2023/12/11(月) - 15:30
全日本CXチャンピオン織田聖の地元、埼玉県北葛飾郡松伏町で松伏シクロクロスが初開催。織田選手がこだわって設計したコースは丘の上から360°市街が一望できるパノラマの好ロケーションで500人以上の参加者と大勢の観客で賑わった。織田と沢田時の大接戦に沸いた新しい大会をレポート。
松伏町は埼玉県の南東部に位置する江戸川沿いの街。会場となったのは「まつぶし緑の丘公園」。日の丸をあしらったナショナルチャンピオンジャージに身を包んだ織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム)が「自宅から信号ひとつ。今日はバイク2台引きで自走で来ました」と言うほど出身地に近いこのコース。第1回松伏シクロクロスは織田を支える地元松伏町の盛り上がりが大会初開催の契機になった。
公園の中央に小高い丘があり、その周囲の傾斜地と芝の広場をフルに使ったコースは織田が設計を監修し、自らの意図を反映させたという。織田に大会開催とコース設計のポイントを聞いた。
織田「開催動機の一番は町を盛り上げたいということです。ポテンシャルの高い公園なので、ダイナミックに使うことでヨーロッパ風のコースに仕立てました。コース幅が広くて、ブレーキを使わずにスピードを殺さずに走れて、登りもパンチのあるもので、直線も長くて、ロードレースのように走れてパワーもテクニックも必要。僕が一番最初に欧州でのシクロクロス世界選手権のレースで『CXレーサーもロードレースを走らなきゃダメだ』と思い知らされたゾルダーのイメージ。それを参加者の皆さんにも感じて欲しくてコースに再現しました」。
織田の言うゾルダーとは、当時ジュニア選手だった織田が7年前に初めて挑戦した2016年のシクロクロス世界選手権で走ったベルギーの名コース「ゾルダーサーキット」の特設コースのこと。(59位で完走した織田の記事はこちら)
当日の天気は温暖で気温19°ほどと12月とは思えない好天で、芝もドライで走行感も軽く、よりスピードコースとなった。林間には登り返しとダウンヒル区間が混在し、織田の得意とするバニーホップを必要とするシケインはあえて設けられず、強いフィジカルがありさえすればどこでも追い抜くことができ、上りも下りも攻め続けられる高速コースだった。
そして丘の頂上には見晴らしの良い展望台があり、周囲をぐるりと見渡せる。コースはその地点を巻くように設定され、観戦に訪れた人も日差しを浴びながらレース観戦を楽しむことができた。
昼過ぎスタートのME1は46名がスタート。ホストの織田聖がホールショットをとりスタート直後から快調に飛ばす。ほどなく5人の先頭パックが形成される。メンバーは織田、沢田時(宇都宮ブリッツェン)、宇賀隆貴(velo sport Valltais)、小坂光(宇都宮ブリッツェン)、高橋翔(TeensMAP )、成田光志(学校法人石川高等学校)。
トップ争いの常連に食い下がるのは欧州でロード活動を送る宇賀と、MTBアジアチャンピオンの高橋、そして40分限定で走るオープン参加の成田の高校生コンビ。とくにスピードに秀でる高橋は先頭にたちペースを上げるシーンも。
パックが安定した4周目、織田が頂上付近でスリップして落車、ディレイラーハンガーを曲げてメカの不調に陥ったため遅れるトラブルが発生。次のピットでバイク交換するも大きく差が開く。沢田も好機と捉えペースアップしてパックから抜け出し独走に持ち込む。しかし猛追した織田が沢田を捉えるには2周とかからなかった。
沢田と織田の先頭争い、宇賀と高橋の2位争いの構図でレースは後半戦へ。トップ争いでは沢田と織田がそれぞれ得意なポイントで交互にアタックをかけあい、ちぎり合いを演じるが勝負は決まらず、ランデブーを続ける。
3位争いの宇賀と高橋はロードで培ったスピードを活かした宇賀が高橋を振り切り、引き離すことに成功した。
