2023/12/29(金) - 09:00
デミ・フォレリングが春のクラシックやツール・ファムで圧巻の強さを披露した2023年。世界選手権ではコペッキーがアルカンシェルに袖を通し、引退のファンフルーテンはジロ&ブエルタで総合優勝と有終の美を飾った。
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2023年は主要レースのほとんどで勝利を掴んだSDワークス photo:CorVos
SDワークスが2023年に挙げた勝利数は63。UCIポイントラインキングでチーム2位だったリドル・トレックが14勝であることから、その圧倒的な強さが伺える。まさに”SDワークスの年”の幕開けとなったのは2月25日のオムロープ・ヘットニュースブラット。ロッタ・コペッキー(ベルギー)がアタックから独走勝利し、2位争いの集団スプリントを新加入のロレーナ・ウィーベス(オランダ)が先着してワンツーフィニッシュを決めたのだ。
これを皮切りにSDワークスは春のクラシックレースを席巻。ストラーデビアンケ・ドンネではコペッキーとの思わぬ仲間同士のスプリントをフォレリングが制し、パリ〜ルーベこそアリソン・ジャクソン(カナダ、EFエデュケーション・TIBCO-SVB)が逃げ切りで金星を掴んだものの、フォレリングはアムステルゴールドレースとラ・フレーシュ・ワロンヌ、リエージュ〜バストーニュ〜リエージュというアルデンヌクラシック全制覇。チーム力はもちろん、次世代オランダエースの強さを見せつけたのだ。
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チームメイト2人によるスプリント勝負となったストラーデビアンケはフォレリングがコペッキーを下す photo:CorVos
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アムステルゴールドレースを初制覇したフォレリング photo:CorVos 
リエージュ優勝によってアルデンヌ完全制覇を果たし、涙するデミ・フォレリング photo:CorVos
ファンフルーテンがラストイヤーに見せた意地
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ブエルタとジロで総合優勝を飾ったアネミエク・ファンフルーテン(オランダ、モビスター) photo:CorVos
クラシックシーズンが終わり、昨年9月から5月に移動したラ・ブエルタ・フェメニーナからステージレースシーズンが本格始動。フォレリングと世界王者アネミエク・ファンフルーテン(オランダ、モビスター)の直接対決が注目された女子ブエルタでは、フォレリングが2つの山岳ステージで区間優勝。しかしフォレリングが第6ステージの横風分断で遅れを取ったことで総合優勝はファンフルーテンの手に。またマリアンヌ・フォス(ユンボ・ヴィスマ)が区間2連勝を飾るなど、オランダ勢が相変わらずの強さを見せる大会となった。
フォレリングが不出場だったジロ・デ・イタリア・ドンネでは第2ステージを独走勝利したファンフルーテンが、マリアローザを最初から最後まで守り抜き(大会初日は悪天候のため中止)圧巻の総合優勝。同大会で区間3勝目となった第7ステージが、ファンフルーテンにとって現役最後の勝利となった(最後の総合優勝はその後8月のツアー・オブ・スカンジナビア)。
世界最速ウィーベスの前に現れたコールというライバル
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シマック・レディース・ツアーでウィーベスを下したシャーロッテ・コール(オランダ、DSM・フィルメニッヒ) photo:CorVos
今年は総合争いだけではなくスプリンターの争いも見所の多い年だった。特に今年SDワークスに移籍したウィーベスと、同い年のオランダ人でこれまでリードアウトを務めていたシャーロッテ・コール(DSM・フィルメニッヒ)との戦いが白熱。2月のUAEツアーではコールが2勝(ウィーベスが1勝)とリードし、ツール・ド・フランス・ファムではウィーベスが1勝(コール0勝)。シマック・レディース・ツアーの直接対決ではコールが競り勝つなど、来年以降も楽しみなライバル関係が生まれた。
SDワークスがツール・ファムを制圧
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第2代総合優勝者に輝いたデミ・フォレリング photo:CorVos
