ラ・ブエルタ・フェメニーナ第5ステージは2級山岳を駆け上がる山頂フィニッシュ。登りでライバルたちを引き離したデミ・フォレリング(オランダ、SDワークス・プロタイム)が、今季初勝利と共にマイヨロホを獲得した。



マイヨロホを纏い登場したマリアンヌ・フォス(オランダ、ヴィスマ・リースアバイク) photo:Unipublic

ラ・ブエルタ・フェメニーナ2024第5ステージ コースプロフィール image:Unipublic
後半戦に突入したラ・ブエルタ・フェメニーナ第5ステージは、総合争いが本格化するであろう山頂フィニッシュ。スペイン北東部のウエスカを出発する113.9kmコースは2箇所の2級山岳が設定されたレイアウトで、最後に登る2級山岳アルト・デル・フエルテ・ラピタンは距離3.4km/平均7.9%と険しい。

レースは序盤から第2ステージを制したアリソン・ジャクソン(カナダ、EFエデュケーション・キャノンデール)などが逃げを試みる。しかし緊張感の高いメイン集団はそれらを許さず、ひと塊のままコース半分を通過。そして残り57km地点でルルデス・オヤルビデ(スペイン、ラボラル・クチャ・ファンダシオン・エウスカディ)が飛び出した。

今年6年過ごしたモビスターを離れ、同じスペイン籍のチームに移籍したオヤルビデは後続との差を作り出す。一方、ようやく逃げを容認したプロトンではエリカ・マニャルディ(イタリア、UAEチームADQ)の落車にジャクソンや、マイヨロホを着るマリアンヌ・フォス(オランダ、ヴィスマ・リースアバイク)が巻き込まれた。

逃げが成立しないまま、レースは後半に突入した photo:CorVos

落車に巻き込まれながらも、集団復帰を果たしたマリアンヌ・フォス(オランダ、ヴィスマ・リースアバイク) photo:CorVos

シクロクロスのようにバイクに飛び乗ったフォスは、モード・オウデマン(オランダ、ヴィスマ・リースアバイク)の力を借りながら無事に集団に復帰する。このプロトンでのトラブルはマニャルディに味方し、30秒まで差を拡げながら一つ目の2級山岳に突入。距離18.5kmに平均勾配3%の登りの序盤に大きな動きはなかったものの、プロトンでは再び複数人を巻き込む落車が発生した。

落車したエリザベス・ダイグナン(イギリス、リドル・トレック)などは素早くバイクに戻ったものの、エレナ・ハルトマン(スイス、ローランド)はそのまま棄権することに。そして山岳でFDJスエズがプロトンのペースを上げたことにより、オヤルビデをキャッチ。総合エースの1人であったマルタ・カヴァッリ(イタリア)が既にリタイアしているため、登りに強いエヴィータ・ムジック(フランス)のためにグレース・ブラウン(オーストラリア)が高速牽引を敢行した。

それにより2日間マイヨロホを着用し、マイヨプントス(ポイント賞)を着るカタブランカ・ヴァシュ(ハンガリー、SDワークス・プロタイム)が遅れる。その後はフォスを集団に残すヴィスマ・リースアバイクも牽引し、またアントニア・ニーダーマイヤー(ドイツ、キャニオン・スラム)のアタックは不発に終わった。

落車に巻き込まれながらも、集団復帰を果たしたマリアンヌ・フォス(オランダ、ヴィスマ・リースアバイク) photo:CorVos

下りで落車したガイア・レアリーニ(イタリア、リドル・トレック) photo:CorVos

2級山岳の頂上はカーリーン・スウィンケルス(オランダ、UAEチームADQ)が先頭通過で山岳賞ジャージを守り、その下りでは総合優勝候補の1人であるガイア・レアリーニ(イタリア、リドル・トレック)が単独で落車する。しかしレアリーニは右肘から血を流しながらもレースを続行。その頃にレース先頭では、下りでデミ・フォレリング(オランダ、SDワークス・プロタイム)やエリーザ・ロンゴボルギーニ(イタリア、リドル・トレック)など強力な11名の集団が形成された。

しかし先頭集団の協調が整わなかったため、平坦区間に入り後続が合流する。その直前にスウィンケルスがアタック。しかし40名程度まで大きくなったプロトンは、2級山岳アルト・デル・フエルテ・ラピタン(距離3.4km/平均7.9%)に入る200m手前でスウィンケルスを捕らえた。

