2024/05/10(金) - 08:19
ストラーデビアンケで知られる「白い砂埃」の未舗装路が登場したジロ・デ・イタリア第6ステージ。3名逃げに入ったペラヨ・サンチェス(スペイン、モビスター)がアラフィリップを退け、キャリアハイとなる勝利を掴んだ。
第1週目の見所の一つである「白い道」がジロ・デ・イタリア第6ステージでやってきた。ヴィアレッジョでティレニア海に別れを告げた選手たちは、ラポラーノ・テルメを目指し内陸に向かって進んでいく。
コース中央の4級山岳からアップダウンがスタート。ストラーデビアンケでお馴染みの白い埃舞う未舗装路は全部で3箇所(セクター)あり、第1セクターは残り49.5kmから始まる4.4km、第2セクター(4.8km)は最大勾配15%の4級山岳(距離3.4km/平均4.9%)を含む。そして第3セクターは残り17.9km(2.4km)からだ。
またコースプロフィールに細かい記載はないものの、フィニッシュ手前約5kmから始まるセッレ・ディ・ラポラーノの丘は、距離1.2km/平均8.4%で最大20%にも達する壁。この予測不能なステージには165名の選手が臨むなか、前日の落車によりマイケル・ウッズ(カナダ)らイスラエル・プレミアテックの3名が棄権し、フロリアン・リポヴィッツ(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)は体調不良のため未出走となった。
アクチュアルスタートの旗が振られ、ミッケルフレーリク・ホノレ(デンマーク、EFエデュケーション・イージーポスト)が即座に飛び出す。しかし逃げ向きのレイアウトであることから、ハイスピードを維持する集団は簡単に逃げを許さない。その後もマルティン・マルチェルージ(イタリア、VFグループ・バルディアーニCSF・ファイザネ)やサイモン・クラーク(オーストラリア、イスラエル・プレミアテック)のアタックなどが無駄に終わり、約70kmをひと塊のまま進んだ選手たちは最初の4級山岳に突入した。
この登坂距離8.6km/平均勾配4.7%の登りでは、開幕から3日連続で逃げたフィリッポ・フィオレッリ(イタリア、VFグループ・バルディアーニCSF・ファイザネ)が飛び出し、オレリアン・パレパントル(フランス、デカトロンAG2Rラモンディアル)やジュリアン・アラフィリップ(フランス、スーダル・クイックステップ)が追従する。そして4級山岳を越えてもなお先頭の選手は入れ替わり、残り84km地点、スタートから約100km地点でようやく7名の逃げグループが成立した。
第6ステージに逃げた7名
カーデン・グローブス(オーストラリア、アルペシン・ドゥクーニンク)
アンドレア・ヴェンドラーメ(イタリア、デカトロンAG2Rラモンディアル)
ペラヨ・サンチェス(スペイン、モビスター)
ジュリアン・アラフィリップ(フランス、スーダル・クイックステップ)
ルーク・プラップ(オーストラリア、ジェイコ・アルウラー)
マッテオ・トレンティン(イタリア、チューダー・プロサイクリング)
フィリッポ・フィオレッリ(イタリア、VFグループ・バルディアーニCSF・ファイザネ)
直後に設定された中間スプリントはグローブスが先頭通過して、マリアチクラミーノ(ポイント賞)ランキングの2位に浮上する。その3分後方のプロトンではUAEチームエミレーツが力を適度に抜きながら先導し、その緩やかなペースのおかげで4級山岳で遅れたスプリンターたちが合流。逃げではこの春、両者の不和が報じられたパトリック・ルフェーブルGMがアラフィリップに補給ボトルを渡すシーンもありながら、選手たちがいよいよ1つ目の未舗装路区間(距離4.4km)に足を踏み入れた。
白い砂埃を巻き上げながら進む先頭の7名に対し、メイン集団はイネオスがペースを作りながら2分43秒遅れで入る。そして2つ目の未舗装路区間(距離4.8km)に入ると、逃げ集団から白と黄色のオーストラリア王者ジャージを纏うプラップが飛び出し、登りでアラフィリップとサンチェスがジョイン。それを追うプロトンではマリアチクラミーノを着るジョナサン・ミラン(イタリア、リドル・トレック)がチームメイトのために先導を始め、逃げとのタイム差を1分半まで縮めた。
2つ目の未舗装路区間と合わさった4級山岳の頂上をアラフィリップが先頭で越え、今年のストラーデビアンケ覇者タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)が静かに走るプロトンでは総合3位のダニエル・マルティネス(コロンビア、ボーラ・ハンスグローエ)が慣れない砂の登りにタイヤを滑らせる場面も。しかしこれは遅れに繋がることはなく、レースは残り30kmで先頭3名を逃げの4名(58秒差)が追い、その後方をプロトンが進む(2分36秒差)構図となった。
