逃げ切り決着となったジロ・デ・イタリア第17ステージ。選手生命を脅かす大怪我を乗り越えたミケル・ヴァルグレン(デンマーク、EFエデュケーション・イージーポスト)が、終盤のアタックで自身初となるグランツール区間優勝を手に入れた。
5月27日(水)第17ステージ
カッサーノ・ダッダ〜アンダーロ 202km(丘陵/山頂フィニッシュ)

前日に好アシストを見せたベルナル photo:CorVos 
現役最後のジロを走るカルーゾ photo:CorVos

紙吹雪での歓迎を受けるヨナス・ヴィンゲゴーハンセン(デンマーク、ヴィスマ・リースアバイク) photo:CorVos

ジロ・デ・イタリア第17ステージ image:RCS Sport 距離の短かった前日から一転、ジロ・デ・イタリア第17ステージは202kmの長丁場となった。再びイタリアに戻ってきた選手たちはカッサーノ・ダッダを出発し、北東のアンダーロに向かって進んでいく。完全にフラットなのは最初の55.7kmまでで、そこから2つの3級山岳を連続登坂し、フィニッシュに向かって徐々に標高を上げていくパンチャー向きのレイアウトだ。
UAEチームエミレーツXRGでグランツールの次期総合エース候補であるヤン・クリステン(スイス)が入った逃げグループは7名。1つ目の3級山岳を前に形成されたこの集団にはノルウェー王者アンドレアス・レックネスン(ウノエックス・モビリティ)やミケル・ヴァルグレン(デンマーク、EFエデュケーション・イージーポスト)など強力なメンバーが入り、遅れて4名が合流。さらに2つ目の3級山岳に差し掛かる頃には、その人数は29名まで膨れ上がっていた。
前日勝者でマリアローザ着用者、ヨナス・ヴィンゲゴーハンセン(デンマーク)を擁するヴィスマ・リースアバイクはこの大集団による逃げを容認した。総合で脅威となる選手が少なく、総合勢は前日の疲れを癒したかったためか、結果的に6分以上のリードを許すことになる。平穏なプロトンとは対照的に、3級山岳の頂上手前で、大集団による逃げを嫌ったレミ・カヴァニャ(フランス、グルパマFDJユナイテッド)が飛び出した。

カッサーノ・ダッダを出発した選手たち photo:RCS Sport

長い攻防の末、29名の逃げグループが形成された photo:RCS Sport
第10ステージの個人タイムトライアルで区間3位と勝利に迫ったカヴァニャは、得意の独走力で2分のリードを得る。一方、追走集団ではジュリオ・チッコーネ(イタリア、リドル・トレック)が足を止め、沿道で応援する家族に声をかけるシーンも。その一方でグループはジョナタン・ナルバエス(エクアドル、UAEチームエミレーツXRG)による中間スプリント獲得を狙うべく、クリステンとイゴール・アリエタ(スペイン)の若手コンビが積極的に牽引した。その結果、残り58km地点でカヴァニャを引き戻した。
そして文字通りアリエタに背中を押されたナルバエスが中間スプリントを先頭通過。これによりポール・マニエ(フランス、スーダル・クイックステップ)からポイント賞ジャージの首位を奪い、2度目のマリアチクラミーノ着用の権利を得る。その後の下りでは新たな先頭グループを作ろうとアタックが繰り返され、ダミアーノ・カルーゾ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス)のアタックもあり、5名集団が形成され、やがて10名まで増えた。

終始プロトンを牽引したヴィスマ・リースアバイク photo:RCS Sport

人数の絞られた逃げグループが通り雨に見舞われる photo:RCS Sport
その中には5日目勝者のアリエタや今大会2度の2位に入るレックネスンらが入り、最終山岳である3級アンダーロ・レヴェル(距離8.3km/平均3.9%)の手前でカルーゾが仕掛けた。途中のレッドブルKMの手前で今度はエイネル・ルビオ(コロンビア、モビスター)がアタック。そこにアリエタとヴァルグレンが追いつき、頂上を目指すものの、この3名による協調体制は生まれない。そこからアリエタが遅れ、カルーゾとレックネスン、アレクサンドル・ウラソフ(ロシア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)の追走集団に合流した。
先頭2名と追走集団の差は、残り4km地点で15秒。それが21秒まで広がった残り3.3kmで、追走集団からアリエタが飛び出し、再び先頭2名に合流した。しかし後続3名も残り1.8km地点で追いつき、勝負は6名によるスプリントに持ち込まれると思われた。

