2023/09/02(土) - 16:00
フランスを舞台にしたU23のツールこと「ツール・ド・ラヴニール」が閉幕。留目夕陽が13位に入った個人タイムトライアルや、メキシコのデルトロが逆転総合優勝を決めた最終日など、第5〜8ステージをレポートします。
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後半戦を迎えた第59回ツール・ド・ラヴニール photo:Tour de l'Avenir
プロを目指すU23の選手たちがしのぎを削るツール・ド・ラヴニール。日本からは留目夕陽(EFエデュケーション・NIPPOデヴェロップメントチーム)を中心に、チームメイトである山田拓海や橋川丈、津田悠義(キナンレーシングチーム)、天野壮悠(シマノレーシング)、鎌田晃輝(VC福岡)ら6名が出場。世界の強豪と争った。
第1〜4ステージまでのレースレポートはこちらから。
全8ステージで行われる大会は後半戦を迎え、5日目は平坦路から終盤に2つの3級山岳を越える丘陵ステージで行われた。序盤を平均スピード47km/hを越える高速で進んだレースは横風により12名の先頭集団が形成。終盤にイヴァン・ロメオ(スペイン)が飛び出し、そのまま単独でフィニッシュに到達した。
ロメオは元スペインのジュニアロード&TT王者の20歳。今年モビスターでプロデビューを果たしたロメオは、193cmという恵まれた体格を活かし、今春のストラーデビアンケでは逃げに乗ったクラシックライダーだ。
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第5ステージ:独走でフィニッシュラインを通過したイヴァン・ロメオ(スペイン) photo:Tour de l'Avenir
大会6日目は今年のツール・ド・フランスにも登場した超級山岳ロズ峠(距離23.3km/平均7.3%)を駆け上がる山頂フィニッシュ。レース序盤の下りで日本のエースである留目夕陽が落車するなか、ロズ峠に突入するとプロトンの選別がかかる。なかでもアイザック・デルトロ(メキシコ)は軽快にペダルを回し、次々と選手をふるい落としていく。
そして最後はイスラエル・プレミアテックに所属するマシュー・リッチテッロ(アメリカ)との登りスプリントでデルトロが先着。ここまでアンダーのレースでも目立った成績のない19歳のデルトロが、見事クイーンステージを制覇した。
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序盤の下りで落車した留目夕陽 photo:RTA
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第6ステージ:リッチテッロとの一騎打ちを制した アイザック・デルトロ(メキシコ) photo:Tour de l'Avenir
第7ステージは午前(A)と午後(B)に分かれた2部制で争われた。午前9時30分に開始されたのは11.1kmの個人タイムトライアルで、平均8%のつづら折りの登りを駆け上がる山岳TT。留目と鎌田、津田の3名を含む138名の中でトップタイムを叩き出したのは、前日2位のリッチテッロ。区間3位のデルトロに46秒差、エオーロ・コメタ所属のダヴィデ・ピガンゾーリ(イタリア)に40秒差をつけたリッチテッロが第7ステージAの勝者に輝いた。
U23の前TT日本王者として臨んだ留目は1分51秒遅れの13位でフィニッシュ。単純なパワー勝負のステージで、世界と戦うことのできる力を見せつけた。
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第7ステージA:TTを制し、総合首位を守ったマシュー・リッチテッロ(アメリカ) photo:Tour de l'Avenir
続く第7ステージBは70kmの短い距離に3級、2級、そして1級山岳ヴァル・スニ(距離9.7km/平均7%)が詰め込まれた山岳ステージ。標高584mからフィニッシュ地点の2,090mまでひたすら登り続けるタフなレイアウトでは、激しいアタックが繰り広げられた。
そんな中でも切れ味鋭いアタックを見せたのはユンボ・ヴィスマの下部チームに所属し、来年EFエデュケーション・イージーポストへの加入が決まっているアーチー・ライヤン(アイルランド)。昨年大会では総合4位に入り、エリートカテゴリーでも既に1勝を挙げているライヤンは、デルトロとジュリオ・ペリツァーリ(イタリア)に7秒差をつけフィニッシュ。怪我に悩まされた今シーズンの悔しさを払拭する勝利を手に入れた。
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第7ステージB:復活勝利を独走で飾ったアーチー・ライヤン(アイルランド) photo:Tour de l'Avenir
大会最終日である第8ステージも超級を含む険しい山岳が登場するレイアウトに。コース前半に設定された標高2,750mの超級山岳イズラン峠(距離12.9km/平均7.3%)を越え、長い下りを経て2級をクリア。最後は1級山岳サント・フォア・タロンテーズ(距離4.8km/平均8.4%)の頂上にフィニッシュする。
