2023/09/11(月) - 08:45
前日勝者のエヴェネプールが再び逃げに乗ったブエルタ第15ステージ。元世界王者がルイ・コスタ(ポルトガル、アンテルマルシェ・サーカス・ワンティ)がスプリントで先着し、自身にとって10年振りとなるグランツール区間優勝を手に入れた。
9月10日(日)第15ステージ
パンプローナ〜レクンベリ 158.3km(丘陵)
ピレネー山脈に別れを告げ、第2週目を締めくくるのは158.3kmの丘陵ステージ。その中身は中盤から3つのカテゴリー山岳を越える逃げ向きのレイアウトで、終盤は2級山岳ズアラーテ峠(距離7.3km/平均4.8%)を含むコースを1周半する。勝負所となるのは残り8.5km地点に頂上を迎える2度目のズアラーテ峠で、フィニッシュ地点はそこから下りと平坦路を越えた先にある。
レムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ)による劇的な復活勝利から一夜明け、休息日を翌日に控えるこの日はアクチュアルスタートから激しいアタックが繰り返された。山岳賞ジャージを纏ったエヴェネプールはこの日も積極的に動き、またイネオス・グレナディアーズからはエガン・ベルナル(コロンビア)やフィリッポ・ガンナ(イタリア)も逃げを目指した。
そのため序盤50kmの平均スピードは47.4km/hを超え、最初のカテゴリー山岳の手前でようやく22名の逃げグループが形成。そこにはエヴェネプールがヤン・ヒルト(チェコ)と共に入り、第2ステージを制したアンドレアス・クロン(デンマーク、ロット・デスティニー)や前日も逃げたロマン・バルデ(フランス、DSM・フィルメニッヒ)の姿もあった。
逃げ集団の成立で落ち着くと思われたメイン集団では、総合トップ10に3名が入るUAEチームエミレーツが展開を乱しにかかる。同じレクンベリにフィニッシュした2020年大会で区間優勝を飾り、総合6位につけるマルク・ソレル(スペイン、UAEチームエミレーツ)のアタックにヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ヴィスマ)が追従。2人はバルデらの遅れた逃げ集団に合流した。
ユンボ・ヴィスマの牽引によってプロトンが逃げに迫るなか、逃げ集団からルイ・コスタ(ポルトガル、アンテルマルシェ・サーカス・ワンティ)が飛び出す。3級山岳の頂上まで残り5km(残り83.5km地点)で生まれたこの動きには、エヴェネプールとクリスティアン・ロドリゲス(スペイン、アルケア・サムシック)が反応。エヴェネプールが頂上を先頭通過して山岳ポイントを稼いだのち、遅れて先頭にジョインしたレナード・ケムナ(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)らによる15名の集団が形成した。
その中にソレルやヴィンゲゴーなど総合上位陣が入らなかったため、残り64km地点でようやくレースが落ち着いた。
コスタやケニー・エリッソンド(フランス、リドル・トレック)など経験豊富なメンバーを揃える逃げ集団は、この日1度目の2級山岳ズアラーテ峠(残り38km地点)をエヴェネプールが先頭で通過する。一方、そこから3分25秒遅れで登りに入ったプロトンでは、スプリント勝負に望みをかけるアルペシン・ドゥクーニンクが先導した。
なお、その下りで転がったボトルを踏んだゲラント・トーマス(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)が落車。大きな怪我のなかったトーマスは、集団から遅れながらも何とかフィニッシュに辿り着いている。
1度目のズアラーテ峠を越えてもなおプロトンはアルペシンがペースメイクする。しかし逃げとのタイム差は3分半から一向に縮まらず、勝利の可能性が徐々に増していった逃げ集団は最後のズアラーテ峠に突入。サンティアゴ・ブイトラゴ(コロンビア、バーレーン・ヴィクトリアス)の加速にコスタが追従し、そこにケムナも追いつく一方で、前日勝者のエヴェネプールが遅れを取った。
頂上をブイトラゴ、コスタ、ケムナの順に越えた3名は、8.5km先のフィニッシュに向かいダウンヒルでも後続との差を拡げていく。その下りに入ると、先頭を走るケムナがコーナーをオーバーランして落車。しかし先頭を走るコスタとブイトラゴが牽制し合ったため素早くレースに戻ったケムナが先頭に復帰し、勝負は3名によるスプリントに持ち込まれた。
エヴェネプールが猛追によって後続集団が迫るなか、残り150mで腰を上げたブイトラゴに対しケムナとコスタもほぼ同時にスプリントを開始する。懸命に脚を回すケムナが先にトップスピードに乗ったものの、冷静にラインを選んだコスタがフィニッシュ直前でケムナを追い抜く。そしてガッツポーズを見せたコスタが、ブエルタで自身初となる区間優勝を手に入れた。
6シーズンを過ごしたUAEから今年アンテルマルシェ・サーカス・ワンティに移籍し、今年3勝目を挙げ復活を印象付けたコスタ。世界王者に輝いた2013年のツール・ド・フランス以来、実に10年振りとなるグランツールの区間優勝を「移籍初日からチームは僕の活躍を信じてくれた。ハイレベルであり続けるため、ここまで努力を重ねてきた。ブエルタでの初勝利だ。とても嬉しいよ」と喜んだ。
