2024/05/08(水) - 08:11
フィリッポ・ガンナが終盤アタックを試みたジロ・デ・イタリア第4ステージは、2日連続の集団スプリントで決着。前日2位だったジョナサン・ミラン(イタリア、リドル・トレック)がライバルを退け、2年連続でジロ区間優勝を手に入れた。
ジロ・デ・イタリアは開幕から3日間を過ごしたピエモンテ州を離れ、地中海に面したリグーリア州に至る。その目的地はリグーリア海岸沿いを南に進み、ミラノ〜サンレモでもお馴染み「トレ・カーピ(3つの岬)」の一つ目、カーポ・メーレを過ぎた先のアンドーラ。
この日越える山岳は、コース中央に設定された3級山岳コッレ・デル・メローニョただ一つ。登坂距離8kmに平均勾配約4%はスプリンターを退けるほどではなく、仮に遅れたとしてもそこからフィニッシュまでは下りと60kmの平坦路。すなわち2日連続でスプリンターたちの競演が予想された。
共に出場していたダニー・ファンポッペル(オランダ、ボーラ・ハンスグローエ)の従兄弟であるブラム・ウェルテン(オランダ、DSMフィルメニッヒ・ポストNL)が体調不良のため棄権したこの日、172名の選手たちが曇り空のなかスタート。するとその直後、これがグランツールデビューの22歳フランシスコ・ムニョス(スペイン、ポルティ・コメタ)がアタックした。
単独先頭に立ったムニョスには、遅れてリリアン・カルメジャーヌ(フランス、アンテルマルシェ・ワンティ)とステファン・デボッド(南アフリカ、EFエデュケーション・イージーポスト)がジョイン。更にその後、地元イタリア出身のフィリッポ・ガンナ(イネオス・グレナディアーズ)も合流し、4名の逃げ集団が形成された。
独走力のある元タイムトライアル世界王者が逃げに乗ったため、メイン集団を先導するスーダル・クイックステップは1分20秒差以上を許さないタイトなペースでコントロールする。そして雨が降り出すなかガンナは逃げを離れ、プロトンに帰還。そのためムニョスとカルメジャーヌ、デボッドの3名となった逃げは一気に5分までリードを拡げた。
現役最後のジロを走るシモン・ゲシュケ(ドイツ、コフィディス)のパンク以外は、穏やかな雰囲気が漂うプロトン。一方の逃げはこの日唯一の3級山岳コッレ・デル・メローニョに入り、カルメジャーヌが狙い通りにトップ通過する。そして後方のメイン集団ではライバルを絞り込むためヴィスマ・リースアバイクのヤン・トラトニク(スロベニア)がハイペースを刻み、その目論見通りファビオ・ヤコブセン(オランダ、DSMフィルメニッヒ・ポストNL)らピュアスプリンターたちが遅れていった。
3級山岳からの長い下りの途中にあるインテルジロはムニョスがトップ通過する。そしてマリアローザを着るタデイ・ポガチャル(スロベニア)の安全を確保するべくUAEチームエミレーツが集団先頭に出た下りでは、雨が強まり濡れた路面が集団落車を誘発した。
それにはベン・オコーナー(オーストラリア、デカトロンAG2Rラモンディアル)ら10名ほどが巻き込まれ、前日3位に入ったビニヤム・ギルマイ(エリトリア、アンテルマルシェ・ワンティ)の姿も。身体の右側を打ちつけたギルマイはスペアバイクに乗り走り出したものの、数km先のコーナーでタイヤを滑らせ再び落車。今度は身体の左側を地面に叩きつけ、そのままレースを去った。
山岳ポイント獲得という目標を達成したカルメジャーヌはメイン集団に戻り、先頭のムニョスとデボッドはリグーリア海岸沿いの道に出る。その約2分半後方を走るプロトンでは、登りで遅れたスプリンターたちを振り切ろうとヴィスマやリドル・トレック、スーダル・クイックステップが牽引に力を注ぐ。しかしヤコブセンを擁するDSMやモビスターによる懸命の追走が実りメイン集団に復帰し、2日連続の集団スプリントに向け準備を整えた。
