アラブ首長国連邦の首都アブダビを巡るUAEツアー・ウィメン最終日は、0秒差で後続を振り切ったアムベル・クラーク(オランダ、FDJスエズ)が逃げ切り勝利。総合優勝には前日勝者のロッテ・コペッキー(ベルギー、SDワークス・プロタイム)が輝いた。



美術館であるルーヴル・アブダビで行われたチームプレゼンテーション photo:CorVos

2月19日に開幕する男子レースに先立ち行われたUAEツアー・ウィメンも最終日を迎え、第4ステージの舞台はアブダビの中心街を巡る105km。ルーヴル・アブダビからブラックウォータービーチまでの道のりは起伏が一つもない平坦路で、風を除き選手たちを阻むものはないスプリントステージと目された。

しかし、序盤から逃げたアムベル・クラーク(オランダ、FDJスエズ)やソフィー・ライト(イギリス、フェニックス・ドゥクーニンク)ら4名の逃げ集団がスプリンターチームの計算を狂わせる。メイン集団は総合リーダーのロッテ・コペッキー(ベルギー)と今大会3勝目を狙うロレーナ・ウィーベス(オランダ)のためにSDワークス・プロタイムが先導。逃げ集団に対し最大でも2分のリードしか与えない典型的な平坦ステージの様相を呈した。

アブダビの市街地を巡るUAEツアー・ウィメン最終日 photo:CorVos

時には5車線道路にもなるアブダビの中心街を選手たちは駆けるなか、残り10km地点を通過して逃げとプロトンとの差は1分20秒。変わらずハイペースを刻む逃げ集団からは一人また一人と選手が脱落し、勝利の行方は残り5km地点で単独になったクラークとそれを猛スピードで追いかけるプロトンとの争いとなった。

ウノエックス・モビリティも先頭で選手を並べ、一層スピードの増すメイン集団からはカリーナ・シュレンプ(オーストリア、フェニックス・ドゥクーニンク)が飛び出す。しかしクラークはシュレンプの合流を許さない速度を維持し、残り1km地点を通過。途中、集団なかほどで発生した集団落車が発生したものの、それの影響を受けなかったコペッキーのリードアウトからウィーベスがスプリントを開始した。

しかしもがきながらも最短距離を進むクラークには届かず、0秒差でウィーベスらスプリンターを振り切ったクラークがフィニッシュ。自身初となるワールドツアーでの勝利を手に入れた。

逃げ集団から最後まで粘るアムベル・クラーク(オランダ、FDJスエズ) photo:CorVos

スプリンターを振り切り、逃げ切り勝利を掴んだアムベル・クラーク(オランダ、FDJスエズ) photo:CorVos

「無線からチームメイトやチームカーから”行け!行け!”と叫ぶ声が聞こえてきた。だから決して後ろを振り返ることなく踏み続けた。慣れない勝利ということもあり、フィニッシュ地点で手を上げ喜ぶのも忘れてしまった。だから次に勝つときはしっかりとガッツポーズを作りたい」と今年FDJに移籍後、早速結果を残したクラークはそう喜ぶ。

クラークは2021年にユンボ・ヴィスマ(現ヴィスマ・リースアバイク)でプロデビューしたオランダ出身の29歳。昨年はラ・ブエルタ・フェメニーナのチームタイムトライアルで勝利し、フランスのワンデーレースでプロ初勝利を飾ったオールラウンダーだ。

逃げ切りを許してしまったプロトンの先頭はウィーベスが獲って2位。そしてトップと同タイムでフィニッシュした世界王者のコペッキーが、第2回大会の総合優勝者に輝いた。

総合優勝に輝いたロッテ・コペッキー(ベルギー、SDワークス・プロタイム) photo:CorVos

表彰台に上がるコペッキーやポイント賞を獲得したウィーベスら photo:CorVos

UAEツアー・ウィメン2024第4ステージ
1位 アムベル・クラーク(オランダ、FDJスエズ) 2:27:33
2位 ロレーナ・ウィーベス(オランダ、SDワークス・プロタイム)
3位 ダリア・ピクリク(ポーランド、ヒューマンパワードヘルス)
4位 キアラ・コンソンニ(イタリア、UAEチームADQ)
5位 ヴァレンタイン・フォルタン(フランス、コフィディス・ウィメン)
6位 ラケーレ・バルビエーリ(イタリア、DSMフィルメニッヒ・ポストNL)
7位 アンニーナ・アフトサロ(フィンランド、ウノエックス・モビリティ)
8位 アグニエシュカ・スカルニアクソイカ(ポーランド、キャニオン・スラム)
9位 クララ・コッポニ(フランス、リドル・トレック)
10位 ラウラ・トマージ(イタリア、ラボラル・クチャ・ファンダシオン・エウスカディ)
個人総合成績
1位 ロッテ・コペッキー(ベルギー、SDワークス・プロタイム) 11:16:51
2位 ニーヴ・ブラッドバリー(オーストラリア、キャニオン・スラム) +0:13
3位 マビ・ガルシア(スペイン、リブ・アルウラー・ジェイコ) +0:44
4位 ガイア・レアリーニ(イタリア、リドル・トレック) +0:59
5位 マリオン・ビュネル(フランス、サンミッシェル・マヴィック・オーベル93) +1:16
6位 パウリーナ・ローイヤッカース(オランダ、フェニックス・ドゥクーニンク) +1:20
7位 エリーザ・ロンゴボルギーニ(イタリア、リドル・トレック) +1:25
8位 シルヴィア・ペルシコ(イタリア、UAEチームADQ) +1:45
9位 マライレ・メイエリング(オランダ、モビスター)
10位 リカルダ・ボーンファイント(ドイツ、キャニオン・スラム) +1:48
その他の特別賞
ポイント賞 ロレーナ・ウィーベス(オランダ、SDワークス・プロタイム)
ヤングライダー賞 ニーヴ・ブラッドバリー(オーストラリア、キャニオン・スラム)
チーム総合成績 キャニオン・スラム
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos

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