2023/12/24(日) - 12:30
その勢いに、ファンアールトも、ピドコックも、イゼルビットも敵わない。世界王者マチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク)が、織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム)も出場した砂のUCIワールドカップ第9戦を制圧した。
マチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク)とワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)の直接対決第2ラウンドは、ベルギーのアントウェルペンで開催されたUCIワールドカップ第9戦だ。
前シクロクロス世界王者であり、現MTB世界王者であるトーマス・ピドコック(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)の参戦によって今季初めて"ビッグスリー"が揃ったほか、すでに欧州入りしている全日本王者、織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム)も参戦。女子エリートレースにもフルメンバーが揃ったため、クリスマスホリデーに入ったベルギーの砂コースは今シーズン一番の熱狂に包まれた。
女子エリート:バニーホップが勝負のキー 世界女王ファンエンペルがブラント下す
女子エリートレースも男子に負けず劣らずのフルメンバーでのレースだ。今季10戦10勝と勝率100%を維持しているフェム・ファンエンペル(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)がスタートから飛ばしに飛ばし、前戦で一騎討ちのゴールスプリントまで食い下がったルシンダ・ブラント(オランダ、バロワーズ・トレック・ライオンズ)が対抗する。ファンエンペルのライバルであるパック・ピーテルス(オランダ、フェニックス・ドゥクーニンク)は、W杯リーダーであるセイリン・アルバラード(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク)と共に3番手パックからの合流を目指した。
右膝に1週間前の落車の傷を残すファンエンペルだが、「今日はレース中ずっと自信があった」と力強い走りでペースアップを試みた。レース時間が半分を過ぎた頃に一度ペースダウンしてピーテルスの合流を許したものの、再加速の最中、2番手ブラントが砂コーナーの出口で前輪をとられるミスで僅かに遅れてしまう。リードを確認したファンエンペルは勝ちを引き寄せる本命アタックに打って出た。
徐々にブラントたちを引き離し、これまで封印していたバニーホップのシケイン越えで圧倒的なリードを構築する。「ミスしなければもう少し彼女に着いていけたと思うけど、今日のコースはシケインを跳べる人にチャンスがあった。私と彼女は走り方が似ているので、どこかで追いつくのは限りなく難しかった」とレース後に振り返るブラントは、フィニッシュまでファンエンペルを捉えることはできなかった。
激しいレースを制し、ファンエンペルが今季負けなしの11勝目をマーク。「水曜日にバニーホップの練習をたくさんしていたし、それが決定打になったので良かった。それぞれの差が近づいていることを感じていて、勝負が好きな私にとっては嬉しいこと。ファンにも面白いレースを見てもらえるので良いと思う」と話している。ファンエンペルは26日、27日、そして30日と連戦をこなす予定だ。
男子エリート:圧巻の追い上げでファンデルプールが3勝目、ファンアールト2位
"ビッグスリー"揃い踏みの男子レースは、そのうちの2人がトラブルで出遅れる波乱の幕開けに。保有ポイント順で2列目スタートのファンデルプールは他選手との接触で、さらにピドコックはダッシュ中の砂コーナーで前輪を取られて落車し、織田らと共に25〜30番手ほどから前を追うレースを強いられた。
しかしこの2人、特にファンデルプールはミスを厭わない走りを披露する。「出遅れてもパニックにならず、良い感触で追い上げることができた」と言う世界王者はすぐさまトップグループに追いつき、ファンアールトすらかわして先頭に。W杯リーダーのエリ・イゼルビット(ベルギー、パウェルスサウゼン・ビンゴール)と暫しランデブーを続けた末、「彼が砂区間で苦労しているのが分かったので先に行くことにした」と引きちぎった。
「腰の痛みからもようやく解放されたし、今は思いきりレースを楽しめるようになった」と飛ばすファンデルプールに対し、徐々にポジションを上げ、最終的に2位となるファンアールトは追いつかない。「マチューは今本調子だ。無理に追いかけずに自分の走りに集中した。彼がスタートのミスからすぐに追い上げたのはびっくりしたよ」と振り返るライバルを置き去りにして、圧倒的な走りを続けるアルカンシエルはリードを積み重ねた。
1時間0分20秒の戦いの末、ファンデルプールが今季負けなしの3勝目をマーク。2位にファンアールト、3位に入ったイゼルビットはW杯ランキングリードをさらに積み上げることに成功している。織田は途中でレースから降ろされ38位となった。
「トレーニングキャンプ」では良い時間を過ごせたよ。まだまだ練習を重ねてレベルを上げることができると思う。大切なのはコンディションを維持して(レースで多忙な)クリスマスシーズンを乗り切ることだ」とファンデルプールは話している。
マチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク)とワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)の直接対決第2ラウンドは、ベルギーのアントウェルペンで開催されたUCIワールドカップ第9戦だ。
前シクロクロス世界王者であり、現MTB世界王者であるトーマス・ピドコック(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)の参戦によって今季初めて"ビッグスリー"が揃ったほか、すでに欧州入りしている全日本王者、織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム)も参戦。女子エリートレースにもフルメンバーが揃ったため、クリスマスホリデーに入ったベルギーの砂コースは今シーズン一番の熱狂に包まれた。
女子エリート:バニーホップが勝負のキー 世界女王ファンエンペルがブラント下す