雨が上がり、太陽が降り注ぐミラノ〜サンレモでお馴染みの景色をひと塊となった選手たちが駆けていく。逃げのリードは残り20kmで1分まで縮まり、残り15kmで30秒。そして残り4.8kmでプロトンは逃げを捉え、ミラノ〜サンレモの「トレ・カーピ(3つの岬)」の一つ目で知られるカーポ・メーレの手前、残り4km地点でガンナがアタックした。
2023年のミラノ〜サンレモで2位に入った経験を持つガンナは、得意の単独走で後方から7秒のリードを得る。このアタックにより緊張感が一層高まるプロトンからは、ブリッジを掛けようとフィリッポ・フィオレッリ(イタリア、VFグループ・バルディアーニCSF・ファイザネ)とファンポッペルが飛び出す。しかしガンナに追いつくことはできず、またそのガンナもフィニッシュ手前500mで大集団に飲み込まれた。
そして大集団は最終ストレートに突入し、トラック競技2種目の現欧州王者であるシモーネ・コンソンニ(イタリア、リドル・トレック)が、同じトラックチームで走るミランを2番手に導く。そしてクリストフ・ラポルト(フランス、ヴィスマ・リースアバイク)もコーイを先頭へと引き上げ、ミランとコーイが横に並んだ。
両者は同時にスプリントを開始し、トップスピードに達したミランはコーイとの速度差を見せつける。またミランは左から迫るメルリールやカーデン・グローブス(オーストリア、アルペシン・ドゥクーニンク)、右側で駆けるフィル・バウハウス(ドイツ、バーレーン・ヴィクトリアス)も寄せ付けず、フィニッシュラインまで高速を維持。そして勝利の雄叫びを上げた。
2023年大会の第2ステージで勝利を挙げて以来、前日と合わせて5度の2位に甘んじていたミラン。「様々な感情が僕の中を駆け巡っている。チームメイトの素晴らしい走りのおかげで、再びジロの勝利を掴むことができた。僕を信じ、勝利へと導いてくれた彼らに感謝したい。またレースを見に来てくれた両親にも」とジロ通算2勝目に加え、マリアチクラミーノを手に入れたミランはそう喜んだ。
2位にはグローブスが入り、3位はバウハウス。登りで遅れ、その後集団に復帰したヤコブセンは勝負に絡むことができず、22位で大会4日目を終えている。
ジロ・デ・イタリアは開幕から3日間を過ごしたピエモンテ州を離れ、地中海に面したリグーリア州に至る。その目的地はリグーリア海岸沿いを南に進み、ミラノ〜サンレモでもお馴染み「トレ・カーピ(3つの岬)」の一つ目、カーポ・メーレを過ぎた先のアンドーラ。
この日越える山岳は、コース中央に設定された3級山岳コッレ・デル・メローニョただ一つ。登坂距離8kmに平均勾配約4%はスプリンターを退けるほどではなく、仮に遅れたとしてもそこからフィニッシュまでは下りと60kmの平坦路。すなわち2日連続でスプリンターたちの競演が予想された。
共に出場していたダニー・ファンポッペル(オランダ、ボーラ・ハンスグローエ)の従兄弟であるブラム・ウェルテン(オランダ、DSMフィルメニッヒ・ポストNL)が体調不良のため棄権したこの日、172名の選手たちが曇り空のなかスタート。するとその直後、これがグランツールデビューの22歳フランシスコ・ムニョス(スペイン、ポルティ・コメタ)がアタックした。
単独先頭に立ったムニョスには、遅れてリリアン・カルメジャーヌ(フランス、アンテルマルシェ・ワンティ)とステファン・デボッド(南アフリカ、EFエデュケーション・イージーポスト)がジョイン。更にその後、地元イタリア出身のフィリッポ・ガンナ(イネオス・グレナディアーズ)も合流し、4名の逃げ集団が形成された。
独走力のある元タイムトライアル世界王者が逃げに乗ったため、メイン集団を先導するスーダル・クイックステップは1分20秒差以上を許さないタイトなペースでコントロールする。そして雨が降り出すなかガンナは逃げを離れ、プロトンに帰還。そのためムニョスとカルメジャーヌ、デボッドの3名となった逃げは一気に5分までリードを拡げた。
