ユンボ・ヴィスマはバルト・レメン(オランダ、ヒューマンパワードヘルス)の獲得を発表した。同選手は今年プロデビューを果たした28歳。オランダ空軍で小隊長を務め、2021年より本格的に競技を始めた異色の経歴を持つ。



ユンボ・ヴィスマと2年契約を結んだバルト・レメン(オランダ) photo:CorVos

2023年はジロ・デ・イタリアとツール・ド・フランス、ブエルタ・ア・エスパーニャで総合優勝を飾ったユンボ・ヴィスマ。史上最強と謳われるチームがこの度、28歳のネオプロ(プロ1年目)であるバルト・レメン(オランダ)を獲得すると発表した。

ユンボ・ヴィスマのメーリン・ゼーマン監督はレメンについて「自転車競技のエリートカテゴリーに足を踏み入れたばかりの彼が、我々のトレーニングプログラムの中でどう成長するか楽しみでしょうがない」とコメント。また獲得理由について「彼はそれ以前に高強度な軍事訓練を受け、自転車競技と厳しい軍の仕事を両立させていた。本格的なトレーニングやコーチングを受けていないにもかかわらず、レースで力や可能性を示してきた」と説明した。

ゼーマン氏のコメントにもあった通り、オランダ空軍で小隊長を務めていたレメン。2021年に本格的に自転車選手に転向後、オランダTT選手権で8位の好成績を残してオランダのコンチネンタルチームであるフォルカーヴェッセルスに加入。そしてヒューマンパワードヘルスでプロデビューを果たした今年、クライズ・ブライシュ・エリート(UCI2.2)でプロ初勝利を飾った。

元空軍士官からの成功を目指すバルト・レメン(オランダ) photo:CorVos

その他にも1クラス(レースカテゴリーで上から3番目)でシングルリザルトを連発したレメン。特にヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ヴィスマ)が3戦3勝で総合優勝した2月のグラン・カミーニョ(UCI2.1)では、最終日の個人タイムトライアルでワールドチームの選手たちを押しのけ4位に入り、オランダ選手権ロードレースでも4位入賞を果たした。

本格的な競技スタートから僅か2年で世界トップチームへの切符を手に入れたレメン。「典型的ではない僕の自転車キャリアの新しい章が始まる。空軍士官からフルタイムの自転車選手はかなりの変化だったが、ここ数ヶ月で肉体的にもプロ選手に適応する大きな進化を遂げた。ユンボ・ヴィスマが僕に可能性を見出してくれ、本当に嬉しい」とレメンは語っている。契約期間は2025年までの2年間。

元スキージャンプの選手であるプリモシュ・ログリッチ(スロベニア)をトップ選手へと導いた実績のあるユンボ。来年以降、タイムトライアルや丘陵コースを得意とするレメンの走りが注目される。

text:Sotaro.Arakawa

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