2023/12/11(月) - 12:00
真冬の山岳リゾート地で開催されたCXワールドカップ第7戦。マノン・バッカー(オランダ、クレラン・コレンドン)とヨリス・ニューウェンハイス(オランダ、バロワーズ・トレック・ライオンズ)がテクニカルなスノーレースを制した。
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スノーリゾートで開催されたCXワールドカップ第7戦 photo:CorVos
世界最高峰のシクロクロスシリーズであるUCIシクロクロスワールドカップ。合計14戦のうち折り返しとなる第7戦の舞台は、MTBの世界選手権やワールドカップの舞台としてのお馴染みのイタリア北部、トレンティーノにあるマウンテンリゾート地帯であるヴァル・ディ・ソーレだ。
シーズン唯一の完全雪上レースとして知られるヴァル・ディ・ソーレラウンドは、シクロクロスを冬季五輪の一種目に加えるための施策という意味合いも。得手不得手がはっきりと分かれるため、普段のレースとは異なる大番狂わせも起こりうる興味深い一戦だ。
女子エリート:アルバラードを抜き去り、バッカーが初のW杯優勝
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アルバラードを置き去りにするマノン・バッカー(オランダ、クレラン・コレンドン) photo:CorVos
女子エリートレースでは序盤からイタリア勢が組織的に先行したものの、好調セイリン・アルバラード(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク)やクリスティナ・ゼマノヴァ(チェコ、ブライオンレーシングチームMB)がすぐに先頭を奪う。世界女王フェム・ファンエンペル(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)不在のこの日、優勝候補に挙げられていたパック・ピーテルス(オランダ、フェニックス・ドゥクーニンク)は常に上位を走るものの、「調子自体は良かったけど柔らかい雪でミスを重ねてしまった」と先頭争いに加わることは出来なかった。
アルバラードはゼマノヴァを置き去りにして先行体制を築いたが、その走りはどこか安定しない。彼女のミスに勝機を見出したのは後方からポジションを上げたマノン・バッカー(オランダ、クレラン・コレンドン)だった。
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パック・ピーテルス(オランダ、フェニックス・ドゥクーニンク)は優勝争いに絡めず3位 photo:CorVos
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W杯初勝利を挙げたマノン・バッカー(オランダ、クレラン・コレンドン) photo:CorVos
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UCIシクロクロスワールドカップ2023-2024 第7戦 女子エリート表彰台 photo:CorVos
「スタートは悪かったけど、私はこういうコースに一番合っているテクニック系の選手。だから落ち着いて走ってチャンスを待った」と言うバッカーは、最終周回にアルバラードを追い抜いた勢いそのままにフィニッシュへ。シングルリザルト常連組ながら、勝ち星に恵まれていなかった24歳がキャリア初のW杯優勝を手に入れた。
2位にアルバラード、3位はピーテルス。イタリア遠征を行ったオランダ勢3名が順当に上位独占したほか、トップ10のうち4名が初のW杯シングルリザルトを得る結果となった。
男子エリート:好調ニューウェンハイスがW杯初優勝、ランキング首位のイゼルビットは5位
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安定した走りを披露するヨリス・ニューウェンハイス(オランダ、バロワーズ・トレック・ライオンズ) photo:CorVos
レースが集中するクリスマスシーズンを前に、バロワーズ・トレック・ライオンズのピム・ロンハール(W杯ランキング2位)やラース・ファンデルハール(同3位)はスペイン合宿を選び不在。3週間のオフを宣言したティボー・ネイスや、前日土曜日にベルギーで開催されたエグザクトクロスでCXシーズンインと優勝を挙げたワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)も長距離移動を嫌ってこのラウンドには参加していない。