美しいトスカーナの風景が中継映像に映し出されながら、アラフィリップを中心にプラップとサンチェスは綺麗なローテーションを回しながら残り距離を消化していく。残り17.9kmから始まる3つ目の未舗装路(距離2.4km)に入ると、プロトンでダミアーノ・カルーゾ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス)やウィリアム・バルタ(アメリカ、モビスター)を巻き込む落車が発生。しかしこれは大勢に影響なく、総合2位ゲラント・トーマス(イギリス)の安全確保のためイネオスがペースをコントロールしながらノートラブルで最後の未舗装路をクリアした。
残り10kmを切り、逃げとプロトンの差は1分。残り5kmでも45秒差を保った逃げの3名は、直後のセッレ・ディ・ラポラーノ(距離1.2km/平均8.4%/最大20%)でサンチェスが仕掛ける。しかしこれは元世界王者を引き離すには至らず、その後方ではロマン・バルデ(フランス、DSMフィルメニッヒ・ポストNL)のアタックからプロトンのペースが一気に上がり、エステバン・チャベス(コロンビア、EFエデュケーション・イージーポスト)のリードアウトから今度はアンドレア・ピッコロ(イタリア)が飛び出した。
サンチェスの攻撃によって協調が崩れながらも、リードを保ったアラフィリップたちは3名のままラスト1kmを通過する。そして残り150mの標識からアラフィリップが腰を上げ、それにスプリント力が未知数のサンチェスが追従。先手を取ったアラフィリップだったが、フィニッシュ手前10mでサンチェスが抜き、ジロデビュー3名による争いを制した。
「信じられない。僕にとってクレイジーな日になった。ジロが開幕してから今日のために脚を溜めていた。予定通り逃げに乗ったものの、まさかステージ優勝できるとは思っていなかった。逃げの人数を絞り、3名になってからアタックも試みた。しかし上手くはいかず、最後はスプリント勝負に持ち込まれ、そして勝利を手に入れた」とサンチェスは語った。
フィニッシュ直後に頭を抱え、嬉し涙を流したサンチェスは24歳。2021年にブルゴスBHでプロデビュー後、今年モビスターに加入。そして2度出場したブエルタ・ア・エスパーニャでの経験を活かし、ジロという大舞台でプロ3勝目を掴み取った。
プロトンを飛び出しながらも、先頭に追いつくことのできなかったピッコロは24秒差で4位フィニッシュ。また29秒遅れでやってきたプロトンの先頭はジョナタン・ナルバエス(エクアドル、イネオス・グレナディアーズ)が獲っている。
ポガチャルや強力なチームに守られたトーマスなど、総合上位勢も無事にフィニッシュに到着。そのため総合順位に変動はないまま、翌日の個人タイムトライアルに臨むこととなった。
第1週目の見所の一つである「白い道」がジロ・デ・イタリア第6ステージでやってきた。ヴィアレッジョでティレニア海に別れを告げた選手たちは、ラポラーノ・テルメを目指し内陸に向かって進んでいく。
コース中央の4級山岳からアップダウンがスタート。ストラーデビアンケでお馴染みの白い埃舞う未舗装路は全部で3箇所(セクター)あり、第1セクターは残り49.5kmから始まる4.4km、第2セクター(4.8km)は最大勾配15%の4級山岳(距離3.4km/平均4.9%)を含む。そして第3セクターは残り17.9km(2.4km)からだ。
またコースプロフィールに細かい記載はないものの、フィニッシュ手前約5kmから始まるセッレ・ディ・ラポラーノの丘は、距離1.2km/平均8.4%で最大20%にも達する壁。この予測不能なステージには165名の選手が臨むなか、前日の落車によりマイケル・ウッズ(カナダ)らイスラエル・プレミアテックの3名が棄権し、フロリアン・リポヴィッツ(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)は体調不良のため未出走となった。
アクチュアルスタートの旗が振られ、ミッケルフレーリク・ホノレ(デンマーク、EFエデュケーション・イージーポスト)が即座に飛び出す。しかし逃げ向きのレイアウトであることから、ハイスピードを維持する集団は簡単に逃げを許さない。その後もマルティン・マルチェルージ(イタリア、VFグループ・バルディアーニCSF・ファイザネ)やサイモン・クラーク(オーストラリア、イスラエル・プレミアテック)のアタックなどが無駄に終わり、約70kmをひと塊のまま進んだ選手たちは最初の4級山岳に突入した。
