6月2日に行われたスプリンターのツール前哨戦の一つ、ブリュッセル・サイクリングクラシック。カペルミュールなど名物坂が登場するベルギーのワンデーレースはヨナス・アブラハムセン(ノルウェー、ウノエックス・モビリティ)が残り15kmで飛び出し、独走からプロ初勝利を掴んだ。



ツールに向かうビニヤム・ギルマイ(エリトリア、アンテルマルシェ・ワンティ) photo:CorVos

総合系やクライマーがクリテリウム・デュ・ドーフィネで高地合宿の成果を確かめる一方、ツール・ド・フランスを目指すスプリンターはブリュッセル・サイクリングクラシック(UCI1.Pro)に集った。ベルギーの首都ブリュッセルを発着地点とする本大会は、ロンド・ファン・フラーンデレンでお馴染みのミュール・カペルミュールやボスベルグ、コンゴベルグといった丘が登場するワンデーレース。初開催が1893年と歴史深く、今年で第104回目を迎えた。

歴代優勝者にスプリンターや独走が得意な選手が並ぶように、スタート地点にはジロ・デ・イタリアを好走したカーデン・グローブス(オーストラリア、アルペシン・ドゥクーニンク)の他に、ビニヤム・ギルマイ(エリトリア、アンテルマルシェ・ワンティ)やパスカル・アッカーマン(ドイツ、イスラエル・プレミアテック)などツール出場を控えたスピードマンたちが並んだ。

ミュール・カペルミュールを越える選手たち photo:CorVos

序盤からアレクシ・グジャール(フランス、コフィディス)ら6名が逃げ集団を形成し、レース後半で3分差を得る。2周回するミュール・カペルミュールを含むコースに突入するとメイン集団は分裂し、ギルマイやフアン・モラノ(コロンビア、UAEチームエミレーツ)やライリー・シーアン(アメリカ、イスラエル・プレミアテック)などが第2集団を形成。しかしトタルエネルジーやコフィディス、ロット・デスティニーがこれを引き戻し、レースは再び逃げとプロトンという構図に戻った。

2度目のカペルミュールでも大きな動きはなく、逃げを捉えたプロトンから残り15kmの短い登りでマルク・ヒルシ(スイス、UAEチームエミレーツ)が加速する。しかしこの動きは決まらず、直後にプロトンからヨナス・アブラハムセン(ノルウェー、ウノエックス・モビリティ)がアタックした。

4秒差でスプリンターたちを退け、プロ初勝利を飾ったヨナス・アブラハムセン(ノルウェー、ウノエックス・モビリティ) photo:CorVos

マルティン・スヴルチェク(スロバキア、スーダル・クイックステップ)の合流を許したアブラハムセンは、2人でローテーションを回しながらメイン集団に残り10kmで1分差をつける。そして残り4km地点の平坦路でアブラハムセンはスヴルチェクを振り切り、プロトンに4秒をつけ独走を決めた。

「独走で掴んだプロ初勝利だ。ティレーノ~アドリアティコでは残り50mで集団に捕まったので、今日はフィニッシュラインまでもがいた。高地トレーニングの成果が結果となって現れた」とアブラハムセンは、その言葉通り28歳にしてプロ初勝利を喜んだ。

2位を決めるスプリントはギルマイが先着し、3位にはグローブスが入っている。

ブリュッセル・サイクリングクラシック2024表彰台:2位ギルマイ、1位アブラハムセン、3位カーデン photo:CorVos
ブリュッセル・サイクリングクラシック2024結果
1位 ヨナス・アブラハムセン(ノルウェー、ウノエックス・モビリティ) 4:53:23
2位 ビニヤム・ギルマイ(エリトリア、アンテルマルシェ・ワンティ) +0:04
3位 カーデン・グローブス(オーストラリア、アルペシン・ドゥクーニンク)
4位 パスカル・アッカーマン(ドイツ、イスラエル・プレミアテック)
5位 マッテオ・モスケッティ(イタリア、Q36.5プロサイクリング)
6位 フアン・モラノ(コロンビア、UAEチームエミレーツ)
7位 フィリッポ・フィオレッリ(イタリア、VFグループ・バルディアーニCSF・ファイザネ)
8位 リオネル・タミニオー(ベルギー、ロット・デスティニー)
9位 ミラン・フレティン(ベルギー、コフィディス)
10位 フランシスコ・ガルバン(スペイン、エキポ・ケルンファルマ)
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos

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