最終山岳をハイペースで登っていくデミ・フォレリング(オランダ、SDワークス・プロタイム) photo:CorVos

サラ・ジガンテ(オーストラリア、AGインシュランス・スーダル)が集団先頭で自らペースを作る中、マイヨロホを着るフォスが遅れていく。そして残り2km地点からはフォレリングが先頭に立ち、ロンゴボルギーニがピッタリと背後につく一方で、カタジナ・ニエウィアドマ(ポーランド、キャニオン・スラム)が苦しそうに遅れていった。

一定のペースで淡々と踏み込むフォレリングにはマビ・ガルシア(スペイン、リブ・アルウラー・ジェイコ)が引き離され、ロンゴボルギーニとヤラ・カステレイン(オランダ、フェニックス・ドゥクーニンク)が食らいつく。しかし残り1kmを切り、シッティングのままペースを上げたフォレリングはついに後続を振り切った。

ライバルたちを引き離し、独走勝利を飾ったデミ・フォレリング(オランダ、SDワークス・プロタイム) photo:CorVos

そしてフィニッシュ手前の急勾配区間をダンシングでクリアしたフォレリングが、両手を高々と掲げながらフィニッシュした。

春のクラシックでは何度も勝利に迫りながらも、これが今季初勝利となったフォレリング。「今シーズンは調子が良く、何度も表彰台には上がっていたが何かが足りなかった。ここ(勝利)まで長い時間を要したが、マイヨロホを着ることができて本当に嬉しい。また最後までこれを守りたい」とプロ通算30勝目と共に、総合首位浮上を喜んだ。

フィニッシュ直前でロンゴボルギーニを抜いたカステレインが28秒遅れで2位に入り、区間3位のロンゴボルギーニは31秒遅れで総合2位につけている。

今季初勝利と共に、マイヨロホを手に入れたデミ・フォレリング(オランダ、SDワークス・プロタイム) photo:Unipublic

ラ・ブエルタ・フェメニーナ2024第5ステージ
1位 デミ・フォレリング(オランダ、SDワークス・プロタイム) 3:09:52
2位 ヤラ・カステレイン(オランダ、フェニックス・ドゥクーニンク) +0:28
3位 エリーザ・ロンゴボルギーニ(イタリア、リドル・トレック)
4位 エヴィータ・ムジック(フランス、FDJスエズ) +0:39
5位 サラ・ジガンテ(オーストラリア、AGインシュランス・スーダル) +0:41
6位 リカルダ・ボーンファイント(ドイツ、キャニオン・スラム) +0:44
7位 リーアンヌ・マルクス(オランダ、ヴィスマ・リースアバイク)
8位 ジュリエット・ラブース(フランス、DSMフィルメニッヒ・ポストNL) +0:47
9位 キム・カゾー(ニュージーランド、EFエデュケーション・キャノンデール) +0:57
10位 パウリーナ・ローイヤッカース(オランダ、フェニックス・ドゥクーニンク) +1:08
個人総合成績
1位 デミ・フォレリング(オランダ、SDワークス・プロタイム) 13:09:45
2位 エリーザ・ロンゴボルギーニ(イタリア、リドル・トレック) +0:31
3位 リーアンヌ・マルクス(オランダ、ヴィスマ・リースアバイク) +0:53
4位 クリステン・フォークナー(アメリカ、EFエデュケーション・キャノンデール) +1:10
5位 ジュリエット・ラブース(フランス、DSMフィルメニッヒ・ポストNL) +1:13
6位 マーレン・ロイサー(スイス、SDワークス・プロタイム) +1:23
7位 ニアム・フィッシャーブラック(ニュージーランド、SDワークス・プロタイム) +1:34
8位 カタジナ・ニエウィアドマ(ポーランド、キャニオン・スラム) +1:47
9位 マリアンヌ・フォス(オランダ、ヴィスマ・リースアバイク) +2:07
10位 シルケ・スムルデルス(オランダ、リブ・アルウラー・ジェイコ) +2:47
その他の特別賞
ポイント賞 マリアンヌ・フォス(オランダ、ヴィスマ・リースアバイク)
山岳賞 カーリーン・スウィンケルス(オランダ、UAEチームADQ)
ヤングライダー賞 アントニア・ニーダーマイヤー(ドイツ、キャニオン・スラム)
チーム総合成績 SDワークス・プロタイム
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos

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