2024/01/22(月) - 12:01
スペインで開催されたUCIワールドカップ第12戦でビッグスリーが最後の激突。ファンデルプールの連勝記録は落車でストップし、ワウト・ファンアールト(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク)が今季最終レースで勝利した。
オランダとベルギーの伝統競技と言えるシクロクロスだが、その最高峰シリーズであるUCIワールドカップは両国を飛び出してスペインへ。プロチームのトレーニングキャンプ定番地である地中海沿いのリゾート地ベニドルムで第13戦が開催され、多くのトップ選手がキャンプ地から直接乗り込む形で参戦を果たした。
シクロクロスといえば泥と雨のイメージが強いものの、温暖かつ乾燥した地域性ゆえにこの日のコースは土埃が煙る完全ドライ。起伏のある公園の森林区間を使うほか、長い舗装登坂区間はこの日のアタックポイントとなった。
女子エリート:手に汗握る一騎打ち 最終スプリントでファンエンペルが勝利
女子エリートレースには男子に負けず劣らずトップ選手がフルメンバーで集結。スタート直後から頭ひとつ抜けた実力を誇るフェム・ファンエンペル(オランダ、ヴィスマ・リースアバイク)とパック・ピーテルス(オランダ、フェニックス・ドゥクーニンク)がライバル勢を置き去りにし、ランキングリーダーのセイリン・アルバラード(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク)が合流。終始この3人がレースを引っ張り続けることとなった。
積極的にペースを上げたのはレース前に「速いレースになるだろうし、とても楽しみ」と話したピーテルス。周回を重ねるたびにファンエンペルからリードを奪おうと試みたものの成功せず、激しい展開の中アルバラードが脱落しては戻る形に。最終周回にも3名で突入したものの、アタックポイントの舗装登坂で先頭はやはり2人に絞られた。
限界値で繰り返されるアタック合戦。2連シケインではピーテルスが得意のバニーホップでリードを奪おうとしたものの、ファンエンペルも素早いリマウントで離れない。最終ストレート手前のコーナーではファンエンペルがブレーキング勝負で一気にイン側を付いて先頭を奪い、そのままスプリントに突入して先着。大胆かつスマートな攻撃で52分半の超高速バトルを制した。
「最終コーナーからフィニッシュまで距離が短いので先頭でコーナーに入った選手が勝つだろうと思っていた。パックはシケインで数メートル先行したけど何とか追いつくことができてよかった。ファンにも良いレースを見せることができたと思う」とファンエンペルは話している。
また、トップ2人と渡り合い3位に入ったアルバラードは、最終戦を待たずにW杯総合ランキング制覇を確定させた。世界選手権やヨーロッパ・オランダ選手権など数々のタイトルを獲得してきた彼女だが、W杯ランキング優勝は初であり「自分のキャリアに唯一欠けていたものなのでとても満足している」と笑顔でインタビューに答えた。
男子エリート:ファンデルプールが落車で黒星 ファンアールトが今季CX最終レースで勝利
男子エリートレースには近くのマヨルカ島でトレーニングを重ねていたマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク)とトーマス・ピドコック(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)、さらに今季最終レースを公言するワウト・ファンアールト(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク)も参戦。ベルギーから渡ったトップCX選手たちとハイスピードバトルを繰り広げることに。
この日はファンデルプールがチェーン落ちで大きく遅れるという波乱の展開でスタート。アルカンシエルを纏う世界王者は鬼のようなペースでポジションを上げ、全9周回中の3周目にはファンアールトやティボー・ネイス(ベルギー、バロワーズ・トレック・ライオンズ)率いる先頭グループへ。ここからファンアールトvsファンデルプールの一騎打ちが始まった。
勝負所となった登りの舗装路ではファンアールトのアタックにファンデルプールがカウンターを返したものの、決定的なリードは奪えない。「今日は思ったよりも脚がフレッシュではなかった」と言う世界王者が一度ペースを緩めたことでピドコックとマイケル・ファントーレンハウト(ベルギー、パウェルスサウゼン・ビンゴール)が合流。スペイン選手権6連覇を果たしたばかりのフェリペ・オルツ(ビラ・ホヨサ・ネテオ)も先頭争いに加わって気を吐いた。
順調にレースを進めていたファンデルプールだったが、後半の8周目にはコースのバリアに衝突して落車してしまう。「クッションで助かったけれど中に鉄柱があったので転んでしまった。肩は痛めただけで問題ないが地面に横たわっている時に僕のレースは終わったと悟ったよ」と言うファンデルプールは再乗車したものの大きく遅れ、シクロクロス連勝記録は10でジ・エンド。「いつか記録は止まるだろうとは思っていた」と言葉をレース後に残している。
