ログリッチとエヴェネプールが揃った第76回クリテリウム・デュ・ドーフィネが開幕。ツール前哨戦の初日は集団スプリントに持ち込まれ、マッズ・ピーダスン(デンマーク、リドル・トレック)がサム・ベネットらを退け勝利した。



4月に骨折し、これが実戦復帰となったレムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ) photo:CorVos

クリテリウム・デュ・ドーフィネ2024第1ステージ コースプロフィール image:A.S.O.
今年一つ目のグランツールであるジロ・デ・イタリアが終わり、欧州のロードレースはツール・ド・フランスに向かう。その前哨戦として行われるのが、8日間のステージレースであるクリテリウム・デュ・ドーフィネだ。

大会初日の舞台となったのは、フランス中央部オーヴェルニュ・ローヌ・アルプ地域圏のサン・プルサン・シュル・シウールを発着する172.5km。序盤に3つの低難易度なカテゴリー山岳を越え、コース後半は丘を含めた平坦路を2周回する。そのためピュアスプリンターには少々厳しいものの、集団スプリントが大方の予想となった。

ツールに出場予定の選手たちが多く集ったスタート地点には、共にイツリア・バスクカントリーで怪我を負い、これが復帰レースとなったプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ボーラ・ハンスグローエ)とレムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ)が揃う。そして現地時間12時50分にスタートが切られ、マーク・ドノヴァン(イギリス、Q36.5プロサイクリング)のアタックにマティス・ルベール(フランス、アルケアB&Bホテルズ)が単独で追走する形で逃げが形成された。

8日間のクリテリウム・デュ・ドーフィネがスタート image:A.S.O.

マーク・ドノヴァン(イギリス、Q36.5プロサイクリング)とマティス・ルベール(フランス、アルケアB&Bホテルズ)による逃げ image:A.S.O.

ルベールがドノヴァンに合流し2名になった先頭に対し、メイン集団はマッズ・ピーダスン(デンマーク)でスプリント勝利を狙うリドル・トレックが牽引する。序盤に設定された3つのカテゴリー山岳はドノヴァンが全て先頭通過したため、青地に白い水玉の入ったマイヨアポワ(山岳賞ジャージ)着用の権利を獲得。そして最大5分弱のリードでコントロールするプロトンでは、新加入のスプリンターであるサム・ベネット(アイルランド)擁するデカトロンAG2Rラモンディアルも牽引に加わった。

霧が太陽を遮り、レインウェアを着る選手もいるなかドノヴァンとルベールを先頭に周回コースに突入する。その2名を2分差で追う残り46km地点ではベネットが後輪をパンク。しかし直近のダンケルク4日間レースで6戦4勝と絶好調のベネットはすぐに集団に復帰し、そのメイン集団は逃げと1分10秒差で最終周回を知らせる鐘を聴いた。

プロトンはリドル・トレックやデカトロンAG2Rラモンディアルがペースを作った image:A.S.O.

フィニッシュに向けて位置取り争いが激化する photo:CorVos

大会初日と5日目以外は個人タイムトライアルと山頂フィニッシュのため、数少ないスプリンターを擁するチームが位置取り争いを始める。そんな緊張感が徐々に高まっていくプロトンでは、残り21km地点で落車が発生。これにジェームス・ウィーラン(オーストラリア、Q36.5プロサイクリング)が巻き込まれ、不運にも今大会最初の棄権者となった。

残り16km地点でプロトンは逃げを飲み込み、再び一つとなった集団の先頭は総合エースを守るべくUAEチームエミレーツやイネオス・グレナディアーズ、ボーラ・ハンスグローエが先頭に人数を固める。そして一度ペースが落ち、選手の笑顔も見えリラックスモードに突入した残り12kmでニルス・ポリッツ(ドイツ、UAEチームエミレーツ)が虚を突くアタックを仕掛けた。

しかしこの動きはマルコ・ハラー(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ)が引き戻し、直後にハリー・スウェニー(オーストラリア、EFエデュケーション・イージーポスト)が飛び出すものの決まらない。そしてこれをきっかけにスプリントに向かう集団のペースは一気に上がり、デカトロンとマグナス・コルト(デンマーク)で勝負したいウノエックス・モビリティが先頭でトレインを並べた。

盤石のリードアウトから勝利を掴んだマッズ・ピーダスン(デンマーク、リドル・トレック) photo:CorVos

フラムルージュ(残り1km)からはリドルが牽引し、白い南アフリカ王者ジャージを着るライアン・ギボンズのリードアウトからピーダスンがスプリントを開始。その背後をベネットとフレッド・ライト(イギリス、バーレーン・ヴィクトリアス)が争うなか、ピーダスンはベネットと迫るユーゴ・パージュ(フランス、アンテルマルシェ・ワンティ)を横に並ばせることさえ許さず勝利した。

「毎回、勝利は僕に自信を与えてくれる。この大会における目標はステージ優勝することだった。パリ〜ルーベの後から長期間トレーニングに励んでいたのでこれが久々のレースだ。だから目標が達成したいま、この後のレースでは"トレーニング"に励むよ。ここでレースのリズムを取り戻したい」と、ツールに向かうピーダスンは語った。

初日勝利を飾り、マイヨジョーヌに袖を通したマッズ・ピーダスン(デンマーク、リドル・トレック) photo:CorVos

クリテリウム・デュ・ドーフィネ2024第1ステージ結果
1位 マッズ・ピーダスン(デンマーク、リドル・トレック) 4:01:30
2位 サム・ベネット(アイルランド、デカトロンAG2Rラモンディアル)
3位 ユーゴ・パージュ(フランス、アンテルマルシェ・ワンティ)
4位 クレマン・ヴァントゥリーニ(フランス、アルケアB&Bホテルズ)
5位 オウェイン・ドゥール(イギリス、EFエデュケーション・イージーポスト)
6位 ミケーレ・ガッツォーリ(イタリア、アスタナ・カザクスタン)
7位 イバン・ガルシア(スペイン、モビスター)
8位 フレッド・ライト(イギリス、バーレーン・ヴィクトリアス)
9位 クレマン・リュソ(フランス、グルパマFDJ)
10位 マグナス・コルト(デンマーク、ウノエックス・モビリティ)
個人総合成績
1位 マッズ・ピーダスン(デンマーク、リドル・トレック) 4:01:20
2位 サム・ベネット(アイルランド、デカトロンAG2Rラモンディアル) +0:04
3位 ユーゴ・パージュ(フランス、アンテルマルシェ・ワンティ) +0:06
4位 マティス・ルベール(フランス、アルケアB&Bホテルズ) +0:07
5位 マーク・ドノヴァン(イギリス、Q36.5プロサイクリング) +0:08
6位 カスパー・ピーダスン(デンマーク、スーダル・クイックステップ) +0:09
7位 クレマン・ヴァントゥリーニ(フランス、アルケアB&Bホテルズ) +0:10
8位 オウェイン・ドゥール(イギリス、EFエデュケーション・イージーポスト)
9位 ミケーレ・ガッツォーリ(イタリア、アスタナ・カザクスタン)
10位 イバン・ガルシア(スペイン、モビスター)
その他の特別賞
ポイント賞 マッズ・ピーダスン(デンマーク、リドル・トレック)
山岳賞 マーク・ドノヴァン(イギリス、Q36.5プロサイクリング)
ヤングライダー賞 ユーゴ・パージュ(フランス、アンテルマルシェ・ワンティ)
チーム総合成績 アルケアB&Bホテルズ
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos

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