この登坂距離8.6km/平均勾配4.7%の登りでは、開幕から3日連続で逃げたフィリッポ・フィオレッリ(イタリア、VFグループ・バルディアーニCSF・ファイザネ)が飛び出し、オレリアン・パレパントル(フランス、デカトロンAG2Rラモンディアル)やジュリアン・アラフィリップ(フランス、スーダル・クイックステップ)が追従する。そして4級山岳を越えてもなお先頭の選手は入れ替わり、残り84km地点、スタートから約100km地点でようやく7名の逃げグループが成立した。
第6ステージに逃げた7名
カーデン・グローブス(オーストラリア、アルペシン・ドゥクーニンク)
アンドレア・ヴェンドラーメ(イタリア、デカトロンAG2Rラモンディアル)
ペラヨ・サンチェス(スペイン、モビスター)
ジュリアン・アラフィリップ(フランス、スーダル・クイックステップ)
ルーク・プラップ(オーストラリア、ジェイコ・アルウラー)
マッテオ・トレンティン(イタリア、チューダー・プロサイクリング)
フィリッポ・フィオレッリ(イタリア、VFグループ・バルディアーニCSF・ファイザネ)
直後に設定された中間スプリントはグローブスが先頭通過して、マリアチクラミーノ(ポイント賞)ランキングの2位に浮上する。その3分後方のプロトンではUAEチームエミレーツが力を適度に抜きながら先導し、その緩やかなペースのおかげで4級山岳で遅れたスプリンターたちが合流。逃げではこの春、両者の不和が報じられたパトリック・ルフェーブルGMがアラフィリップに補給ボトルを渡すシーンもありながら、選手たちがいよいよ1つ目の未舗装路区間(距離4.4km)に足を踏み入れた。
白い砂埃を巻き上げながら進む先頭の7名に対し、メイン集団はイネオスがペースを作りながら2分43秒遅れで入る。そして2つ目の未舗装路区間(距離4.8km)に入ると、逃げ集団から白と黄色のオーストラリア王者ジャージを纏うプラップが飛び出し、登りでアラフィリップとサンチェスがジョイン。それを追うプロトンではマリアチクラミーノを着るジョナサン・ミラン(イタリア、リドル・トレック)がチームメイトのために先導を始め、逃げとのタイム差を1分半まで縮めた。
2つ目の未舗装路区間と合わさった4級山岳の頂上をアラフィリップが先頭で越え、今年のストラーデビアンケ覇者タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)が静かに走るプロトンでは総合3位のダニエル・マルティネス(コロンビア、ボーラ・ハンスグローエ)が慣れない砂の登りにタイヤを滑らせる場面も。しかしこれは遅れに繋がることはなく、レースは残り30kmで先頭3名を逃げの4名(58秒差)が追い、その後方をプロトンが進む(2分36秒差)構図となった。
美しいトスカーナの風景が中継映像に映し出されながら、アラフィリップを中心にプラップとサンチェスは綺麗なローテーションを回しながら残り距離を消化していく。残り17.9kmから始まる3つ目の未舗装路(距離2.4km)に入ると、プロトンでダミアーノ・カルーゾ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス)やウィリアム・バルタ(アメリカ、モビスター)を巻き込む落車が発生。しかしこれは大勢に影響なく、総合2位ゲラント・トーマス(イギリス)の安全確保のためイネオスがペースをコントロールしながらノートラブルで最後の未舗装路をクリアした。
残り10kmを切り、逃げとプロトンの差は1分。残り5kmでも45秒差を保った逃げの3名は、直後のセッレ・ディ・ラポラーノ(距離1.2km/平均8.4%/最大20%)でサンチェスが仕掛ける。しかしこれは元世界王者を引き離すには至らず、その後方ではロマン・バルデ(フランス、DSMフィルメニッヒ・ポストNL)のアタックからプロトンのペースが一気に上がり、エステバン・チャベス(コロンビア、EFエデュケーション・イージーポスト)のリードアウトから今度はアンドレア・ピッコロ(イタリア)が飛び出した。
サンチェスの攻撃によって協調が崩れながらも、リードを保ったアラフィリップたちは3名のままラスト1kmを通過する。そして残り150mの標識からアラフィリップが腰を上げ、それにスプリント力が未知数のサンチェスが追従。先手を取ったアラフィリップだったが、フィニッシュ手前10mでサンチェスが抜き、ジロデビュー3名による争いを制した。
「信じられない。僕にとってクレイジーな日になった。ジロが開幕してから今日のために脚を溜めていた。予定通り逃げに乗ったものの、まさかステージ優勝できるとは思っていなかった。逃げの人数を絞り、3名になってからアタックも試みた。しかし上手くはいかず、最後はスプリント勝負に持ち込まれ、そして勝利を手に入れた」とサンチェスは語った。
フィニッシュ直後に頭を抱え、嬉し涙を流したサンチェスは24歳。2021年にブルゴスBHでプロデビュー後、今年モビスターに加入。そして2度出場したブエルタ・ア・エスパーニャでの経験を活かし、ジロという大舞台でプロ3勝目を掴み取った。