ファンデルプール不在の先頭グループで、積極的に攻撃を繰り返したのはファンアールトだった。ランキングリーダーのエリ・イゼルビット(ベルギー、パウェルスサウゼン・ビンゴール)が遅れ、最後まで粘ったファントーレンハウトも脱落。独走に持ち込んだファンアールトは最後のシケイン越えの再乗車時にサドルが壊れ脱落するトラブルに見舞われつつ、残り距離をダンシングで走り抜きフィニッシュする。シクロクロス最終レースで勝利すると共に、ライバルの連勝記録にストップをかける形となった。
「勝利はいつだって嬉しいことだけど、今日は良い脚と良い感触をつかむことが一番大切だったんだ。そのために努力を重ね、結果勝利できたので何よりも嬉しい」と言うファンアールト。「最後は危うく勝利を逃しかけたね。バニーホップするよりもランニングでシケインをクリアした方がスマートだと判断したけど、バイクが跳ねている状態でリマウントしたのでサドルにストレスが掛かってしまった。でも今年できていなかったマチューと一対一の戦いだったし、彼がミスした後も強い選手たちと戦い続けた。簡単じゃなかったし、勝てて嬉しいよ」とコメントを残している。
オランダとベルギーの伝統競技と言えるシクロクロスだが、その最高峰シリーズであるUCIワールドカップは両国を飛び出してスペインへ。プロチームのトレーニングキャンプ定番地である地中海沿いのリゾート地ベニドルムで第13戦が開催され、多くのトップ選手がキャンプ地から直接乗り込む形で参戦を果たした。
シクロクロスといえば泥と雨のイメージが強いものの、温暖かつ乾燥した地域性ゆえにこの日のコースは土埃が煙る完全ドライ。起伏のある公園の森林区間を使うほか、長い舗装登坂区間はこの日のアタックポイントとなった。
女子エリート:手に汗握る一騎打ち 最終スプリントでファンエンペルが勝利
女子エリートレースには男子に負けず劣らずトップ選手がフルメンバーで集結。スタート直後から頭ひとつ抜けた実力を誇るフェム・ファンエンペル(オランダ、ヴィスマ・リースアバイク)とパック・ピーテルス(オランダ、フェニックス・ドゥクーニンク)がライバル勢を置き去りにし、ランキングリーダーのセイリン・アルバラード(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク)が合流。終始この3人がレースを引っ張り続けることとなった。
積極的にペースを上げたのはレース前に「速いレースになるだろうし、とても楽しみ」と話したピーテルス。周回を重ねるたびにファンエンペルからリードを奪おうと試みたものの成功せず、激しい展開の中アルバラードが脱落しては戻る形に。最終周回にも3名で突入したものの、アタックポイントの舗装登坂で先頭はやはり2人に絞られた。
限界値で繰り返されるアタック合戦。2連シケインではピーテルスが得意のバニーホップでリードを奪おうとしたものの、ファンエンペルも素早いリマウントで離れない。最終ストレート手前のコーナーではファンエンペルがブレーキング勝負で一気にイン側を付いて先頭を奪い、そのままスプリントに突入して先着。大胆かつスマートな攻撃で52分半の超高速バトルを制した。
「最終コーナーからフィニッシュまで距離が短いので先頭でコーナーに入った選手が勝つだろうと思っていた。パックはシケインで数メートル先行したけど何とか追いつくことができてよかった。ファンにも良いレースを見せることができたと思う」とファンエンペルは話している。
また、トップ2人と渡り合い3位に入ったアルバラードは、最終戦を待たずにW杯総合ランキング制覇を確定させた。世界選手権やヨーロッパ・オランダ選手権など数々のタイトルを獲得してきた彼女だが、W杯ランキング優勝は初であり「自分のキャリアに唯一欠けていたものなのでとても満足している」と笑顔でインタビューに答えた。
男子エリート:ファンデルプールが落車で黒星 ファンアールトが今季CX最終レースで勝利
男子エリートレースには近くのマヨルカ島でトレーニングを重ねていたマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク)とトーマス・ピドコック(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)、さらに今季最終レースを公言するワウト・ファンアールト(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク)も参戦。ベルギーから渡ったトップCX選手たちとハイスピードバトルを繰り広げることに。
この日はファンデルプールがチェーン落ちで大きく遅れるという波乱の展開でスタート。アルカンシエルを纏う世界王者は鬼のようなペースでポジションを上げ、全9周回中の3周目にはファンアールトやティボー・ネイス(ベルギー、バロワーズ・トレック・ライオンズ)率いる先頭グループへ。ここからファンアールトvsファンデルプールの一騎打ちが始まった。
