年グルパマFDJから同じフランス籍のデカトロンAG2Rラモンディアルに移籍したブリュノ・アルミライユ(フランス)ら5名が逃げを打つ。その中には前日も逃げたマティス・ルベール(フランス、アルケアB&Bホテルズ)の姿もあり、ルベールは序盤2つのカテゴリーを先頭通過。マイヨアポワ(山岳賞ジャージ)の獲得に向けポイントを加算していった。

一方のメイン集団はプリモシュ・ログリッチ(スロベニア)を擁するボーラ・ハンスグローエがコントロールする。またこの日の優勝候補に挙げられたレイアウトディラン・トゥーンス(ベルギー)のイスラエル・プレミアテックや、前日も集団前方に人数を固めたイネオス・グレナディアーズもプロトン牽引に手を貸した。

マイヨジョーヌを纏いスタートを待つマッズ・ピーダスン(デンマーク、リドル・トレック) photo:A.S.O.

ブリュノ・アルミライユ(フランス、デカトロンAG2Rラモンディアル)を含む逃げは5名 photo:A.S.O.

最大5分まで拡がった逃げとプロトンのタイム差は4分前後を推移する。残り41.1km地点の中間スプリント(ボーナスタイム付き)でフィリッポ・コンカ(イタリア、Q36.5プロサイクリング)が先頭通過する頃に、その差は3分17秒まで縮小。そして終盤に入ったレースは、フィニッシュまで3つの丘が連なるその1つ目、2級山岳(距離7km/平均5.8%)に突入した。

約2分半の差で逃げを追うメイン集団はカンタン・パシェ(フランス、グルパマFDJ)がペースを上げ、遅れていく選手の中にはジロ・デ・イタリアでマリアビアンカ(ヤングライダー賞)を獲得したアントニオ・ティベーリ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス)の姿も。また1分差まで詰められた逃げでは2級山岳をルベールがトップ通過しマイヨアポワを確定させ、プロトンの先頭がウノエックス・モビリティに代わると逃げとのタイムは一気に縮まった。

プロトンは長い時間ボーラ・ハンスグローエがコントロールした photo:A.S.O.

順調に逃げとのタイム差を縮めていくプロトン photo:A.S.O.

続いてプロトンの牽引を始めたのは、プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ボーラ・ハンスグローエ)と共に総合エースを務めると思われていたアレクサンドル・ウラソフ(ロシア)。4月のツール・ド・ロマンディで総合2位に入ったウラソフのペースは強烈で、直前に飛び出したアルミライユ以外の逃げを吸収すると、ここまで粘っていたピーダスンが集団から遅れていった。

3級山岳で逃げから飛び出し、単独先頭に立ったブリュノ・アルミライユ(フランス、デカトロンAG2Rラモンディアル) photo:A.S.O.

タイムトライアルスペシャリストであるアルミライユは3級山岳を越え、フィニッシュの待つコル・ド・ラ・ロッジュを単独先頭で駆け上がる。しかし、霧が立ち込めるなかを再び先頭に立ったウノエックスが猛追。そのため最後まで踏み続けたアルミライユを残り150mで捉え、その直前にマグナス・コルト(デンマーク、ウノエックス・モビリティ)がスプリントを開始した。

持ち前のスプリントを発揮したコルトをマッテオ・ヨルゲンソン(アメリカ、ヴィスマ・リースアバイク)やログリッチが追いかける。しかしトップスピードに乗ったコルトとの差は縮まらず、コルトは濃い霧に覆われたフィニッシュラインを先頭で通過した。

残り150mでアルミライユを捉え、スプリント勝利したマグナス・コルト(デンマーク、ウノエックス・モビリティ) photo:CorVos

「ドーフィネという大きな舞台で掴んだ信じられない勝利。ウノエックスに移籍後、良いシーズンのスタートを切ることができなかった。そんな中苦しみ、またティレーノ~アドリアティコでは怪我を負ってしまったんだ。そこから戻ってきてステージ優勝だなんて信じられない」とコルトは喜ぶ。

コメントの通りコルトは今年、EFエデュケーション・イージーポストから母国デンマークと同じ北欧ノルウェー籍のウノエックスに移籍。そして念願の移籍後初勝利をドーフィネで掴み、また総合首位に立ちマイヨジョーヌを着用した。

2位にはログリッチが入り、3位はヨルゲンソン。レムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ)はトップと同タイムの27位でフィニッシュしている。

総合でも首位に立ったマグナス・コルト(デンマーク、ウノエックス・モビリティ) photo:A.S.O.

クリテリウム・デュ・ドーフィネ2024第2ステージ結果
1位 マグナス・コルト(デンマーク、ウノエックス・モビリティ) 3:21:42
2位 プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ボーラ・ハンスグローエ)
3位 マッテオ・ヨルゲンソン(アメリカ、ヴィスマ・リースアバイク)
4位 ジュリオ・チッコーネ(イタリア、リドル・トレック)
5位 オイエル・ラスカノ(スペイン、モビスター)
6位 ディラン・トゥーンス(ベルギー、イスラエル・プレミアテック)
7位 ルーカス・ネルーカー(イギリス、EFエデュケーション・イージーポスト)
8位 クレモン・シャンプッサン(フランス、アルケアB&Bホテルズ)
9位 ロマン・グレゴワール(フランス、グルパマFDJ)
10位 ギヨーム・マルタン(フランス、コフィディス)
11位 フアン・アユソ(スペイン、UAEチームエミレーツ)
12位 テイオ・ゲイガンハート(イギリス、リドル・トレック)
13位 セップ・クス(アメリカ、ヴィスマ・リースアバイク)
27位 レムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ)
個人総合成績
1位 マグナス・コルト(デンマーク、ウノエックス・モビリティ) 7:23:02
2位 プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ボーラ・ハンスグローエ) +0:04
3位 マッテオ・ヨルゲンソン(アメリカ、ヴィスマ・リースアバイク) +0:06
4位 ブリュノ・アルミライユ(フランス、デカトロンAG2Rラモンディアル) +0:08
5位 クレモン・シャンプッサン(フランス、アルケアB&Bホテルズ) +0:10
6位 デレク・ジー(カナダ、イスラエル・プレミアテック)
7位 オイエル・ラスカノ(スペイン、モビスター)
8位 クリスツ・ニーランズ(ラトビア、イスラエル・プレミアテック)
9位 フアン・アユソ(スペイン、UAEチームエミレーツ)
10位 ジャック・ヘイグ(オーストラリア、バーレーン・ヴィクトリアス)
その他の特別賞
ポイント賞 マグナス・コルト(デンマーク、ウノエックス・モビリティ)
山岳賞 マティス・ルベール(フランス、アルケアB&Bホテルズ)
ヤングライダー賞 マッテオ・ヨルゲンソン(アメリカ、ヴィスマ・リースアバイク)
チーム総合成績 モビスター
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos

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