レースはヨリス・ニューウェンハイス(オランダ、バロワーズ・トレック・ライオンズ)がダッシュを決め、大多数の選手が降車を強いられるのを尻目に早くも独走体制を築き上げる。好スタートを切ったニルス・ファンデプッテ(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク)は一度ニューウェンハイスに追いついたものの、すぐに水を空けられてしまうこととなる。
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3位グループの争いを制したヨラン・ウィズール(ベルギー、クレラン・コレンドン) photo:CorVos
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ヨリス・ニューウェンハイス(オランダ、バロワーズ・トレック・ライオンズ)がキャリア初のW杯勝利 photo:CorVos
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UCIシクロクロスワールドカップ2023-2024 第7戦 男子エリート表彰台 photo:CorVos
レース前に「スノーレースは楽しくて大好きだ。このコンディションで走ったのはジュニア以来だけど、楽しみながらミスを抑えて走りたい」と話していたニューウェンハイスは一度転倒するものの、その後大きなミスなく独走。誰も寄せ付けない見事な走りでフィニッシュラインへと飛び込んだ。
今季スーパープレスティージュで2勝するなど、絶好調を維持しているニューウェンハイスがキャリア初のW杯優勝を達成した。「子供の頃にBMXレースをしていた経験が活きたと思う。調子も良く上手く走れる自信があったし、落ち着いてレースに臨めた。最高の気分だ」と嬉しいコメントを残している。
ファンデプッテが2位に入り、混戦の3位争いから抜け出したのは期待のホープであるヨラン・ウィズール(ベルギー、クレラン・コレンドン)。ランキングリーダーのエリ・イゼルビット(ベルギー、パウェルスサウゼン・ビンゴール)は5位に沈んだものの首位の座を守っている。
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世界最高峰のシクロクロスシリーズであるUCIシクロクロスワールドカップ。合計14戦のうち折り返しとなる第7戦の舞台は、MTBの世界選手権やワールドカップの舞台としてのお馴染みのイタリア北部、トレンティーノにあるマウンテンリゾート地帯であるヴァル・ディ・ソーレだ。
シーズン唯一の完全雪上レースとして知られるヴァル・ディ・ソーレラウンドは、シクロクロスを冬季五輪の一種目に加えるための施策という意味合いも。得手不得手がはっきりと分かれるため、普段のレースとは異なる大番狂わせも起こりうる興味深い一戦だ。
女子エリート:アルバラードを抜き去り、バッカーが初のW杯優勝
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女子エリートレースでは序盤からイタリア勢が組織的に先行したものの、好調セイリン・アルバラード(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク)やクリスティナ・ゼマノヴァ(チェコ、ブライオンレーシングチームMB)がすぐに先頭を奪う。世界女王フェム・ファンエンペル(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)不在のこの日、優勝候補に挙げられていたパック・ピーテルス(オランダ、フェニックス・ドゥクーニンク)は常に上位を走るものの、「調子自体は良かったけど柔らかい雪でミスを重ねてしまった」と先頭争いに加わることは出来なかった。
アルバラードはゼマノヴァを置き去りにして先行体制を築いたが、その走りはどこか安定しない。彼女のミスに勝機を見出したのは後方からポジションを上げたマノン・バッカー(オランダ、クレラン・コレンドン)だった。
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「スタートは悪かったけど、私はこういうコースに一番合っているテクニック系の選手。だから落ち着いて走ってチャンスを待った」と言うバッカーは、最終周回にアルバラードを追い抜いた勢いそのままにフィニッシュへ。シングルリザルト常連組ながら、勝ち星に恵まれていなかった24歳がキャリア初のW杯優勝を手に入れた。
2位にアルバラード、3位はピーテルス。イタリア遠征を行ったオランダ勢3名が順当に上位独占したほか、トップ10のうち4名が初のW杯シングルリザルトを得る結果となった。
男子エリート:好調ニューウェンハイスがW杯初優勝、ランキング首位のイゼルビットは5位