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6日間に渡りマイヨジョーヌを着用したロッタ・コペッキー photo:CorVos 
第3ステージでスプリント勝利を飾ったロレーナ・ウィーベス photo:CorVos
第2回大会となったツール・ド・フランス・ファムもSDワークスが全8ステージのうち4勝と制圧した。しかもコペッキー、ウィーベス、フォレリングにマーレン・ローセル(スイス)と異なる選手での勝利とチーム層の厚さを強調する結果に。マイヨジョーヌも初日勝者コペッキーから第7ステージの超級山岳トゥールマレーを制したフォレリングに受け渡される、SDワークスにとって完璧なリレーで第2代総合優勝者を決めたのだ。
熾烈なアタック合戦をコペッキーが制し、初の世界王者に
例年よりも1ヶ月以上早い8月に、それも他種目と合同で行われたロード世界選手権。スコットランド・グラスゴーで行われた女子エリート個人タイムトライアルでは、クロエ・ダイガート(アメリカ、キャニオン・スラム)が2019年以来となる2度目の優勝。怪我や病のため長らく競技から離れていた26歳が、アメリカに4年振りのアルカンシエルをもたらした。
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自身2度目となるTT世界王者に輝いたクロエ・ダイガート(アメリカ) photo:CorVos
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独走でロード世界王者となったロッタ・コペッキー(ベルギー) photo:CorVos
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ロード世界選手権2023女子エリート表彰台:2位フォレリング、1位コペッキー、3位ルドヴィグ photo:CorVos
そしてロードレースではアタック合戦の末、残り5.6kmから独走を決めたコペッキーが初優勝。ファンフルーテンとフォレリングを擁する強豪オランダを退け、自身初となるロードレースのアルカンシエルに袖を通した。ちなみにコペッキーはその数日前に行われたトラック世界選手権にも出場し、エリミネーションとポイントレースの2種目で優勝。7日間で3枚のアルカンシエル獲得という偉業を成し遂げたのだ。
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SDワークスが2023年に挙げた勝利数は63。UCIポイントラインキングでチーム2位だったリドル・トレックが14勝であることから、その圧倒的な強さが伺える。まさに”SDワークスの年”の幕開けとなったのは2月25日のオムロープ・ヘットニュースブラット。ロッタ・コペッキー(ベルギー)がアタックから独走勝利し、2位争いの集団スプリントを新加入のロレーナ・ウィーベス(オランダ)が先着してワンツーフィニッシュを決めたのだ。
これを皮切りにSDワークスは春のクラシックレースを席巻。ストラーデビアンケ・ドンネではコペッキーとの思わぬ仲間同士のスプリントをフォレリングが制し、パリ〜ルーベこそアリソン・ジャクソン(カナダ、EFエデュケーション・TIBCO-SVB)が逃げ切りで金星を掴んだものの、フォレリングはアムステルゴールドレースとラ・フレーシュ・ワロンヌ、リエージュ〜バストーニュ〜リエージュというアルデンヌクラシック全制覇。チーム力はもちろん、次世代オランダエースの強さを見せつけたのだ。
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ファンフルーテンがラストイヤーに見せた意地
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クラシックシーズンが終わり、昨年9月から5月に移動したラ・ブエルタ・フェメニーナからステージレースシーズンが本格始動。フォレリングと世界王者アネミエク・ファンフルーテン(オランダ、モビスター)の直接対決が注目された女子ブエルタでは、フォレリングが2つの山岳ステージで区間優勝。しかしフォレリングが第6ステージの横風分断で遅れを取ったことで総合優勝はファンフルーテンの手に。またマリアンヌ・フォス(ユンボ・ヴィスマ)が区間2連勝を飾るなど、オランダ勢が相変わらずの強さを見せる大会となった。