勝負所となった登りの舗装路ではファンアールトのアタックにファンデルプールがカウンターを返したものの、決定的なリードは奪えない。「今日は思ったよりも脚がフレッシュではなかった」と言う世界王者が一度ペースを緩めたことでピドコックとマイケル・ファントーレンハウト(ベルギー、パウェルスサウゼン・ビンゴール)が合流。スペイン選手権6連覇を果たしたばかりのフェリペ・オルツ(ビラ・ホヨサ・ネテオ)も先頭争いに加わって気を吐いた。
順調にレースを進めていたファンデルプールだったが、後半の8周目にはコースのバリアに衝突して落車してしまう。「クッションで助かったけれど中に鉄柱があったので転んでしまった。肩は痛めただけで問題ないが地面に横たわっている時に僕のレースは終わったと悟ったよ」と言うファンデルプールは再乗車したものの大きく遅れ、シクロクロス連勝記録は10でジ・エンド。「いつか記録は止まるだろうとは思っていた」と言葉をレース後に残している。
ファンデルプール不在の先頭グループで、積極的に攻撃を繰り返したのはファンアールトだった。ランキングリーダーのエリ・イゼルビット(ベルギー、パウェルスサウゼン・ビンゴール)が遅れ、最後まで粘ったファントーレンハウトも脱落。独走に持ち込んだファンアールトは最後のシケイン越えの再乗車時にサドルが壊れ脱落するトラブルに見舞われつつ、残り距離をダンシングで走り抜きフィニッシュする。シクロクロス最終レースで勝利すると共に、ライバルの連勝記録にストップをかける形となった。
「勝利はいつだって嬉しいことだけど、今日は良い脚と良い感触をつかむことが一番大切だったんだ。そのために努力を重ね、結果勝利できたので何よりも嬉しい」と言うファンアールト。「最後は危うく勝利を逃しかけたね。バニーホップするよりもランニングでシケインをクリアした方がスマートだと判断したけど、バイクが跳ねている状態でリマウントしたのでサドルにストレスが掛かってしまった。でも今年できていなかったマチューと一対一の戦いだったし、彼がミスした後も強い選手たちと戦い続けた。簡単じゃなかったし、勝てて嬉しいよ」とコメントを残している。
UCIシクロクロスワールドカップ2023-2024 第13戦 女子エリート結果
1位 | フェム・ファンエンペル(オランダ、ヴィスマ・リースアバイク) | 52:53 |
2位 | パック・ピーテルス(オランダ、フェニックス・ドゥクーニンク) | +0:01 |
3位 | セイリン・アルバラード(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク) | +0:16 |
4位 | ルシンダ・ブラント(オランダ、バロワーズ・トレック・ライオンズ) | +0:27 |
5位 | カータ・ヴァス(ハンガリー、SDワークス) | +0:33 |
6位 | サラ・カサソラ(イタリア、FASエアポートサービス・グエルチョッティ) | +0:44 |
7位 | ラウラ・フェルドンショット(ベルギー) | +1:28 |
8位 | マリー・シュライバー(ルクセンブルク、SDワークス) | +1:46 |
9位 | アンマリー・ワースト(オランダ、シクロクロスレッズ) | +1:55 |
10位 | ゾーイ・バックステッド(イギリス、キャニオン・スラム) | +2:23 |
UCIシクロクロスワールドカップ2023-2024 第13戦 男子エリート結果
1位 | ワウト・ファンアールト(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク) | 1:01:06 |
2位 | マイケル・ファントーレンハウト(ベルギー、パウェルスサウゼン・ビンゴール) | +0:03 |
3位 | ティボー・ネイス(ベルギー、バロワーズ・トレック・ライオンズ) | +0:07 |
4位 | エリ・イゼルビット(ベルギー、パウェルスサウゼン・ビンゴール) | |
5位 | マチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク) | +0:12 |
6位 | トーン・ファンデボッシュ(ベルギー、クレラン・コレンドン) | +0:13 |
7位 | ラース・ファンデルハール(オランダ、バロワーズ・トレック・ライオンズ) | +0:15 |
8位 | フェリペ・オルツ(スペイン、ビラ・ホヨサ・ネテオ) | +0:21 |
9位 | トーマス・ピドコック(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) | +0:27 |
10位 | クレマン・ヴァントゥリーニ(フランス、アルケアB&Bホテルズ) | +0:31 |
text:So.Isobe
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