エイネル・ルビオ(コロンビア、モビスター)とミケル・ヴァルグレン(デンマーク、EFエデュケーション・イージーポスト)が先頭に立った photo:CorVos

残り1.1km地点でアタックを決め、フィニッシュしたミケル・ヴァルグレン(デンマーク、EFエデュケーション・イージーポスト) photo:CorVos
しかし、残り1km地点を示すゲートの直前、集団の中で最もスプリント力があると思われたヴァルグレンがアタック。それに反応する選手は現れなかった。そしてフィニッシュ地点にたどり着いたヴァルグレンは、背面のポケットから今大会のチームカラーである緑色のポケモンボールのワッペンを取り出し、それを左手で握りしめながら勝利を決めた。
「皆が思っているよりも僕のスプリントは速くない。(解説者の)アダム・ブライスに最大出力の数値を聞かれたが、答えるのが恥ずかしかったほどだ。今日は脚があったので得意な展開に持ち込んだ。脚は限界に達しており、チームカーが後方にいたためしばらく補給食を食べられなかったんだ。力尽きる不安もあったが、何とかフィニッシュまで間に合った」とレースを振り返ったヴァルグレン。
2022年に骨盤骨折や股関節脱臼という、キャリアを脅かす大怪我を負い、2023年は育成チームで1年を過ごした。そして2024年にトップチームに復帰すると、今年3月のティレーノ~アドリアティコで復活勝利。そして今年34歳になったベテランが、自身初となるグランツールでのステージ優勝を手に入れた。

緑色のポケモンボールに口づけをするミケル・ヴァルグレン(デンマーク、EFエデュケーション・イージーポスト) photo:CorVos

グランツールで自身初となる区間優勝を飾ったミケル・ヴァルグレン(デンマーク、EFエデュケーション・イージーポスト) photo:CorVos

マリアローザを守ったヨナス・ヴィンゲゴーハンセン(デンマーク、ヴィスマ・リースアバイク) photo:CorVos 
再びポイント賞の首位に立ったジョナタン・ナルバエス(エクアドル、UAEチームエミレーツXRG) photo:CorVos
後続集団のスプリントを制し、区間2位に入ったのはレックネスン。今大会3度目、ジロでは自身4度目の2位となり「ラスト1kmまで良いレースができていたのだが」と悔しさを滲ませた。またプロトンが5分15秒遅れでフィニッシュしたため、区間3位だったカルーゾがタイムを稼ぎ、総合13位から9位まで順位を上げている。
5月27日(水)第17ステージ
カッサーノ・ダッダ〜アンダーロ 202km(丘陵/山頂フィニッシュ)




UAEチームエミレーツXRGでグランツールの次期総合エース候補であるヤン・クリステン(スイス)が入った逃げグループは7名。1つ目の3級山岳を前に形成されたこの集団にはノルウェー王者アンドレアス・レックネスン(ウノエックス・モビリティ)やミケル・ヴァルグレン(デンマーク、EFエデュケーション・イージーポスト)など強力なメンバーが入り、遅れて4名が合流。さらに2つ目の3級山岳に差し掛かる頃には、その人数は29名まで膨れ上がっていた。
前日勝者でマリアローザ着用者、ヨナス・ヴィンゲゴーハンセン(デンマーク)を擁するヴィスマ・リースアバイクはこの大集団による逃げを容認した。総合で脅威となる選手が少なく、総合勢は前日の疲れを癒したかったためか、結果的に6分以上のリードを許すことになる。平穏なプロトンとは対照的に、3級山岳の頂上手前で、大集団による逃げを嫌ったレミ・カヴァニャ(フランス、グルパマFDJユナイテッド)が飛び出した。


第10ステージの個人タイムトライアルで区間3位と勝利に迫ったカヴァニャは、得意の独走力で2分のリードを得る。一方、追走集団ではジュリオ・チッコーネ(イタリア、リドル・トレック)が足を止め、沿道で応援する家族に声をかけるシーンも。その一方でグループはジョナタン・ナルバエス(エクアドル、UAEチームエミレーツXRG)による中間スプリント獲得を狙うべく、クリステンとイゴール・アリエタ(スペイン)の若手コンビが積極的に牽引した。その結果、残り58km地点でカヴァニャを引き戻した。
そして文字通りアリエタに背中を押されたナルバエスが中間スプリントを先頭通過。これによりポール・マニエ(フランス、スーダル・クイックステップ)からポイント賞ジャージの首位を奪い、2度目のマリアチクラミーノ着用の権利を得る。その後の下りでは新たな先頭グループを作ろうとアタックが繰り返され、ダミアーノ・カルーゾ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス)のアタックもあり、5名集団が形成され、やがて10名まで増えた。


その中には5日目勝者のアリエタや今大会2度の2位に入るレックネスンらが入り、最終山岳である3級アンダーロ・レヴェル(距離8.3km/平均3.9%)の手前でカルーゾが仕掛けた。途中のレッドブルKMの手前で今度はエイネル・ルビオ(コロンビア、モビスター)がアタック。そこにアリエタとヴァルグレンが追いつき、頂上を目指すものの、この3名による協調体制は生まれない。そこからアリエタが遅れ、カルーゾとレックネスン、アレクサンドル・ウラソフ(ロシア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)の追走集団に合流した。
先頭2名と追走集団の差は、残り4km地点で15秒。それが21秒まで広がった残り3.3kmで、追走集団からアリエタが飛び出し、再び先頭2名に合流した。しかし後続3名も残り1.8km地点で追いつき、勝負は6名によるスプリントに持ち込まれると思われた。


