UCI(国際自転車競技連盟)の会長であるダヴィ・ラパルティアン氏が、毎年4月に開催されるロンド・ファン・フラーンデレンとパリ〜ルーベを10月に移行する考えを示唆。レース間の移動が少ない”効率的な”レーススケジュールを目指すためだと説明した。



2023年はタデイ・ポガチャルが初優勝したロンド・ファン・フラーンデレン photo:CorVos

「コロナ禍でロンド・ファン・フラーンデレンとパリ〜ルーベは10月開催が強いられた。その時の観客の熱狂は素晴らしく、”もう一度(10月に)やらなければならない”とは言わないまでもその可能性は否定しない」と、UCIのダヴィ・ラパルティアン会長はフランスメディアDirectVeloのインタビューに答えた。

ラパルティアン氏によるこの発言は、現在作成を進める2026年から4年間の方針をまとめた「アジェンダ2030」に関連したもの。その改革案の一つとして例年4月に行われる2つのモニュメント(5大クラシック)を含む、レースカレンダーの大幅な再編成を目論んでいるのだ。

「その国に年間5〜6回行くよりも、まとまった期間で(複数の)レースを行う方が賢明だ。オランダからスペイン南部に行き、そのままイングランドへ行くようなスケジュールはあってはならない」とラパルティアン氏は、レース間の移動距離の長い現行のレーススケジュールが抱える問題点を指摘。更に「(1月の真夏に)熱波の中行われるツアー・ダウンアンダーや8月中旬のブエルタ・ア・エスパーニャも再編成するにあたって考慮すべきレースだ」と年々深刻化する暑さについても言及した。

2017年からUCI会長を務めるダヴィ・ラパルティアン氏 photo:CorVos

共に100年以上の歴史を持つロンドとルーベは、長きに渡り毎年4月に行われ「春のクラシック」の中核をなしてきた。しかし2020年は新型コロナウイルス感染症の拡大に伴いロンド・ファン・フラーンデレンは10月に開催され、パリ〜ルーベは中止。翌2021年はロンドが4月に戻った一方で、ルーベは10月に行われた。

もしこの2レースが10月に移行すれば、例年3月下旬から始まるブルッヘ〜デパンヌからルーベまでベルギー北部とフランス北部に固まるレース群が、そのまま10月に移行する可能性もある。なぜならラパルティアン氏は「北のクラシックが(レース間の移動距離が短い)理想的な形と言える。なぜなら選手たちは3週間に渡りフランドル地方から動かないから」と評価しているからだ。また「いずれにせよこの2レースは(共に石畳という特徴もあり)近い日程で行われなければならない」とも語っている

レーススケジュールを再編する背景には、レース間の移動を減らすことにより、2030年までに「レースとチームが排出する二酸化炭素を50%削減する」というアジェンダ2030に含まれると言われる目標の実現がある。また一方で、ユンボ・ヴィスマやイネオス・グレナディアーズらがサウジアラビアの投資家と立ち上げる予定と10月に報じられた「自転車リーグ計画」への牽制、という見方もされている。

text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos

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