現役最後のジロを走るシモン・ゲシュケ(ドイツ、コフィディス)のパンク以外は、穏やかな雰囲気が漂うプロトン。一方の逃げはこの日唯一の3級山岳コッレ・デル・メローニョに入り、カルメジャーヌが狙い通りにトップ通過する。そして後方のメイン集団ではライバルを絞り込むためヴィスマ・リースアバイクのヤン・トラトニク(スロベニア)がハイペースを刻み、その目論見通りファビオ・ヤコブセン(オランダ、DSMフィルメニッヒ・ポストNL)らピュアスプリンターたちが遅れていった。
3級山岳からの長い下りの途中にあるインテルジロはムニョスがトップ通過する。そしてマリアローザを着るタデイ・ポガチャル(スロベニア)の安全を確保するべくUAEチームエミレーツが集団先頭に出た下りでは、雨が強まり濡れた路面が集団落車を誘発した。
それにはベン・オコーナー(オーストラリア、デカトロンAG2Rラモンディアル)ら10名ほどが巻き込まれ、前日3位に入ったビニヤム・ギルマイ(エリトリア、アンテルマルシェ・ワンティ)の姿も。身体の右側を打ちつけたギルマイはスペアバイクに乗り走り出したものの、数km先のコーナーでタイヤを滑らせ再び落車。今度は身体の左側を地面に叩きつけ、そのままレースを去った。
山岳ポイント獲得という目標を達成したカルメジャーヌはメイン集団に戻り、先頭のムニョスとデボッドはリグーリア海岸沿いの道に出る。その約2分半後方を走るプロトンでは、登りで遅れたスプリンターたちを振り切ろうとヴィスマやリドル・トレック、スーダル・クイックステップが牽引に力を注ぐ。しかしヤコブセンを擁するDSMやモビスターによる懸命の追走が実りメイン集団に復帰し、2日連続の集団スプリントに向け準備を整えた。
雨が上がり、太陽が降り注ぐミラノ〜サンレモでお馴染みの景色をひと塊となった選手たちが駆けていく。逃げのリードは残り20kmで1分まで縮まり、残り15kmで30秒。そして残り4.8kmでプロトンは逃げを捉え、ミラノ〜サンレモの「トレ・カーピ(3つの岬)」の一つ目で知られるカーポ・メーレの手前、残り4km地点でガンナがアタックした。
2023年のミラノ〜サンレモで2位に入った経験を持つガンナは、得意の単独走で後方から7秒のリードを得る。このアタックにより緊張感が一層高まるプロトンからは、ブリッジを掛けようとフィリッポ・フィオレッリ(イタリア、VFグループ・バルディアーニCSF・ファイザネ)とファンポッペルが飛び出す。しかしガンナに追いつくことはできず、またそのガンナもフィニッシュ手前500mで大集団に飲み込まれた。
そして大集団は最終ストレートに突入し、トラック競技2種目の現欧州王者であるシモーネ・コンソンニ(イタリア、リドル・トレック)が、同じトラックチームで走るミランを2番手に導く。そしてクリストフ・ラポルト(フランス、ヴィスマ・リースアバイク)もコーイを先頭へと引き上げ、ミランとコーイが横に並んだ。
両者は同時にスプリントを開始し、トップスピードに達したミランはコーイとの速度差を見せつける。またミランは左から迫るメルリールやカーデン・グローブス(オーストリア、アルペシン・ドゥクーニンク)、右側で駆けるフィル・バウハウス(ドイツ、バーレーン・ヴィクトリアス)も寄せ付けず、フィニッシュラインまで高速を維持。そして勝利の雄叫びを上げた。
2023年大会の第2ステージで勝利を挙げて以来、前日と合わせて5度の2位に甘んじていたミラン。「様々な感情が僕の中を駆け巡っている。チームメイトの素晴らしい走りのおかげで、再びジロの勝利を掴むことができた。僕を信じ、勝利へと導いてくれた彼らに感謝したい。またレースを見に来てくれた両親にも」とジロ通算2勝目に加え、マリアチクラミーノを手に入れたミランはそう喜んだ。
2位にはグローブスが入り、3位はバウハウス。登りで遅れ、その後集団に復帰したヤコブセンは勝負に絡むことができず、22位で大会4日目を終えている。
ジロ・デ・イタリア2024第4ステージ結果