しかし、残り1km地点を示すゲートの直前、集団の中で最もスプリント力があると思われたヴァルグレンがアタック。それに反応する選手は現れなかった。そしてフィニッシュ地点にたどり着いたヴァルグレンは、背面のポケットから今大会のチームカラーである緑色のポケモンボールのワッペンを取り出し、それを左手で握りしめながら勝利を決めた。
「皆が思っているよりも僕のスプリントは速くない。(解説者の)アダム・ブライスに最大出力の数値を聞かれたが、答えるのが恥ずかしかったほどだ。今日は脚があったので得意な展開に持ち込んだ。脚は限界に達しており、チームカーが後方にいたためしばらく補給食を食べられなかったんだ。力尽きる不安もあったが、何とかフィニッシュまで間に合った」とレースを振り返ったヴァルグレン。
2022年に骨盤骨折や股関節脱臼という、キャリアを脅かす大怪我を負い、2023年は育成チームで1年を過ごした。そして2024年にトップチームに復帰すると、今年3月のティレーノ~アドリアティコで復活勝利。そして今年34歳になったベテランが、自身初となるグランツールでのステージ優勝を手に入れた。




後続集団のスプリントを制し、区間2位に入ったのはレックネスン。今大会3度目、ジロでは自身4度目の2位となり「ラスト1kmまで良いレースができていたのだが」と悔しさを滲ませた。またプロトンが5分15秒遅れでフィニッシュしたため、区間3位だったカルーゾがタイムを稼ぎ、総合13位から9位まで順位を上げている。
ジロ・デ・イタリア2026第17ステージ結果
| 1位 | ミケル・ヴァルグレン(デンマーク、EFエデュケーション・イージーポスト) | 4:41:33 |
| 2位 | アンドレアス・レックネスン(ノルウェー、ウノエックス・モビリティ) | +0:03 |
| 3位 | ダミアーノ・カルーゾ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス) | +0:06 |
| 4位 | アレクサンドル・ウラソフ(ロシア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) | |
| 5位 | エイネル・ルビオ(コロンビア、モビスター) | |
| 6位 | イゴール・アリエタ(スペイン、UAEチームエミレーツXRG) | +0:14 |
| 7位 | ジャンマルコ・ガロフォリ(イタリア、スーダル・クイックステップ) | +0:52 |
| 8位 | ダビ・デラクルス(スペイン、ピナレロQ36.5プロサイクリング) | +1:08 |
| 9位 | ジョナタン・ナルバエス(エクアドル、UAEチームエミレーツXRG) | +1:44 |
| 10位 | マーク・ドノヴァン(イギリス、ピナレロQ36.5プロサイクリング) |
マリアローザ(個人総合成績)
| 1位 | ヨナス・ヴィンゲゴーハンセン(デンマーク、ヴィスマ・リースアバイク) | 66:57:14 |
| 2位 | フェリックス・ガル(オーストリア、デカトロンCMA CGM) | +4:03 |
| 3位 | テイメン・アレンスマン(オランダ、ネットカンパニー・イネオス) | +4:27 |
| 4位 | ジャイ・ヒンドレー(オーストラリア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) | +5:00 |
| 5位 | アフォンソ・エウラリオ(ポルトガル、バーレーン・ヴィクトリアス) | +5:40 |
| 6位 | デレク・ジーウェスト(カナダ、リドル・トレック) | +7:09 |
| 7位 | マイケル・ストーラー(オーストラリア、チューダープロサイクリング) | +7:14 |
| 8位 | ダヴィデ・ピガンゾーリ(イタリア、ヴィスマ・リースアバイク) | +7:57 |
| 9位 | ダミアーノ・カルーゾ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス) | +8:34 |
| 10位 | ベン・オコーナー(オーストラリア、ジェイコ・アルウラー) | +9:20 |
マリアチクラミーノ(ポイント賞)
| 1位 | ジョナタン・ナルバエス(エクアドル、UAEチームエミレーツXRG) | 157pts |
| 2位 | ポール・マニエ(フランス、スーダル・クイックステップ) | 145pts |
| 3位 | アンドレアス・レックネスン(ノルウェー、ウノエックス・モビリティ) | 79pts |
マリアアッズーラ(山岳賞)
| 1位 | ヨナス・ヴィンゲゴーハンセン(デンマーク、ヴィスマ・リースアバイク) | 211pts |
| 2位 | ジュリオ・チッコーネ(イタリア、リドル・トレック) | 133pts |
| 3位 | フェリックス・ガル(オーストリア、デカトロンCMA CGM) | 96pts |
マリアビアンカ(ヤングライダー賞)
| 1位 | アフォンソ・エウラリオ(ポルトガル、バーレーン・ヴィクトリアス) | 67:02:54 |
| 2位 | ダヴィデ・ピガンゾーリ(イタリア、ヴィスマ・リースアバイク) | +2:17 |
| 3位 | マティス・ロンデル(フランス、チューダープロサイクリング) | +4:23 |
チーム総合成績
| 1位 | ヴィスマ・リースアバイク | 201:18:30 |
| 2位 | レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ | +5:57 |
| 3位 | ネットカンパニー・イネオス | +21:43 |
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos, RCS Sport
photo:CorVos, RCS Sport
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