2024/04/07(日) - 18:00
本日4月7日(日)に開催される第121回パリ〜ルーベ。ここ30年で最も長い石畳区間(55.7km)が設定されたコースや、2連覇を目指すマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク)など有力選手をプレビューする。
いよいよ本日4月7日(日)、「北の地獄」との異名を持つ険しい戦いが行われる。259.7kmというレース距離に詰め込まれた石畳区間(パヴェ・セクター)は、合計29箇所でその距離55.7km。昨年よりも距離が3.2km伸び、ここ30年で最長となったパヴェに175名の選手たちが挑む。
パリ北部の街コンピエーニュを出発するコースはオールフラットで、平野部を縫うように蛇行しながらベルギー国境近くのルーベを目指す。平坦路と言えど2〜3%ほどの細かいアップダウンが登場するため獲得標高差は約1,300m。スタートから96kmの快適な舗装路を経て、残り163.7kmの「No.29 トロワヴィル〜アンシー(3つ星)」から、地獄たる所以の石畳が始まる。
セクター29からセクター1のルーベまで、選手たちが巡るパヴェ・セクターはレース後半部の約1/3を覆う。それぞれの石畳区間には1つ星から5つ星までの難易度がつけられ、5つ星は「No.19 アランベール」と「No.11 モンサン・ぺヴェル」、そして「No.4 カルフール・ド・ラルブル」の3区間。いずれも全長は2kmを超え、握りこぶし大の石が敷き詰められた「悪路」を見ればその難易度も納得だ。
前年と比べてコースに大きな変更はなく、「No.26 ヴィースリー〜ブリアストル」と「No.24 カペル〜リュヌ」が入れ替えられたのみ。そのため今年も上記の5つ星セクターが勝負を動かす鍵となる。
ちなみに現地の気温は18度と気温が高く、曇予報だが雨の心配はない。
ファンアールト不在でファンデルプール2連覇に追い風
2022年は2位、2023年は3位と優勝を逃すワウト・ファンアールト(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク)はドワーズ・ドール・フラーンデレンで落車し、鎖骨&肋骨を骨折したことにより出場しない。そのためチームは22年覇者のディラン・ファンバーレ(オランダ)とクリストフ・ラポルト(フランス)をエースに据えるものの、ラポルトが体調不良明けのため戦力の大幅ダウンは否めない。
最大のライバルが不在のため、大会連覇の期待が高まるのがマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク)だ。達成すれば2008〜09年のトム・ボーネン(ベルギー)以来となる快挙には、昨年2位のヤスペル・フィリプセン(ベルギー)という二人目のエースも相まってチーム力でも秀でている。
大会2日前に行われた記者会見でファンデルプールは、「昨年のようなシチュエーションを作り出すことができれば、僕ら2人(自分とフィリプセン)は有利となる。僕らは違ったレース展開から勝利を狙うことができるので、それがダブルエースの強みとなる」とコメント。1週間前に制したロンド・ファン・フラーンデレンのような厳しい展開に持ち込めばファンデルプールが、集団スプリントになればフィリプセンとチームとして死角はない。
対抗はピーダスン&ミラン擁するリドル
強力な戦力を揃えるアルペシンに対し、唯一チームとして対抗できそうなのが、マッズ・ピーダスン(デンマーク)とジョナサン・ミラン(イタリア)を擁するリドル・トレックだ。2週間前のヘント〜ウェヴェルヘムでは2人のチームワークがハマり、ピーダスンがマッチスプリントでファンデルプールを下した。
ドワルス・ドール・フラーンデレンの落車によりロンドこそ22位と振るわなかったピーダスンだが、もしヴェロドロームにファンデルプールと2人で入ることになれば、初制覇の可能性も十分考えられる。
石畳を越えるバイクハンドリングならばトーマス・ピドコック(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)にも注目だ。総合エースとして臨む予定だったイツリア・バスクカントリーを落車により不出場だったため、急遽の参戦が決定。優勝候補にも挙がるジョシュア・ターリング(イギリス)と共に栄冠を目指す。
他にも、昨年は精鋭集団に残りながらも落車で涙したジョン・デゲンコルプ(ドイツ、DSMフィルメニッヒ・ポストNL)は2015年以来の優勝を狙い、シュテファン・キュング(スイス、グルパマFDJ)やニルス・ポリッツ(ドイツ、UAEチームエミレーツ)などクラシックライダーにも注目。そしてかつての輝きを取り戻したいスーダル・クイックステップはイヴ・ランパールト(ベルギー)をエースに、カスパー・アスグリーン(デンマーク)やティム・メルリール(ベルギー)、ジャンニ・モスコン(イタリア)など強力チームで臨む。
