2023/11/21(火) - 17:59
フランス開催のUCIシクロクロスワールドカップ第4ラウンド。白熱した名勝負の末、セイリン・アルバラード(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク)とエリ・イゼルビット(ベルギー、パウェルスサウゼン・ビンゴール)が嬉しい勝利を挙げている。
「弱虫ペダル Supercross NOBEYAMA2023」と時を同じくして、フランスのトロワではシクロクロスシリーズ中最高権威を誇るUCIワールドカップの第4戦が開催された。
急角度で長いキャンバーを含むレースコースは部分的に泥。パック・ピーテルス(オランダ、フェニックス・ドゥクーニンク)が「とてもテクニカルなコース。ところどころ泥でとても滑りやすいし、高速パートとの兼ね合いでタイヤチョイスがかなり難しい」と評するコース上で、男女エリートレース共に一進一退の名勝負が繰り広げられることとなる。
女子エリート:ピーテルスを下し、アルバラードが涙の勝利
女子エリートレースにはアメリカでのW杯開幕戦以降オフシーズンに入っていたピーテルスが参戦。2週間の休養に入った世界女王フェム・ファンエンペル(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)と入れ替わる形で、W杯ランキングリーダーのセイリン・アルバラード(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク)や復帰まもないルシンダ・ブラント(オランダ、バロワーズ・トレック・ライオンズ)たちと対戦した。
スタートを決めたのは19歳のレオニー・ベントフェルド(オランダ、パウェルスサウゼン・ビンゴール)だったが、すぐにオランダチャンピオンジャージを着るピーテルスがリードを奪い、アルバラードが食らいつく。ピーテルスの刻む猛烈なハイペースによってレースの行方は5分も経たずこの2人に委ねられた。
決して勝負所と言えない小さい登りやストレートでインターバルを繰り返し、一進一退の攻防を続けるピーテルスとアルバラード。3周目のキャンバー区間ではアルバラードが轍を外して遅れたものの、「痛いミスだったけど一瞬たりとも諦めなかった」と1周以上を要した追走の末、再合流に成功。するとここで元世界女王のカウンターアタックが火を吹いた。
攻守交代。目覚ましい加速で一気にリードを奪い逃げ体制に入ったアルバラードに対し、「序盤のハイペースのツケを払うことになった。暫くレースを走っていないので、20分を過ぎたあたりからそう感じていた」と言うピーテルスは徐々に水を開けられてしまう。2連シケインを得意のバニーホップで飛びきってもなお、前を逃げるアルバラードの背中は遠ざかるばかりだった。
2020年に世界女王となったものの、その後すぐにエリートに昇格した若手勢を抑えきれなくなっていたアルバラードが勝った。それもその若手の代表格であり、レースの直接対決では13連敗していたピーテルスを下して。「今の私にとって最も価値のある結果。全ての感情が一つになったと思う。努力は必ず報われる。レース中の1秒1秒が厳しい戦いだったけれど、彼女が少し疲れているのを見ていたので絶対に諦めなかった」と、感極まった表情でインタビューに答えている。
男子エリート:ファンデルハールのアタック成功せず。イゼルビットが今季W杯初勝利
レースウィークの締めくくりとなる男子エリートレースでも序盤リードを奪ったのは若手勢。しかし2周目突入と共にW杯ランキングリーダーのラース・ファンデルハール(オランダ、バロワーズ・トレック・ライオンズ)が鮮烈なアタックを放つと共に独走態勢に入った。
「今日は何がなんでも勝ちたかった。できることは全てした」と言うファンデルハールは大混戦の2位グループを尻目に逃げ続けたものの、レース中盤に入るとエリ・イゼルビット(ベルギー、パウェルスサウゼン・ビンゴール)がファンデルハールのチームメイトを引き離して単独追走に打って出る。「今日はシーズンベストと言えるほど僕向きのコースだった。僕のためのレイアウトだと思っていたよ。できる限り力をセーブしてタイミングを待った」と自信を持ってレースに臨んだイゼルビットは、レース時間が半分を経過し、ファンデルハールがピットインしたタイミングで遂に合流。続けざまのアタックでW杯リーダーにプレッシャーを与え続けた。