エヴェネプールは2秒差の4位と2日連続を逃したものの、山岳賞ポイントのリード拡大に成功。また先頭から2分52秒遅れでレースを終えたプロトンでは、総合上位勢が皆同じ集団内でフィニッシュしたため、セップ・クス(アメリカ、ユンボ・ヴィスマ)はマイヨロホを着続けたままブエルタ第2週目を終えている。
9月10日(日)第15ステージ
パンプローナ〜レクンベリ 158.3km(丘陵)
ピレネー山脈に別れを告げ、第2週目を締めくくるのは158.3kmの丘陵ステージ。その中身は中盤から3つのカテゴリー山岳を越える逃げ向きのレイアウトで、終盤は2級山岳ズアラーテ峠(距離7.3km/平均4.8%)を含むコースを1周半する。勝負所となるのは残り8.5km地点に頂上を迎える2度目のズアラーテ峠で、フィニッシュ地点はそこから下りと平坦路を越えた先にある。
レムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ)による劇的な復活勝利から一夜明け、休息日を翌日に控えるこの日はアクチュアルスタートから激しいアタックが繰り返された。山岳賞ジャージを纏ったエヴェネプールはこの日も積極的に動き、またイネオス・グレナディアーズからはエガン・ベルナル(コロンビア)やフィリッポ・ガンナ(イタリア)も逃げを目指した。
そのため序盤50kmの平均スピードは47.4km/hを超え、最初のカテゴリー山岳の手前でようやく22名の逃げグループが形成。そこにはエヴェネプールがヤン・ヒルト(チェコ)と共に入り、第2ステージを制したアンドレアス・クロン(デンマーク、ロット・デスティニー)や前日も逃げたロマン・バルデ(フランス、DSM・フィルメニッヒ)の姿もあった。
逃げ集団の成立で落ち着くと思われたメイン集団では、総合トップ10に3名が入るUAEチームエミレーツが展開を乱しにかかる。同じレクンベリにフィニッシュした2020年大会で区間優勝を飾り、総合6位につけるマルク・ソレル(スペイン、UAEチームエミレーツ)のアタックにヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ヴィスマ)が追従。2人はバルデらの遅れた逃げ集団に合流した。
ユンボ・ヴィスマの牽引によってプロトンが逃げに迫るなか、逃げ集団からルイ・コスタ(ポルトガル、アンテルマルシェ・サーカス・ワンティ)が飛び出す。3級山岳の頂上まで残り5km(残り83.5km地点)で生まれたこの動きには、エヴェネプールとクリスティアン・ロドリゲス(スペイン、アルケア・サムシック)が反応。エヴェネプールが頂上を先頭通過して山岳ポイントを稼いだのち、遅れて先頭にジョインしたレナード・ケムナ(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)らによる15名の集団が形成した。
その中にソレルやヴィンゲゴーなど総合上位陣が入らなかったため、残り64km地点でようやくレースが落ち着いた。
コスタやケニー・エリッソンド(フランス、リドル・トレック)など経験豊富なメンバーを揃える逃げ集団は、この日1度目の2級山岳ズアラーテ峠(残り38km地点)をエヴェネプールが先頭で通過する。一方、そこから3分25秒遅れで登りに入ったプロトンでは、スプリント勝負に望みをかけるアルペシン・ドゥクーニンクが先導した。
なお、その下りで転がったボトルを踏んだゲラント・トーマス(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)が落車。大きな怪我のなかったトーマスは、集団から遅れながらも何とかフィニッシュに辿り着いている。
1度目のズアラーテ峠を越えてもなおプロトンはアルペシンがペースメイクする。しかし逃げとのタイム差は3分半から一向に縮まらず、勝利の可能性が徐々に増していった逃げ集団は最後のズアラーテ峠に突入。サンティアゴ・ブイトラゴ(コロンビア、バーレーン・ヴィクトリアス)の加速にコスタが追従し、そこにケムナも追いつく一方で、前日勝者のエヴェネプールが遅れを取った。
頂上をブイトラゴ、コスタ、ケムナの順に越えた3名は、8.5km先のフィニッシュに向かいダウンヒルでも後続との差を拡げていく。その下りに入ると、先頭を走るケムナがコーナーをオーバーランして落車。しかし先頭を走るコスタとブイトラゴが牽制し合ったため素早くレースに戻ったケムナが先頭に復帰し、勝負は3名によるスプリントに持ち込まれた。
エヴェネプールが猛追によって後続集団が迫るなか、残り150mで腰を上げたブイトラゴに対しケムナとコスタもほぼ同時にスプリントを開始する。懸命に脚を回すケムナが先にトップスピードに乗ったものの、冷静にラインを選んだコスタがフィニッシュ直前でケムナを追い抜く。そしてガッツポーズを見せたコスタが、ブエルタで自身初となる区間優勝を手に入れた。