1位 | ジョナサン・ミラン(イタリア、リドル・トレック) | 4:16:03 |
2位 | カーデン・グローブス(オーストラリア、アルペシン・ドゥクーニンク) | |
3位 | フィル・バウハウス(ドイツ、バーレーン・ヴィクトリアス) | |
4位 | オラフ・コーイ(オランダ、ヴィスマ・リースアバイク) | |
5位 | ティム・メルリール(ベルギー、スーダル・クイックステップ) | |
6位 | ダヴィデ・バッレリーニ(イタリア、アスタナ・カザクスタン) | |
7位 | フェルナンド・ガビリア(コロンビア、モビスター) | |
8位 | エンリーコ・ザノンチェッロ(イタリア、VFグループ・バルディアーニCSF・ファイザネ) | |
9位 | マディス・ミケルス(エストニア、アンテルマルシェ・ワンティ) | |
10位 | ジョヴァンニ・ロナルディ(イタリア、ポルティ・コメタ) |
マリアローザ 個人総合成績
1位 | タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) | 15:19:05 |
2位 | ゲラント・トーマス(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) | +0:46 |
3位 | ダニエル・マルティネス(コロンビア、ボーラ・ハンスグローエ) | +0:47 |
4位 | キアン・アイデブルックス(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク) | +0:55 |
5位 | エイネルアウグスト・ルビオ(コロンビア、モビスター) | +0:56 |
6位 | ロレンツォ・フォルトゥナート(イタリア、アスタナ・カザクスタン) | +1:07 |
7位 | フアン・ロペス(スペイン、リドル・トレック) | +1:11 |
8位 | ヤン・ヒルト(チェコ、スーダル・クイックステップ) | +1:13 |
9位 | アレクセイ・ルツェンコ(カザクスタン、アスタナ・カザクスタン) | +1:26 |
10位 | エステバン・チャベス(コロンビア、EFエデュケーション・イージーポスト) |
マリアチクラミーノ ポイント賞
1位 | ジョナサン・ミラン(イタリア、リドル・トレック) | 113pts |
2位 | ティム・メルリール(ベルギー、スーダル・クイックステップ) | 81pts |
3位 | カーデン・グローブス(オーストラリア、アルペシン・ドゥクーニンク) | 63pts |
マリアアッズーラ 山岳賞
1位 | タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) | 51pts |
2位 | リリアン・カルメジャーヌ(フランス、アンテルマルシェ・ワンティ) | 32pts |
3位 | ダニエル・マルティネス(コロンビア、ボーラ・ハンスグローエ) | 26pts |
マリアビアンカ ヤングライダー賞
1位 | キアン・アイデブルックス(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク) | 15:20:00 |
2位 | アレックス・ボーダン(フランス、デカトロンAG2Rラモンディアル) | +0:45 |
3位 | マウリ・ファンセヴェナント(ベルギー、スーダル・クイックステップ) | +0:49 |
チーム総合成績
1位 | イネオス・グレナディアーズ | 46:02:17 |
2位 | アスタナ・カザクスタン | +0:14 |
3位 | ボーラ・ハンスグローエ | +0:55 |
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos
photo:CorVos
Amazon.co.jp