クロン「今朝の時点で勝利を確信」ピッコロ「読みが当たった」

「ツール出場を逃し、ここに向け厳しい練習を積んだ成果だ」と勝利を飾ったアンドレアス・クロンは語る。マイヨロホを獲得したピッコロや、前日に続きレース主催者に苦言を呈したエヴェネプールなど、雨のブエルタ2日目を終えた選手たちのコメントを紹介します。

---

区間優勝　アンドレアス・クロン（デンマーク、ロット・デスティニー）

悪天候がレースを難しく、また危険なものにした。だが今朝の時点で自分の勝利を信じていた。濡れた路面に加え、特別措置により自分にチャンスが巡ってきたと思ったからね。そしてこのブエルタに向けて、僕は厳しいトレーニングを乗り越えてきたんだ。ツール・ド・フランスの出場を逃し、グランツールという高いレベルと高速レースで勝てた意味は大きい。

グランツールでの初勝利は亡き母に捧げるつもりだった。しかしチームが置かれている難しい状況を鑑みて、この勝利をティール・デデッカーに捧げたい。だから母にはもう少しだけ待ってもらう。2勝目はすぐに挙げられるだろうからね。

マイヨロホ＆ヤングライダー賞　アンドレア・ピッコロ（イタリア、EFエデュケーション・イージーポスト）

今日の走りにはとても満足している。自分を信じ、またチームも僕を信じてくれた。だからスタートからマイヨロホを狙いにいったんだ。序盤から集団の全員がクレイジーなレースになることは分かっていた。だからレース先頭にいた方が良いと思った。その読みが当たったし、この結果が本当に嬉しいよ。

この後はガールフレンドや両親、友だちに電話しないとね！今晩の夕食でチーム全員と祝いたい。

スタート前にレース主催者に苦言を呈したレムコ・エヴェネプール（ベルギー、スーダル・クイックステップ）

*当初、総合タイムの計測地点は3級山岳ムンジュイック城の頂上（残り3.6km地点）だと発表されたものの、レース主催者はその後残り9km地点に変更した。以下のコメントはその変更以前のもの。

こんな措置は何の意味もない。僕らは総合タイムの計測をサーキットに入る手前（約19km地点）にするよう進言した。しかし彼らはそれを拒否した。レース主催者には、僕ら選手へのリスペクトを示して欲しい。だが僕らの声は彼らに届いておらず、今日もまたパラダイス（酷いレース）となった。

ゲラント・トーマス（イギリス、イネオス・グレナディアーズ）

レース直前のインタビュー

（総合タイム計測をフィニッシュより手前に設定しても）危険はさほど変わらないだろう。今朝その周辺のコースを見たが、コーナーが連続していた。また数ヶ月振りの雨によって路面は滑りやすくなっており、レース主催者は我々に対して謝罪の言葉一つもない。この決定に納得していないが、僕らはただのポーン（チェスの歩兵）でしかないのだからしょうがない。

昨日のレースもスタートを1時間早めることができれば良かったのだが、レース主催者もTV中継やお金に縛られ簡単に変更できないのだろう。僕らポーンにできることは何もないよ。

レース直後のコメント

（前日に）デプルスを失ったショックは大きい。今日は常に集団前方で位置を取り、良い走りができた。だがUAEの選手がラウンドアバウトの白線の上でペダリングし、落車した。それにログリッチと背後にいた僕が巻き込まれた。地面に膝から着地したのでそこが痛んだが、大丈夫だろう。

それ以外は問題なくレースを終えることができた。路面はまるでアイスリンクのように滑りやすく、ラウンドアバウト毎に誰かが落車するような状況だった。

大会初日について語るレースディレクターのハビエル・ギレン氏

（昨日は）雨の予報があったが、あれほど暗くなるとは予想できなかった。何か対策を打つべきだったという選手からの批判は理解できる。我々はレース開始時刻を早める努力をしたものの、大きな都市であるバルセロナでレーススケジュールを変更するのは容易ではなかった。

ユンボ・ヴィスマのメーリン・ゼーマン監督

（残り3.6km地点ではなく）フィニッシュ手前9km地点に総合タイムの計測地を変更したレース主催者は称賛されるべきだ。とても賢明かつ勇気ある決断だった。今日もまた雨により路面は非常に滑りやすい状況となり、今後のレースでも対策が必要となるだろう。

自らの安全を守るために声を上げるべきだと、選手自身が理解するようになってきた。これほど落車の危険が高いなか、選手がアクションを起こすのは良いことだ。そして我々チームも一緒になって声を上げなければならない。

text:Sotaro.Arakawa
photo:Unipublic, CorVos