女子エリートレースも男子に負けず劣らずのフルメンバーでのレースだ。今季10戦10勝と勝率100%を維持しているフェム・ファンエンペル(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)がスタートから飛ばしに飛ばし、前戦で一騎討ちのゴールスプリントまで食い下がったルシンダ・ブラント(オランダ、バロワーズ・トレック・ライオンズ)が対抗する。ファンエンペルのライバルであるパック・ピーテルス(オランダ、フェニックス・ドゥクーニンク)は、W杯リーダーであるセイリン・アルバラード(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク)と共に3番手パックからの合流を目指した。
右膝に1週間前の落車の傷を残すファンエンペルだが、「今日はレース中ずっと自信があった」と力強い走りでペースアップを試みた。レース時間が半分を過ぎた頃に一度ペースダウンしてピーテルスの合流を許したものの、再加速の最中、2番手ブラントが砂コーナーの出口で前輪をとられるミスで僅かに遅れてしまう。リードを確認したファンエンペルは勝ちを引き寄せる本命アタックに打って出た。
徐々にブラントたちを引き離し、これまで封印していたバニーホップのシケイン越えで圧倒的なリードを構築する。「ミスしなければもう少し彼女に着いていけたと思うけど、今日のコースはシケインを跳べる人にチャンスがあった。私と彼女は走り方が似ているので、どこかで追いつくのは限りなく難しかった」とレース後に振り返るブラントは、フィニッシュまでファンエンペルを捉えることはできなかった。
激しいレースを制し、ファンエンペルが今季負けなしの11勝目をマーク。「水曜日にバニーホップの練習をたくさんしていたし、それが決定打になったので良かった。それぞれの差が近づいていることを感じていて、勝負が好きな私にとっては嬉しいこと。ファンにも面白いレースを見てもらえるので良いと思う」と話している。ファンエンペルは26日、27日、そして30日と連戦をこなす予定だ。
男子エリート:圧巻の追い上げでファンデルプールが3勝目、ファンアールト2位
"ビッグスリー"揃い踏みの男子レースは、そのうちの2人がトラブルで出遅れる波乱の幕開けに。保有ポイント順で2列目スタートのファンデルプールは他選手との接触で、さらにピドコックはダッシュ中の砂コーナーで前輪を取られて落車し、織田らと共に25〜30番手ほどから前を追うレースを強いられた。
しかしこの2人、特にファンデルプールはミスを厭わない走りを披露する。「出遅れてもパニックにならず、良い感触で追い上げることができた」と言う世界王者はすぐさまトップグループに追いつき、ファンアールトすらかわして先頭に。W杯リーダーのエリ・イゼルビット(ベルギー、パウェルスサウゼン・ビンゴール)と暫しランデブーを続けた末、「彼が砂区間で苦労しているのが分かったので先に行くことにした」と引きちぎった。
「腰の痛みからもようやく解放されたし、今は思いきりレースを楽しめるようになった」と飛ばすファンデルプールに対し、徐々にポジションを上げ、最終的に2位となるファンアールトは追いつかない。「マチューは今本調子だ。無理に追いかけずに自分の走りに集中した。彼がスタートのミスからすぐに追い上げたのはびっくりしたよ」と振り返るライバルを置き去りにして、圧倒的な走りを続けるアルカンシエルはリードを積み重ねた。
1時間0分20秒の戦いの末、ファンデルプールが今季負けなしの3勝目をマーク。2位にファンアールト、3位に入ったイゼルビットはW杯ランキングリードをさらに積み上げることに成功している。織田は途中でレースから降ろされ38位となった。
「トレーニングキャンプ」では良い時間を過ごせたよ。まだまだ練習を重ねてレベルを上げることができると思う。大切なのはコンディションを維持して(レースで多忙な)クリスマスシーズンを乗り切ることだ」とファンデルプールは話している。
UCIシクロクロスワールドカップ2023-2024 第9戦 女子エリート結果
1位 | フェム・ファンエンペル(オランダ、ユンボ・ヴィスマ) | 52:00 |
2位 | ルシンダ・ブラント(オランダ、バロワーズ・トレック・ライオンズ) | +0:18 |
3位 | パック・ピーテルス(オランダ、フェニックス・ドゥクーニンク) | +0:55 |
4位 | セイリン・アルバラード(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク) | +1:26 |
5位 | ラウラ・フェルドンショット(ベルギー) | +1:36 |
6位 | シリン・ファンアンローイ(オランダ、バロワーズ・トレック・ライオンズ) | +1:47 |
7位 | インゲ・ファンデルヘイデン(オランダ、クレラン・コレンドン) | +2:06 |
8位 | マリー・シュライバー(ルクセンブルク、SDワークス) | +2:17 |
9位 | レオニー・ベントフェルド(オランダ、パウェルスサウゼン・ビンゴール) | +2:35 |
10位 | ゾーイ・バックステッド(イギリス、キャニオン・スラム) | +2:42 |
UCIシクロクロスワールドカップ2023-2024 第9戦 男子エリート結果
1位 | マチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク) | 1:00:20 |
2位 | ワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ) | +0:29 |
3位 | エリ・イゼルビット(ベルギー、パウェルスサウゼン・ビンゴール) | +0:37 |
4位 | ローレンス・スウェーク(ベルギー、クレラン・コレンドン) | +0:43 |
5位 | ヨリス・ニューウェンハイス(オランダ、バロワーズ・トレック・ライオンズ) | +0:46 |
6位 | ラース・ファンデルハール(オランダ、バロワーズ・トレック・ライオンズ) | +1:00 |
7位 | ニルス・ファンデプッテ(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク) | +1:07 |
8位 | トーマス・ピドコック(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) | +1:14 |
9位 | ティボー・ネイス(ベルギー、バロワーズ・トレック・ライオンズ) | +1:22 |
10位 | トーン・ファンデボッシュ(ベルギー、クレラン・コレンドン) | +1:26 |
text:So.Isobe
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