先頭争いはもつれたまま最終周回にも決着がつかず、スプリント争いの様相に。テールトゥーノーズそのままの体制で沢田がリードして最終コーナーへ。しかし織田がイン側に差し込み、リードした体制で最終コーナーを抜けてフィニッシュに飛び込んだ。そのあまりのスリリングな接戦ぶりに松伏公園は大歓声に沸いた。
ここまで連前連勝、常勝の織田から出た第一声は「UCIレースよりキツかった!」というもの。沢田と握手を交わし激戦を讃えあった。町長はじめ松伏町挙げてのイベントは地元のヒーローが優勝し、大成功に見えた。
「応援してもらっている地元での勝利は何よりも嬉しい」と織田。先週まで体調を崩していた沢田も完全復調を遂げたようで、今後のレースと年明けの宇都宮での全日本選手権に期待がかかる。
織田は自身が引いたこのコースに関しては、「走った選手たちには僕がゾルダーで思ったことを感じてくれたと思います」と満足気。そして、この会場でのシクロクロス全日本選手権大会開催の可能性に対しては「それには町や県とのお話し合いが必要ですが、初回大会はいい手応えがあったので、今後に期待してください」と話し、意欲を見せてくれた。
コロナ禍を経て落ち着いたかに思えるシクロクロスブームだが、最下層カテゴリーのME4には今回88人ものエントリーがあり、まだまだブームは拡大中にも思える松伏クロスだった。
松伏町は埼玉県の南東部に位置する江戸川沿いの街。会場となったのは「まつぶし緑の丘公園」。日の丸をあしらったナショナルチャンピオンジャージに身を包んだ織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム)が「自宅から信号ひとつ。今日はバイク2台引きで自走で来ました」と言うほど出身地に近いこのコース。第1回松伏シクロクロスは織田を支える地元松伏町の盛り上がりが大会初開催の契機になった。
公園の中央に小高い丘があり、その周囲の傾斜地と芝の広場をフルに使ったコースは織田が設計を監修し、自らの意図を反映させたという。織田に大会開催とコース設計のポイントを聞いた。
織田「開催動機の一番は町を盛り上げたいということです。ポテンシャルの高い公園なので、ダイナミックに使うことでヨーロッパ風のコースに仕立てました。コース幅が広くて、ブレーキを使わずにスピードを殺さずに走れて、登りもパンチのあるもので、直線も長くて、ロードレースのように走れてパワーもテクニックも必要。僕が一番最初に欧州でのシクロクロス世界選手権のレースで『CXレーサーもロードレースを走らなきゃダメだ』と思い知らされたゾルダーのイメージ。それを参加者の皆さんにも感じて欲しくてコースに再現しました」。
織田の言うゾルダーとは、当時ジュニア選手だった織田が7年前に初めて挑戦した2016年のシクロクロス世界選手権で走ったベルギーの名コース「ゾルダーサーキット」の特設コースのこと。(59位で完走した織田の記事はこちら)
当日の天気は温暖で気温19°ほどと12月とは思えない好天で、芝もドライで走行感も軽く、よりスピードコースとなった。林間には登り返しとダウンヒル区間が混在し、織田の得意とするバニーホップを必要とするシケインはあえて設けられず、強いフィジカルがありさえすればどこでも追い抜くことができ、上りも下りも攻め続けられる高速コースだった。
そして丘の頂上には見晴らしの良い展望台があり、周囲をぐるりと見渡せる。コースはその地点を巻くように設定され、観戦に訪れた人も日差しを浴びながらレース観戦を楽しむことができた。
昼過ぎスタートのME1は46名がスタート。ホストの織田聖がホールショットをとりスタート直後から快調に飛ばす。ほどなく5人の先頭パックが形成される。メンバーは織田、沢田時(宇都宮ブリッツェン)、宇賀隆貴(velo sport Valltais)、小坂光(宇都宮ブリッツェン)、高橋翔(TeensMAP )、成田光志(学校法人石川高等学校)。
トップ争いの常連に食い下がるのは欧州でロード活動を送る宇賀と、MTBアジアチャンピオンの高橋、そして40分限定で走るオープン参加の成田の高校生コンビ。とくにスピードに秀でる高橋は先頭にたちペースを上げるシーンも。
