2024/06/02(日) - 08:45
本日6月2日(日)、ツール・ド・フランスの前哨戦である第76回クリテリウム・デュ・ドーフィネが開幕する。共に怪我からの復帰戦となるログリッチとエヴェネプールら注目選手や、5つの山頂フィニッシュが登場するコースの詳細をプレビューする。
タデイ・ポガチャルが約10分の大差で総合優勝を決めたジロ・デ・イタリア閉幕から1週間。次なるグランツール、ツール・ド・フランスを1ヶ月後に控えた6月2日(日)、第76回クリテリウム・デュ・ドーフィネ(UCIワールドツアー)が開幕する。
ツールと同じA.S.O.(アモリー・スポルト・オルガニザシオン)が主催する本大会の舞台は、フランス中央部のオーヴェルニュ・ローヌ・アルプ地域圏。1週間遅れで開幕するツール・ド・スイスと共に前哨戦と位置づけられ、かつてはドーフィネの歴代総合優勝者がその年のツールを制することが多く、昨年もヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ヴィスマ・リースアバイク)がその両方を制した。
「クリテリウム」の名前がついているもののレース形式はクリテリウムではなく、フランス南東部のドーフィネ地方(現在のイゼール県、ドローム県、オート=アルプ県)を由来とする8日間のステージレース。今年は近年稀に見る過酷なレイアウトとなっており、登りフィニッシュは5つ。第4ステージは個人タイムトライアルのため、ロードレースの5/7でクライマーや総合勢による山岳バトルが繰り広げられる。
丘陵ステージの初日はフィニッシュまで平坦路が続くのため、登り耐性がありながらスプリントに強いマッズ・ピーダスン(デンマーク、リドル・トレック)が得意とするレイアウト。そして第2、3ステージは低難易度な山岳がフィニッシュ手前に設定されたパンチャー向きの山頂フィニッシュとなる。
平坦基調な34.4kmの個人タイムトライアル(4日目)と丘陵ステージ(5日目)を経て、ドーフィネは過酷な3連続山頂フィニッシュを迎える。
第6ステージのフィニッシュ地点は超級山岳ル・コレ・ダルヴァール(距離11.2km/平均8.1%)の頂上で、翌日第7ステージは3つの1級山岳を越え、ラストに超級サモエンヌ1600(距離10km/平均9.3%)を駆け上がる。そして最終日の最後に臨むのは、2020年ツールにも登場した1級山岳プラトー・デ・グリエール(距離9.4km/平均7.1%)だ。
ログリッチとエヴェネプールの競演に注目
昨年覇者ヴィンゲゴーは怪我のため、またポガチャルはジロ後の休養のため不出場。だがツールに向け「ビッグ4」と呼ばれるプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ボーラ・ハンスグローエ)とレムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ)は揃って出場する。ヴィンゲゴーと同じくイツリア・バスクカントリーで落車した両者だが、ログリッチは擦過傷で済んだ一方で、エヴェネプールは鎖骨と肩甲骨を骨折。しかし2人ともにツール前哨戦に間に合わせてきた。
懸念されるのは両者の回復具合だが、ログリッチはアレクサンドル・ウラソフ(ロシア)とジャイ・ヒンドレー(オーストラリア)、エヴェネプールはミケル・ランダ(スペイン)という山岳アシストとのコンビネーションに注目。特に山頂フィニッシュが続くラスト3ステージでは、ツールに向けた各チームの戦略が垣間見えるだろう。
その他の総合勢では、ツール初出場を予定するフアン・アユソ(スペイン)がUAEチームエミレーツのエースを務め、グルパマFDJはダヴィド・ゴデュ(フランス)で勝負する。また今年イネオス・グレナディアーズから移籍し、念願の単独エースとしてツールに臨むテイオ・ゲイガンハート(イギリス、リドル・トレック)はジュリオ・チッコーネ(イタリア)と共に総合上位を目指す。
ヴィンゲゴー不在のヴィスマ・リースアバイクは昨年のブエルタ・ア・エスパーニャ覇者セップ・クス(アメリカ)に加え、24歳のマッテオ・ヨルゲンソン(アメリカ)が出場。ヨルゲンソンはエヴェネプールも出場した今年3月のパリ〜ニースで総合優勝を飾り、石畳を含むワンデーレースのドワルス・ドール・フラーンデレンも制した若手の注目株だ。
また、イスラエル・プレミアテックからはクリストファー・フルーム(イギリス)が昨年選考落ちしたツールを目指して出場する。