6シーズンを過ごしたUAEから今年アンテルマルシェ・サーカス・ワンティに移籍し、今年3勝目を挙げ復活を印象付けたコスタ。世界王者に輝いた2013年のツール・ド・フランス以来、実に10年振りとなるグランツールの区間優勝を「移籍初日からチームは僕の活躍を信じてくれた。ハイレベルであり続けるため、ここまで努力を重ねてきた。ブエルタでの初勝利だ。とても嬉しいよ」と喜んだ。
エヴェネプールは2秒差の4位と2日連続を逃したものの、山岳賞ポイントのリード拡大に成功。また先頭から2分52秒遅れでレースを終えたプロトンでは、総合上位勢が皆同じ集団内でフィニッシュしたため、セップ・クス(アメリカ、ユンボ・ヴィスマ)はマイヨロホを着続けたままブエルタ第2週目を終えている。
ブエルタ・ア・エスパーニャ2023第15ステージ結果
1位 | ルイ・コスタ(ポルトガル、アンテルマルシェ・サーカス・ワンティ) | 3:30:56 |
2位 | レナード・ケムナ(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ) | |
3位 | サンティアゴ・ブイトラゴ(コロンビア、バーレーン・ヴィクトリアス) | |
4位 | レムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ) | +0:02 |
5位 | アンドレアス・クロン(デンマーク、ロット・デスティニー) | |
6位 | エイネルアウグスト・ルビオ(コロンビア、モビスター) | |
7位 | クリスティアン・ロドリゲス(スペイン、アルケア・サムシック) | |
8位 | クリス・ハミルトン(オーストラリア、DSM・フィルメニッヒ) | |
9位 | ニコ・デンツ(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ) | +0:36 |
10位 | ジミー・ヤンセンス(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク) | +1:07 |
19位 | セップ・クス(アメリカ、ユンボ・ヴィスマ) | +2:52 |
マイヨロホ(個人総合成績)
1位 | セップ・クス(アメリカ、ユンボ・ヴィスマ) | 51:04:54 |
2位 | プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ) | +1:37 |
3位 | ヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ヴィスマ) | +1:44 |
4位 | フアン・アユソ(スペイン、UAEチームエミレーツ) | +2:37 |
5位 | エンリク・マス(スペイン、モビスター) | +3:06 |
6位 | マルク・ソレル(スペイン、UAEチームエミレーツ) | +3:10 |
7位 | ミケル・ランダ(スペイン、バーレーン・ヴィクトリアス) | +4:12 |
8位 | アレクサンドル・ウラソフ(ロシア、ボーラ・ハンスグローエ) | +5:02 |
9位 | キアン・アイデブルックス(ベルギー、ボーラ・ハンスグローエ) | +5:30 |
10位 | ジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ) | +8:39 |
マイヨプントス(ポイント賞)
1位 | カーデン・グローブス(オーストラリア、アルペシン・ドゥクーニンク) | 203pts |
2位 | レムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ) | 135pts |
3位 | アンドレアス・クロン(デンマーク、ロット・デスティニー) | 111pts |
マイヨモンターニャ(山岳賞)
1位 | レムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ) | 71pts |
2位 | マイケル・ストーラー(オーストラリア、グルパマFDJ) | 39pts |
3位 | ヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ヴィスマ) | 36pts |
マイヨブランコ(ヤングライダー賞)
1位 | フアン・アユソ(スペイン、UAEチームエミレーツ) | 54:41:19 |
2位 | キアン・アイデブルックス(ベルギー、ボーラ・ハンスグローエ) | +2:53 |
3位 | ジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ) | +6:02 |
チーム総合成績
1位 | ユンボ・ヴィスマ | 163:24:07 |
2位 | UAEチームエミレーツ | +10:27 |
3位 | ボーラ・ハンスグローエ | +15:12 |
text:Sotaro.Arakawa
photo:Unipublic, CorVos
photo:Unipublic, CorVos
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