勝負の分かれ目となったのはキャンバー区間のライン取りだった。ペダリングできるラインを選んだイゼルビットに対し、片足で地面を蹴って進まざるを得ないラインで遅れたファンデルハール。難しいキャンバーが連続するコースで、追うプレッシャーに晒されたファンデルハールのリズムは途端に崩れてしまった。
西日が差し込むテクニカルコースを最速で駆け抜けたイゼルビットが、開幕戦からここまで3連勝してきたバロワーズ勢に一矢報いる勝利をマークした。「とても強いラースとの差を詰めることができて良かった。パンクしても冷静さを保てたし、ほぼミスをしなかった。最高の気分だ」と難レースを攻め落としたイゼルビットは話している。ファンデルハールは2位に甘んじたためランキング首位をイゼルビットに明け渡す結果に。3位はヨリス・ニューウェンハイス(オランダ、バロワーズ・トレック・ライオンズ)だった。
「弱虫ペダル Supercross NOBEYAMA2023」と時を同じくして、フランスのトロワではシクロクロスシリーズ中最高権威を誇るUCIワールドカップの第4戦が開催された。
急角度で長いキャンバーを含むレースコースは部分的に泥。パック・ピーテルス(オランダ、フェニックス・ドゥクーニンク)が「とてもテクニカルなコース。ところどころ泥でとても滑りやすいし、高速パートとの兼ね合いでタイヤチョイスがかなり難しい」と評するコース上で、男女エリートレース共に一進一退の名勝負が繰り広げられることとなる。
女子エリート:ピーテルスを下し、アルバラードが涙の勝利
女子エリートレースにはアメリカでのW杯開幕戦以降オフシーズンに入っていたピーテルスが参戦。2週間の休養に入った世界女王フェム・ファンエンペル(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)と入れ替わる形で、W杯ランキングリーダーのセイリン・アルバラード(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク)や復帰まもないルシンダ・ブラント(オランダ、バロワーズ・トレック・ライオンズ)たちと対戦した。
スタートを決めたのは19歳のレオニー・ベントフェルド(オランダ、パウェルスサウゼン・ビンゴール)だったが、すぐにオランダチャンピオンジャージを着るピーテルスがリードを奪い、アルバラードが食らいつく。ピーテルスの刻む猛烈なハイペースによってレースの行方は5分も経たずこの2人に委ねられた。
決して勝負所と言えない小さい登りやストレートでインターバルを繰り返し、一進一退の攻防を続けるピーテルスとアルバラード。3周目のキャンバー区間ではアルバラードが轍を外して遅れたものの、「痛いミスだったけど一瞬たりとも諦めなかった」と1周以上を要した追走の末、再合流に成功。するとここで元世界女王のカウンターアタックが火を吹いた。
攻守交代。目覚ましい加速で一気にリードを奪い逃げ体制に入ったアルバラードに対し、「序盤のハイペースのツケを払うことになった。暫くレースを走っていないので、20分を過ぎたあたりからそう感じていた」と言うピーテルスは徐々に水を開けられてしまう。2連シケインを得意のバニーホップで飛びきってもなお、前を逃げるアルバラードの背中は遠ざかるばかりだった。
2020年に世界女王となったものの、その後すぐにエリートに昇格した若手勢を抑えきれなくなっていたアルバラードが勝った。それもその若手の代表格であり、レースの直接対決では13連敗していたピーテルスを下して。「今の私にとって最も価値のある結果。全ての感情が一つになったと思う。努力は必ず報われる。レース中の1秒1秒が厳しい戦いだったけれど、彼女が少し疲れているのを見ていたので絶対に諦めなかった」と、感極まった表情でインタビューに答えている。
男子エリート:ファンデルハールのアタック成功せず。イゼルビットが今季W杯初勝利
レースウィークの締めくくりとなる男子エリートレースでも序盤リードを奪ったのは若手勢。しかし2周目突入と共にW杯ランキングリーダーのラース・ファンデルハール(オランダ、バロワーズ・トレック・ライオンズ)が鮮烈なアタックを放つと共に独走態勢に入った。