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos
タデイ・ポガチャルが約10分の大差で総合優勝を決めたジロ・デ・イタリア閉幕から1週間。次なるグランツール、ツール・ド・フランスを1ヶ月後に控えた6月2日(日)、第76回クリテリウム・デュ・ドーフィネ(UCIワールドツアー)が開幕する。
ツールと同じA.S.O.(アモリー・スポルト・オルガニザシオン)が主催する本大会の舞台は、フランス中央部のオーヴェルニュ・ローヌ・アルプ地域圏。1週間遅れで開幕するツール・ド・スイスと共に前哨戦と位置づけられ、かつてはドーフィネの歴代総合優勝者がその年のツールを制することが多く、昨年もヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ヴィスマ・リースアバイク)がその両方を制した。
「クリテリウム」の名前がついているもののレース形式はクリテリウムではなく、フランス南東部のドーフィネ地方(現在のイゼール県、ドローム県、オート=アルプ県)を由来とする8日間のステージレース。今年は近年稀に見る過酷なレイアウトとなっており、登りフィニッシュは5つ。第4ステージは個人タイムトライアルのため、ロードレースの5/7でクライマーや総合勢による山岳バトルが繰り広げられる。
丘陵ステージの初日はフィニッシュまで平坦路が続くのため、登り耐性がありながらスプリントに強いマッズ・ピーダスン(デンマーク、リドル・トレック)が得意とするレイアウト。そして第2、3ステージは低難易度な山岳がフィニッシュ手前に設定されたパンチャー向きの山頂フィニッシュとなる。
平坦基調な34.4kmの個人タイムトライアル(4日目)と丘陵ステージ(5日目)を経て、ドーフィネは過酷な3連続山頂フィニッシュを迎える。
第6ステージのフィニッシュ地点は超級山岳ル・コレ・ダルヴァール(距離11.2km/平均8.1%)の頂上で、翌日第7ステージは3つの1級山岳を越え、ラストに超級サモエンヌ1600(距離10km/平均9.3%)を駆け上がる。そして最終日の最後に臨むのは、2020年ツールにも登場した1級山岳プラトー・デ・グリエール(距離9.4km/平均7.1%)だ。
ログリッチとエヴェネプールの競演に注目
昨年覇者ヴィンゲゴーは怪我のため、またポガチャルはジロ後の休養のため不出場。だがツールに向け「ビッグ4」と呼ばれるプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ボーラ・ハンスグローエ)とレムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ)は揃って出場する。ヴィンゲゴーと同じくイツリア・バスクカントリーで落車した両者だが、ログリッチは擦過傷で済んだ一方で、エヴェネプールは鎖骨と肩甲骨を骨折。しかし2人ともにツール前哨戦に間に合わせてきた。
懸念されるのは両者の回復具合だが、ログリッチはアレクサンドル・ウラソフ(ロシア)とジャイ・ヒンドレー(オーストラリア)、エヴェネプールはミケル・ランダ(スペイン)という山岳アシストとのコンビネーションに注目。特に山頂フィニッシュが続くラスト3ステージでは、ツールに向けた各チームの戦略が垣間見えるだろう。
その他の総合勢では、ツール初出場を予定するフアン・アユソ(スペイン)がUAEチームエミレーツのエースを務め、グルパマFDJはダヴィド・ゴデュ(フランス)で勝負する。また今年イネオス・グレナディアーズから移籍し、念願の単独エースとしてツールに臨むテイオ・ゲイガンハート(イギリス、リドル・トレック)はジュリオ・チッコーネ(イタリア)と共に総合上位を目指す。
ヴィンゲゴー不在のヴィスマ・リースアバイクは昨年のブエルタ・ア・エスパーニャ覇者セップ・クス(アメリカ)に加え、24歳のマッテオ・ヨルゲンソン(アメリカ)が出場。ヨルゲンソンはエヴェネプールも出場した今年3月のパリ〜ニースで総合優勝を飾り、石畳を含むワンデーレースのドワルス・ドール・フラーンデレンも制した若手の注目株だ。
また、イスラエル・プレミアテックからはクリストファー・フルーム(イギリス)が昨年選考落ちしたツールを目指して出場する。
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos
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