2024/05/23(木) - 08:07
159kmに5つの山岳が詰め込まれたジロ・デ・イタリア第17ステージ。残り34.3kmで単独先頭に立ったゲオルグ・シュタインハウザー(ドイツ、EFエデュケーション・イージーポスト)がプロ初勝利を飾り、区間2位のポガチャルは総合リードを更に拡大させた。
ジロ・デ・イタリア第17ステージの舞台は、159kmという比較的短い距離に5つの山岳が詰め込まれた山岳ステージ。平坦路が一切ないため獲得標高差が4,000mを超える、なんとも過酷なレイアウトだ。
セルヴァ・ディ・ヴァル・ガルデナを出発直後に臨む一つ目の2級山岳パッソ・セッラから登りは始まり、その後長い緩斜面の下りを経て登坂距離19.8kmの1級山岳パッソ・ロッレ(平均4.8%/標高1,972m)をクリア。直後に3級山岳パッソ・ゴッベラ(距離5.7km/平均6%)を登った後、パッソ・ブロコンをそれぞれ異なる方向から2度登る。
東側からアプローチする1度目につけられたカテゴリーは2級(距離13.3km)。そして下った先のスプリントポイント(ボーナスタイムのみ)を経て、南西から1級山岳(距離11.9km/平均6.5%/最大13%)を駆け上がる。
ドライコンディションのなか定刻通り午後12時30分にレースはスタート。逃げ向きのレイアウトのため序盤から総合争いに無関係なクライマーたちが積極的に仕掛けたものの、どれも決め手に欠いたため一つの集団のまま最初の2級山岳に到着した。
前日のコースから標高2,489mのジョーゴ・ディ・サンタ・マリア(ウンブレイル峠)がカットされたため、急遽今大会のチーマコッピ(大会最高地点)に設定された2級山岳パッソ・セッラ(標高2,244m)。先行するジュリオ・ペリツァーリ(イタリア、VFグループ・バルディアーニCSF・ファイザネ)に頂上のライン直前でナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)が迫り、ハンドルを投げる接戦をペリツァーリが制した。
前日はフィニッシュ手前1kmでタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)に追いつかれ勝利を逃したペリツァーリだったが、ここ20年で最も若いチーマコッピ獲得者(20歳)となった。
下りでも逃げを目指す動きは継続され、次の1級山岳パッソ・ロッレ(距離19.8km/平均4.8%)に入る頃に10名の逃げグループが形成される。その中にはペリツァーリとキンタナはもちろん、前日も逃げたジュリアン・アラフィリップ(フランス、スーダル・クイックステップ)とミルコ・マエストリ(イタリア、ポルティ・コメタ)のコンビも。また今大会はスプリントステージでの長時間牽引が目立つアマヌエル・ゲブレイグザビエル(エリトリア、リドル・トレック)も逃げに乗った。
ペリツァーリがパッソ・ロッレの頂上を先頭通過する頃に、UAEチームエミレーツが牽引するメイン集団との差は1分8秒まで拡大する。しかしプロトンではロマン・バルデ(フランス)を擁するDSMフィルメニッヒ・ポストNLがペースメイクに加わり、逃げとの差をタイトにコントロール。そして27kmの長い下りが終わり、3級山岳パッソ・ゴッベラ(距離5.7km/平均6%)の麓でDSMが仕掛けた。
ケヴィン・ヴェルマーク(アメリカ、DSMフィルメニッヒ・ポストNL)による高速牽引は逃げを捉え、バルデのアタックに繋げようと試みる。しかしポガチャルによるマークに潰され、ヴェルマークのペースに集団の人数が絞られるなか、3級山岳の頂上手前でゲブレイグザビエルがアタックした。
その動きにゲオルグ・シュタインハウザー(ドイツ、EFエデュケーション・イージーポスト)が反応し、続く1度目のパッソ・ブロコン(2級)に入る頃に先頭2名は39秒のリードを得た。
登坂距離13.3kmの山岳を進むにつれプロトンとの差は拡大していき、1分半の差がついた頂上手前2.5km(残り34.3km)でシュタインハウザーが飛び出す。ゲブレイグザビエルを引き離した189cmと長身の22歳は、パッソ・ブロコンの頂上を先頭通過してダウンヒルに入った。
雨で濡れた路面でも快調に飛ばすシュタインハウザーは1級山岳パッソ・ブロコン(距離11.9km/平均6.5%)に入り、ゲブレイグザビエルを飲み込んだプロトンはイネオス・グレナディアーズがペースを作る。それに総合4位のベン・オコーナー(オーストラリア、デカトロンAG2Rラモンディアル)が遅れる一方で、総合2位のダニエル・マルティネス(コロンビア、ボーラ・ハンスグローエ)が積極的にアタックを繰り返した。
しかしマルティネスの加速はポガチャルやトーマスを引き離すに至らず、残り2km地点の手前で今度はポガチャルがシッティングのまま加速した。
前日同様、マリアローザによる静かなペースアップはトーマスやマルティネスを引き離し、最大3分の差を得たシュタインハウザーとの差が縮まる。しかしフラムルージュ(残り1km)を過ぎてもなお1分37秒のリードを保ったシュタインハウザーは最終ストレートに到達。そしてプロ初勝利を、ジロという大舞台で掴み取った。
2022年にEFでプロデビューしたシュタインハウザーは、ドイツ南部バイエルン州出身の22歳。父親もジロに出場経験のある自転車選手で、血縁関係はないもののヤン・ウルリッヒの甥でもあるシュタインハウザー。「信じられない勝利だ。第8ステージから調子の良さは感じており、勝利の可能性も感じていた。また今日は”調子が良いので勝てるかもしれない”と思い、序盤から逃げを目指した。一度プロトンに引き戻される奇妙な展開だったが、そこからまたトライし、それが上手く行ったんだ」と喜んだ。