プロトンを飛び出しながらも、先頭に追いつくことのできなかったピッコロは24秒差で4位フィニッシュ。また29秒遅れでやってきたプロトンの先頭はジョナタン・ナルバエス(エクアドル、イネオス・グレナディアーズ)が獲っている。
ポガチャルや強力なチームに守られたトーマスなど、総合上位勢も無事にフィニッシュに到着。そのため総合順位に変動はないまま、翌日の個人タイムトライアルに臨むこととなった。
ジロ・デ・イタリア2024第6ステージ結果
1位 | ペラヨ・サンチェス(スペイン、モビスター) | 4:01:08 |
2位 | ジュリアン・アラフィリップ(フランス、スーダル・クイックステップ) | |
3位 | ルーク・プラップ(オーストラリア、ジェイコ・アルウラー) | +0:01 |
4位 | アンドレア・ピッコロ(イタリア、EFエデュケーション・イージーポスト) | +0:24 |
5位 | ジョナタン・ナルバエス(エクアドル、イネオス・グレナディアーズ) | +0:29 |
6位 | ルカ・メズゲッツ(スロベニア、ジェイコ・アルウラー) | |
7位 | クインテン・ヘルマンス(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク) | |
8位 | ニック・シュルツ(オーストラリア、イスラエル・プレミアテック) | |
9位 | ダニエル・マルティネス(コロンビア、ボーラ・ハンスグローエ) | |
10位 | アレクセイ・ルツェンコ(カザクスタン、アスタナ・カザクスタン) |
マリアローザ 個人総合成績
1位 | タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) | 23:20:52 |
2位 | ゲラント・トーマス(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) | +0:46 |
3位 | ダニエル・マルティネス(コロンビア、ボーラ・ハンスグローエ) | +0:47 |
4位 | キアン・アイデブルックス(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク) | +0:55 |
5位 | エイネルアウグスト・ルビオ(コロンビア、モビスター) | +0:56 |
6位 | ロレンツォ・フォルトゥナート(イタリア、アスタナ・カザクスタン) | +1:07 |
7位 | フアン・ロペス(スペイン、リドル・トレック) | +1:11 |
8位 | ヤン・ヒルト(チェコ、スーダル・クイックステップ) | +1:13 |
9位 | アレクセイ・ルツェンコ(カザクスタン、アスタナ・カザクスタン) | +1:26 |
10位 | エステバン・チャベス(コロンビア、EFエデュケーション・イージーポスト) |
マリアチクラミーノ ポイント賞
1位 | ジョナサン・ミラン(イタリア、リドル・トレック) | 134pts |
2位 | カーデン・グローブス(オーストラリア、アルペシン・ドゥクーニンク) | 97pts |
3位 | ティム・メルリール(ベルギー、スーダル・クイックステップ) | 89pts |
マリアアッズーラ 山岳賞
1位 | タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) | 51pts |
2位 | リリアン・カルメジャーヌ(フランス、アンテルマルシェ・ワンティ) | 32pts |
3位 | ダニエル・マルティネス(コロンビア、ボーラ・ハンスグローエ) | 26pts |
マリアビアンカ ヤングライダー賞
1位 | キアン・アイデブルックス(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク) | 23:21:47 |
2位 | アレックス・ボーダン(フランス、デカトロンAG2Rラモンディアル) | +0:45 |
3位 | マウリ・ファンセヴェナント(ベルギー、スーダル・クイックステップ) | +0:49 |
チーム総合成績
1位 | イネオス・グレナディアーズ | 70:07:38 |
2位 | アスタナ・カザクスタン | +0:14 |
3位 | デカトロンAG2Rラモンディアル | +1:04 |
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos
photo:CorVos
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