パックが安定した4周目、織田が頂上付近でスリップして落車、ディレイラーハンガーを曲げてメカの不調に陥ったため遅れるトラブルが発生。次のピットでバイク交換するも大きく差が開く。沢田も好機と捉えペースアップしてパックから抜け出し独走に持ち込む。しかし猛追した織田が沢田を捉えるには2周とかからなかった。
沢田と織田の先頭争い、宇賀と高橋の2位争いの構図でレースは後半戦へ。トップ争いでは沢田と織田がそれぞれ得意なポイントで交互にアタックをかけあい、ちぎり合いを演じるが勝負は決まらず、ランデブーを続ける。
3位争いの宇賀と高橋はロードで培ったスピードを活かした宇賀が高橋を振り切り、引き離すことに成功した。
先頭争いはもつれたまま最終周回にも決着がつかず、スプリント争いの様相に。テールトゥーノーズそのままの体制で沢田がリードして最終コーナーへ。しかし織田がイン側に差し込み、リードした体制で最終コーナーを抜けてフィニッシュに飛び込んだ。そのあまりのスリリングな接戦ぶりに松伏公園は大歓声に沸いた。
ここまで連前連勝、常勝の織田から出た第一声は「UCIレースよりキツかった!」というもの。沢田と握手を交わし激戦を讃えあった。町長はじめ松伏町挙げてのイベントは地元のヒーローが優勝し、大成功に見えた。
「応援してもらっている地元での勝利は何よりも嬉しい」と織田。先週まで体調を崩していた沢田も完全復調を遂げたようで、今後のレースと年明けの宇都宮での全日本選手権に期待がかかる。
織田は自身が引いたこのコースに関しては、「走った選手たちには僕がゾルダーで思ったことを感じてくれたと思います」と満足気。そして、この会場でのシクロクロス全日本選手権大会開催の可能性に対しては「それには町や県とのお話し合いが必要ですが、初回大会はいい手応えがあったので、今後に期待してください」と話し、意欲を見せてくれた。
コロナ禍を経て落ち着いたかに思えるシクロクロスブームだが、最下層カテゴリーのME4には今回88人ものエントリーがあり、まだまだブームは拡大中にも思える松伏クロスだった。
松伏シクロクロス2023リザルト
ME1 | ||
1位 | 織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム) | 58:06.112 |
2位 | 沢田時(宇都宮ブリッツェン) | +00:00.594 |
3位 | 宇賀隆貴(velo sport Valltais) | +00:50.649 |
4位 | 高橋翔(TeensMAP ) | +01:06.270 |
5位 | 門田祐輔(EF education NIPPO development team) | +02:45.758 |
6位 | 小坂光(宇都宮ブリッツェン) | +03:55.793 |
WE1 | ||
1位 | 小林あか里(弱虫ペダルサイクリングチーム) | 41:11.839 |
2位 | 平野美穂(Team Tacke) | -1 LAP |
3位 | 吉岡梨紗( PAXPROJECT) | -1 LAP |
その他のクラスの優勝者 | ||
ME4 | 山里一心(早稲田大学) | |
MU17 | 中仙道侑毅(DreamSeekerJr.RacingTeam) | |
MU15 | 郷津輝(Dream Seeker Jr.Racing Team) | |
MM50 | 貴家崇(Team ZWC) | |
MM60 | 増田謙一(SHIDO-WORKS) | |
ME3 | 山田駿太郎(TEAM GRM) | |
WM | 林口ゆきえ(gufo cycleworks) | |
WE2+3 | 小林碧(ProRide) | |
ME2 | 神村泰輝(早稲田大学) | |
MM35 | 今西大地 | |
MM40 | 横関正司 | |
MM1 | 生田目修(イナーメ信濃山形&大幸ハーネス) |
text&photo:Makoto AYANO
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