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos
いよいよ本日4月7日(日)、「北の地獄」との異名を持つ険しい戦いが行われる。259.7kmというレース距離に詰め込まれた石畳区間(パヴェ・セクター)は、合計29箇所でその距離55.7km。昨年よりも距離が3.2km伸び、ここ30年で最長となったパヴェに175名の選手たちが挑む。
パリ北部の街コンピエーニュを出発するコースはオールフラットで、平野部を縫うように蛇行しながらベルギー国境近くのルーベを目指す。平坦路と言えど2〜3%ほどの細かいアップダウンが登場するため獲得標高差は約1,300m。スタートから96kmの快適な舗装路を経て、残り163.7kmの「No.29 トロワヴィル〜アンシー(3つ星)」から、地獄たる所以の石畳が始まる。
セクター29からセクター1のルーベまで、選手たちが巡るパヴェ・セクターはレース後半部の約1/3を覆う。それぞれの石畳区間には1つ星から5つ星までの難易度がつけられ、5つ星は「No.19 アランベール」と「No.11 モンサン・ぺヴェル」、そして「No.4 カルフール・ド・ラルブル」の3区間。いずれも全長は2kmを超え、握りこぶし大の石が敷き詰められた「悪路」を見ればその難易度も納得だ。
前年と比べてコースに大きな変更はなく、「No.26 ヴィースリー〜ブリアストル」と「No.24 カペル〜リュヌ」が入れ替えられたのみ。そのため今年も上記の5つ星セクターが勝負を動かす鍵となる。
ちなみに現地の気温は18度と気温が高く、曇予報だが雨の心配はない。
ファンアールト不在でファンデルプール2連覇に追い風
2022年は2位、2023年は3位と優勝を逃すワウト・ファンアールト(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク)はドワーズ・ドール・フラーンデレンで落車し、鎖骨&肋骨を骨折したことにより出場しない。そのためチームは22年覇者のディラン・ファンバーレ(オランダ)とクリストフ・ラポルト(フランス)をエースに据えるものの、ラポルトが体調不良明けのため戦力の大幅ダウンは否めない。
最大のライバルが不在のため、大会連覇の期待が高まるのがマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク)だ。達成すれば2008〜09年のトム・ボーネン(ベルギー)以来となる快挙には、昨年2位のヤスペル・フィリプセン(ベルギー)という二人目のエースも相まってチーム力でも秀でている。
大会2日前に行われた記者会見でファンデルプールは、「昨年のようなシチュエーションを作り出すことができれば、僕ら2人(自分とフィリプセン)は有利となる。僕らは違ったレース展開から勝利を狙うことができるので、それがダブルエースの強みとなる」とコメント。1週間前に制したロンド・ファン・フラーンデレンのような厳しい展開に持ち込めばファンデルプールが、集団スプリントになればフィリプセンとチームとして死角はない。
対抗はピーダスン&ミラン擁するリドル
強力な戦力を揃えるアルペシンに対し、唯一チームとして対抗できそうなのが、マッズ・ピーダスン(デンマーク)とジョナサン・ミラン(イタリア)を擁するリドル・トレックだ。2週間前のヘント〜ウェヴェルヘムでは2人のチームワークがハマり、ピーダスンがマッチスプリントでファンデルプールを下した。
ドワルス・ドール・フラーンデレンの落車によりロンドこそ22位と振るわなかったピーダスンだが、もしヴェロドロームにファンデルプールと2人で入ることになれば、初制覇の可能性も十分考えられる。
石畳を越えるバイクハンドリングならばトーマス・ピドコック(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)にも注目だ。総合エースとして臨む予定だったイツリア・バスクカントリーを落車により不出場だったため、急遽の参戦が決定。優勝候補にも挙がるジョシュア・ターリング(イギリス)と共に栄冠を目指す。
他にも、昨年は精鋭集団に残りながらも落車で涙したジョン・デゲンコルプ(ドイツ、DSMフィルメニッヒ・ポストNL)は2015年以来の優勝を狙い、シュテファン・キュング(スイス、グルパマFDJ)やニルス・ポリッツ(ドイツ、UAEチームエミレーツ)などクラシックライダーにも注目。そしてかつての輝きを取り戻したいスーダル・クイックステップはイヴ・ランパールト(ベルギー)をエースに、カスパー・アスグリーン(デンマーク)やティム・メルリール(ベルギー)、ジャンニ・モスコン(イタリア)など強力チームで臨む。
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos
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