「今日は何がなんでも勝ちたかった。できることは全てした」と言うファンデルハールは大混戦の2位グループを尻目に逃げ続けたものの、レース中盤に入るとエリ・イゼルビット(ベルギー、パウェルスサウゼン・ビンゴール)がファンデルハールのチームメイトを引き離して単独追走に打って出る。「今日はシーズンベストと言えるほど僕向きのコースだった。僕のためのレイアウトだと思っていたよ。できる限り力をセーブしてタイミングを待った」と自信を持ってレースに臨んだイゼルビットは、レース時間が半分を経過し、ファンデルハールがピットインしたタイミングで遂に合流。続けざまのアタックでW杯リーダーにプレッシャーを与え続けた。
勝負の分かれ目となったのはキャンバー区間のライン取りだった。ペダリングできるラインを選んだイゼルビットに対し、片足で地面を蹴って進まざるを得ないラインで遅れたファンデルハール。難しいキャンバーが連続するコースで、追うプレッシャーに晒されたファンデルハールのリズムは途端に崩れてしまった。
西日が差し込むテクニカルコースを最速で駆け抜けたイゼルビットが、開幕戦からここまで3連勝してきたバロワーズ勢に一矢報いる勝利をマークした。「とても強いラースとの差を詰めることができて良かった。パンクしても冷静さを保てたし、ほぼミスをしなかった。最高の気分だ」と難レースを攻め落としたイゼルビットは話している。ファンデルハールは2位に甘んじたためランキング首位をイゼルビットに明け渡す結果に。3位はヨリス・ニューウェンハイス(オランダ、バロワーズ・トレック・ライオンズ)だった。
UCIシクロクロスワールドカップ2023-2024 第4戦 女子エリート結果
1位 | セイリン・アルバラード(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク) | 49:55 |
2位 | パック・ピーテルス(オランダ、フェニックス・ドゥクーニンク) | +0:21 |
3位 | ルシンダ・ブラント(オランダ、バロワーズ・トレック・ライオンズ) | +0:44 |
4位 | サラ・カサソラ(イタリア、FASエアポートサービス・グエルチョッティ) | +0:49 |
5位 | インゲ・ファンデルヘイデン(オランダ、クレラン・コレンドン) | +1:05 |
6位 | マリー・シュライバー(ルクセンブルク、SDワークス) | +1:09 |
7位 | アンマリー・ワースト(オランダ、シクロクロスレッズ) | +1:13 |
8位 | ゾーイ・バックステッド(イギリス、キャニオン・スラム) | +1:24 |
9位 | エレーヌ・クラウツェル(フランス、ASバイクレーシング) | +1:33 |
10位 | レオニー・ベントフェルド(オランダ、パウェルスサウゼン・ビンゴール) |
UCIシクロクロスワールドカップ2023-2024 第4戦 男子エリート結果
1位 | エリ・イゼルビット(ベルギー、パウェルスサウゼン・ビンゴール) | 56:35 |
2位 | ラース・ファンデルハール(オランダ、バロワーズ・トレック・ライオンズ) | +0:10 |
3位 | ヨリス・ニューウェンハイス(オランダ、バロワーズ・トレック・ライオンズ) | +1:29 |
4位 | ヘルベン・クイペルス(ベルギー、サーカス・レウス・テックノルド) | +1:41 |
5位 | ライアン・カンプ(オランダ、パウェルスサウゼン・ビンゴール) | +1:52 |
6位 | ローレンス・スウェーク(ベルギー、クレラン・コレンドン) | +2:05 |
7位 | ティボー・ネイス(ベルギー、バロワーズ・トレック・ライオンズ) | +2:08 |
8位 | トーン・ファンデボッシュ(ベルギー、クレラン・コレンドン) | +2:12 |
9位 | ニルス・ファンデプッテ(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク) | +2:22 |
10位 | ティモン・リュエッグ(スイス) | +2:24 |
text:So.Isobe
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