フォレリングが不出場だったジロ・デ・イタリア・ドンネでは第2ステージを独走勝利したファンフルーテンが、マリアローザを最初から最後まで守り抜き(大会初日は悪天候のため中止)圧巻の総合優勝。同大会で区間3勝目となった第7ステージが、ファンフルーテンにとって現役最後の勝利となった(最後の総合優勝はその後8月のツアー・オブ・スカンジナビア)。
世界最速ウィーベスの前に現れたコールというライバル
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今年は総合争いだけではなくスプリンターの争いも見所の多い年だった。特に今年SDワークスに移籍したウィーベスと、同い年のオランダ人でこれまでリードアウトを務めていたシャーロッテ・コール(DSM・フィルメニッヒ)との戦いが白熱。2月のUAEツアーではコールが2勝(ウィーベスが1勝)とリードし、ツール・ド・フランス・ファムではウィーベスが1勝(コール0勝)。シマック・レディース・ツアーの直接対決ではコールが競り勝つなど、来年以降も楽しみなライバル関係が生まれた。
SDワークスがツール・ファムを制圧
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第2回大会となったツール・ド・フランス・ファムもSDワークスが全8ステージのうち4勝と制圧した。しかもコペッキー、ウィーベス、フォレリングにマーレン・ローセル(スイス)と異なる選手での勝利とチーム層の厚さを強調する結果に。マイヨジョーヌも初日勝者コペッキーから第7ステージの超級山岳トゥールマレーを制したフォレリングに受け渡される、SDワークスにとって完璧なリレーで第2代総合優勝者を決めたのだ。
熾烈なアタック合戦をコペッキーが制し、初の世界王者に
例年よりも1ヶ月以上早い8月に、それも他種目と合同で行われたロード世界選手権。スコットランド・グラスゴーで行われた女子エリート個人タイムトライアルでは、クロエ・ダイガート(アメリカ、キャニオン・スラム)が2019年以来となる2度目の優勝。怪我や病のため長らく競技から離れていた26歳が、アメリカに4年振りのアルカンシエルをもたらした。
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そしてロードレースではアタック合戦の末、残り5.6kmから独走を決めたコペッキーが初優勝。ファンフルーテンとフォレリングを擁する強豪オランダを退け、自身初となるロードレースのアルカンシエルに袖を通した。ちなみにコペッキーはその数日前に行われたトラック世界選手権にも出場し、エリミネーションとポイントレースの2種目で優勝。7日間で3枚のアルカンシエル獲得という偉業を成し遂げたのだ。
2023年シーズン女子ロード 主要レース結果
開催日 | レース | 勝者 |
---|---|---|
3月4日 | ストラーデビアンケ・ドンネ | デミ・フォレリング(オランダ、SDワークス) |
4月2日 | ロンド・ファン・フラーンデレン | ロッタ・コペッキー(ベルギー、SDワークス) |
4月8日 | パリ〜ルーベ・ファム | アリソン・ジャクソン(カナダ、EFエデュケーション・TIBCO-SVB) |
4月16日 | アムステルゴールドレース・レディースエディション | デミ・フォレリング(オランダ、SDワークス) |
4月19日 | ラ・フレーシュ・ワロンヌ・フェミニーヌ | デミ・フォレリング(オランダ、SDワークス) |
4月23日 | リエージュ〜バストーニュ〜リエージュ・ファム | デミ・フォレリング(オランダ、SDワークス) |
5月1〜7日 | ラ・ブエルタ・フェメニーナ | アネミエク・ファンフルーテン(オランダ、モビスター) |
6月30〜7月9日 | ジロ・デ・イタリア・ドンネ | アネミエク・ファンフルーテン(オランダ、モビスター) |
7月23〜30日 | ツール・ド・フランス・ファム | デミ・フォレリング(オランダ、SDワークス) |
8月10日 | ロード世界選手権個人タイムトライアル | クロエ・ダイガート(アメリカ) |
8月13日 | ロード世界選手権ロードレース | ロッタ・コペッキー(ベルギー) |
text:Sotaro.Arakawa
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