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レースが集中するクリスマスシーズンを前に、バロワーズ・トレック・ライオンズのピム・ロンハール(W杯ランキング2位)やラース・ファンデルハール(同3位)はスペイン合宿を選び不在。3週間のオフを宣言したティボー・ネイスや、前日土曜日にベルギーで開催されたエグザクトクロスでCXシーズンインと優勝を挙げたワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)も長距離移動を嫌ってこのラウンドには参加していない。
レースはヨリス・ニューウェンハイス(オランダ、バロワーズ・トレック・ライオンズ)がダッシュを決め、大多数の選手が降車を強いられるのを尻目に早くも独走体制を築き上げる。好スタートを切ったニルス・ファンデプッテ(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク)は一度ニューウェンハイスに追いついたものの、すぐに水を空けられてしまうこととなる。
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レース前に「スノーレースは楽しくて大好きだ。このコンディションで走ったのはジュニア以来だけど、楽しみながらミスを抑えて走りたい」と話していたニューウェンハイスは一度転倒するものの、その後大きなミスなく独走。誰も寄せ付けない見事な走りでフィニッシュラインへと飛び込んだ。
今季スーパープレスティージュで2勝するなど、絶好調を維持しているニューウェンハイスがキャリア初のW杯優勝を達成した。「子供の頃にBMXレースをしていた経験が活きたと思う。調子も良く上手く走れる自信があったし、落ち着いてレースに臨めた。最高の気分だ」と嬉しいコメントを残している。
ファンデプッテが2位に入り、混戦の3位争いから抜け出したのは期待のホープであるヨラン・ウィズール(ベルギー、クレラン・コレンドン)。ランキングリーダーのエリ・イゼルビット(ベルギー、パウェルスサウゼン・ビンゴール)は5位に沈んだものの首位の座を守っている。
UCIシクロクロスワールドカップ2023-2024 第7戦 女子エリート結果
1位 | マノン・バッカー(オランダ、クレラン・コレンドン) | 46:14 |
2位 | セイリン・アルバラード(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク) | +0:23 |
3位 | パック・ピーテルス(オランダ、フェニックス・ドゥクーニンク) | +1:35 |
4位 | クリスティナ・ゼマノヴァ(チェコ、ブライオンレーシングチームMB) | +1:47 |
5位 | シドニー・マクギル(カナダ) | +2:14 |
6位 | ヴァレンティナ・コルヴィ(イタリア) | +2:34 |
7位 | フランチェスカ・バローニ(イタリア) | +2:46 |
8位 | マーガリー・ロシェット(カナダ) | +3:43 |
9位 | サラ・カサソラ(イタリア、FASエアポートサービス・グエルチョッティ) | +4:06 |
10位 | カテリーナ・ウラディコバ(チェコ、ブライオンレーシングチームMB) | +4:59 |
UCIシクロクロスワールドカップ2023-2024 第7戦 男子エリート結果
1位 | ヨリス・ニューウェンハイス(オランダ、バロワーズ・トレック・ライオンズ) | 1:00:19 |
2位 | ニルス・ファンデプッテ(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク) | +1:01 |
3位 | ヨラン・ウィズール(ベルギー、クレラン・コレンドン) | +1:33 |
4位 | マイケル・ファントーレンハウト(ベルギー、パウェルスサウゼン・ビンゴール) | +2:05 |
5位 | エリ・イゼルビット(ベルギー、パウェルスサウゼン・ビンゴール) | +2:08 |
6位 | ローレンス・スウェーク(ベルギー、クレラン・コレンドン) | +2:09 |
7位 | ケヴィン・クーン(スイス、サーカス・レウス・テックノルド) | +2:44 |
8位 | ティモン・リュエッグ(スイス) | +2:53 |
9位 | ライアン・カンプ(オランダ、パウェルスサウゼン・ビンゴール) | +2:56 |
10位 | トーン・ファンデボッシュ(ベルギー、クレラン・コレンドン) | +3:00 |
text:So.Isobe
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