イズラン峠の登りで留目が遅れを喫した先頭集団は約30名。長い下りと登りで更に人数を減らした集団は、最終山岳で総合2位のアイザック・デルトロ(メキシコ)を含む4名の先鋭集団が形成される。そこからは総合リーダーのマシュー・リッチテッロ(アメリカ)が遅れ、デルトロは逆転の総合優勝を目指してペースを上げた。
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第8ステージ:デルトロを退け、勝利を挙げたジュリオ・ペリツァーリ(イタリア) photo:Tour de l'Avenir
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ツール・ド・ラヴニール2023総合表彰台:2位ペリツァーリ、1位デルトロ、3位ピガンゾーリ photo:Tour de l'Avenir
そしてデルトロとの登りスプリントでグリーンプロジェクト・バルディアーニCSF・ファイザネ所属のジュリオ・ペリツァーリ(イタリア)が勝利。惜しくも敗れたデルトロは総合優勝を飾り、また山岳賞にも輝いた。総合2位にはペリツァーリ、3位には同じイタリアのピガンゾーリが入っている。
日本勢では留目が最高位となる39位(9分7秒遅れ)でフィニッシュし、総合24位と健闘。また鎌田と津田も完走を果たし、厳しい8日間レースを終えた。
日本チームを率いた浅田顕監督は「最終ステージは悪天候予報に対して奇跡的にスタート前に冷たい雨がやみ晴天でのレースとなりました。しかしレースはとても厳しいものでした。留目は標高2700mのイズラン峠頂上付近で30名ほどの先頭集団から脱落し、追走グループでレースを続けた。終盤はパンクもあり単独で最後のゴールを目指すことになりましたが、こぼれてくる選手をパスしながら最後まで力を緩めず走り切りました。続く鎌田、津田も力を振り絞りレースを完走しました。これで厳しい8日間のレースを終えました。目標成績である留目の個人総合20位には少し届きませんでしたが、課題を抽出し次の活躍に繋げて行きたいと思います」とコメントしている。
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プロを目指すU23の選手たちがしのぎを削るツール・ド・ラヴニール。日本からは留目夕陽(EFエデュケーション・NIPPOデヴェロップメントチーム)を中心に、チームメイトである山田拓海や橋川丈、津田悠義(キナンレーシングチーム)、天野壮悠(シマノレーシング)、鎌田晃輝(VC福岡)ら6名が出場。世界の強豪と争った。
第1〜4ステージまでのレースレポートはこちらから。
全8ステージで行われる大会は後半戦を迎え、5日目は平坦路から終盤に2つの3級山岳を越える丘陵ステージで行われた。序盤を平均スピード47km/hを越える高速で進んだレースは横風により12名の先頭集団が形成。終盤にイヴァン・ロメオ(スペイン)が飛び出し、そのまま単独でフィニッシュに到達した。
ロメオは元スペインのジュニアロード&TT王者の20歳。今年モビスターでプロデビューを果たしたロメオは、193cmという恵まれた体格を活かし、今春のストラーデビアンケでは逃げに乗ったクラシックライダーだ。
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大会6日目は今年のツール・ド・フランスにも登場した超級山岳ロズ峠(距離23.3km/平均7.3%)を駆け上がる山頂フィニッシュ。レース序盤の下りで日本のエースである留目夕陽が落車するなか、ロズ峠に突入するとプロトンの選別がかかる。なかでもアイザック・デルトロ(メキシコ)は軽快にペダルを回し、次々と選手をふるい落としていく。
そして最後はイスラエル・プレミアテックに所属するマシュー・リッチテッロ(アメリカ)との登りスプリントでデルトロが先着。ここまでアンダーのレースでも目立った成績のない19歳のデルトロが、見事クイーンステージを制覇した。
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第7ステージは午前(A)と午後(B)に分かれた2部制で争われた。午前9時30分に開始されたのは11.1kmの個人タイムトライアルで、平均8%のつづら折りの登りを駆け上がる山岳TT。留目と鎌田、津田の3名を含む138名の中でトップタイムを叩き出したのは、前日2位のリッチテッロ。区間3位のデルトロに46秒差、エオーロ・コメタ所属のダヴィデ・ピガンゾーリ(イタリア)に40秒差をつけたリッチテッロが第7ステージAの勝者に輝いた。
U23の前TT日本王者として臨んだ留目は1分51秒遅れの13位でフィニッシュ。単純なパワー勝負のステージで、世界と戦うことのできる力を見せつけた。