ポガチャルは1分24秒遅れの区間2位に入り、それから18秒遅れでアントニオ・ティベーリ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス)やトーマス、マルティネスがフィニッシュ。そのためポガチャルは総合2位マルティネスとの差を、更に24秒拡大させることに成功している。
ジロ・デ・イタリア第17ステージの舞台は、159kmという比較的短い距離に5つの山岳が詰め込まれた山岳ステージ。平坦路が一切ないため獲得標高差が4,000mを超える、なんとも過酷なレイアウトだ。
セルヴァ・ディ・ヴァル・ガルデナを出発直後に臨む一つ目の2級山岳パッソ・セッラから登りは始まり、その後長い緩斜面の下りを経て登坂距離19.8kmの1級山岳パッソ・ロッレ(平均4.8%/標高1,972m)をクリア。直後に3級山岳パッソ・ゴッベラ(距離5.7km/平均6%)を登った後、パッソ・ブロコンをそれぞれ異なる方向から2度登る。
東側からアプローチする1度目につけられたカテゴリーは2級(距離13.3km)。そして下った先のスプリントポイント(ボーナスタイムのみ)を経て、南西から1級山岳(距離11.9km/平均6.5%/最大13%)を駆け上がる。
ドライコンディションのなか定刻通り午後12時30分にレースはスタート。逃げ向きのレイアウトのため序盤から総合争いに無関係なクライマーたちが積極的に仕掛けたものの、どれも決め手に欠いたため一つの集団のまま最初の2級山岳に到着した。
前日のコースから標高2,489mのジョーゴ・ディ・サンタ・マリア(ウンブレイル峠)がカットされたため、急遽今大会のチーマコッピ(大会最高地点)に設定された2級山岳パッソ・セッラ(標高2,244m)。先行するジュリオ・ペリツァーリ(イタリア、VFグループ・バルディアーニCSF・ファイザネ)に頂上のライン直前でナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)が迫り、ハンドルを投げる接戦をペリツァーリが制した。
前日はフィニッシュ手前1kmでタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)に追いつかれ勝利を逃したペリツァーリだったが、ここ20年で最も若いチーマコッピ獲得者(20歳)となった。
下りでも逃げを目指す動きは継続され、次の1級山岳パッソ・ロッレ(距離19.8km/平均4.8%)に入る頃に10名の逃げグループが形成される。その中にはペリツァーリとキンタナはもちろん、前日も逃げたジュリアン・アラフィリップ(フランス、スーダル・クイックステップ)とミルコ・マエストリ(イタリア、ポルティ・コメタ)のコンビも。また今大会はスプリントステージでの長時間牽引が目立つアマヌエル・ゲブレイグザビエル(エリトリア、リドル・トレック)も逃げに乗った。
ペリツァーリがパッソ・ロッレの頂上を先頭通過する頃に、UAEチームエミレーツが牽引するメイン集団との差は1分8秒まで拡大する。しかしプロトンではロマン・バルデ(フランス)を擁するDSMフィルメニッヒ・ポストNLがペースメイクに加わり、逃げとの差をタイトにコントロール。そして27kmの長い下りが終わり、3級山岳パッソ・ゴッベラ(距離5.7km/平均6%)の麓でDSMが仕掛けた。
ケヴィン・ヴェルマーク(アメリカ、DSMフィルメニッヒ・ポストNL)による高速牽引は逃げを捉え、バルデのアタックに繋げようと試みる。しかしポガチャルによるマークに潰され、ヴェルマークのペースに集団の人数が絞られるなか、3級山岳の頂上手前でゲブレイグザビエルがアタックした。
その動きにゲオルグ・シュタインハウザー(ドイツ、EFエデュケーション・イージーポスト)が反応し、続く1度目のパッソ・ブロコン(2級)に入る頃に先頭2名は39秒のリードを得た。
登坂距離13.3kmの山岳を進むにつれプロトンとの差は拡大していき、1分半の差がついた頂上手前2.5km(残り34.3km)でシュタインハウザーが飛び出す。ゲブレイグザビエルを引き離した189cmと長身の22歳は、パッソ・ブロコンの頂上を先頭通過してダウンヒルに入った。
雨で濡れた路面でも快調に飛ばすシュタインハウザーは1級山岳パッソ・ブロコン(距離11.9km/平均6.5%)に入り、ゲブレイグザビエルを飲み込んだプロトンはイネオス・グレナディアーズがペースを作る。それに総合4位のベン・オコーナー(オーストラリア、デカトロンAG2Rラモンディアル)が遅れる一方で、総合2位のダニエル・マルティネス(コロンビア、ボーラ・ハンスグローエ)が積極的にアタックを繰り返した。
しかしマルティネスの加速はポガチャルやトーマスを引き離すに至らず、残り2km地点の手前で今度はポガチャルがシッティングのまま加速した。
前日同様、マリアローザによる静かなペースアップはトーマスやマルティネスを引き離し、最大3分の差を得たシュタインハウザーとの差が縮まる。しかしフラムルージュ(残り1km)を過ぎてもなお1分37秒のリードを保ったシュタインハウザーは最終ストレートに到達。そしてプロ初勝利を、ジロという大舞台で掴み取った。
