ベルギー・ワロン地方を巡る5日間レース「ツール・ド・ワロニー」が閉幕。初日の集団スプリントと4日目の個人タイムトライアルを制したフィリッポ・ガンナ(イタリア、イネオス・グレナディアーズ)が総合優勝に輝いた。



ベルギーのワロン地方を巡るツール・ド・ワロニー photo:CorVos

ツール・ド・フランスの第20ステージが行われた7月22日(土)、ベルギー西部のワロン地方を巡るツール・ド・ワロニー(UCI2.Pro)が開幕した。ベルギーのワンデーレースでお馴染みの短い急坂や、石畳が登場する本大会は5日間のステージレース。長い登りが登場しないため集団スプリントに持ち込まれることが多く、またクラシックレーサーやスプリンターが総合優勝に輝く大会となっている。

ユイからアモワールまでの189.6kmで争われた大会初日は、4名の逃げ集団をイネオス・グレナディアーズやスーダル・クイックステップらワールドチームがメイン集団先頭で追う形で進行する。そして残り8km地点で逃げを捉え、エリア・ヴィヴィアーニのリードアウトするべく先頭に出たフィリッポ・ガンナ(共にイタリア、イネオス・グレナディアーズ)がそのまま踏み込み勝利した。

第1ステージ:リードアウトから踏み抜いたフィリッポ・ガンナ(イタリア、イネオス・グレナディアーズ)が勝利 photo:CorVos

第2ステージ:アルノー・デリー(ベルギー、ロット・デスティニー)が復活勝利 photo:CorVos

続く2日目も逃げを残り20km地点で捉え、集団スプリントで決着した。リドル・トレックが先頭でトレインを組み、ティボー・ネイス(ベルギー)が発射したものの、大外から単独で番手を上げたアルノー・デリー(ベルギー、ロット・デスティニー)が勝利。今年5月のレースで落車し、鎖骨や肋骨の骨折に加え、肺の負傷から復帰した21歳が今季5勝目をマークした。

3日連続で集団のままフラムルージュ(1km)を通過した第3ステージ。クサンドロ・ムーリッセがティモ・キーリッヒ(共にベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク)のために集団を牽引し、そのハイスピードに集団前方で中切れが発生する。そして残り300m手前の最終コーナーで先頭に立ったキーリッヒが、そのままフロリアン・セネシャル(フランス、スーダル・クイックステップ)を引き離し勝利を上げた。

総合優勝の行方を左右する32.7kmの個人タイムトライアルで争われた第4ステージは、初日勝者のガンナが完勝した。またイネオス・グレナディアーズは区間2位にジョシュア・ターリング、3位にコナー・スウィフト(共にイギリス)を入れ表彰台を独占。また総合でもこの3名がトップ3に立った。

第3ステージ:残り300mからに独走によって勝利したティモ・キーリッヒ(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク) photo:CorVos
第4ステージ:得意のTTで区間2勝を挙げたフィリッポ・ガンナ(イタリア、イネオス・グレナディアーズ) photo:CorVos


第5ステージ:虚を突くアタックを成功させたアンドレア・バジオーリ(イタリア、スーダル・クイックステップ) photo:CorVos

大会最終日である第5ステージも終盤に逃げを吸収し、スーダル・クイックステップの牽引によりフィニッシュ地点の引かれたオーブルの街に入っていく。しかし残り3.2km地点でイェンス・レインデルス(ベルギー、イスラエル・プレミアテック)が飛び出すと、それを潰すべく動いたアンドレア・バジオーリ(イタリア、スーダル・クイックステップ)がそのままアタックした。

その動きにはスティーブン・ウィリアムズ(イギリス、イスラエル・プレミアテック)しかついていくことができず、クライマーであるバジオーリとウィリアムズはプロトンから約10秒差をつけフラムルージュを通過。後方から迫るスプリンターたちを振り切り、残り150mでウィリアムズを引き離したバジオーリが勝利した。

総合優勝に輝いたフィリッポ・ガンナ(イタリア、イネオス・グレナディアーズ) photo:CorVos

そして総合優勝は先頭集団でフィニッシュし、区間2勝を挙げたガンナの手に。「(第4ステージ終了時に)チームで独占していた総合表彰台を守ることが今日(最終日)の作戦だった。無事に総合優勝することができて本当に嬉しいよ」とガンナは喜んだ。

この後のレーススケジュールについては「明日家に帰り、その翌日から風洞実験でフォームを修正する。その後トラックで3日間練習し、五輪の出場権を狙うべく世界選手権に臨む。今大会はそのためのコンディションを上げることに大きく繋がった」と語った。

またヤングライダー賞を獲得したターリングが総合2位に入ったため、イネオスは総合でワンツーを達成している。
ツール・ド・ワロニー2023第1ステージ結果
1位 フィリッポ・ガンナ(イタリア、イネオス・グレナディアーズ) 4:39:47
2位 ダヴィデ・バッレリーニ(イタリア、スーダル・クイックステップ)
3位 アルネ・マーリッツ(ベルギー、アンテルマルシェ・サーカス・ワンティ)
第2ステージ結果
1位 アルノー・デリー(ベルギー、ロット・デスティニー) 4:15:29
2位 ティボー・ネイス(ベルギー、リドル・トレック)
3位 ティモ・キーリッヒ(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク)
第3ステージ結果
1位 ティモ・キーリッヒ(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク) 4:28:57
2位 フロリアン・セネシャル(フランス、スーダル・クイックステップ)
3位 シモーネ・コンソンニ(イタリア、コフィディス)
第4ステージ結果
1位 フィリッポ・ガンナ(イタリア、イネオス・グレナディアーズ) 38:01
2位 ジョシュア・ターリング(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) +0:08
3位 コナー・スウィフト(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) +0:30
第5ステージ結果
1位 アンドレア・バジオーリ(イタリア、スーダル・クイックステップ) 5:06:10
2位 スティーブン・ウィリアムズ(イギリス、イスラエル・プレミアテック)
3位 アルノー・デリー(ベルギー、ロット・デスティニー)
個人総合成績
1位 フィリッポ・ガンナ(イタリア、イネオス・グレナディアーズ) 19:08:14
2位 ジョシュア・ターリング(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) +0:18
3位 ブレント・ファンムール(ベルギー、ロット・デスティニー) +0:40
その他の特別賞
ポイント賞 ティモ・キーリッヒ(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク)
山岳賞 ヨハン・ミーンス(ベルギー、ビンゴール・パウェルスソースWB)
ヤングライダー賞 ジョシュア・ターリング(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)
チーム総合成績 イネオス・グレナディアーズ
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos

最新ニュース(全ジャンル)