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続く第7ステージBは70kmの短い距離に3級、2級、そして1級山岳ヴァル・スニ(距離9.7km/平均7%)が詰め込まれた山岳ステージ。標高584mからフィニッシュ地点の2,090mまでひたすら登り続けるタフなレイアウトでは、激しいアタックが繰り広げられた。
そんな中でも切れ味鋭いアタックを見せたのはユンボ・ヴィスマの下部チームに所属し、来年EFエデュケーション・イージーポストへの加入が決まっているアーチー・ライヤン(アイルランド)。昨年大会では総合4位に入り、エリートカテゴリーでも既に1勝を挙げているライヤンは、デルトロとジュリオ・ペリツァーリ(イタリア)に7秒差をつけフィニッシュ。怪我に悩まされた今シーズンの悔しさを払拭する勝利を手に入れた。
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大会最終日である第8ステージも超級を含む険しい山岳が登場するレイアウトに。コース前半に設定された標高2,750mの超級山岳イズラン峠(距離12.9km/平均7.3%)を越え、長い下りを経て2級をクリア。最後は1級山岳サント・フォア・タロンテーズ(距離4.8km/平均8.4%)の頂上にフィニッシュする。
イズラン峠の登りで留目が遅れを喫した先頭集団は約30名。長い下りと登りで更に人数を減らした集団は、最終山岳で総合2位のアイザック・デルトロ(メキシコ)を含む4名の先鋭集団が形成される。そこからは総合リーダーのマシュー・リッチテッロ(アメリカ)が遅れ、デルトロは逆転の総合優勝を目指してペースを上げた。
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そしてデルトロとの登りスプリントでグリーンプロジェクト・バルディアーニCSF・ファイザネ所属のジュリオ・ペリツァーリ(イタリア)が勝利。惜しくも敗れたデルトロは総合優勝を飾り、また山岳賞にも輝いた。総合2位にはペリツァーリ、3位には同じイタリアのピガンゾーリが入っている。
日本勢では留目が最高位となる39位(9分7秒遅れ)でフィニッシュし、総合24位と健闘。また鎌田と津田も完走を果たし、厳しい8日間レースを終えた。
日本チームを率いた浅田顕監督は「最終ステージは悪天候予報に対して奇跡的にスタート前に冷たい雨がやみ晴天でのレースとなりました。しかしレースはとても厳しいものでした。留目は標高2700mのイズラン峠頂上付近で30名ほどの先頭集団から脱落し、追走グループでレースを続けた。終盤はパンクもあり単独で最後のゴールを目指すことになりましたが、こぼれてくる選手をパスしながら最後まで力を緩めず走り切りました。続く鎌田、津田も力を振り絞りレースを完走しました。これで厳しい8日間のレースを終えました。目標成績である留目の個人総合20位には少し届きませんでしたが、課題を抽出し次の活躍に繋げて行きたいと思います」とコメントしている。
第5ステージ結果
1位 | イヴァン・ロメオ(スペイン) | 3:05:06 |
2位 | ヤン・クリステン(スイス) | 0:07 |
3位 | フランセスコ・ブサット(イタリア) | 0:12 |
54位 | 留目夕陽 | 1:09 |
第6ステージ結果
1位 | アイザック・デルトロ(メキシコ) | 2:04:05 |
2位 | マシュー・リッチテッロ(アメリカ) | 0:01 |
3位 | ダヴィデ・ピガンゾーリ(イタリア) | 0:30 |
32位 | 留目夕陽 | 9:19 |
第7ステージA結果(個人タイムトライアル)
1位 | マシュー・リッチテッロ(アメリカ) | 31:31 |
2位 | ダヴィデ・ピガンゾーリ(イタリア) | 0:40 |
3位 | アイザック・デルトロ(メキシコ) | 0:46 |
13位 | 留目夕陽 | 1:51 |
第7ステージB結果
1位 | アーチー・ライヤン(アイルランド) | 2:05:21 |
2位 | アイザック・デルトロ(メキシコ) | 0:07 |
3位 | ジュリオ・ペリツァーリ(イタリア) | |
60位 | 留目夕陽 | 9:51 |
第8ステージ
1位 | ジュリオ・ペリツァーリ(イタリア) | 2:50:22 |
2位 | アイザック・デルトロ(メキシコ) | |
3位 | ウィリアム・ジュニア・レセルフ(ベルギー) | 0:34 |
39位 | 留目夕陽 | 9:07 |
個人総合成績
1位 | アイザック・デルトロ(メキシコ) | 22:03:24 |
2位 | ジュリオ・ペリツァーリ(イタリア) | 1:13 |
3位 | ダヴィデ・ピガンゾーリ(イタリア) | 1:42 |
その他の特別賞
ポイント賞 | アイザック・デルトロ(メキシコ) |
山岳賞 | アイザック・デルトロ(メキシコ) |
チーム総合成績 | イタリア |
text:Sotaro.Arakawa
photo:Tour de l'Avenir, RTA
photo:Tour de l'Avenir, RTA
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