2022年にEFでプロデビューしたシュタインハウザーは、ドイツ南部バイエルン州出身の22歳。父親もジロに出場経験のある自転車選手で、血縁関係はないもののヤン・ウルリッヒの甥でもあるシュタインハウザー。「信じられない勝利だ。第8ステージから調子の良さは感じており、勝利の可能性も感じていた。また今日は”調子が良いので勝てるかもしれない”と思い、序盤から逃げを目指した。一度プロトンに引き戻される奇妙な展開だったが、そこからまたトライし、それが上手く行ったんだ」と喜んだ。
ポガチャルは1分24秒遅れの区間2位に入り、それから18秒遅れでアントニオ・ティベーリ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス)やトーマス、マルティネスがフィニッシュ。そのためポガチャルは総合2位マルティネスとの差を、更に24秒拡大させることに成功している。
ジロ・デ・イタリア2024第17ステージ結果
1位 | ゲオルグ・シュタインハウザー(ドイツ、EFエデュケーション・イージーポスト) | 4:28:51 |
2位 | タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) | +1:24 |
3位 | アントニオ・ティベーリ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス) | +1:42 |
4位 | ゲラント・トーマス(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) | |
5位 | ダニエル・マルティネス(コロンビア、ボーラ・ハンスグローエ) | |
6位 | エイネルアウグスト・ルビオ(コロンビア、モビスター) | |
7位 | ロマン・バルデ(フランス、DSMフィルメニッヒ・ポストNL) | |
8位 | ダニエル・マルティネス(コロンビア、ボーラ・ハンスグローエ) | +1:55 |
9位 | ヤン・ヒルト(チェコ、スーダル・クイックステップ) | |
10位 | ラファウ・マイカ(ポーランド、UAEチームエミレーツ) | |
12位 | ベン・オコーナー(オーストラリア、デカトロンAG2Rラモンディアル) | +2:23 |
マリアローザ 個人総合成績
1位 | タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) | 63:31:18 |
2位 | ダニエル・マルティネス(コロンビア、ボーラ・ハンスグローエ) | +7:42 |
3位 | ゲラント・トーマス(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) | +8:04 |
4位 | ベン・オコーナー(オーストラリア、デカトロンAG2Rラモンディアル) | +9:47 |
5位 | アントニオ・ティベーリ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス) | +10:29 |
6位 | テイメン・アレンスマン(オランダ、イネオス・グレナディアーズ) | +11:10 |
7位 | ロマン・バルデ(フランス、DSMフィルメニッヒ・ポストNL) | +12:42 |
8位 | エイネルアウグスト・ルビオ(コロンビア、モビスター) | +13:33 |
9位 | フィリッポ・ザナ(イタリア、ジェイコ・アルウラー) | +13:52 |
10位 | ヤン・ヒルト(チェコ、スーダル・クイックステップ) | +14:44 |
マリアチクラミーノ ポイント賞
1位 | ジョナサン・ミラン(イタリア、リドル・トレック) | 284pts |
2位 | カーデン・グローブス(オーストラリア、アルペシン・ドゥクーニンク) | 175pts |
3位 | ジュリアン・アラフィリップ(フランス、スーダル・クイックステップ) | 113pts |
マリアアッズーラ 山岳賞
1位 | タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) | 230pts |
2位 | ジュリオ・ペリツァーリ(イタリア、VFグループ・バルディアーニCSF・ファイザネ) | 148pts |
3位 | ゲオルグ・シュタインハウザー(ドイツ、EFエデュケーション・イージーポスト) | 130pts |
マリアビアンカ ヤングライダー賞
1位 | アントニオ・ティベーリ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス) | 63:41:47 |
2位 | フィリッポ・ザナ(イタリア、ジェイコ・アルウラー) | +0:41 |
3位 | テイメン・アレンスマン(オランダ、イネオス・グレナディアーズ) | +3:23 |
チーム総合成績
1位 | デカトロンAG2Rラモンディアル | 191:23:01 |
2位 | イネオス・グレナディアーズ | +16:46 |
3位 | UAEチームエミレーツ | +34:11 |
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos
photo:CorVos
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